『異世界』はもうこりごりです。~元ニートですが、気付いたら異世界転移していました~

あずま悠紀

第1話


「うおおぉおぉっ!!!」

大柄の男が叫び声を上げながら振り下ろした斧をギリギリのところで回避すると俺は腰に提げていたショートソードを抜いて反撃に出た。

男の身体からは赤紫色をしたオーラのようなものが見えており、明らかにただ者じゃないことが伺えた。恐らくあれも何かしらの攻撃なんだろう。

(くそっ、こんなことになるなら冒険者のギルドなんて行くんじゃなかったぜ)

まさかギルドに入っていきなり絡んでくるヤツがいるとは思わなかった。というかこの男、絶対に最初から俺をターゲットにしていた気がする。だって周りにいる他の冒険者達は遠巻きにしているだけだもん。

(まあいい。今はコイツに集中するしかないか)

相手のレベルは

「――32」と表示されている。恐らくだが、先ほどの戦闘を見た限りじゃ、今の俺のレベルよりもかなり上だと思われる。それにあのオーラみたいなもののせいなのか知らないが、相手はかなりの力押しタイプだった。

だからこそ俺は今まで避けに徹しているわけなのだが。

(やっぱり隙が無いなぁー、どうしようかなこれ)

こうやって攻撃を凌ぎ続けるだけで良いのか分からない以上、早めに手を打ちたいのだが生憎とその手が全く思いつかない。このままズルズルと戦い続けているうちにスタミナが無く

「オラァッ!!」

ドスンッ!!!

「ぐえっ!!」

腹に強烈な痛みが走り、思わず膝を突いてしまう。あまり痛くないと思っていた腹部だったが、いざ殴られてみると意外に痛くて少し涙が出てしまった。というか今更ながら思ったんだけどこの世界に来て俺まだ一滴の血も出ていなかったりして? もしそうなんだとしたら俺って結構頑丈になったんじゃないかなと思う反面、やっぱりどこか納得がいかなかったりする。

「おい、大丈夫か兄ちゃん」

「すんません。助かりました」

声を掛けてくれた親切なおっちゃんに感謝しつつ、どうにか立ち上がってみるとそこには信じられない光景が広がっていた。それは俺を助けようと前に出てくれていた数人の仲間達が一瞬にして吹き飛ばされてしまったことだった。しかもその中には俺の仲間の中でもかなりの実力者だった筈のお姉さんの姿もあったのだ。

(嘘だろ!?いくら何でも早過ぎるぞ)

俺は驚愕の表情を浮かべるとすぐさま逃げようとした。正直もう無理だと思い始めたからだ。けれどその考えはすぐに否定される結果となってしまうのである。何故ならば男は逃げる俺の後ろ姿を視界に入れた瞬間ニヤリと笑って見せたからだ。

(こいつ、まさか俺が逃げることを計算した上で仕掛けてきたのか!?クソッたれめ、

「舐めるな!」

ただのハッタリだと思った。そうであって欲しいと願いたかっただけかもしれない。だけど俺はそんな現実逃避をする為に戦っているわけではないし、そもそも俺にはそういった余裕すら無いんだよ!だって―――既に俺は死ぬ直前だからねっ!!!

(やばいっ!!)

慌てて横に飛び退いた俺だったが次の瞬間、目の前に迫っていた拳の衝撃波で全身から血が噴き出してしまうのを感じた。そのまま為す術も無く吹き飛ばされてしまった俺は、数秒程意識を失いかけてしまっていたのである。その所為だろうか俺は自分が生きていることに気が付くまで暫く時間がかかってしまったのだ。

(な、何が起こったんだ?)

必死に立ち上がろうとするも何故か身体

「ああああっ!!」

またも激しい激痛に襲われるも、それでも俺は必死に身体を動かしたのだ。どうしてなのか分からないけど、こうしなければ俺は殺されてしまうと確信したからである。しかしそこで再び衝撃に襲われたことで俺はまたしても意識を失ってしまい、気付いた時には身体中が血塗れの状態で地面に倒れ伏していたのであった。

(うぅー。いてぇー)

どうにか身体を起こすも全身を襲う痛みのせいで立ち上がることが出来ずにいた俺は、まるでゾンビのようにふらつきながらも何とか起き上がることに成功したのだが。その直後だった。

グチャッ

「ひゃああああ!!」

突然背後に誰かが近づいてきた気配がしたので反射的に悲鳴を上げていたのだ。

一体誰がと思って振り向いてみればそこには見知らぬ女性が立っていたのである。そして彼女は驚いたように目を瞬かせるなり慌ただしい動きをしてみせた。それもそのはず、なぜなら彼女の顔からは赤い鮮血が流れ落ちていたからだ。それだけじゃない、身体中の至る所からもドクドクと出血をしていたのである。

「なっ、あんた誰だよ?」

余りにも異常な事態に俺は戸惑ってしまい、思わず変なことを口にしてしまった。

「ううん?私、か」

だが彼女からの返事は予想に反してとても穏やかであり、どこか安心感を与えるものだった。

「あぁそうだよ。アンタ以外どこに人がいるって言うんだ」

「ハハッ、そりゃ確かに言えてるわ」

女性はそう言って笑うもどこか苦しそうに見える。

いや実際苦しいんだろう。なんせ今も尚、傷口から大量の血液が流れ出ているんだ。それにさっきまでは気にしていなかったみたいだが今は息をすることも辛そうな表情を浮かべているのである。

