第6話 能力発動・花の香りは淫らへの道

 ナタリィの故郷へと辿り着いた。

 聖堂のすぐ裏のはずなのに時間がかかった。

 原因は、途中で何度かいちゃいちゃしたり自分が普段歩いていなかったからか息切れを起こしてそれをナタリィにキスしてもらい体力を分け与えてもらいながら来たからだ。

 あと、その体力移行の時に股をまさぐられて何度かエッチな雰囲気になるもののお預けしてナタリィを宥めるのに苦労したからでもある。



 到着したころには、昼はとうに越え、夕暮れ時が近くなっている。

 夜の山道を変えるのは危ないから、早めに力を試さねばならない。


「ナタリィの願い、聞かせていただけますか?」


 少し、神っぽく振る舞い雰囲気を出す。

 この方が、スキル発動しそうだ。

 何事も形から入るのが大事だろう。


「はい、神『アリア』様。わたくしの願いは、このディニューティ村の再生にございます。村人はおりませんが、せめて、私の記憶してる鮮やかな花の都を再生させることです」


 体の奥から力がフワッと湧いてくる。

 ナタリィの花園のイメージが脳裏、そして目を開いた瞬間に

 花が開花していく。

 雑草が気品のある花々に変わり、壊れた建造物は燃える前の姿に戻る。

 白いテーブルとイスを囲むようにバラと藤の花の垂れ下がるおしゃれな庭園が出来上がる。


 効果範囲はどんどん広がっているようだ。


 私は、正直立ってられなくなっていた。

 願いの方が強すぎる。かけていた年月が数十年ともなれば当たり前だが、

 初めて叶える願いが大きすぎるのか分からないが、

 どんどん両手の肉がこけていき、皮と骨が浮き彫りになっていく。

 だが、願いはまだ叶いきっていない。

 一度止めたい。せめて、少し休んでからエルフ村の再興を…


 ビービーと機械音が頭に響き渡る。

 <<願いを叶えるまで、力の放出は終わりません>>


 エルフ村が燃えたのは見ているが、村がどれだけの規模感だったのかは

 私は知らずに気楽に考えていた。


「これ、結構広い?」


 ドサッと倒れた。

 倒れた場所からも花は咲き続けて、根がどんどん広がっていく。

 意識が薄れるも、花の香りは強くなっていく。

 いつもナタリィの愛でている花の匂いが増えていく。

 とても落ち着く。

 そして、心が惑わされていく。

 生死を彷徨っているかもしれないのに、いやらしい気持ちになるなんて

 私の心はとても元気なんだろう……

 だが、体と能力が追い付いていないのが事実だ。


「こんなの、どうやって神として生きてけって言うのよ…」


 目の前に人影が見えた。

 ナタリィ……


(願いが叶いきるまでは、私はここで寝転がってようと能力は出続けるから…安心して、ナタリィ。私一人だけの願いが叶って、貴女の願いが叶わないなんてことないから…システム上の仕様そうなってるから…大丈夫だから……)





「~~~♪~~~~♬~~~~~~♪♬~~~」


 懐かしい。

 ナタリィが良く聖堂の花園で歌ってた歌だ。

 これはきっと、このエルフ村の歌。


 柔らかく温かい何かに包まれている。

 体は寒くもなければ、暗い夜空の星々が二房で見えない部分以外は

 とてもきれいに見える。


(膝枕…おっぱいで顔は見えないけど、ナタリィは余韻に浸ってるのかな…)


 小高い丘、周りに明かりの灯っている町並みはないため星がきれいだ。

 そして、なぜか乳首が勃っている二房がどうしても視界に入り

 清らかになろうとしていた心が乱される。


「アリア、おはよう」


 ちゅっとキスをおでこに落とすナタリィ。


「太もも…と、お腹と…」


 自分の体の方を見ると、ナタリィの服がかかっている。


「風邪ひいちゃうよ、私はもう大丈夫だから」


 自分にかけられている服を取ろうとすると、手をそっと重ね合わせられ止められる。


「アリアは休んでて。またしわしわのおばあちゃんになってるんだから」


「えっ…私…」


「だから、ほら、栄養補給してゆっくり寝てて」


 口元に一房の乳首が押し当てられる。

 視界が一気に暗くなる。

 鼻にもかかってしまい、息がし辛くなる。


「あっ、ごめんなさい、向き変えるわね」


 膝枕の方向がかわり、ナタリィのおっぱいの先端が再び口に挿入される。

 私の視界には、ナタリィの聖女の笑みとおっぱいしか見えない。

 星空も、綺麗な髪色も花々も見えない。


 ちゅっちゅっちゅ…


 吸い付くと、母乳が出てくる。

 口から離しナタリィの顔を見る。


「ねぇ、妊娠してる…の…?」


 普通は出ないだろう、出るわけないだろう。

 出るとしたら子供ができた時だ。

 それくらいはわかってる。

 無条件に出るなんてエロ作品の中でしか……


 えっ……まさか……


「何言ってるの?これだけ愛しい人に朝から焦らされ続けたら、出るに決まってるじゃない…」


 ちょっと頬を赤らめてるのが暗いのにわかる。

 この世界のそもそもがもう、そういうことなのか…

 ここは


 <<エロ作品の設定が生きている異世界>>


 でも、心配だった。普通に。

 数十年もここで生きているのに、心配になったのだ。

 私は未だに、前世と今世の切り分けが出来てないところがある。

 あのブラック企業に勤めていたあの頃を…


「そんな顔しなくても大丈夫よ。ほら、たくさんの栄養分があるから」


 でも、本当の母乳って、飲んだら栄養過多で成人はお腹を下して病院で悲しい通告をされるって……


「もう、アリア、飲んで。飲まないといつまで経ってもここから動けないわよ?」

「でも、本当に、飲んでいい…の?」

「いいのよ、アリアに元気になってもらいたい。

 貴女の直してくれたこの村の花園を守りながら聖女長として人々を導くと心に決めた。

 って思ってたのに、私の心を助けてくれた人が『力を使いすぎてしおしおのおばあちゃんになってしまいました』なんて…そんな悲しい話嫌よ。栄養があるから、きっと神様の御力に少しはなるはず。ね?飲んで」


 綺麗な瞳だった。

 自分も決めなければならない。

 神の条件がわかってない。この栄養摂取方法で合ってるのかも、お腹を下さないのかも、ナタリィの母乳をこんな形で味わっていいのかもっとかっこよく雰囲気がある状態で吸いたかったと思ったけど。


 それよりも、自分を心配してくれている人を治す方が先だ。

 だから、私は吸う。

 目の前の乳を。

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