転生令嬢はスローライフを望まない

犬時保志

第1話 プロローグ

 私は父が村役場勤めの家庭の長女に生まれ、そこそこの高校に大学も父の指示で私立に行きました。


 時代が時代ですから経済学部に進学させてくれた両親には感謝してます。

 お父さんの思惑は役場の勤めに有利になるようはからいとわかっていますが経済学嫌い。

 団塊の世代が始めた学生運動はもっと後の話です。

 何も特筆する事無く平々凡々と4年が過ぎ、学業より家庭教師のバイトで授業料稼ぐのに忙しく過ごしました、稼がないと授業料払えず退学者結構居ました。

 卒業と同時に知識は大学に返してしまいました(笑)

 お父さんが行けって言ったので、本当は文学部に行きたかった、ま、バイトは楽しかったピアホールの女給なんてバイトじゃ無いと経験出来なかった、無駄じゃない4年でした。


『戦争を知らない子供達』

 凄く流行ったフォークソング、でも私には悲惨で生々しい戦争体験が在ります、だから唄う事は有りませんでした。

 戦後教育に乗り切れず取り残された私でした。


 平凡な主人とお見合い、親の勧めと一時の気の迷いで結婚し、子供も孫も普通の会社に就職社会人になり私は自由な年金老人。する事出来る事が思い付かないよ!

 お菓子作り?はまり掛けたけど、分量レシピ通りに計量って、それだけで一日掛かるよ、手抜きして失敗作食べるの苦痛!!直ぐに本読みたくなる。

 レーズン酵母のパン作り?

 68円の食パンで充分に美味しいし満足よ。


 手のかかる関白な夫が亡くなり、更にする事がなくなります。

 結局趣味と言えば読書くらい、今は異世界ファンタジーに癒されるだけです。


 最近5年程で、買い漁って読み更けた大量の本、3部屋に溢れる転生物の本です。

 ふと年齢を考え、終活の整理「本を売りに行こう!!」私にすれば珍しくも、思い立って即行動です。


 片付けの最中突然胸が苦しく…読書三昧不摂生…これは…心不全?…もうダメかな?…もし生まれ変わって小説みたいな……


 膨大な本に埋もれたお婆さんは、幸せそうに微笑んでいたそうです。




 ◎◎◎




 ラフレシア王国のレシア公爵家に、元気な女の子が誕生しました。



(よっし!!記憶を持ったまま転生だよ!!)

 元気に生まれた赤ちゃんは、産声も上げず天使の笑顔を周囲に振り撒いていました。


「レイナ!可愛いな!儂の娘!アンナでかした!良い娘を生んでくれた!!」


 大騒ぎしてる、髭もじゃ大男が父様かな?

 新生児は、目がよく見えて無いとか聞いたけど、普通に見えますね。

 お腹が減ったら、何も言わなくても、オッパイが飲め、グウスカ寝て暮らせるって、天国みたい······


 ダメよ!!人間楽や横着には直ぐに馴れる、その後まともになるのは非常に努力が必要よ!!


 グウタラしてたら、前世の記憶が抜けてしまいそう、3歳児位まで保育園とか行かず、外的刺激が少ない状態で言葉が話せ出したら、胎児出産の記憶を話してくれる、でも5歳位で忘れてしまうって。


 私は、記憶を決して手離さない!!

 折角の転生!早く動けるようになって、ラノベの膨大な記憶知識を活かせて下剋上!建国だってやってやる!!

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