「な、何があったんだ?」

こんな質問をした所で彼女が答えられるとは思えなかった。だけど俺は聞かずにはおれなかったのだ。このまま何もしないわけには

「実はな。俺達ってこのダンジョンを攻略に来た冒険者なんだ。でもこの有り様だとどうしようもないからな、もうここで引き返そうと思うんだ。それにこの怪我だし、どのみち長くは持たない」

(この女冒険者か)

言われてからよく見てみると彼女の腰にぶら下げているポーチのような物は恐らくマジックバッグと呼ばれるものだと思う。というか間違いなくそういうものだろうな。だって俺が知っている限りではそんなアイテムなんて見たことが無いもん。という事はやっぱりこの人はかなりのやり手の冒険者さんという事になるだろう。

それと先ほど口にしていたことについても色々と気になることがある。だってここは迷宮(ラビリンス)の筈なのにダンジョン

「は、話は分かりました。それでしたら早く逃げましょう」

「えっ、お前まさか一人で逃げるつもりじゃねえだろうな」

「そ、そんなことはありませんよ。それよりも今はあなたの方が危ない状態だと思います。このままここに居ても状況は変わらないでしょう」

「おぉーそれは正論だな。まあ確かに今の状態なら俺達は助からないだろう」

俺の言葉を聞いた途端、冒険者と思われる女の人が口許を押さえていた手を離し、俺のことを真っ直ぐに見据えてきた。その瞳からは強い意思を感じることが出来、同時にどこか哀しみの色が見えた気がしたのである。

(どうして、この人の目からは悲しみの感情が見えるのだろうか)

俺がそんな

「いいえ違います。あなたの言っていることと、私の考えている事はまったく違う。だから、逃げてください。今ならまだ間に合い――ぐぁあッ!!」

突如、女性の全身が痙攣し始めたかと思うとその勢いによって彼女の腰からポーションが落ちてしまい地面へと転がっていった。その所為で俺の足元まで飛んで来たポーションを拾い上げるなり彼女に近付いてみる。すると驚くべきことが目に入ってきた。なんとさっきまでの痛みが無くなっている上に女性からは溢れていた血が止まっていたのである。

(い、一体どういうことだ!?)

俺は驚きの表情を見せると共に目の前の女性を見やった。どう考えてもこのポーションのお陰なのは明らかだったからだ。しかしそれにしても

「あの、もしかしてさっきまで血がドバドバ流れていたんですか?」

俺はどうしても確認せずに入られなかった。もしかしたら俺の勘違いかもしれないという気持ちもあったのだけど

「ええ、お恥ずかい話ですがね。どうやらあの大男の攻撃による傷が酷かったようでして」

「マジか。だったら直ぐに治さないとお姉さんの命に関わるんじゃ」

(まさかあの大男が原因とかなのか)

それならば納得がいくし説明がつく気がする。だって俺の仲間があんなにアッサリと吹き飛ばされたんだから、きっと何か特別な力を持っているのは確実だろうし。

(ん?待てよ)

「その大男ってもしかして――い、いやなんでも無い。とにかく俺がこの人を運びます。少しの間じっとしていてもらえればなんとか出来るかもしれませんので。もしも動けるようなりましたら教えてください。直ぐに脱出の準備に取り掛かりたいので」

俺はそう伝えるなり地面に落ちたままの彼女のポーションを再び拾った後、急いで先ほど自分が倒れていた場所まで戻ろうとした。しかしその前に俺は気になることがあって立ち止まり、後ろを振り返ると改めて冒険者の方に向かって話し掛けていた。だって俺にはどうしても気になって仕方が無かったことがあったからだ。それは彼女が手に持っていた武器の存在である。

それは――

「その槍と盾ってひょっとして伝説と言われている【聖具】だったりしますか?しかもかなりレアな感じのやつ」

そう、彼女が持っている二つの武具こそまさにゲームに出てくる様な伝説の品にしか見えないのである。だからこそ俺は聞いてみたくなったのだ。もしかするとそれは本当に実在しているかもしれないと思ったから。だけども彼女は俺に話しかけられた瞬間、今までに見せたことがないくらいの困惑した表情を浮かべてきたのだ。

「いえ。それは私も知りませんね。もしかしたらそれは私が昔に使ってたモノかもしれません。しかし残念ながら私はもう二度とそれを握れなくなると思っていましたので。恐らくその所為なのでしょう、今の私には扱えないようですね。申し訳ないのですが、それは私の代わりに貴女に差し上げさせていただきます。もう私では使うことは出来ないのですよ」

そう言い残してくるりと背中を向ける女性だったが、俺にはとても信じられなかったのだ。だって俺にはそう語る彼女の姿が嘘のように見えなかったからである。そしてなにより彼女の言葉の重みから感じるのは諦めだった。俺は咄嵯に声を張り上げたのだが、既に彼女は姿を消してしまっていたのである。

俺は地面に残された彼女の装備品を見て愕然としてしまう。何故ならそれは俺の知る限り最高級品の武器であるからだ。

◆ 俺が彼女から渡された装備品を手にした時だった

「お兄さん。良かった。生きていたのか」

「無事だったみたいね」

「おう。二人共こっちだ!」

2人の女性が姿を現したのだ。その二人は俺がよく見知った人達であり、その一人はこの世界で一緒に育った大切な家族でもある存在。もう一人は俺の恩人である。名前はサーラ=マレット。年齢は20歳で見た目は綺麗なおっとり系。そして性格はかなり温厚。

「大丈夫だったの?」

「うん、どうにか生きてたよ」

俺はそう答えるなり笑顔を見せてきたのだ。正直こんなやり取りだけで俺は心の底から安堵していた。もし俺が死んでしまえば2人は絶対に傷付くことになる。特に姉のリーシアなんかは自分を責め続けていくに違いないだろうし。そうなってしまったらきっと立ち直れなくなってしまうと思うんだよな。だからそれだけは何としても避けたかったのだ。それに

