15.バス停にて
「自分が死ぬ前に連絡するとしたら、誰を選ぶ?」
バスを待っている時、季節外れの真っ黒なトレンチコートを着た男からそう尋ねられた。
「うーん、そうだなあ。それこそ、普段めったに連絡しない人にするかな。そこまで親しすぎない、適度な距離感がいいというか」
「でも、それって結局自己満じゃないか? 相手に気を遣わせないようにしたい。だけど、誰か一人でも、自分の死を知ってもらいたいって」
僕は首を傾げた。
「そうかな。今までね、僕は、上からプッチンプリンを落として誰が一番きれいかを競うぐらいの覚悟で、人生を生き抜いてきたんだ。要するに、ゆるい人生。だから、死ぬ時ぐらいは……」
「命拾いしたな。せいぜい残りの時間を楽しんでろ」
僕が言い終える前に、男はそう言って立ち去った。
そいつは多分、死神だったのかもしれない。
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