始まりの日・3

 繭から現れたものは『炎の鳥』だった。鳥はしまっていた自身の翼をはばたかせる。すると今までの比にならないほどの熱風が襲ってきた。ギルアはとっさにクロエを守るが、今の一瞬ではかばいきれず、彼女の顔に熱波が届く。あれほど美しかった銀髪は一瞬にして焼け溶けている。かろうじて生きているが熱波が灰にまで届いているのか痛みに耐えながらもギルアに話しかけようとする。「おにい、ちゃん、熱いよ……痛いよ……苦しいよ……死にたく、ないよ」かすれた声で兄に助けを求める。ギルアは「うん。絶対に助ける。だから逃げよう」両親を失ってからずっとクロエを守ってきた。たった一人の家族を失うわけにはいかない。たとえ自分が死のうともクロエを助ける。そう心に誓い、走ろうとするが足に力が入らない。兄元を見ると自分の足が炭化していることに気づく。その瞬間、全身の痛みがギルアを襲う。今まで生存本能が掛けていた痛覚のストッパーが一気に押し寄せてくる。自分がもう動くことができないことを悟ると彼はクロエを包み込むように抱く。


 「神様、もし聞こえているならどうかクロエを救ってください。僕の命はどうなったてもいいです。しかし機会を与えてくださるのなら、このどうしようもない世界を変える力を」そう彼は願い、世界は光に包まれる。

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死なずの呪い持ち @CafFine

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