164.天の采配
「すみません、これ貰ってくれませんか? 嫌いなブラックコーヒーが出てしまって」
男は両手に缶コーヒーを持ち、片方を俺に差し出してくる。
「なぜに?」何か変な物でも入れられているかもしれない。俺は怪しいなと思ってそう尋ねる。
「自動販売機のボタンを左右同時に押すと左側が優先される『シークエンス制御』が機能しているか試そうと思って。そしたら、両方出てしまったわけですよ。バグですかね? 隣も同じ飲み物だったんで、ちょうど通りかかったあなたに」
いや、もっと慎重に位置選べよ。ふつう、どっちが出てきたとしても嬉しいっていうか、自分が飲みたいものをチョイスするだろ。……という心の声を押し殺し、ありがとうございますと俺は言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます