第109話 決心

セバス様が帰った後、すぐにカルア達が帰ってきた。カルア達はたくさんのポーションの素材を取ってきてくれた。これで数日は持ちそうだ。夕食を食べた後、みんなで話しをする時間を設けた。話の内容は魔術師ギルドだ。まずはレイから説明を始める。


「今日、傭兵ギルドのギルドマスターとセバス様が訪問された。話の内容は魔術師ギルドを作成しないかという提案だ。ギルドというのは街から支援を受ける代わりに街に対して何らかの義務を受ける組織という立ち位置らしい。今回魔術師ギルドを立ち上げると、街の防衛、拡大のための戦力の提供が義務づけられるだろうとのことだ。もうひとつ魔法知識の提供も義務の一覧には入っていたがこれは魔力欠乏の危険性が高いことから拒否できると考えている。それで本題だけど魔術師ギルドを作りたいって人はいるかな?」


ちらっとカルアのことを見てみると、完全に我関せずという構えを取っていた。ギルドマスターが言っていた通りどうやら僕のそばを離れる気はないようだ。他のみんなは俯いて考えていた。その様子を見てレイは話す


「みんな一人で悩む必要はないよ。誰かを誘ってギルドを作ってもいい。最初は人も少なくて大変だろうからね」


すると孤児院組と元スラム組とで別れて話し始めた。ただカルアを除いて。


30分ほどたちそろそろ今日はお開きにしようかとした時にテレジアから声がかかる。


「レイ様。決めました。私たちスラムのメンバー9人で魔術師ギルドを立ち上げます。レイ様に助けていただいた恩を返せているとは思いませんが、レイ様のように誰かを助けるための力になろうと思います」


「うん。テレジア達の意見を尊重するよ。詳細については今後セバス様を交えて話すことにして今日はゆっくりしよう。トリスさん申し訳ないけれどセバス様への報告と話をする機会を設けてもらえるようにしてくれるかな?」


トリスさんは承諾し領主館に向かっていった。


「カルア、急にメンバーが減って感覚が大きく変わると思うけれど明日、南に行って増幅茸を集めてくれるかい。もちろんみんなの安全が第一だからね」


「承知しました」


ここで解散としたがみんな残って話を始めていた。今後のことや別れを惜しんでの話だろう。レイは明日のポーションの仕込みという仕事が残っているため部屋を退室する。するとカルアが着いてきた。


ポーションの仕込みをしているとカルアが話しかけてきた。

「あれでよかったのですか?」


「元スラムのみんなは自分達を魔術師にするために見受けされただろう。彼女たちはそれを気にしているのと僕とのことで板挟みになりながらもギルドを作ることで自分たちのような人間をこれ以上増やさないようにしたいと思ったと僕は思うんだ。それを僕は尊重してあげたいよ。カルアも何かしたいことがあったらやっていいんだよ」


「私はレイ様に命を救われました。ですので、この命はレイ様と共にあることを望みます」

カルアはちょっと重いなと思ってしまうレイであった。


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