第5話
その後、何時間もしないうちに2人は遺跡の最深部まで辿り着いた。
もともと広い遺跡ではないうえ、探索済なので大まかな地図もあり、道行きは非常にスムーズだった。
「例の品を見つけたのがこの部屋らしいけど……なんも残ってねぇな」
残念そうにクレイがぼやく。
しかし確かに彼の言う通り、この部屋にはもう価値あるものなど何もなさそうに見えた。
ここまでの道中にほかの部屋も一通り見て回りながら来たが、どこも同じような状態だった。
「そうだね……でも一応、確認しておこうかな。マナサーチ」
バニラはあまり気乗りしない様子でマギスフィアを取り出し、呪文を唱える。
マナサーチは周囲にある魔法のアイテムを感知する魔法で、術者には立体的な地図としてそれが感じられる。
そして期待していなかったバニラの前に広がった地図には、予想に反していくつかの光源が見てとれた。
「えっと……地下にまだ部屋があるみたい、なんだけど」
バニラは困ってクレイを見上げる。
部屋にある仕掛けの探索はスカウトの仕事であり、この場で言えばクレイの領分になる。
しかし彼はパーティ内ではあくまでもサブスカウトであり、それほど高い技量を持っていないことはバニラも知っていた。
クレイは何か他に方法がないかと唸っていたが、やがて見つかるまで自分が試みるしかないと覚悟を決めて部屋の壁に手を掛けた。
隠し階段の仕掛けが見つかったのは、それから6時間後のことだった。
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