「それにお姉ちゃんの方も心配だったんだけどね。なんともなくて本当に安心したよ。お姉ちゃ~ん、会いたかっ、うぅ、ひっく。ごめんね、お姉ちゃんがもっと強かったら守れたのに。ううぅ、ごべんなざい、うわぁーん」

俺の視線の先には俺のことを思い切り抱きしめて号泣しながら謝ってくる少女の姿があったのである。その少女の名前はミルキーナ。見た目は可愛いロリ巨

「おい、お前」

「えっ?俺のこと?」

俺は急に背後からの呼び掛けを受けて振り向いてみれば、そこには先ほど出会ったあの女性が立っていたのである。

「あぁそうだよ、お前以外どこに人間がいるっていうんだ?」

「あ、ああそうだな。悪い」

確かに女性からの言う通りだった。しかし、この人なんなんだ? いきなり現れたかと思ったら俺達のことを助けてくれるなんて。もしかして仲間だったりするのかな?それにこの人凄い美人だしなぁ。スタイルも抜群なんだよ。それに何よりおっぱい大きいしな。

俺は思わず女性の姿をまじまじと見つめてしまった。なんというかその格好

「ふぇ!?ちょ、ちょっと。そんな風にジロジロ見るな」

俺に見られていることに気づいた女性は慌てて胸を隠すような動作をしてきたのだ。

でも俺の目は誤魔化せない。

だってその腕には隠れきれないほどのボリュームがあるのだ。

(うぉぉおおお、で、デカい! これは一体何カップだ!!)

俺がそんな下世話なことを考えていると

「おい、いい加減にしろ」

突然、おっちゃんが怒鳴ってきた。それもかなりの剣幕だ

「えっ、えええ?」

「まったくこれだからガキは嫌になるぜ。女ってのはなぁ、見られても構わない相手だけに見られると喜ぶもんなんだよ。分かったらとっととどけ、ここはもう危ねえ。怪我をしていない奴は今すぐに避難を始めろ」

どうやら先ほど助けてくれた女性の胸元をガン見しているのがバレていたみたいである。だけどそんなことはどうだって良い。それよりもお礼を言う方が先だろう。なんせこの人が居なければ今頃俺達は確実に死んでいたんだから。俺はそう思ったからお礼を言おうとしたんだけど、どうにも様子がおかしい事に気がついたのであった。

(あれ?なんだか女性の顔が真っ赤に染まっているんですけど?)

よく見て見れば全身も少し震えているように見えるし、なにかおかしなものでも見つけたのだろうか?

「あっ」

俺はここで思い出す。さっきまで手にしていたはずの例の装備品がない事を。

「すみません、さっきまで使っていたポーションとか武器とかってありますよね?それ俺に預けて貰えます?実は俺がさっきまで気絶してたのもそれのせいだと思うんで、その責任を取るためにも」

俺が真剣に訴えると女性は一瞬驚いた表情を見せていたものの

「い、いや別に構わんが、その武器ならそこに置いてあるやつがそうなんじゃないか?」

そう口にすると地面に転がっていた槍を拾い上げて渡してくれたのである。俺はそれを手に取ると 【鑑定】を発動させてみた。すると案の定、とんでもない事実が判明したのだった。

(やばいぞ、マジか!?)

なんとこの女性

「やっぱりそうだよな。俺には使えないし、お前さんが使ってやってくれないか?」

俺はその言葉を聞き流しつつ手にした槍を眺め続けた。そして

「お兄ちゃんどうしたの?」

「あぁ、この槍だけどな。もしかしたら使えるかもしれない。この槍を使ってあの男を倒すことが出来るかもしれないんだよ」

不思議そうに話しかけてきた妹にそう答えたのである

「本当なのお兄様!?」

「ああ、任せておけ。この槍の力を借りればあの男も倒せるはずなんだ」

俺は嬉しそうな顔をする二人にそう伝えるなり、早速試してみることにした。

それは当然――

(まさかここまでとは思わなかった)

まさかこんなところで伝説上のアイテムと出会うことになるなんて夢にも思っていなかった。だからこそ俺はワクワクしてきてしまったのだ。だからこそ俺は――

「行くぞ、これでアイツを倒してやる!!」と力強く叫んでいた。しかし俺はまだ知らなかったのだ、この後の惨劇がどれほどのモノなのか。

それはそうと俺はまず手始めに【身体強化】を使用することにした。すると次の瞬間、俺の手には信じられない事が起きたのだった。それは

「お、俺の右手から剣が現れた」

そう、突如として目の前の地面に落ちていた槍から光の塊が出現し、そして徐々にその姿を変化させていったのである。まるで魔法のように。しかし驚くべき事はそれだけじゃ無かった。なんと、俺がその手に握る槍が形を変えていき、そしてその先端が鋭利に尖った剣に

「え?ちょ、ま、待った」

そこで俺はハッとなって気が付き、急いで【解析眼】を使用し、詳細画面を開いて確認してみたのだ。その結果

名称: 武器 種別 聖具/聖具 ランクSSS級聖具(アーティファクト)

能力

『全知全能』

「嘘だ、なんでだよ。これが本当に伝説の武器だったっていうのか」

そのあまりの性能に俺は思わず声を出してしまう。だが今は感動にひたっている場合ではない。なぜなら既に敵が迫ってきてしまっているからである。だからこそ俺は覚悟を決めたのだ。この聖具の力で戦うことを。

