第5話 神スキルが更新されました?

 ナタリィは深いため息をついた。


「夢…が、叶う…」


 上体を起こし、しばらくたわんわなおっぱいを腕でつぶしながら

 顎に手を添えて考えるナタリィ。

 股から零れ落ちてくる汁が徐々に減り、お腹にこぼれていたものは乾き始めた。


「『神と聖女長の不老不死のまぐわい』と『夢』どちらが私にとって優先順位が高いか…」

「え、そんな、私まだみんなに自分が神のジョブになったよって言わない限りそんな重大な事じゃなくてただの親友同士の行為だよ!?」

「でも、私にとってはすごくうれしい事だったの」

「……行為しても、規律違反にはならないもんね、仕える神とのエッチは」

「うん、しかもその相手が貴女ならなおさら…。あと、ムラムラがまだ止まらなくて私このままじゃサキュバスになってしまうかもしれないくらい貴女のこと食べ続けそうな感情が止まらなくて…」


 熱が戻ってきたのか、彼女の股が濡れ始め液体が滴り始めた。


「ちょ、ナタリィ…その感情の昂ぶりが夢をかなえるために必要な力だって言ったらそのエッチな感情ちょっと止められる?」


 このままでは何度も発情させては止めてを繰り返してしまう。

 本当かどうかはわからないけど、感情が夢を叶える為の必要魔力という設定にして、今回の行為は何とか回避したい。この川辺での行為を……

 私の願いは叶ったのだから、親友の願いを今度は叶えたい!


「え…そう、なの?」


 ナタリィがきょとんとして火照りが止まったようだ。

 目からは欲情の色が消え落ち着いた、普段のきれいな瞳に変わった。


「うん、そう、そうなの…いやぁ、こういう仕組みで世界って出来てるんだね。

『神へ感情・願いの強さ・思い続けた年月を伝えそれが認められれば、願いを成就、実行する』なんてねぇ~ははは」


 見苦しい言い訳だが、何とかナタリィがおさまればそれで…



 パチンッ!



 頭の中で何かがはじけた音、心臓で何かがドクンと動き、

 目の前には世界のステータス画面が一気に開かれる



 <世界の理 更新>

 <願いの成就方法を変更受領>

 <神への謁見・申告、感情値・願望値・年月により超越した願いの実行可能システム実装>



 更新されてしまったステータスは胸辺りに白い球となり、

 空高くへと上がり、打ち上げ花火のように散る。


 ナタリィは一瞬目を閉じ、体がビクンと体を震わせる。

 しばらくかたまったのち、動き始めた。


「ナ、ナタリィッ?!大丈夫?」


 両肩をつかみ揺らす。

 ナタリィがゆっくり目を開く。


「アリ…ア……大丈夫よ」

「よかったぁ…びっくりしたんだから」


 私はとっさに、ナタリィに抱き着く。

 頭をポンポンと撫でながらナタリィも抱きしめ返してくれる。

 温かい、優しい。良かった、何も異変がなくって…


「ねぇ、神に申告したら願いが叶うって…本当?」


「え、うん、た、たぶん」


 口から出たでまかせだが、さっきのシステム更新ってことは

 アプデされたこの状態ならナタリィの願いが叶うかもしれない。

 ナタリィの願いは年月は実に70年としっかりあるし、感情値とやらもきっとある。

 だから、叶えられるはず。


 もし、叶わなかったら私が神失格なのかもしれないけど…


 不安な雰囲気を察したのか、ナタリィは背中をさすって落ち着かせてくれる。

 安心する。私は、つい昨日まで老婆だったのに、子供みたいにあやされて…

 でも、これが私の核心なんだ…本当はすごく臆病で弱気で…

 なのに、下ネタばっかり考えてエロネタで何とか自分が強いガハハって強がって見せるだけの…小心者なんだ…


「大丈夫よ、アリア。あなたは神よ。少なくとも、信仰者はここに一人、私が居るわ」

「うん…」

「私の夢を一度叶えようとしてみてよ。もし失敗しても私は怒らないし、悲しまない。だって、それはそれで、地道に自分で努力するだけなんだから。これまでと変わらないわ」

「だけど……」

「だけどじゃないわ、神になってまだ一日も経ってない赤ちゃん神様なんだもの。

 できること、できないことあるんでしょう?

 前みたいに、何ができるのか一緒に探しましょう?

 人生は長くなったのよ、私みたいに、ね?」


 ナタリィの言葉が心にしみる。

 なんで、こんなにも優しいのだろう。

 元々、優しい子だった。とても、さっきまでエロ魔人みたいだったけど、でも

 そこには私を心配していた事も起因していた。


「私の親友が、ナタリィでよかった…」

「私もよ、大好きなアリア」


 顔を見合わせて笑いあう。


「試してみましょう、願いを叶える神の御業を」

「うん、やってみる。あの村に、いこっか」


 二人とも服を来て、歩き始める。

 目指すは山を越えた裏にある、ナタリィの故郷。

 雑草生い茂る、廃墟のエルフ村。



 村へ向かう山道の中、ナタリィに口づけを唐突にされる。


「アリア、忘れないで。

 エルフ村の花園復興の夢が叶っても敵わなくても、

『私あなたとシたい』の。

 神じゃなく親友の『アリア』を抱きたい、抱かれたい…

 愛してるわ、アリア」


 いい香りのかっこいい美人顔でそんなセリフ言われたら、

 私の両胸が張り裂けそうなくらい、痛いくらいに先端が勃ち

 腰に刺激が走って股が少し潤う感覚……


 性転換の能力もあるから、彼女を抱くことは……できる


 あぁ、私が見えてなかった一面なのかもしれない。

 もしかしたら、性欲お化けの親友エルフを持ってしまったかもしれない…

 ルンルンに歩くナタリィのたゆんたゆんな胸と太もも、そして、美しい髪を眺めながら想像してしまった。

 二人で聖堂の一番奥、普段立ち入ることのできない神聖な「神の間」にて淫らに濃厚に絡み合い愛し合うビジョンが明確に脳裏をよぎった。





(エルフ村再生させてから、朝までコース確定かな……)

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