124.代替不可能性

 新しいの買ってあげるから。

 あれじゃないとダメなの。


 こうやって駄々をこねる子どもの姿を見ると、失くした「あれ」と新しい物を本当に判別できるかどうか試したくなるのは私だけだろうか。


「お前の代わりなんていくらでもいるんだから、辞めたきゃ辞めろ」と言って圧をかける人の言い分からすると、きっと「あれ」にあたる玩具だって、おもちゃ会社で量産された物の一つに過ぎなくて、結局はどこにでも出回っている物の代わりなんだなって。よほどのプレミアがついたおもちゃじゃない限り。


 ということは、手に馴染む感覚──使い古され具合を子どもは求めている……?

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