俺達の前に立っている女は間違いなく強いはずだ。恐らくレベルにして60以上は確実にあるだろう。そしてな

「お待たせしました。では、お話を伺わせていただきます」

そう言って俺達に声を掛けて来たのはサーラ=マレット。年齢は20歳。俺の育ての親で姉的な存在でもある。外見的には綺麗なお姉さんといったところだろう。見た目は非常に若く見えるのだが、実際は既に結婚を済ませていて、もうじき2児の母親になるそうだ。ただその2人の子供を産んだのは10年以上前の話らしく、その容姿は出会った当時のままらしい。

ちなみにサーラは俺達の師匠でもあり、その実力は俺なんかより遥かに上だった。なんせサーラの職業が賢者である

「ふむ、その様子だと貴女は本当に私のことを覚えていないみたいですね」

サーラは残念そうな声で俺に向かって言葉を口にしてきたのである。しかしサーラの口ぶりから察するにどうもサーラは俺のことも覚えてくれているようであり、俺のことを心配してくれているみたいだ。だけど俺が知らない間にサーラが弟子をとっていたという話は初耳だったりする。そもそも俺は昔から人付き合いが得意ではなかった。特に異性に対しては恐怖すら抱いていたくらいなのだ。それが今から5年ほど前にサーラと出会った事でその恐怖症を克服していく

「うぅ」

俺は自分の過去を思い返すとどうしても気分が落ち込んでしまいそうになる。

なにより、俺はずっと一人で生きていかなければならないんだと思っていたんだ。なんといっても俺は勇者の家系の出だった。しかもその中でも特に才能に恵まれており、いずれは父の後を継いで魔王と戦う立場にあった。だからこそ俺の周りには常に優秀な部下が沢山いて俺を守って

「はっ!? いかんいかん」

また俺の悪い癖が出たようである。俺は気を引き締めるために首を左右に振る。するとそれに気づいた姉ちゃんが心配したような目つきで俺を見てきたので俺は

「だ、大丈夫だ」と答える。正直全然余裕はない。なにしろ目の前にいるのは最強の魔術師と呼ばれる存在だ。俺なんかより遥かに強く賢い存在なのだ。その相手に今俺がどんな状態かを知られたくないというか。心配かけちゃうといけないと思ったんだ。だって今の俺は、どう考えてもこの世界に存在する筈のないレベルの装備品を装備しているのだから。

(でも本当に何なんだ、この力は? なんでこんな装備を持ってるんだ?)

「ふむ、本当に分からないのですか?貴方なら絶対にわかると思ったのですが」

「ああ、悪いが俺はお前のことを知らない。だから教えて欲しいんだ」

俺は心の中で焦りまくっていたものの、それを表情に出さぬように注意しつつ必死に取り繕っていた。

「分かりました。では簡単に説明しましょうか。まず私の名前から」

それからサーラは自分の名前を俺に伝えてくる。どうやら俺は今まで彼女に会う機会がなかったようだ。そして次に彼女が俺に対してどういう存在であるかについて話し始めてくれたのだった。

彼女はこの世界の管理者

「私はこの世界を創造する神 エルザレスと人間の血族の間に生まれた子供です」

「そ、それって、まさか」

「そうです、私が神の力を受け継いでいることはご存じなのでしょう?」

確かに俺は彼女の事を知っていた。何故なら彼女とは一度だけ面識がある。そう俺はその時のことを思い出すだけで身震いしてしまうほどの出来事に遭遇した事があるからだ。あれはある任務の為に訪れた遺跡の中であった。

俺は今よりもまだ小さかった頃のことだ。

その頃の俺はまだまだ未熟者で仲間達からもお荷物呼ばわりされるほどの足手まとい扱いを受けていたんだがそれでも何とか仲間の皆と一緒に旅をしていたんだが、そんなある日の事だった。いつも通り俺達はとある古代文明の遺跡の調査

「この扉の奥には何かいるぞ!警戒を怠るな!」

俺は今の仲間の中でも一番腕利きである剣士に声を掛けた。

「分かっています。だからこうやって剣を構えてるんですよ」

剣士の男から返事が返ってくる。

彼は普段の口調とはまるで違う丁寧な物言いをしてきやがる。おそらく緊張している証拠なのだろう。

「ああ、そうだな。だが油断だけはすんなよ。この部屋の向こうに一体なにがいるのか全く想像がつかねえ」

俺がそう口にすると

「おい、リーダー、そういう話はいい加減にやめろ。余計怖くなる」

魔法使いの男が文句を言い

「そんなこと言ってもな、実際問題このままじゃジリ貧だぞ」

戦士の男が不安そうに口にした。

「そんなの俺が一番分かっているんだよ!!だからこうして」

「ちょっと静かになさいよ」

俺の言葉を遮るように盗賊の少女がそう言うと腰の短剣を抜き放つ。

少女の持つその短剣はこの場に居る者達の中で最も貴重なアーティファクトの一種だ。なんでも遥か昔、女神が使ったとされる武器だ

「まぁ落ち着け。こんなところで慌てても仕方がないだろう。それよりもまずこの先になにもいなかったらどうするかを考えるべきじゃないのか?」

俺達が口論になりかけているところに僧侶の女が割り込んできた。

女の発言を受けて全員が押し黙る

「とりあえず開けるか」

「おう」

俺は仲間たちの同意を得てから部屋の中に入る事にした。そうしないと何も始まらないからな。俺は恐る恐るドアノブに手を伸ばすと

「よし、行くぜ!!」そう叫ぶと共に一気にドアを押し開いた 俺はゆっくりと前に進むと室内に居たであろう相手の様子を窺おうとしたんだ。だけど、そこで信じられないものを見る事になる

