125.栄光は遠く

「優勝候補と目されていたが……」という記事を読み始めて、僅かに息が苦しくなった。


 好きでやっていた頃は良かった。誰かの期待を背負って試合をすることの意味を知らなかったあの頃は。


 チームメイトの親、監督、外部から来たコーチ、校長。自分以上に勝ち負けにこだわり、目の色を変えて試合速報に飛び付く姿が怖かった。


 毎日、天気予報を確認した。雨が降ればいいのにと思いながら。練習試合もできればしたくなかった。雨が降っても、翌日には乾いている水はけのいいグラウンドが心底憎かった。

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