14.地の文の気持ち
「生まれたくて生まれた訳じゃねぇ、お前が勝手に生んだんだろ」
桃太郎はぼくに怒っていた。そう、地の文のぼくに。たしかに桃太郎が生まれたのは、ぼくのせいだ。だが、言い訳させてほしい。地の文であるぼくは、筆者の正当な意志の継承者であり、代弁者である。
だから、いくら勝手に「桃から生みやがって! ふつうの子どもにしてくれよ!」とか「もっとマシな名前はなかったのか!」なんてぼくに言われても、困る。
そうだ! これはどうだろう。川から流れてきたのはミカンにして、赤ちゃんが入らないサイズにすればいいんだ。
地の文の職権を使って、テンプレにはならないようにしよう。ぼくは、初めてそう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます