第2話 『朝、後悔に包まれる』

 俺が勝ちを確信し、目を瞑っているとまたもや花織は唇をくっつけて来た。


───くそっ、考えたな!俺は今手が離せないから......。


 もう、キスくらいなら我慢するしかないのだろうか。キスと既成事実をつくってしまうことどちらの方がまずいかは考えるまでもないだろう。 

 しかし、俺のその考えは花織の次の行動で無意味と化す。


「ふふっ......」


 花織は俺の鼻をつまんで、緊張と我慢で硬く結ばれた俺の口を開けさせる。その一瞬の隙をついて俺の口の中に舌を入れてくる。


「ひょっろまれ!!」


 花織の舌を噛んでしまわないように叫びながら、彼女の肩を押して引きはがす。俺としては妹としてはいけないタイプのキスを避けられて良かったのだが......それが花織の作戦で、俺も自分の手が自由になっていることに危機感を覚えた。


 俺のパンツが下げなくても聖剣を出せるタイプのパンツで、既に花織がそうしていた。


「ちょ、ちょっと待て!!」

「大丈夫だよ、お兄ちゃん♪だって──」


 花織は何のためらいもなく自分の鞘に俺の聖剣を納めながら──


「──私、お兄ちゃんとするの初めてじゃないし」


──衝撃的な発言をしたのだった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 聞いたところ、以前俺が寝ている間に夜這いを仕掛けたらしくそこで俺と花織は一つになっていたらしい。しかも、一度だけではなく、複数回あるらしいがここで疑問なのは俺が起きなかったのはなぜか......答えは簡単。どこからか仕入れた睡眠薬で俺は眠らされていたらしい。そういえば、睡眠時間が長かった割には偉く疲労感のある日があったけど、その謎が解明した。

 

 そして、そのことが発覚してからは花織が出してくる飲み物は警戒するようにした。が、しかし両親が海外で仕事をしていて家を空けている今、ご飯を作ってくれているのは花織なので、料理に睡眠薬を混ぜられてしまってはどうすることもできない。ただ、それに関して問い詰めた時──


「せっかくお兄ちゃんの為に作ったご飯を食べてもらいたいから、その途中で眠らすわけないじゃん。勿体なし」


──と、割りと可愛げのある真面目なことを言われてしまい、思わず黙ってしまう。 

 いや、兄に睡眠薬盛って夜這いしてくる時点で真面目もくそもないけどさ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お兄ちゃん、嫌だって言ってた割に激しかったね?」

「う.......うるせぇ」


 結局あの後は......うん、はい。だって、花織は俺の妹とは思えないくらい可愛いんだぜ?そんな子の鞘に聖剣を納めてしまってはもう理性が飛んで行ってしまう。そして、終わった今、後悔が俺の脳内を埋め尽くしている。


「お兄ちゃん、またしようね♪」

「絶対にしない!!!」


 盛大なフラグを建てながらお風呂に向かった俺。シャワーを浴びている最中に当たり前みたいに入って来た花織と第二回戦が始まってしまったのはまた別の話。

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