第33話 超人類の支配

「アロストリタス。日本語で言うと超人類みたいな意味になる」

「アロストリタス……超人類……」


 聞いたことがない名だ。どんな連中なのか理解できないが、そんな得体の知れない連中が黒幕なのか。


「この三次元宇宙が始まってから400億年ほどになる。彼らは300億年前から存在していると主張しているわ」

「300億年も前から? 裏宇宙ではそうなのか? 宇宙年齢は138億年だと聞いているんだが」

「ふふ。そんな数値は信用に値しない。何せあなたたちの物理学者は次元跳躍すら理解していない」

「なるほど。そういえば、宇宙年齢も当初は20億年と言われていたらしいし、それが250億年となり180億年……150億年……と短くなって今は138億年だ」

「100年たらずの間に随分と変遷してるのね」

「そうだな。冷静に考えて今の宇宙年齢がいつ書きかえられてもおかしくない。しかし、何故なんだ。こんなに差が出る?」

「多分、高次元エネルギーが理解できていないからだと思うわ」

「それはダークマターとかダークエネルギーと言われているものなのか? そういえば、我々地球人類が把握できている宇宙のエネルギーは全体の数パーセントだと聞いたことがある」

「そうよ。高次元エネルギーが加算されていないから計算が合わない。高次元、即ち霊界エネルギーの事をあなたたちは全く知らない訳だし」

「そうだな。全く知らない。その霊界エネルギーがダークエネルギーと言われているものなのか」

「そうね。その、300億年も前から存在しているというアロストリタスがこの銀河を支配しているのよ」

「300億年も前から? 嘘だろ?」

「嘘に決まってる。でも、それを証明できない」

「なるほどね。それは300億年前から高度な知的生命体が存在していたことは事実。しかし、それが超人類といわれているアロストリタスと同一な存在かどうかは確認できないと」

「その通り。わからないの」

「それで君が調査しているんだな」

「ええ」


 色々突拍子もない話が飛び出している。正直な話、これらを全て理解するのは困難だと思う。


「で、俺は何をすればいいんだ? 戦闘機に乗って敵機を墜とせばいいのか?」

「そうね。当面はあの悪役面のオッサンと一緒に撃墜しまくってちょうだい」

「なるほど」


 藪酒宗吾やぶさかそうご……片目のパイロットだ。そういえば、彼の左目は眼帯で覆われていた。しかし、死角は無い。そしてかなり遠距離まで見渡せる。何か特殊な、作り物の目を持っているのかもしれない。


「ブラッディオスカーとデスザブルースカイ。この二人がくっついていれば、戦力的な不均衡が発生していると認識されるはずなの。つまり、他陣営からすれば、非常に不公平な状況ね。そこで何らかの介入がある」

「それが何か分かるのか?」

「まあね。連中はいずれかの陣営が一方的な勝利を収める事を嫌う。アルスでの戦争が永遠に続く事を望んでいるのよ」

「なるほど。要するに、俺が片目のオッサンとつるんで敵機を墜としまくればいいんだな」

「そうね。それがここアルスでの戦争を終わらせるきっかけになるの」

「わかったよ」


 そう返事をしてみたものの、きちんと理解しているという自信はない。しかし、俺が戦う事で戦争が終わるのなら大いに意味がある事だと思う。


「ねえ香月。朝までもう少し時間があるわ」


 セナが上目遣いで俺を見つめる。


「もう一度、ね。お願い」


 世界を救う。そんな会話が性的興奮を高めてしまうのか。セナだけではなく、俺自身も昂ってきたのを感じていた。

 俺はセナに頷きつつ、彼女を抱きしめてベッドへと倒れ込んだ。その豊満な胸元に顔をこすり付ける。


「ああ。本当に胸が好きなのね」

「男はみな大好きだろ」

「まあ、そう……ああん」


 俺がセナの乳首を甘噛みした反応だ。


「もう許さない」


 セナは俺の上に乗り、着ていたパーカーを脱ぎ捨てた。そして再び快楽の時が始まった。








 

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