第105話 釣り狩り

傭兵ギルドから戻ったレイ達は家に帰り着く。レイは休息、カルアは今後のことをみんなと話し合っていた。


◇カルア視点


「とりあえず、オークとの集団戦は避けて一体ずつ仕留めて街に持ち帰るってことでいいわね?」

その言葉に魔術師部隊のみんなは頷く。


「2,3体の群れを作るってことだったけどその場合はどうする?」

その言葉には傭兵の一人が解決策を出した。

「それは俺たちが弓で射って一体だけおびき寄せる。そしたら魔法を集中砲火ってことでどうですかい?」


その提案には傭兵達が危険だという意見も出たがとりあえずやってみることにした。


カルア達は早速西門へと向かった。西門には門兵以外には誰もいなかった。門兵に聞いてみると、オークの群れが出たことで傭兵は全員戻ってきているらしい。それでさっきまでは怪我人を運んだりして騒がしかったがそれがやっと落ち着いたところだという。


それだけ聞いてカルア達は西門から外にでる。北の方角に30分も歩けば遠目にだがオークの姿を発見できるようになった。群れは作っていなかったため作戦通り傭兵達に釣り役を任せることにした。


今回はオークとの距離が割と近く、他のオークとも距離が空いていたためうまくいきオークを一体だけ引き付けることに成功したが魔術師のみんなはひやひやした顔で傭兵達を眺めていた。これは安全策をいくつかださなければいつか傭兵達が怪我をすると確信したカルアは帰ってから相談することにした。今は誘ってきたオークに魔法を当てることに集中する。


近づいてきたオークは水と植物魔法を除く10のアロー系の魔法を顔面に受け頭が消し飛んだ。明らかにオーバーキルであったが始めての相手であったためこれから威力を調整すればいいとカルアは考えた。


オークを荷車に載せ、街に戻ると門兵は大慌てだった。今までにオークを持ち帰った傭兵がいなかったからだ。カルアはオークが食用になることと北に30分程度のところまで接近していることを伝える。すると、ここを通る傭兵には必ず伝えると約束してくれた。


オークを持って傭兵ギルドまでの道中、街の住民からは奇異な目で見られたが傭兵達は喜んでいた。傭兵達はほとんどが元北の住民であり、オークの厄介さを知っているのだろう。中にはどうやって倒したのかを聞いてくる者もいた。隠すことでもないので正直に魔法で頭を集中攻撃したというと落胆しているさまが手に取るように分かった。それほどに魔法使いは珍しく貴重なのだ。


傭兵ギルドに着くと、受付嬢が近づいてきてオークの解体は傭兵ギルドで請け負ってくれる旨を伝えてくれた。あとオークを倒したものが現れたらギルドマスターの部屋に通すよう面得られている旨も。


カルアは初めてレイの立ち合いなしでギルドマスターと対面することになる。

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