第12話 妹と後輩の突然の訪問
銀髪美少女の西園寺抹白がやってきて早数日が経った。
その数日間司は抹白がクラスに馴染めるように慣れない通訳をクラスメイト達と行っていた。その甲斐あってか、抹白はクラスに馴染むことができた様子だった。
(あー疲れたぁぁぁぁ!陰キャに通訳なんてきついって!!なんか水菜が妙に余所余所しい気がしたけど…あ、それはもとからか!)
司は自宅のマンションで一人、Yog〇boでくつろぎながらここ数日の忙しさから解放されたことによる反動で堕落しきってた。
(それにしてもこのクッションはダメだな、人としてだめになる。けど妹からの贈り物だし許されるよな…許されるよな???)
――ピーンポーン。
(こんな昼時からいったい誰だよ…俺はグーたらしてたいんだが???)
今は土曜午後11時。
司はYog〇boから起き上り、玄関に向かう。
「はーい、今開けまーす。」
玄関を開けると見覚えのある中学生くらいの美少女二人がいた。
「お兄きたよー!」
「こんにちはー司先輩!」
司のことをお兄と呼ぶ笑顔が似合う天使のような黒髪ショートの美少女の名前は
(今日も世界一可愛いな。やっぱり唯はこの地に舞い降りた天使だ。)
唯の横に立つ金髪の美少女の名前は
「どうしたんだ二人とも急にきて。」
「そんな事よりもお兄?女の子二人を先に部屋にも入れないわけ?」
唯に催促され、司は己の失態に気づいた。
(しまった、唯にこんなことを言わせてしまうなんて、これじゃ唯のお兄失格だ…唯に嫌いなんて言葉を掛けられたら今度こそ俺はダメになってしまう…考えるだけでも恐ろしい…)
司はシスコンだった。それも超が付くほどの。普段は唯に司がシスコンじゃないという風に立ち回っているが、唯には余裕でバレていることを司は知らない。
「あ、ごめんごめん。それじゃ中に入って待ってて、飲み物持ってくるから。」
「「はーい」」
そう唯と日南は返事を司に返し、唯と日南は家に入っていく。
「唯はリンゴジュースで日南ちゃんはオレンジジュースでいいかー?」
キッチンから司が声を掛けると二人とも元気よく返事をしたので水玉模様のトレイに二人のコップをのせ、二人がいるテーブルに運ぶ。
飲み物を口に含み一息ついた様子を見て、司は気になっていたことを二人に尋ねた。
「今日はなんで来たんだ?それも連絡もなしで。いつもは連絡をしてからくるだろ?」
そう、この二人が司の住むマンションに来るのは初めてではない。そもそもなんで司が家族と離れて住んでいるのかというと、学校との距離が実家からでは遠かったためだ。また、司は片づけができない。料理はそこそこできるのだが、片づけに関しては壊滅的だった。だから二人してたまに司の様子を見に来ることがあった。しかし連絡もなしに急に司のマンションに来るのは初めてだ。
司が尋ねると唯が横目で日南の方をちらりと見た。それに気づいた様子の日南はなぜか顔を赤くして俯いた。
(?どうして日南の顔が赤いんだ?そんなに室温は高くないと思うんだけどな…)
「それはねお兄!日南がお兄にどうしても会いたいって私に言ってきたからだよ!」
「ちょちょ、待ってよ唯ちゃん!それは言わないでって言ったじゃん!」
にっしっしーと腕を組みしてやったりという顔になっている唯。
(やっぱりうちの唯は可愛いな、世界一可愛い妹だ。うん。どうして唯はあんなに可愛いのに俺はこんな顔なんだ…。それにしても今さっき唯は日南が俺に会いたくてここにやってきたって言ったよな?どうしてだ?)
「か、勘違いしないでくださいよ先輩!これは勝手に唯ちゃんがいってるだけですから!!」
「勘違いなんかしないって、唯もそんなこといっちゃだめだぞ?」
「—っ!!」
「はーい」
司が優しく唯に注意をするとまたしても日南は顔を俯けてしまった。
しかし呑気なことを考えている司はそのことに気づかなかった。
(やっぱり唯は可愛いな…反省している顔も可愛い!
「で、本当はなんでここにやってきたんだ?」
「それはね…日南に言ってもらおうかな?」
「せ、先輩!私と買い物に行ってもらえませんか!」
「へ?」
急な日南の提案に間抜けな声を出した司。
「言っておくけどお兄に拒否権はないからね。」
唯の有無を言わさぬ発言に司は断ろうとしていた言葉をぐっと喉元で堪えた。
「日南ちゃんが本当にいいならいいけど…何をするかだけ教えてもらえないかな?」
「それは…行ってからのお楽しみです!」
「わかった…聞いておくけどもちろん唯も――」
「あ、お兄。私は行かないからよろしくねー」
「え?まじ?俺陰キャだしそんなことできないんだけど?」
「何お兄?まさか断るつもり?」
「ははは、まさか。俺が唯のお願いを聞かないわけないだろ。」
「お兄気持ち悪い、シスコン。」
あ、やべ。おれしんじゃうかも。
唯に気持ち悪いって言われた。もう無理。立ち直れない。
「というわけでお兄、明日よろしくね~」
「え?あしたですかおひめさま?」
「お兄キモイ。」
「そういうわけなので、司先輩お願いしますねー。あ、詳細も話したいのでlineも登録していいですか?」
「……。それはいいけど…」
虚無ってる司は何も思うことはなく淡々と日南と連絡先を交換した。
司のlineに初めて妹以外の異性の連絡先が繋がったのだが、今の司にそんなことを考える頭のリソースはなかった。
(唯にキモイって言われた。もう無理死んじゃう。ははははははは)
「それではお邪魔しました。」
「ばいばいお兄ー」
「ばいばい二人とも」
「やったよ唯ちゃん!交換できた!さすが司先輩の事を知り尽くしている唯ちゃん!」
「お兄の扱い方ならだれにも負けない自信があるよ!」
帰っていく途中に二人の話し合う様子をみた司だったが、虚無ってる司は気にした様子はなかった。
これから日南の爆撃lineが司を襲ったのはまた別のお話…
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