第106話 魔術師部隊
◇カルア視点
カルアは受付嬢に連れられギルドマスターの部屋へと向かう。受付嬢がドアをノックし要件を告げると中に通された。カルアは一人で中に入るとギルドマスターから声がかかる。
「君は確か昨日レイと一緒にいたな。休めというのにまたあいつは無茶をしたのか」
ギルドマスターはあきれたようにつぶやいたがそれをカルアが否定する。
「私は確かにレイ様の関係者ではありますが今回のオーク討伐にレイ様は関わっておりません。許可は頂きましたがすべて私の独断です」
「というと君は一体何者になるのかな?」
「私はレイ様の作られた魔術師部隊のリーダーのカルアと申します」
ギルドマスターは驚いていた。確かにレイは魔術師部隊でも作ろうかとなんてことを言ってはいたが本当に作っているとは思わなかったのだ。ギルドマスターは確認のために質問を続ける。
「それで一体何人でオークを討伐したんだい?」
「魔術師部隊13名、レイ様の従魔1体、傭兵6名、兵士1名の計21名です」
ギルドマスターはまたもや驚いた。それだけの人数を使ってオーク一体しか討伐していないことよりも魔術師が13名もいることにだ。それだけの魔術師を育成する方法を聞き出したいところではあるがまずはオークの討伐を聞くことを優先する。
「人数については分かった。次はどのようにしてオークを討伐したかだが聞いてもいいかい?」
「問題ありません。傭兵6名が弓によってオークをおびき出し、近づいたところを魔術師10名でオークの顔を攻撃しました。使った魔法は一番低威力の攻撃魔法でしたがオークの顔面は吹き飛びました。ですので、魔術師の人数は10名未満でも問題ないかと思います」
「初めての討伐であったのだろう?なぜ魔術師13名で攻撃しなかったんだい?」
「残りの3名は攻撃に向いていない属性です。本人がいないため属性は伏せさせていただきます」
「では、最後にその魔術師部隊のメンバーを分割し他のパーティーに参加してもらうことはできるかい?」
「私個人の意見で言わせてもらえばそれはできません。レイ様は本来このメンバーでもご自身でリーダーを務める気でいました。それは人の命を背負う責任をだれにも任せたくなかったためだとレイ様の護衛をしている者から聞いています。それを私に任せていただいたのです。ですので、私の一存でメンバーを分割することはありえません」
「先ほど最後といったがもう一つ答えてもらいたい。君たちのメンバーで一日に何体のオークを討伐できる?」
「私たちの意見を尊重していただけるのであれば3体程度に抑えたいと思います。理由は、私たちの目的は討伐ではなくポーションの材料の採取だからです。そこに時間を割くとどうしても討伐数は下がります。それと安全面で少し問題があるため体力と魔力の回復に時間を取られる可能性も含めてです」
「分かった。だが牧場が壊滅した今、肉の確保は重要だ。オークの死体は持ち帰るようにしてもらいたい。輜重部隊が動けなくなったため荷車が余っている。それを貸与するので討伐したオークを持ち帰ってもらえないか?」
「それは構いませんが、危険と判断したときにはその荷車を放置しても構いませんか?」
「それはもちろん構わない」
こうしてギルドマスターとの対談は終わった。
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