第5話 黒魔女さんと幼じみ
放課後...
清光は帰る。そそくさと。理由は人には言えないこと。だから、隠れるように帰る。好きなあの子にもね。女の子向けアニメが好きだなんて、そんなの言えないからね。つまり、清光は家で日曜に録画しておいた女の子向けアニメを視聴するのが日課だということ。ちなみに撮り溜めである。
誰にもバレずに帰った。
■
『ん〜...中学の時からも、放課後はいつもすぐに帰るよねー』
『ああ、そうだよな。部活にも入らず何してんだか』
幼じみと親友は彼について話す。彼らは知らなかったようだ。
『もしかしたら、好きな子できたかもな〜』
白悠はニヤッとする。
真理恵は赤らめる。
『ちょ、そんな訳...ないよね?』
『...冗談だよ、真理恵ちゃんのその顔が見たかったからな』
『もう...白悠!』
白悠を叩く。
『痛っ!何するんだよ!』
『あんたが変なこと、言うからでしょ』
正直、この二人が付き合えよと思うぐらいの夫婦漫才が続いた。
『っていうか、まだ清光に気持ち、伝えてないのかよ』
『だって、怖いもん...今の関係が崩れるかもって』
『...そんな訳ないだろ、あいつがそういうこと、するやつに見えるか?』
『見えないけど...』
『まあ、万が一それが無理だったら、代わりに俺が』
『ごめん、それは無理』
世界一早いフラレ話。
『即答するなよ、ちょっと傷ついた』
『どうしても、白悠は眼中にないな〜友達としてはともかくとして』
『さらに傷を抉るのな〜』
そんな何らたわいもない恋バナを聞いていた人が1人。
(今はまだ真理恵が俺に振り向いてくれないとは...でも、正直迷ってんだよ。俺の好きな子の恋路を手伝うか、はたまた清光の恋路を手伝うか。俺はずっと真理恵のことが好きなのに、な〜)
『へえ〜白悠くんは、真理恵ちゃんが好きなのか...しかも、真理恵ちゃんは清光のことが...清光、モテモテだな〜』
黒い制服が少し濡れた気がする。
『でも、真理恵ちゃん、ごめんね、私は清光くんの恋を手伝いたいから...』
そう言うと、ミルは杖を取り出し、二人のいる教室の扉、窓を全て閉めた。
『前に本を読んだときに知ったの!吊り橋効果!完全密室で男女二人...きっと、くっつくはず!本当は清光と瑠璃ちゃんでやりたかったけど、清光はすぐ帰っちゃうし、瑠璃ちゃんはどこにも見当たらないのよね...ああ、大丈夫!これは数時間で解けるから、それまでの辛抱ね❤︎』
さて、二人はこの完全密室で一体どうなるのか?
➖➖➖黒魔女さんは悪い子➖➖➖
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