第5話 もう一人の転生令嬢

 私のお披露目会から、父様で無く、私個人にお披露目会への招待状が届くようになりました。


 と言うのも、子爵や男爵家主催のお披露目会など、最上位の公爵家に招待状を出すなんて烏滸おこがましく思われて、今まで控えられて居たそう、公爵家令嬢とは言え、1歳児の私ならば、丁寧に扱えば無礼な行為にはならないだろうって考えたようです。


 勿論こうなった理由は有ります。

 お披露目会が無事終わって、一週間が経った日。

 ローレル伯爵が、当家を訪れました。

 柔和な人の良さそうな方と思った、見覚えがある長身の青年です。


 お披露目会に参加出来るのは、お披露目が終わった貴族の子女のみ、私のお披露目会に参加した、ローレル伯爵が上位貴族特権で、長子3歳お披露目会を主催、私の参加の打診を父様にお伺いに来たのが発端でした。

「レシア公爵様!レイネアリス様には及びませんが、私の娘ゼナも神童と言われる天才で御座います」


「レイナ、どうする?」父様は国王様への気遣いもしない人です、

 伯爵家当主の前でも、全く気遣い無し。

「父様、お披露目が終わって、初めてのお披露目会のご招待です、お受けします」

 私の言葉に、ローレル伯爵が嬉しそうに「レイネアリス令嬢!有難う御座います!こちらが正式招待状になります」


 私個人に招待状が、渡されました。


 招待状は普通1~2週間前に届くのですが、日時を見ると一月後に開催される招待状でした。

 これ一つ取っても、随分考慮された、万全の招待状です。

 貴族最上位の公爵家、急用は王族関係のみ、1歳のレイネアリスです、王宮に緊急招集掛けられる可能性は無に等しく、土壇場でキャンセルされる事の無いよう、考慮されています。


 当日の衣装は、お披露目会の色違い淡いブルーのドレスに決めました。

 僅か15日で、私専用の馬車が新調されました。

 純白の可愛い馬車で、巧みの彫刻白薔薇が全面に彫られ、豪華ですが過剰な装飾は省かれた、一見清楚な作りです。


 薔薇の紋章は、王族以外レシア公爵家のみに許された物で、この馬車を一目見ただけで、公爵家所縁ゆかりの者と誰もが気付くそうです。


 私同等の神童と、ローレル伯爵が自慢してた、ゼナ嬢はどんな人かウキウキしながら、伯爵邸に向かっています。

 ゼナ嬢に渡す祝い品は、無難な物と特別な物、二種類持参してます。


 御者は女性、護衛の二人も女性です。

 御者と二人の騎士は、ラフレシア国王から私専用にと、下伺賜かしたまわった人材で、三人とも正式に士爵位を叙されてるそうです。


 誘導案内人、優秀な者に任せて居るようで、私の馬車を一目見て誘導、会場前に横付けさせ、恭しく迎えられました。

 ローレル伯爵が、私専用の案内人として、配置させていたようです。


 案内人に着いて行くと、私のお披露目会の時、国王が位置した雛壇に案内されました。


 私用に作られたと思われる、小さいが華麗に装飾が施された椅子に座ります。

 空かさず、サイドテーブルに飲み物が置かれました。

「有難う!」

「あっ!勿体無もったいないお言葉!!」

 メイドは私の接待用でしょうか?後ろに控えました。

 椅子より半歩下がった左右に、ウコンとサコンが控えています。

 ウコン、サコンは家名として、私が授けました、王さまに丸投げされたからです。



 始まるようです。

 ローレル伯爵と今日の主役、お披露目のゼナ嬢が、雛壇の下に立って挨拶を始めました。

「公爵令嬢レイネアリス様!我が娘ゼナのお披露目会に、快くご参加して下さり有難う御座います!!」

 ここは、頷くだけで良いそう。

 続いてゼナ嬢の挨拶が始まりました。


レイネアリス様れいねありしゅしゃまわたちのお披露目にご参加しゃんか下しゃり有難うごじゃいましゅ!この出会いを八百万やおよろじゅの神々に感謝ちまちゅ」


「八百万の神々?黒髪のゼナ嬢!」

 私は雛壇を駈け降りました。

⦅貴女も元日本人?⦆

 耳元に囁きました。

⦅思っちゃちょうり、レイナも日本人だっちゃのね!⦆

 ゼナも囁き返します。


「ゼナ嬢!お祝いの品受け取って!!」

 振り向いて「ウコン!これに」ウコンが小さな包みを持って来ます。

 掌に収まる宝石箱を受け取り、ゼナに渡しました。

「開けて見ちぇも良いれしゅか?」

「気にいってもらえたら良いけど」

 中央に宝石が着いた、薔薇バラのブローチを見て、周囲と特にローレル伯爵が驚いて「レ、レイネアリス様、よろしいので有りますか?」

「本日ただ今を持って、ローレル伯爵家ゼナ令嬢は、レシア公爵家所縁ゆかりの者とする!!」


 盛大な拍手が沸き起こり、会場の固まりごとに、ひそひそ話が始まりました。


 これ幸いと、私はゼナを独占、ひそひそ話始めました。

 ゼナも女神に会って無い、転生特典無しステイタスが出なかった時点で、知識チートで行こうと決意したそう。

 魔法諦めず、鑑定で魔力増やし、身体強化で更に魔力を増やし、風魔法を使え出した私の話に、目をキラキラさせて居ました。


 私に遠慮して、ゼナに祝が言えない下級貴族の為に、私は一旦退く事にしました。

「ゼナ!私達は友達だよ!!遊びに来るし、公爵家にも気楽に遊びに来てね!!」

「はい!レイナしゃん!あしょびに行きましゅ!!」


「レイネアリス様、娘ゼナに加分な祝い品を頂き、有難う御座います!!今後ともゼナを宜しくお願い致します!!」


 うん、ローレル伯爵家を宜しくじゃ無く、ゼナを宜しくって、本当この伯爵良い人だよ。


 何時までも、高位貴族が居ると、お披露目の邪魔です。

 と言った所で、私は帰路に着きました。


 その後、会場は大騒ぎになったそうです。

 そう言った経緯で、私をお披露目会に呼べば、公爵家と繋がりが持てるかも、淡い希望打算で、私個人に招待状が殺到してる訳です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る