第3話 秘書とタイミング

 電話応対というのは難しいものです。

 特に相手が急ぎなのに、こちらが対応できないときは。

 某大学病院へとある個人病院から患者様紹介の電話が来ました。

 とりあえず医局の先生なら誰でもいいということだったので、研究室にいた先生のピッチに電話です。

 私「○○クリニックの院長先生からお電話なんですけど」

 J先生「○○先生ですね。わかりました」

 私「患者様の紹介なんですけど…」

 J先生「私、病棟じゃないんで、ほかの先生にお願いします」

 拒否られた。仕方ないので、当番医に先生のピッチに電話。

 看護師さん「K先生もW先生も処置中です」

 なんでこった! 誰にもつながらない。

 私「申し訳ありません。今当番医もつながらなくて…」

 ○○先生「こちらも急ぎなんです。5分以内に折り返してください」

 5分以内!?いや、そんなこと言われても先生が出なきゃ無理ですよ!

 とはいえず、なぜか○○病院の医局秘書に代わり、折り返すことになった。

 今度はN先生にかけてみる。

 N先生「今実験中なので」

 私「J先生に断られて、当番医も処置中と言われて…。B医局長にいったほうがいいですか?」

 返答なし。そりゃあB医局長には私も電話したくないけど。

 N先生「V先生にかけてみるか、もう1回当番医にかけてください」

 仕方ないので、V先生にかけたが手術中。当番医にかけたら、やっとK先生が出てくれたが、処置中なのでちょっと待てと言われる。

 竹さん「Q先生は?」

 外来中なのでかけたくなかったが、かけても出ず。

 竹さん「R先生は?」

 かけても出ず。また別の先生を言われたが、K先生が来るのを待つことにした。だってかけても誰も出ないし。そもそも手術日なので出ないと思われるからだ。竹さんは何も考えずに押し付けてくるから困る。

 その後、やっと手術後だというF助教から「真理子先生から急ぎで電話だって?」と電話が来た。助かった。

 私「○○クリニックに電話するので、先生のピッチにおつなぎしてよろしいでしょうか?」

 F助教「大丈夫です」

 かけ間違ったり、かなり動揺しながらなんとか○○病院につなぐと、愛想の悪い医療事務から○○先生につないでもらう。

 私「Fがようやく連絡取れましたので、おつなぎします」

 ○○先生「F先生ってしばらく医局にいませんでしたよね?」

 私「産休から復帰しました」

 よく知ってるな、と思いつつこれでやっとお役御免と思ってF助教のピッチにかけると。

 ???「はい」

 私「○○病院の先生からお電話おつなぎしてもよろしいでしょうか」

 ???「F助教のピッチにお願いします」

 私「??? この番号、F助教のピッチですよね?」

 看護師「え…あ、D助教、間違ってF助教の持ってきたみたい」

 ええ!?何をおっしゃっているんですか!?ピッチ間違いとかありえんだろ!!

 看護師「ちょっと持っていきますね」

 私と話しているんだか、誰かと話しているんだか、ピッチを持って移動しているようだ。しばらく無音。

 その間も、竹さんが「医局長にいおうか?」と余計なことしゃべっている。頼むから黙っててくれ。D助教がピッチ間違って持って行ったみたい、と話しても意味不明な顔をしていた。

 そしてようやくF助教に取り次いでもらえたのだった。

 ちなみに、その後またピッチ間違いの話を2回ほどして、ようやく竹さんは理解したようだった。説明にも時間をとられる。

 先生にも竹さんにも振り回され、散々な一日だった。

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