第4話 秘書と塩水

前回の更新から1年以上たってますね。医局秘書日記2も消したし。

3も消すかもしれないし、続くかもしれません。わかりません。


医局にはお中元で果物など届きます。むくのは秘書の仕事。

あるとき、E助教が「教授が好きだから」ということで桃をひと箱買ってきてくれました。

桃は足がはやいので、むいたら即食べねばなりません。私がむいたときは、すぐ食えと先生方に宣伝して食べてもらいました。

そして、竹さんが桃をむいた日です。

医局の机の上にあったので、何気なく私はその桃をいただきました。

が。

しょっぱ!!!!

なんで、桃がしょっぱいの!?

私「…おいしい、です」

渾身の勇気を振り絞って、私は竹さんにそう言いました。言いましたが、顔はどうだったのかわかりません。自分の顔は見られないので。

しょっぱい桃なんて食べたのは生れて初めてだったのですが、

「まっず!」

と心の声を露わにするわけにもいかず、無理やり桃を飲み込みました。本当は吐きたかった。

しかし、その後竹さんは誰もいないときにゴミ箱に桃を捨てていた。何してるんだ?


家へ帰って、母に、桃って塩水つけるもんなの? と聞いたら、そんなわけないと返事が返ってきました。

ネットで調べたら、塩水につける人もいるらしいですね。変色しないようにとか。竹さんもそういう家庭に育っているんだろうか。なんにしても、カルチャーショックでした。

後日、松さんにその話をしてみましたところ。

私「桃って塩水につけます?」

松さん「つけないよ。りんごならつけるけど」

私「竹さん、塩水につけた桃出したんですよね。しょっぱい桃って、私、はじめてで…。びっくりして」

松さん「竹さんがいうにはね、桃さんに塩水つけろって言われたんだって」

私「そうなんですか?」

松さん「でも桃さんは、竹さんがつけろって言ったって。どっちでもいいけどね」

本当にどっちでもいいですが、私の中では桃を塩水につけるのはマジでありえなかった。

その地方によるのかもしれないけど。

果物ひとつとっても、その人の個性が出るものなんだなあ。

後日、桃さんが桃をむいたときは、保冷剤で冷やしていた。塩水にはつけなかったようだ。

真相は闇の中。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る