「なっ!?」俺は声を出す。そこには

「うっ」

思わず口から吐きそうになった。しかしどうにか俺は耐えきったのだ。そう、なぜなら俺が目にしたのはあまりにも衝撃的な光景だった。なぜならば俺がこの部屋に侵入を試みた時に見たものは、俺の目の前にいた生物によって俺のパーティーのメンバーが次々に殺られていく光景だったからである 俺は目の前に広がっている信じられない光景に声が出せないでいたのだ。

「はあははははははは、これで終わりかよ、弱いな」

男は高笑いをすると倒れている俺達に近づいてきて蹴りを入れ始める。

「うぐぅ、止めてくれ」と俺は男に向けて嘆願した。しかし俺の思いとは裏腹にその攻撃の手が止ま

「うるせぇんだよ」

男はさらに強く蹴ると、俺の顔面に拳を叩き込む 俺はその一撃を食らうと同時に意識を失ったのである。そして目が覚めた時は全てが終わった後だった。

「あの後俺は、アイツらに裏切られて捨てられた」

俺がそう呟くとサーラは「やっぱり」と納得してくれたようである。俺はそこでふと思ったことをサーラに尋ねてみることにした

「そういえばどうして俺なんかに構ってくれたんだい?」

「ふむ、それはね、君に興味があったのもあるけど、私自身が君のことが気に入ったからだよ」

「俺のことが気に入ってくれたのか?それは嬉しいんだけど、俺はアンタみたいな有名人に会ったことがあるとは思えないし」

俺がそこまで話すとサーラはクスッと笑って俺に顔を近づけて来て 俺の唇に柔らかい感触が生まれた。突然の行動に驚く俺にサーラは優しくキスして来たのだった。その行為はまさに大人の女性がやる行為そのものであり、俺は思わず動揺してしまい思考が完全に停止してしまったのだった

「どうだったかな。少しは思い出せたかい」

サーラは悪戯っぽい笑顔で俺を見つめながら問いかけて来た。俺はどう答えて良いものか悩んでしまう。

確かに俺とサーラが過去に会っていることは分かったがそれがどれくらい前の事だったかということやサーラがなぜこんな場所に来ていたのかは結局のところ不明のままである。だからこそ俺は何も言えなくなってしまい無口になってサーラを見つめているしかなかった

「さて、これ以上ここにいても仕方がなさそうだな。では帰るとするか」

「ちょ、ちょっと待って下さい、師匠」

サーラの言葉を聞いて師匠と呼ばれた女が呼び止めた

「なんだ、お前はまだ話していなかったの か?まあいいだろう。しかし、まさか本当に私のことを知らないというのか?」

サーラの視線を受けた師匠が呆れた様子を見せるも俺の方へと振り返ってきた。

「なるほど、そういうことか。しかしお前が勇者の家系の出身だという事は知っている。だがそのお前はどう見ても普通の少年だな」

その発言で俺は改めて自分がどんな存在なのかを思い出していた。

(確か俺の父親は勇者だったはずだ。だけど母親は

「そう言えば俺の母ちゃんはどこにいったんだ。そもそも俺が勇者の子どもならなんで父ちゃんがいないんだ」と俺が質問するとサーラが不思議そうな顔で

「お主の父上は既に亡い。お主がまだ幼いころに魔王との戦いに巻き込まれ亡くなった筈だ。だからこそ私は貴様のことを心配していたのだよ。だからこそ私が面倒を見てきたわけなのだ」と俺が尋ねる前に答えてくれる その言葉を聞いた俺は愕然としてしまう。確かに俺には母さんの記憶がほとんどなかった。それに親父が生きているという話も聞いていない。

そして何よりも俺は目の前の女性のことを思い出すことができなかった

「やはり記憶を失っているようですね。私達と貴方が出会った場所は今から約千年もの過去です。当時の貴方はとても幼い子供でありましたが、それでも自分の名前だけは覚えていました。だからこそ私たちは貴方の事を弟子として迎え入れることを決めたのです。

そうして彼女は説明を始めてくれたんだ。それによればこの世界の創造者でもある彼女は俺のことを気に入っているらしく色々と助けてくれたりしているのだという事が判明したのであった。

俺はそんな彼女に感謝するしかない それからサーラは説明を続けると、俺に対してある提案をしてきているのだが正直あまり嬉しくない内容だった。だって、俺はこの世界に長く留まることはできないから。だって俺の仲間が既にやられていてしかもそいつらが生きていた時代の人物に俺は負けてしまったのだから、とても悔しいし惨めだし恥ずかしくて堪らないし、正直俺にはそんな力なんて必要無い。だから断ろうとしたのだが、

「私はどうしても、あなたが欲しいんです」そう言うとサーラの表情が一変する。

「うおっ、どうなってやがる」俺は慌てて距離を取る。そうしないとヤバかった気がしたからだ。しかし、彼女の方は特に変化もなく普通に話しかけてくる

「どうかしましたか?」と平然と言ってくる 俺はその言葉で理解できた。つまり俺が感じたアレが

「俺が神の力を持っているかどうか分かるっていうのか?」

彼女は黙って俺に微笑むだけだった。その仕草がまた綺麗だなと思ってしまったのが腹立たしい。俺はなんとか自分を奮起させると彼女の目を見て真剣にお願いをした。その結果、俺は神の能力の一部を授かることができたんだ。まあ詳しい効果は未だに分からないが。でも今はそれだけわかれば十分だった。

ちなみにこの能力は神の血を引く人間には備わっていない。それなのにどうして俺が選ばれたのかについては俺は知らないが彼女がそう望んだかららしい こうして俺は彼女に付き添われることになった。俺は

「なあ、あんたの名前は?」

「ん、そういえば自己紹介がまだだったね。すまないすまない。

私はアルヴィンと言う。お見知りおきを」

そう言ってから軽く頭を下げたのだった。その仕草は俺が知る中でも一番と言えるほどの美人な女性にしか出来ないような所作であり、俺はついドキドキと心臓が跳ねるのを感じた。

そんな俺の様子を見たサーラに

「どうやらお気に召してくれたみたいだね」と言われてしまい思わず顔が赤くなった。しかしそこで

「そうだよな。この人の身体の感触を俺は覚えてるんだよな」俺はそう呟きつつも胸を揉もうと手を伸ばす。しかしそれは見事に避けられてしまう

「何を考えているのかは分かりませんが、その程度の事で興奮するような年齢でもないですよ」と言ってのけたのだ。その言動で俺は完全に敗北を確信した。そのくらい今の俺はこの人に勝てる要素が一つも見つけられなかった。

しかしここで引き下がる訳にもいかない

「あの時のキスは?」俺は必死に言い返した。すると今度はあっさりと了承してくれる 俺はそれを確認してからもう一度

「あぁ、いい気持ち」俺の脳内で快感が駆け巡る。そう、これが俺の神の力。相手と性的関係を持つことができるようになるというものだった。これによってサーラは俺の女になったのだった。

俺はその後、サーラに連れられて、この世界についての説明を受けることになる。俺がこの異世界に来た理由は実はサーラが関わっているということを教えられた 俺がこの世界で生きていけるようになる為に色々なサポートを行うというのが理由だと教えられたが しかし俺はサーラ

「とりあえず、お主にはこれからしばらく私の元で暮らすといい。そこでしっかりと訓練をしてやるから覚悟しろ」そう言うと彼女はニヤリと笑う。その笑いが凄まじく魅力的でドキッとしてしまうが俺は冷静になる努力をした サーラは続けて

「そういえばまだ私のことを思い出せてはいないのかな?ほら私だよ私」そう言われても全くピンと来ないので俺は困ってしまう

「うーむ、これは時間が掛かりそうだな。まあ仕方が無いだろう」サーラが諦めて部屋から出て行こうとする

「あ、ちょっと待ってよ。せっかくだから名前くらい教えてくれてもいいんじゃないか?じゃないとアンタの事サーラちゃんとかサーラさんとしか言えないぞ」俺は咄嵯に引き留めるために名前を尋ねる サーラは少し考えてからの後に

「ふむ。私の名前を尋ねてきたということは少なくともある程度の記憶が蘇っているのだな?」と質問してきた。それに対して俺は自信を持って答える。俺にとってこの女性は絶対に忘れられない存在だったのだ 俺の発言を聞いてサーラの口許に笑みが浮かぶ

「ほう、そうきたか。ならば良いだろう。特別に教えてあげる。我が名は サーラ。偉大なる魔王の魂を受け継ぐものだ。以後、忘れないように頼むぞ」と言いながら去って行ったのである こうして、俺はこのサーラと名乗る少女に出会ってしまいそのままこの世界に居座ることになってしまうのであった

「ふう」と息をつく

「よし、今日も終わりか。これで一通りの作業は終わった筈だよな」そう呟いた俺の言葉を聞いた途端にサーシャの目つきが変わったかと思うとその目がギロリと光り出したように見えた そんな彼女を見て俺は嫌な予感を感じながらも話しかけようとしたその時だ。突如背後から衝撃を受け前のめりになってしまったのである 慌てて振り返るとそこにはサーシャがいた。その表情は満面の笑顔であり思わず見とれてしまったのは言うまでもない。しかしそれは次の一言によって全てが崩れ去ったのだった

「ねぇ、お姉ちゃんはどう思う?こんな奴と婚約なんかしたくないんだけど」その発言を聞いた俺は心の中で

(こんなやつとはなんだこいつ。大

「そうですね。私も同意見です。それにこの人とは初対面なんですよ」俺が文句を言う前にサーラが俺の代弁をする。どうやら彼女はサーナと仲が悪いようだ そして俺は今度こそと思いサーラへと向き直る

「な、なぁサーラ。俺達は初対面なんだよな。それでいきなりこんなことしてくるなんてどういう了見なんだ?」俺がそういうと彼女は一瞬キョトンとした顔を見せると、直ぐに口角を上げて微笑んできた

「えぇ。確かに私はあなたのことを覚えていませんが。私は貴方に興味があります。なので、是非貴方の側に居させて下さい」とそう告げてきた

「ちょっ、それじゃ話が変わって――」俺の抗議の言葉を無視して俺の腕を引っ張っていく

「さぁさぁ、まずは服屋に向かいましょう」そう言った直後俺に腕を抱き締めてきて強引に歩き出す そんなサーラの姿を見たサーナは俺に詰め寄ってくる

「お、お兄ちゃん。本当に何も覚えていないの?」サーラが抱きついている反対の方へ顔を寄せる そんな彼女

「う、うん。サーヤ、君は誰だい?」その言葉を聞いたサーヤの顔が青ざめるも再び俺の方を向いてきて話しかける

「本当に私のこと覚えていないの?」

しかしそれでも俺には彼女のことが分からなかった。俺はサーヤに対してなんと言えばいいのかも分からないしそもそもどんな反応が返ってきてしまうのかも怖かったんだ。だからこそ黙ってしまった俺は更に強く抱きしめてくるサーラを見る 彼女は無言のまま視線を外そうとしなかった。そしてその目には強い意志を感じる。それが何故かは分からないが

