第108話 ギルドについて

仮眠を取った後目が覚めるとセバス様が訪問していた。

「おはようございます。レイ様。お邪魔しております」


「おはようございます。セバス様。今日はどのようなご用事でここに?」

レイはセバス様が来るような用事が思い浮かばなかったので単刀直入に聞いてみることにした。


「実は、傭兵ギルドのギルドマスターより魔術師ギルドなるものを作ってみたらどうだと打診がありまして。詳細を聞いてみるとレイ様が魔術師を育成したというではありませんか。そこで一応ギルドについての説明をしようと訪問させていただきました」


レイとしては知っていて損はしない知識であったためお願いすることにした。


「では説明させていただきます。ギルドとは簡単にいえば街と街を結ぶ行動を支援する組織となっております。現在は傭兵ギルドのみが認められていますのでそのような形になっておりますが、実際のところは領主が認めた組織を街からの資金で運営するための形式です。魔術師ギルドができた場合には、街の防衛、魔法知識の提供、街拡大のため戦力の提供などが義務として与えられる代わりにそれを行うための資金が街から提供される形になると思います」


「提供される資金というのはどの程度なのでしょうか?」


「比べる基準が傭兵ギルドしかないため、規模の違いから参考にはならないと思いますが現在傭兵ギルドが受けている支援は、ギルド員への最低限の賃金の提供、武器各種の提供、治療の提供、そして退職後の安価での土地の貸与が条件となっております」


「必ずしも資金でなくてもよいのですね。ではギルド員の構成などに領主がなにか言ってくることはあるのですか?」


「それは原則ございません。ギルドのメンバーの加入または離脱に関してはギルドマスターおよびギルドの管理を行うもの以外が口を出せることではありません。傭兵ギルドでは戦えるものであればだれでも加入することができるようになっていますが必ずしもそうする必要はありません」


「最後にギルドを創設すると義務が与えられるとおっしゃっていましたが、それにより何かを強制されることはありますか?」


「それはどちらとも言えません。実際にあったことといえば北の街を作るための戦力の提供を傭兵ギルドへ依頼した程度ではありますが傭兵ギルドはそれを拒否しませんでしたので。ですので、要請はいたしますがそれを拒否した場合はもしかするとギルドの解散という形になるかもしれません」


「ある程度は分かりました。魔術師部隊のメンバーの中でギルドを創設したいというメンバーがいればまた詳しくお話を伺うかもしれません」


「やはりレイ様はギルドマスターとなるつもりはございませんか?」


「ありません。おそらく今後もポーション作りで手一杯でしょう。現在ポーションを作れる者を育成中ではありますがそちらはなかなか進んでいません」


「分かりました。今は質問もないようなので私はこれで失礼いたします。ギルドを作るとなった際は護衛のトリスに言伝を頼めば私に通じるようにしておきます」

そういってセバス様は帰っていった。

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