163.猫舌彼氏

 暑いの飲めないんだぁ、といって運ばれてから五分以上経った紅茶に口をつけない彼が、なんだかカッコ悪いなと私は思った。代わりに、切り分けたデザートをパクパクと口に運んでいる。私も、それにならってフォークで切る。


「なんかこのレモンタルト酸っぱくない?」


「そう? 僕には甘く感じるけど」


「いや、酸味を感じないガチの猫舌になるのやめて」

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