第14話 無自覚な美男美女達

【それにしても西園寺さん、用事は大丈夫なの?】

【え?】

【だって今日は用事があってここに来たんでしょ?】

【そうですけど…大丈夫です!】

一瞬目のハイライトが消えた気がしたが、すぐさま可愛い笑顔に戻す。

(一瞬地雷を踏んだかと思った…これ以上の言及はやめたほうがよさそうだな)


そんなことは知ったこっちゃないと日南は司に話し掛ける。

「それじゃ、あそこの大きなデパートに行きましょう!!」

抹白との密談を終えた日南は元気よく、ここからすぐ近くの大型デパートに指を指す。


【すみません、日南さんの言ってることを翻訳していただけますか?】

抹白にお願いをされた司には断るという選択肢は最初からなく、もとからそうするつもりだった。


【もちろんだよ西園寺さん、さっきはあそこのデパートに行こうって日南は言ってた。】

【そうなんですね!私、お恥ずかしながら、こういったショッピングをするのは初めてなんですよ!楽しみです!】


子供のような笑顔を浮かべる抹白を見ながらそうだったよな、と司は思う。

抹白は西園寺財閥の令嬢で、買い物に行くといった経験がないんだろう。もしかしたら、あまり友達とこういった経験すらないのかもしれない。そう思うと少し胸が締め付けれれるようだ。

(日南にはすこし悪いけど西園寺さんにも楽しんでもらえるようにしなきゃな。)


司が抹白の事について考えていると、またしても蚊帳の外になっていた日南は不満の声を上げる。

「司先輩?浮気しないでくださいよ?」

「何言ってるんだよ日南ちゃん、俺ら付き合ってないだろ?」

「女の子とデートしてるときは彼氏彼女なんですよ、先輩知りませんでした?」

何を言ってるのか全く分からない。

しかしそんな表情を司は顔に出すことができなかった。

日南の目からハイライトが消えていたからだ。


(怖い怖い、え?日南ちゃんってこんな子だっけ?僕が知ってる日南ちゃんと違いませんか?)


このままでは埒が明かないし、ここらで次に進まなければ日南が何をするかわかったもんじゃないと思った司は、デパートに行こうと提案する。


「ここで話すのもあれだしさ、デパートに早く行こう?」

「そうですね!先輩との買い物楽しみです!」

【私も早くショッピングというものをしてみたいです!】


こうして司と日南と抹白の美男美女たちは、都心の真ん中を歩きだす。

日南も美少女だが、抹白はもの凄い銀髪の美少女でスタイルもばっちりだからか、否応に周囲の目線をかっさらっていく。さらに今日の司はばっちりと髪も決めており、いつもの陰キャな感じとは違い清潔感あふれるイケメンとなっていた。


「あの人たちすごくない!?モデルか何かかな!?」

「あの銀髪の女の子すっごい美人だぜ!」

「俺は金髪の子が好きだな」

「あの男の人かっこよすぎるんですけど!」


周囲の反応は皆それぞれ違うが、一貫してあの三人は美男美女だという意見だった。


(なんか視線すごいなぁ…そりゃぁこんな美少女二人に囲まれてるとそうなるよなぁ、それに二人の私服めちゃくちゃ可愛いし)

(今日の先輩なんかかっこよくないですか!?中学の時の先輩とはくらべものにならないレベルなんですけど!?かっこよすぎて「かっこいいですね!」って言えなかったよぉ…)

(やはり都会は凄いですね…それにしても今日の司くんかっこよすぎなんですけど、学校でもなぜ身だしなみを整えないのでしょうか?その方がモテるでしょうに…いいえ、よくありませんね。他の方に取られてしまいます!)


しかし肝心の本人たちは自分のせいで目線を集めているわけではない、周りがすごいんだと思ってしまっている無自覚っぷりを見せている。



デパートに着くと、流石は都心の大型デパートだと思わせる大きさだった。

「すごくおっきいな、俺あんまりこういうところ来た事ないから知らなかったわ」

「そうですね…私も実はあまり来たことがなくて…」

【すっごく大きいですね司くん!わくわくします!】

「…ん?待てよ…」

「どうしたんですか先輩?」

【どうしたの司くん?】


衝撃の事実に司は気づいてしまった。

その事実はあまりに恐ろしく、司の冷静さを失わせるのに十分な事実だった。

(今、日南ちゃんはあんまり来たことがないって言ったよな?西園寺さんは当然初めてだし、俺も初めてだ。ってことは……誰がリードするんだ???さすがに言い出しっぺだから日南ちゃんは分かってるんだよな?)


ここのデパートはあまりにもでかすぎる。

それに今日は買い物をするとしか言われておらず、司は超が付くほどの方向音痴なため、司は焦っていた。


「改めて聞くんだが日南ちゃん、今日は何をするんだ?」

「そ、それはですね……そ、そうです!映画を観ましょう!」

「買い物に来たんだよな?」

「…あ」


日南はしまったと口を大きくあける。

(やっぱりだ、日南ちゃんは昔から無計画なところがあったからな…いや、これはそれ以前の問題な気がするがな?けど可愛いからいいや)


司はイレギュラーなことが起こりすぎたし、慣れない人込みにいたということもあり、思考を放棄した。


【今から何するんですか!】

思考を放棄した司の隣では、子供のように目をキラキラさせている銀髪の美少女がいた。


サファイアのような碧眼を見た司は、すぐさま考える巡らせる

(逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ―――)

某ロボットパイロットの言葉のように、現実から逃げようとしていた自分を戒めると、二人に今日のプランを提案する。


「とりあえず今から映画をみて、そのあとに少し遅い昼食をとって、軽く雑貨とかを見ることにしよう!」

「分かりましたー!」

【楽しみです!】


司の必死の思考の甲斐もあり、二人は笑顔で司の提案を受け入れたのだった。





なんかテンポ遅いですよね、すみません!

書いてるうちに色々な事が出てきて、ついつい話がズレてしまいます(笑)


少しでも面白い、続きが気になると思った方は、フォローと☆や♡の程をよろしくお願いします<m(__)m>

今後の活動のモチベーションに繋がります!


それではまた次話で!

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