第6話

 すっかり夜になっていたが、暗い遺跡の中では特に条件が変わるわけではない。

 消耗もほとんどなかったことから、2人は探索を続けた。


 とはいえ、これ以上は危険な未探索エリアに突入することになる。

 クレイの提案により、蛮族や危険な魔法生物の気配を感じたら一度帰り、人員を補充して出直すという方針になった。


 クレイを先頭に、ゆっくりと隠し階段を降りる。

 降りた先は地下とは思えないくらいしっかりした作りで、一本の長い廊下が続いていた。


(なんでか分からないけれど、この先にきっと答えがあるような気がする)


 そんな予感を胸に一歩を踏み出そうとしたとき、バニラの腹部に突然痛みが走る。


(えっ?)


 疑問に思う間もなく、バニラは前のめりに倒れる。

 慌てたクレイに抱き起こされながら、バニラは階段の上からこちらを見下ろす人型の機械に気が付いた。

 バニラの知識が、その正体を看破する。


「クレイ、あれ、シャザーレィっていう、魔動機……逃げて……」


 バニラが息も絶え絶えになりながら、情報をクレイに渡そうとする。

 体力の少ないバニラにとっては、光条1撃でも致命傷になりうるのだ。


 クレイはバニラの言葉を受け、即座に撤退を判断する。

 とはいえ階段の上部を陣取られてしまった以上、前にしか逃げ場はない。


 クレイはバニラを背負い、廊下の奥へと走り出した。

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