87.見送り
大学進学を機に一人暮らしを始めてから、誰かから「行ってらっしゃい」と言われることがなくなった。一緒に授業を受ける友達はいないから、「ちょっとトイレ行ってくるわ」と言うこともなく、それに対して行ってらっしゃいと言われることもなく。
勿論「おかえりなさい」も、両親の家に帰った時を除いて、言われなくなった。
「プリントを印刷してくるので、静かに待っててください」と先生が言ったとき、「もう二度と戻ってこなくていいですよ」とふざけて言って生徒指導室に連れていかれた友達は、いま元気にしているだろうか。あの時、先生に対して、「行ってらっしゃい」とその友達が言ってれば、どうなっていたのだろうかと、ふと考えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます