第22話 評判

「ふうん、あなたの推しも良い男じゃない」


 不味い、ヒロインがサウンさんに目を付けた。


「あの、みなさん引いてますよ」

「いいのよ今の私は電波キャラだから」


 しぶとい子ね。

 意味不明の言葉を電波キャラで乗り切っているのね。


「たくさんの殿方に粉をかけますと、誰にも相手されなくなりますよ」

「その言葉、そっくりあなたに返すわ。王子とガラムとオロスタキスに粉を掛けてたじゃない」


「普通に話をしていただけです」

「どうだか。まあいいわ。モブはあなたに任せるから」


「僕はラメレイと付き合いたいな」


 ガラムがそんな事を言う。

 一体何があったのよ。


「きーっ、ガラムを誑し込んだのね。返しなさいよ」

「ガラムの意見も聞かないと」


「父さんに言われたんだ。商業ギルドの口座残高トップのラメレイと親しくなれって」


 こいつ、金目当てか。


「トゥレアさん、どうぞガラムを引き取って下さい」

「言われなくて、そうするわ」


「えー、だって巫女姫は商売の予言をちっともしてくれないじゃない。冒険の資金は財宝で賄えているけど。2千億Aの魅力に比べたら」


「とにかくお引き取り下さい」

「そうだな。俺が怒らないうちに帰った方がいい」


 ヒロイン達が帰っていった。

 個人情報保護法が無いのにも困ったものね。

 私の総資産が知らされている。


「ハオルチアとよりを戻したいなら、協力するぞ」


 とサウンさん。


「あれはもう終わった事ですから。それより何で婚約破棄の事を知っているんですか」

「王族と伝手があるから、情報は入って来る」


 うわっ、失敗した。

 もっと早くサウンさんに状況を聞いておけば良かった。

 今からでも遅くない。


「私の評判ってどうなってます?」

「すこぶる良いぞ。王が王子によりを戻せというほどにな。色んな勢力がお前に目を付けている」


 聞くのが少し怖い。

 でも聞かないと。


「どんな勢力です?」

「まずは冒険者ギルドだな。次期グランドマスターにどうかの声がある。そして王族だ。王太子妃に推す声がある。教会だ。正式に聖女承認してはと言われている。貴族派だ。こちらは嫁にと虎視眈々と狙っている。大きな所はこんなところだ。これに薬師ギルドと商業ギルドが、加わるかどうかというところだな」


 うわー、最近になって贈り物が増えたと思っていたのよね。

 化粧品を母の伝手を使い、貴族の方々に初回サービスで配りまったから、そのお返しだとばかり。

 冒険者ギルドからは取引先だし付け届けの一種だと思ってた。

 教会もそうよ、冒険者の治療でお世話になったから、そのせいだとばかり


 知らない間に人気者になっている。

 今のところちょっかいは無いけれど、今後はどうなるか分からない。

 でも私ごときではどうにもならないよね。


「他に私についての事は?」

「莫大なお金をどうやって稼いだかが謎になっている。王族にはスキルで稼いだと報告したぞ」


 スキルの事がばれても別にどうということはない。

 この件はべつに良い。


「国の状況は?」

「モンスターの増加がみられるが、誰かさんが冒険者をどうにかしたおかげで、被害は前よりへったな。経済は好景気だ」


「私ってもしかして重要人物?」

「そうだな。片手で数えるうちに入るだろう。トゥレアというあの女も入っているがな。性格はあんなだが予言の力は絶大だ。トゥレアも王太子妃候補だ」


 あうん、この状況をなんとかしたい。

 別に次期王妃になりたいわけじゃない。

 平和に暮らしたいのよ。

 お金は稼いだけど、実家の領地を立て直すのは、私にも責任があったから。


 悠々自適の老後が無くなっていく。

 でも商売はやめられない。

 やりがいもあるし、魔王を倒さないと。

 私のスキルで出来る事はお金しかないから。


 お金の力で何とかするしかない。

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