第18話 最速強化
俺は早速その矢を放ち、手前にいる金色ウォーコボルトの頭を貫く。
そして衝撃波が広がったのを確認すると連続で3回弓を引く。
説明にあったように確かに弓は自動で発現し、勝手に手の中に収まるからディレイほぼ0の高速で弓を引ける。
根性とかいう厄介なスキルを持っていたとしても連続で弓が放てるなら問題は無い。
「ぐ、お……」
結局壁役として飛ばされてきたウォーコボルトは瞬殺。
『ロードコボルト』の担がれて投げられている奴らがまた接近、その後ろにを追う様に残りが突っ込んでくるが……。
「ふぅ……。魔力10消費」
変換吸収の矢の効果で魔力が回復したのを確認して、一気に矢を予約。
出し惜しみ無しでひたすらに弓を引く。
『レベルが90に上がりました。ステータスポイントを2取得しました。スキル:魔力矢の性能が強化されました』
これまでの戦闘でいつの間にか上がっていたレベルがウォーコボルト達を殲滅して更に上昇した。
高揚感が全身を包み、勝手に口角が上がってしまうのを感じていると、『ロードコボルト』がいつの間にか距離を縮めていた事に気付いた。
だが、決して衝撃波の範囲に入ろうとせず、『ロードコボルト』はその辺の石を拾い上げ俺の元に投げつけてきた。
さっきのウォーコボルトは壁兼衝撃波の範囲を見定める為にも使われていたらしい。
「それにしても本当に投擲が好きだな。自分は安置に居て攻撃するっていうスタンスは俺と同じだけど」
俺は石を打ち落とすべく矢をイメージして放つ。
そのまま石にぶつかった矢は衝撃波を生み出し、後続の石達も撃墜――
「しないだと!?」
こちらに向かっていたはずの石はいつの間にかその姿を槍に変え、衝撃波を掻い潜ってきた。
『ロードコボルト』は側にある素材から強靭な武器を生み出せると報告であったが、これがそれか。
一応これも撃ち落としておくか。
まとめて矢を用意していなかったから直ぐにイメージを始め――
「「がああああああああああああっ!!」」
「なっ!? でか……」
出現させた弓を引こうとした瞬間、2匹の『ロードコボルト』はあっという間に丸太数本分はあろうかという巨大な槍を生み出し、2匹で力一杯投げつけてきた。
通常の『ロードコボルト』は武器を精製するのに時間が掛かるからそれをさせない為に攻撃の手数を減らさなければ勝てるという報告だったが……これが金色と通常の違い。
それに狙っていたのかどうかは分からないが、相手の攻撃数を減らし、確実に本命を当てる3段攻撃。
ギリギリまで距離を詰めたのは、俺に容易く連続攻撃をさせない為。
ウォーコボルトの壁も、石からの槍も、すべてはこの一撃の為だったってわけで、流石としか言えない。
さて、相手を賞賛している場合じゃない。弓はもう出現させてしまった。矢が当たるのは先を飛ぶボロボロの槍。
急いで次の矢の準備はもう不可能。これは……詰んだか?
『矢を1度に、2つ想像して。もうそれ、出来る』
「クロ!? もしかして見え――」
『早く!』
俺はクロに言われた通り、2本の矢を想像する。
しかし矢に変化はない。
ただもう最初に投げられた槍は目の前、避けるのは無理。
撃つしかない。
――パンッ!
放たれた矢は槍に命中、だが生まれた衝撃波はもう一方の巨大な槍を止める事は出来ない。
だが
――パンッ!
矢は放たれた瞬間に2つに分裂。もう片方が巨大な槍を仕留めた。
「「ぐあ!?」」
まさか今の攻撃を攻略されるとは思っていなかったのだろう『ロードコボルト』は目を丸くして驚いている。
『魔力10消費……で2つをイメージ』
そんな2匹を仕留める為に俺は拡散する矢を連射した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。