第104話 オーク

◇カルア視点


カルア達はレイが眠っている間に出発することにした。今日も西門から平原を目指して採取に向かう。道中はゴブリンの集団に1回遭遇したのみで目的地に着いた。そこから少しずつ移動しながら2時間程度採取を行った。するともっと西に向かった方が騒がしい。カルア達は確認だけと西へ向かう。すると牧場の端がギリギリ見える地点でもオークが10体程群れているのが見えた。そこから逃げてきた傭兵に少し話を聞くと、牧場の中にオークが入り込み中のホーンラビットを襲っているらしい。傭兵達はその隙に逃げてきたとのことだ。カルアは一刻も早く傭兵ギルドにこのことを知らせるために退却することを決めた。


◇レイ視点


レイはカルアにギルドマスターへの報告を任せるとともに事の経緯を一緒になって聞いていた。そこで疑問がうかんだのでギルドマスターへ質問する。

「オークというのはそんなに群れを作る生き物なのですか?」


「北の傭兵の話では群れても2,3体だそうだ。おそらくだが北の街から集団でこちらを攻めに来た時におなかをすかせたためそのまま西の牧場を攻めたんだろう。まだ獲物を持ち帰る巣もできていないはずだからこれから数を減らして散らばっていくと思う」


そこまで集団を作らないということには一安心だが高さが低いとはいえ石で作られた壁を破壊する力は厄介だ。レイではまだ骨折を治療するには骨に直接ポーションをかける必要があるだろう。しかし、この世界では外科の治療は禁忌とされている。そのため骨折となると添え木をして完治するのを待つしかない。レイはオークとの戦闘は兵の消耗戦になりかねないと感じた。


「現在、輜重部隊はどうなっていますか?」

レイは、回復ポーションのランクを上げるために新しい素材が必要だと思いギルドマスターに聞く。


「現在は南とだけ取引を行っている。そのほかの街は道に魔物が出現するようになったため安全が確保できん。そのため現在は停止中だ」


レイは後で運搬された物資の確認をすることにした。だがギルドマスターに釘を刺される。

「レイ。お前体調崩したばかりなのにまたポーションの開発をするつもりだろう。一旦全快するまでは支給物資は見せないからな」


レイは目に見えてガッカリしていたがギルドマスターが会話を続ける。

「西の牧場がやられた今、食肉を得るにはどうしてもオークを狩り持ち帰る必要がある。北の街でもやれていたんだ。こっちで何とかするからレイは今まで通りポーションの作成を頼む」


レイはそういわれては任せることしかできなかった。とりあえず今は自分のやれることに集中しようと決意するレイであった。

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