123.散歩

  暗闇にようやく目が慣れてきた。田舎の夜は長い。最寄り駅が無人駅なこともあって、夜に通る電車がないのは当たり前で、それより手前の駅で降りる。そこからはバス。家から近い、と言っても徒歩15分はかかるバス停で降りて、そこから歩くのだ。その道のりはやけに長く感じる。


 手前にカップルとおぼしき男女が目に入る。こんな夜中にこの近くを歩いているのだから地元民かと思いきや……。


 地図アプリを開いて液晶の光を頼りに夜道を歩いている。ということは観光客だろうか。その姿が発光するサインを探して相手を見つけるホタルみたいだなと、ふいに思った。まぁ、見つけているのは目的地なわけだが。

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