〈なるみ、照山寿詩（ひさし）好きじゃなかったっけ？〉

〈あーもう、好きじゃないや。ごめん。いや、前のドラマで演じてた役がクズすぎて。本人のせいじゃないんだけどさ〉

　誰かの好きな俳優ポジションにいたのも束の間。だけど、それはファンが淘汰されただけ。

　悪役としての演技が認められたってことだ。中身まで否定された訳じゃない。

　ということは、悪役としての演技が俺の魅力を一番引き出すことができるということだろうか？

　何せ、今まで俺は顔以外で褒められたことは無かった。演技に対する感想がネット上に多く寄せられたのは初めてのことだったのだ。

　エゴサーチをしながら、俺はそう考えた。

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