第8話 釘を刺す、半日の大改革

 宰相、重鎮達が入室しました。

宰相さいしょう!!私が何者か言ってみろ!」


 突然幼女に命令され、顔が歪む程いきどおりを感じて居る様子です。

 無言で睨む宰相に、畳み掛けました。

「お前はどうせ一歳児の私に、言っても意味が分からんだろうと、敵意を込めて暴言を吐いた」

「いえ!!幼いので勘違いされたのでしょう!暴言など吐いておりません」


「そうか?では!お偉い宰相様、寂れた漁村の改革など容易たやすいでしょう?精々頑張って、豊かな大都市に改革して下さいませ」


「なっ!!」

 焦ってボロを出せ!



「もうよい!!お前は、私に敵意を向けた!!と言うことは、王家と公爵家に宣戦布告したと同様、国家反逆罪で斬首は止めてやるが、本日ただ今を持って領地全て没収、宰相職を懲戒解雇ちょうかいかいことする!!今まで溜め込んだ金で余生をつつましく生きろ!」


 鑑定でお見通しヨクダ侯爵家が、高位貴族特権で、捩じ込んで来た無能宰相、50年も無能が良くも勤めた!それはそれで、世渡り上手?侯爵家の威光を利用してただけでしょう。強引かも知れないが、追放しないと!!私の今後に邪魔はさせない!


 直も何か言いたげに、国王を見てる。

「衛兵!儂の可愛い姪に暴言を吐く、この者は不要!!丁寧に放り出せ!」


 衛兵に取り押さえられ、宰相が退場。


「さてと、次は重鎮と言う名の老害諸君!貴殿方あなたがたには優退を勧める!!後進に任せ気持ち良く立ち去れ!」


「国王様!国政が混乱しますぞ!!」

 国王は沈黙、私の采配の行く末を見守る?違うな!愉快そう随分嬉しそうな顔をしてる。

(期待に応えるか!)


「心配するな!!宰相やお前らごときの仕事、私一人で余裕!!半日で終らせて見せる!!引き継ぎ不要!即刻優退せよ!!」



 衛兵達に引き立てられて、老害諸君も退室。



「レイナさんや随分思い切った采配、面白く小気味良かったが、この後どうなる?」


「叔父さん、宰相の執務室に案内して」

「レイナは面白い!国王を執事の様に使うか!せめて叔父様と言って欲しいのぅ」

「あんな無能取り巻きに、気付いて居なかった無能王が、贅沢言うな!!」

「クックック!レイナは厳しいのぅ!!」


「ま、叔父様は無能を演じ、炙り出しされてたのでしょうが」

「いや、全く気付かなんだ…」

「ふふっ、叔父さんは、そのばか正直で、素直な所が唯一の取り柄ね」

「いやいや!もっと取り柄は有るぞ!」

「例えば?」

「……直ぐには思い付かん」

「ね!唯一の取り柄、ばか正直」


「………レイナの超才能を、見抜いた!」

「見抜いたと言うより、ドワーフと勘違いしただけでしょ?」


「こほんっ!ここが宰相執務室だ、今からレイナの部屋でもある」


 ノックも断りも無く入室し、部屋を見渡します。


 国王の突然の入室、全員一斉に立ち上がり、右腕を心臓に当て臣下の礼を取っています。

(あの宰相の補佐、と言うか実務してたのが20人?)

 全員を、私は鑑定してみました。


「あれれっ?……貴方と貴方達、5人前に!!」

 何を言われるか、オズオズ5人が進み出ました。

 鑑定で名前と優秀な人材は分かります、この部屋は、この5人の優秀な者と、15人の無能者で構成されてた。

 実質、5人で宰相の激務をこなして居たようです。


「ユーリョ子爵家3男、ゼン-ユーリョ!貴方を王姪の権限で、名誉伯爵に叙します!!今後一層の働きを期待すると共に、宰相職を命じます」


 言われた事が、頭に入らない様子、魂が抜けたように呆けています。


 引き続き。

「マズマ子爵家次男、ナカナ-マズマ!貴方を王姪の権限で、名誉伯爵に叙し今後の働きに期待し、次宰職を命じます!宰相を助け、より良い国を目指せ!!」

「はっ!!身に余る光栄…」

 なんか、涙ぐんでる。

 引き続き2男爵家の子弟と准男爵家長男の3人、名誉子爵に叙しました。

 感激に泣いているよう。


「たゆまぬ努力してきた者には、私は必ず報いる!!」


「さて残った15人の無能者寄生虫は懲戒解雇ちょうかいかいこだ!!荷物を纏め草々に立ち去れ!!」

「お言葉ですが、我がゴウマ侯爵家が黙って居りませんぞ!!」


「なんだ、キサマゴウマ侯爵の弟か!では、無能者を無理矢理高位貴族がねじ込んだと言う事だな、ゴウマ侯爵家のとがに付いては、追って通達する!!罰金刑で済めば良いな?迂闊な行動すれば、侯爵家取り潰しも考慮する!!」


「残りの無能どもも、良いな?家に帰り、確り相談せよ追って沙汰を申し付ける!!」


「ゼン伯爵!ナカナ伯爵!今までは兎も角、二人はこの中では最高位の貴族に叙されている!後は任せた!!」

「「はっ!!」」



 宰相執務室を出て。

「叔父さん!影が居るでしょ?」

「影?」

「王命で調査隠密行動、場合に寄ると暗殺者になる影の者」

「あぁ!諜報員なら優秀な者が居る」

「ゴウマ侯爵その他14家に、影を送り謀反の兆候を掴め!!」

「レイナちゃん?物騒だな」

「ノンビリしないで、即追跡させろ!首にした宰相と10人の老害にも影を送れ!!」


「もう良い!!!」

 上を見上げ「諜報員!降りて来い!!」

 スタっと身軽に男が降りてきた。

「話は聞いて居ったであろう!今言った全員に諜報員を送れ!!今後お前達を影と呼び、ノンビリ王の代わりに、私が治安を護る!!行け!!!」

「はっ!!!」



「レイナ、儂に代わって女王にならんか?有能過ぎて、扱いに困るぞ」


「府抜けた事言って無いで、シャキッとして!!改革まだ終わって無いよ!騎士団、軍隊の改革最優先だよ!」

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