第6話 ヒーローは家に帰る
〈冬月司side—〉
司は雨の中傘も差さずに薄暗い路地を走っていた。
正確に言うとさっきまで差していたのだが、ある少女にあげてしまった。
(見ちゃった~~~~!!!)
先程までのかっこいい『ヒーロー』のような司はもういなくなっていた。
最後までかっこいい姿でいたかったけどあんなもの見せられちゃったら、平静じゃいられないよ…
司は見てしまったのだった。銀髪の美少女の服の下に隠しておかないといけないものを。
(あんなかわいい子でもあんな黒のやつ着けているんだな…ちょっといいなと思ってしまった自分が悔しい!)
一人で路地を駆けながら悶絶するその様はだれがどうみても陰キャのそれであった。先ほどまで金髪のチャラ男を圧倒している司はもういない。しかしそれは仕方がないだろう。だってまるであの銀髪の美少女は大きくなった約束の女の子にそっくりだった。
あの泣きそうな顔。きれいな銀の髪。人形のように整った顔、まるでサファイアのように輝く碧眼。思い返せば思い返すほどあの時の子に少女はそっくりだった。
(元気にしてるかな…どこかで泣いていないといいけれど…)
そんなこんなで路地を縦横無尽に駆け回っていた司は家にたどり着いていた。
方向音痴な司は狙って家に帰れたはずもなく、奇跡的に自分の家にたどりついたのであった。
(なんとかついたな…あんまりパッとしないマンションだけど今日はなんだか懐かしく感じるや…)
オートロックのドアをくぐり、エレベーターで上の階に上がっていく。
途中であった近所のおばあさんにも忘れずに笑顔であいさつを返していく。
今時の人はあまりそういうことをしないと聞くが司はそういった挨拶などを欠かしたことはなかった。
「なにがあったの!?」と子連れのお母さんに途中話しかけられたが、律儀に「傘を家に忘れてしまいまして…」と返す。
その姿はまさしく優等生のそれであった。
色々なひとに話しかけられながら部屋にたどり着いた司は「ただいまー」と声を掛ける。
(ま、俺一人暮らしだから返してくれる人なんていないんだけどね!)
シャワールームに入り、雨で冷えた体を温めて今日買った本を確認する。
(あっちゃー、やっぱりビチョビチョになっちゃてるね。これじゃもう読めないかな…けど綺麗な女の子助けられたからいっか!)
そんな呑気なことを考える司は、あらかじめ買っていたコンビニの弁当を温めて食べる。
(人の手料理が恋しいぜ!ま、そんなもの作ってくれる人はいないんですけどね!)
弁当を食べ終わった司は、自分の部屋に散らかったいる本や参考書を少しだけ片づけ、勉強机に座る。
ちいさな頃からしているロシア語の勉強だ。
小さなときにある少女からもらった本を最近やっと自力で読めるようになってきたのだ。Go〇gle翻訳を使えばいいって?そんなもの使ってたらあの子に申し訳ないんだよ!別に、機械が使えなくて翻訳ができないわけじゃないんだからね!
そんなこんなで今日も参考書を使って勉強をきっかり一時間した司は歯を磨きに洗面台に向かう。
歯ブラシを右手にとり、鏡で自分の顔見てみる。
鏡が映し出すのはボサボサの前髪に隠れている色白な不健康そう顔だった。
(やっぱり自分の顔は好きじゃないな…こんな顔じゃなかったらきっとあいつと今も仲良く居れたんだろうけどな…)
歯を磨き終えた司はベッドに戻り寝る準備を始める。
明日の準備もしっかりとしてぐちゃぐちゃになっている掛け布団を綺麗にしてベットに寝っ転がる
(明日も学校に行かなきゃならないのか…行きたくねぇな…)
もうすぐある林間学校の事などを考えながら司の意識は深い水の中に沈んでいった……
■
味気ない話になってしまって申し訳ないです<m(__)m>
次話でやっとタイトル回収ができそうなので楽しみにしていてください!
幼馴染と銀髪ヒロインとのやり取りも見逃せません!
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それではまた次話で!
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