第4話 『兄の決断』

 そろそろ、本当にどうにかしないといけない。これ以上、実の妹と肉体関係を持ち続けるのは良くない。俺はそう心に決め、すでに隣からいなくなっていた花織と話をするためにベッドから腰を上げ、部屋を出た。


 リビングに近づくにつれて味噌汁のいい香りが鼻に届く。花織が朝食を作ってくれているのだろう。それに感謝しながらリビングにつながる扉を開けると───


「あ、お兄ちゃん。おはよう♪昨日は......その、激しかったね///」


「へ、変なこと言うな!───ってか、なんだその格好!」


「裸エプロンだよ?お兄ちゃん、好きでしょ?」


──自信満々の表情でそう語る花織。もしかしてあいつ、俺がエロサイトで『裸エプロン』のワードで検索を掛けているのを知ってるのか?!


「好きだけど......そうじゃなくて!花織に大事な話があるんだ」


「将来の話?」


「近しいけど、きっと花織の期待していることではない」


 料理をしてくれている手を止めさせるのは気が引けるので、俺は花織の横までいき、真面目に話そうとする。しかし、目の前には裸エプロンの彼女がいて、所々見えていてしまっている所為で中々きが引き締まらない。


「で?どうしたの?」


 一歩間違えれば花織の肌に手を伸ばしてしまいそうなので、早めに話を付けることにした。


「俺と花織は結婚できないんだ。それに子どももつくれない。だから昨日みたいなのはもう───」


「えい♪」


 俺の口に程よい温かさのソーセージが突っ込まれる。俺がそれをハフハフさせながら噛んでいると、いつもと変わらない調子で花織が話し始めた。


「確かに結婚もできないし、子どもを産むことも許されない。でもね、ずっと一緒に居ちゃいけないなんて法律は無いんだよ?だから、ずっと一緒に私と暮らして?結婚したくなったり、子どもが欲しくなったら海外に行こうよ♪きっと幸せになれるよ」


 俺は何も言い返すことが出来なかった。だって考えてしまったから。俺と花織が一緒に暮らす未来を、花織が俺以外の男と暮らしている未来を.......どちらの方が俺にとって幸せか、それは悩むまでもなかった。


「でも、母さんたちに知れたら......」


「子どもを置いてずっと海外で働いている親なんて気にしちゃだめだよ。私がお兄ちゃんをこんなにも好きになっちゃったのはあの人たちの所為でもあるんだから」


「で、でも......」


「お兄ちゃん。大事なのは周りからどう思われるかじゃない。お兄ちゃんがどうしたいかだよ。まぁ、その答えはこの前から出てるんだけどね」


「......っ!」


「お兄ちゃん全然嫌がらないし、今も──」


 そう言って、彼女が俺の聖剣に手を伸ばした。


「──する?」


「.......」


「もし、嫌ならそう言って。今後お兄ちゃんとそういうことはしないから」


 いつもと変わらない表情でそう聞いてくる花織に対して、俺は彼女を抱きしめることで返事をしたのだった。

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