第111話 打ち合わせ
セバス様が到着し、早速打ち合わせとなった。初めにセバス様が挨拶する。
「初めましてでよろしいですかな?私はセバスと申します。本日は領主の代行でお邪魔させていただきました」
元スラム組からは代表してテレジアが挨拶を返す。
「初めまして。私がこの中で代表を務めさせていただくテレジアです。本日はよろしくお願いします」
「では初めに領主側が魔術師ギルドを創設するにあたり、義務と課す内容ですが第一に街の防衛に参加すること。第二に街の住民への魔法の教授。第三に魔物に対する戦力の提供。今のところはこの3つを希望します」
「第一の街の防衛に関しましては、現在建設中の砦に内部から魔法を行使できるよう何らかの工夫を凝らしていただければお受けいたします。しかし、現在メンバーは9名と少数のため防衛にあたるまでの猶予期間を頂きたく思います。第二の住民への魔法の教授ですか、これはギルドに加入することの決定している者に限らせていただきます。また、最初に魔力を活性化させる施術があるのですがこれはギルド内部でギルド員二名以上が立ち会った場合のみ施術を行うことを住民への通達をお願いしたいです。もう一点、魔法の訓練はギルドの敷地内もしくはギルド員立ち合いの下でのみ行うこととし、それ以外での魔力枯渇による事故、事件はギルドに責任が及ばないようにしていただきたいです。第三の戦力の提供に関しましては、必要な時に個人の意思を尊重していただけるのであればお受けいたします」
「砦の何らかの工夫とおっしゃいましたがどのようなものをお考えですか?」
「私たちから出た案ですと、壁を築くだけではなく足場も作っていただき上から魔法を打ち落とす形にすること。もう一つは壁に小さな穴を空けそこからまっすぐに魔法を打ち込む案の2つです」
「なるほど。これは建築を担当している方と相談してみます。それ以外にも内部から一方的に攻撃できる手段があれば防衛に参加していただけるという判断でよろしいでしょうか?」
「はい。構いません」
「わかりました。では第二、第三の内容ですがこれに関してはそちらの要求通りにします。そのほかにそちらからの提案などはございますか?」
「はい。魔力を込めた魔石の販売を許可してほしいです。魔石は魔力を込めることによりその属性に応じた何らかの能力が備わることが確認されています。それを販売することでギルドの資金源としたいのです」
その話を聞いたセバス様はレイのことをじっと見つめていた。レイは顔をそらす。
「はぁ。その魔力を込めた魔石にはどんな効果があるのでしょうか。例えで構いませんので使用例なども教えていただけますか?」
「例えば火の魔力を込めた魔石だと魔石内の魔力が切れるまで火を灯し続けることができます。水ですと衝撃を与えることで飲料可能な水がわき出します」
それを聞いてセバス様のきれいに伸びた背中がさらに伸びた気がした。
「分かりました。必ず販売の許可を取り付けます。それで、何か必要なものなどはございますか?」
「あります。魔力を込めた魔石と込めていない魔石、また魔力の残量などは鑑定でなければわからないのです。ですので、第三者の目線からそのことを鑑定できること。そしてそれを証明するものを何か発行していただきたいのです」
「分かりました。それは必要でしょう。これは持ち帰り検討させていただきます。少し情報量が多いため今日の打ち合わせは以上で終わらせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「はい。構いません」
その返事を聞き、セバス様は帰っていった。
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