第一章 公爵令嬢編

第2話 本が無ければ···有った

 私、生まれてどれくらい経ったの?

 手は動く、脚も蹴る位はできる、首も動く、って事は首が座るって…たしか3ヶ月だったはず、良く赤ちゃんの真似我慢出来たね!

 偉いよ私!もう我慢の限界!!自重は止め!!


 オッパイ飲んで寝る以外、する事がないなんて。

 凄~く暇だよ。

 味わいながら飲んでも「オッパイは、非常に薄口ミルクです」終わり。

 味の紹介でも、暇潰し出来ないよ。


(よし!まず会話と読み書き出来るよう、頑張るぞ!!)

「レイナ様、オシメ濡れて無いですか?」

「まら、らいりょーぶ」

「えっ?レイナ様?大丈夫っておっしゃった?」

「うん!」

「お…奥様ぁ~大変ですぅ~」


(目標クリアー、次は読み書き!)


 この世界の母様は流石に優雅、慌ててやって来たのに、とっても優雅です。

「レイナ?お話が出来たとミーネが言ってたけど、私にもしてくれるかしら?」

「かーしゃま、今日も綺麗れしゅね!」

「そう?綺麗?ありがとね!じゃ無いわよ!!本当にお話出来てる!!」


 流石に赤ちゃんに、自己紹介する乳母はいないので、ミーネって名前初めて知ったよ。


 呑気にしてる私をそっちのけで、回りは大騒ぎです。

「レシア公爵家の第一子、レイネアリスのお披露目早目ねば、ダンテバルトに相談し、国王に報告……」





 騒音が離れて行きます。

 私って、レイナは愛称でレイネアリスが正式名?

 長いね、それから父様が、ダンテバルト?覚えられるかしら?

 そうなると、母様の名前アンナが気になります。




「みーねしゃん、たいくちゅれしゅ絵本読んれくらしゃい!」

 どうせ異世界、本なんて、まして子供向け絵本が有るはず無いよね?


 と、思ってたら、綺麗な色つきの絵本を持ってきたよ!

「絵本有りゅんかい!」

「公爵家で御座いますよ!方々からレイナ様への、ご誕生の御祝い品でございます」

「おいわいれしゅか、絵本は高価れしゅか?」

「私が子供の頃は、凄く高価な物でしたが、最近印刷技術が進歩して大量印刷で、安価になりました」

「やしゅいのか…」


 私は公爵家令嬢、下剋上する必要無い王族に次ぐ国内最高の身分、本も印刷され安価とは、大好きなあのお話は使えない。




「取り合えじゅ、本読んで!文字を覚えりゅ!」

「はい!レイナ様!……」

 ミーネは一文字ずつ指差しながら、ゆっくり読んでくれました。


「あれぇ?『むかしむかし、ラフレシアと国名が決まって居なかった、遥むかし……』読めりゅよ」

「えぇ~~っ、レイナ様?ご本を、お読みになられました?」

「うん、読めた」

「お、奥様ぁ~~大変です!!」

 賑やかに騒いで、乳母のミーネが駆けてゆきました。

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