第8話 プロポーズ

 株価が停滞してしまいました。


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名前    レベル  現在値     安値      高値

ラメレイ  LV1     498A    495A    499A

ドルス   LV9   1,424A  1,422A  1,425A

サウンデル LV35 22,009A 22,007A 22,010A

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 先週から殆ど上がってない。

 サウンさんに至っては若干下がっている。

 上がって来たから買ったら駄目だった。


 下がって底値になって、そこから復調の兆しが見えるのが、買い時の理想。

 とにかくこのままでは駄目ね。

 打開策を考えないと。


 私の株は今が売り時のような気がする。

 いっそ、売ってしまいましょうか。

 それも良い気がする。

 ぐふふ、それからわざと私の価値を下げるのよ。

 そして、買い戻す。


 まるで株価操縦みたいだけど、今までどこからも文句は出てない。

 インサイダーとか、そういう規制する法律みたいな物はないのかしら。

 ないみたいだから、ちゃっちゃと、やっちゃいましょう


 私の株を売って金貨498枚をゲット。

 株は売ってお金に換えて、得した時が最高に楽しいわ。


 ひと勝負よ。


「ドルス、ちょっと話があるの」

「何かな? 改まって」

「パン屋の店員を辞めたいの。もちろん秘伝の全ては教えるから安心して」

「いつかそんな日が来ると思っていたさ。この間来た奴が関係してるのか?」

「そうじゃないけど。でどう?」


「俺と結婚してこの店を一緒にやってほしい」

「それは……。出来ないわ」


「そうか、そんな気はしてたさ」


 ドルスの泣きそうな顔。

 私は凄く悪い事をしたような気になった。

 でもそんな素振りは今までなかったわ。


 恋もしたいけど、今は商売が楽しくて仕方ない。

 ドルス、悪いわね。ごめんなさい。


 さて株価はどうなったかな。


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名前    レベル  現在値     安値      高値

ラメレイ  LV1     218A    218A    499A

ドルス   LV9   1,257A  1,257A  1,425A

サウンデル LV35 22,278A 22,007A 22,278A

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 私の株が大幅に下がって、ドルスも下がった。

 そして、サウンさんは何故か上がった。


 私の株を2万株買いよ。

 そして、ここからが勝負。


「私との縁をこれっきりにしたい?」

「分かってるよね。僕にまだ未練があるって事は。やらせたい事があるんだよね。さっさと言ってよ」


「ドルスにはパン屋ギルドを作って、幹部をやってほしいの。ちょっとドルス、なぜ泣くの?」


 ドルスが泣いた。

 袖で涙をぬぐってる。


「だって、僕とは完全に商売の関係なんだね」

「悪いけど、そうね」


 ドルスは涙を拭いて、顔を上げた。

 その顔にはもう悲しみの色は見えない。


「あー、完全にふられたなぁ。いいよ、やってあげる。何でも言いなよ」

「秘伝をパン屋ギルドの秘密して加入者を募るの。そして、加入者にはパン種だけを提供する。私は上がりの一部を貰うわ」

「分かった。知り合いのパン屋に声を掛けてみる」


 さて株価はどうなったかな。


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名前    レベル  現在値     安値      高値

ラメレイ  LV1     532A    532A    499A

ドルス   LV9   1,567A  1,257A  1,567A

サウンデル LV35 22,315A 22,007A 22,315A

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 みんな上がったわね。

 サウンさんの値動きが、意味不明。

 なんでかな?


 ドアベルがチリンチリンと鳴る。

 入って来た人間を見て私は息を飲んだ。

 入って来たのは兄のカイエンとヒロインのトゥレアだった。

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