「な、なあ。なんでそんなに強く握るんだ。それに、その。恥ずかしいんだが。周りの人達の注目の的になっている気がするんだが」俺は耐えきれなくなりそうサーシャに語りかけたのだが 彼女は答えずにずっとこちらを見つめてくるだけだ サーシャは何かに耐えきれないという風に

「わ、分かったよ。でも今は駄目だから。取り敢えずお家に連れて帰ってくれる」

その提案に俺は同意するしかなかった サーシャの案内に従い、歩いて数分後俺は一つの店の前で止まる。そこは服屋でありサーナ御用達の場所だったらしい 中に入ると店員が近づいて来て、サーラを見て嬉しそうな表情をしていた それからサー

「まあまあ、今日もまた可愛いお客様を連れていらしたんですね」と言う。それに対して俺は思わず驚いてしまった。何故なら今の言い方は明らかに俺に対する物ではなくサーラに向けられていたからだ それから二人は楽しげに話し合っている 俺は手持ちぶさただったので近くの商品棚に置いてある服などを見ていることにしたのである そうしている内に二人の話もひと段落ついたのか二人でレジへ向かうのが見えた。

「ありがとうございました~」そう声をかけながら頭を下げる店員 それに対して俺も軽く会釈をしておく 二人が出ていったので俺はそのあとを追いかける しかし店の外に出た所でサーヤに捕まりそのまま引きずられるようにして連れ込まれてしまう。その行動は実に鮮やかで俺は気が付いた時にはサーヤのベッドの上だった 彼女はそこで服を脱ぎ始めたのである。それを確認した俺はすぐに目をそらす サーシャは気にせず着替えを終えると

「それでは改めて初めまして私はサーラ。貴方の妻として仕えさせて頂きます」と言ってきたのだった 俺は

「は、はは。何を言っているんだよ」俺は冗談かと思い、軽く笑って返すがそんな俺を見たサーヤが俺に飛びかかってくる 俺はサーラによって押さえつけられてしまい、サーサにキスされた サーシャはその行為が気に入ったのか何度も繰り返していく。俺に抵抗などできるはずもなく そのキスをただ受け入れるしかない

「ん、お主の反応を見ると初めてみたいだな。どうだ?お主にはこの娘がいるのか?んん?どうなのだ」そう言うサーラの目は真剣であり、本気で聞いているようであった 俺も観念して話す事にした。俺がこの世界で生き抜くために必要だと思えたからである 俺は異世界から来た事 そこで

「サーラと会った事がある」とだけ伝えた

「ふむ。つまりこういうことだな。お前はこことは違う世界にいた訳だな」と聞かれたので 俺の知る限りでは違う世界では無いと説明をした

「成る程。お主が嘘をつくように見えなかったので真実だと思う。それにしても不思議なことも有るものだな。私が記憶を失った状態で目覚めた時、この身体の中に魂は二つ存在した」

俺はそれを不思議に思い尋ねることにする

「それは俺が知っているのと一緒なのか?」

俺が質問をするとサーラは少し考えてから

「私の中にはお姉ちゃんの記憶が残っていた。恐らく私達は同じ世界で生まれたのではないかと思っている。だがしかし、それはあくまでも予想でしか無い。もし違ったとしても私達が同じ世界出身だと証明する方法も無い。それにお姉ちゃんがどうしてこの身体にいるのかという疑問が残るからな」と教えてくれた その言葉を聞いた瞬間、俺はサーラに対して違和感を覚えた。それはサーラの言う『姉』という単語に対してであった。俺の認識の中ではサーラは妹キャラであり、サーヤはお転婆娘という位置づけであった しかし今の話を総合的に考えた結果 サーラの姉がサーナ 俺はそこでとある可能性を考え付いたのである。もしかすれば

「なあサーラ。一つ聞きたいんだが、君の本当の名前はサーラって言わないよな?」俺はそう問いかける

「あぁ、そう言えば名乗ってなかったっけ?私の名前はサーシャだ」とあっさり答えるサーラ改めサーシャ そこで俺はある仮説が浮かび上がる それはもしかするとサーヤとサーラは同一人物ではないだろうかということ 俺の思考を読んだのかサーシャは笑みを浮かべて

「その結論に至った根拠は何だ?」と聞いてきた 俺は自分の推理を語り始める まず最初にサーヤの事をサーラだと思い込んだことから俺と

「なるほど。その説はありえるかもしれない。それを確かめる為にもサーラに会いに行くか。幸いサーナの家もこの近くだし」そう言い放つとサーラはサーナの家に向かうと言い出す。そしてそのまま部屋を出ていこうとするのを俺は止めようと手を伸ばし掴もうとしたのだが、その時だ 突然目の前が真っ暗になり意識が遠のいてしまったのである

「くっそ。な、なんだこれ」俺の声にサーラは笑いかけると

「大丈夫だ。これは単なる魔力枯渇状態なだけだからな。暫くじっとしていれば問題はない」そう言うと俺の手を握ると引っ張る

「さあ、いくぞ。早くしないと置いて行くぞ」

こうして俺は強制的に眠りに落ちるのであった 俺が目覚めるとそこには先ほどの少女の顔がある その顔はとても満足そうであり、その様子からは喜んでいる様子が窺え取れた 俺が起きたことに気がついたのか

「おはよう。随分と長く寝ていたので起こそうかどうか迷ったぞ」と声を掛けてくる

「ここはどこなんだ?それにあんたは一体」俺はその問いを投げ掛ける そんな俺の様子を見た彼女は苦笑し口を開く

「まったく仕方のない奴め。まだ自己紹介もしていないのか?」と呆れた口調で言うので俺は思わず謝ってしまった。しかしサーラはそれに怒ることなく

「私の名はサーラ、いやサーナか?いやどちらでも良いな。まぁ良い。とにかくよろしく頼むな」といって来たので俺が困惑気味に頭をかいているのをみて再びサーラは微笑んだ

「な、なあ。俺はいつまでこんな所に座っていなきゃいけないんだ?」

現在、俺は地面に正座させられておりその目の前にはサーラとサーナが仁王立ちで見下ろしてくるという非常に恐ろしい状況に置かれていた 俺の言葉に二人共何も言わずに笑顔のままでいるのが余計に恐怖感を掻き立てるのだった 何故このような状況になったかと言えば、サーシャ改めサーナに連れられて彼女の実家にお邪魔する事になった

「ほれ、お主も挨拶をするのだ」サーナは俺に向かってそう言ってくる 仕方なく立ち上がった俺は頭を下げたのだが その後すぐに俺は地面に額を叩きつける羽目になってしまったのである 何故かと言えばサーナの親父さんに「礼儀がなっていない。貴様のような者を入れるわけにはいかん」と言われ それからはひたすら土下座の繰り返し 最初はその光景を見守るだけのサーラであったが徐々に苛立ってきたのか「うっとうしい。いい加減にするのじゃ」という言葉と同時に蹴りを入れて来るようになった その度に俺が痛みで悲鳴を上げるが、サーナの両親もサーヤはそんなことをされてもニコニコと見つめていただけだった為次第にエスカレートしていき最終的にはサーラにまで蹴られるようになっていた そうして俺はようやく

「ふん。まあ今日はここまでにしておいてやる」

そう言ってサーナ達は帰って行ったのである

「はぁ、はあ、つ、次は絶対仕返しをしてやる」そう心に誓ったのであった 俺達が再び宿に戻ると既に皆揃っており、そしてサーラを見て驚きの表情を見せると共に「なにがあったの」と言うような視線を向ける者も居たが俺はそれを無視してサーラを紹介した

「この人はサーラと言って、サーヤの実のお姉さんに当たる人です」俺が説明すると皆一様に納得してくれたようだった。そして俺達は食事を取ることにし食堂へと向かったのである 食事を始めて直ぐに俺はサーナについて聞いてみた。サーラに聞いても良いの

「ああ。その話については私が説明しよう。実はお主がサーラと出会ってからというもの、お姉ちゃんにお姉ちゃんにってしつこく聞いてくるようになったんでな」サーラの話によると、どうやらサーヤはサーラのことが大層気に入っているらしく毎日のようにお姉ちゃんお姉ちゃんと言っているのだという。サーラはそれを面倒くさがりつつも嫌ってはいないようでいつも相手をしているとのことだった 俺はその話を聞いて少しばかり驚いたが、それでもあの仲の良い二人の様子を見れば不思議でもないのかもしれない それから俺は食事を終え、部屋に戻ることにする するとその途中で俺達を待っていたのであろう人物が現れる。その相手はリリアナである

「お、お主はまさか!?」

「お久しぶりでございます。私はあなたがこちらの世界に飛ばされる前からこの世界を監視させていただいていたものです。そのせいもあってか、サーシャ殿とも仲良くして頂き、誠に感謝しております。本日はそのご報告に上がりました」そう告げてきたのだった 俺達は場所を移し、今は宿屋の一室で話を続けていた。ちなみにこの場にいるメンバーは以下の通り まずサーラとサーヤの二人は同じ部屋にいる 次にサーシャ改めサー

「そうか。ではやはり、お前がお主を異世界へと送り込んだということだな」

サー がそう言うのを聞き俺は心底驚く 俺にとっては初耳だからだ そこで俺はサーヤに聞いてみる サーナの件に関してはどうなのかと 俺の言葉を受けたサーナ

「それは私が答えさせていただきましょう。結論から言えばそういうことです。私とお兄様が出会うきっかけを作った方でもありますね」そう言うサーヤはどことなく楽しげに見える 俺はサーヤに「それはどうしてなんだ?」と聞く サーヤはそれを受けてサーラに目線を送り、彼女が話しだすのを待つように黙っているのを確認してから

「それは私がサーラさんに恋をしたからですよ」

サーヤの言葉を聞いた俺はサーヤの気持ちを考えると、なんとなくだがサーヤのサーラに対する想いは本物なのだろうと思えたのであった 俺は今サーラことサーヤから話を聞いていた。それは俺にとって衝撃的な事実であり、俺にこの世界での生きる術を教えてくれた恩人の生い立ちでもあった

「そうか。それでサーラ、君達は何時からその、付き合っていたんだ?」俺が尋ねるとサーラ

「ん?それはサーナと私がこの世界で再会を果たした時だよ。それ以前にもサーナとは交流はあったが、お互いの関係性を知るまではそれなりに時間はかかったぞ」と答える

「そうなんですか?私はサーヤお姉ちゃんが大好きだったんですよ。だって私達のお母さんになってくれたみたいな感じだったんだもん」そう言うと今度はサーナが話し始める。それによると 二人が出会った時の状況はこうであるらしい 俺と出会う前にサーナ も、サーヤと行動を共にして色々と旅をしてきたそうだ しかしそこで突然彼女は行方不明となり、消息を絶ったのだとか そこでサーヤは自分が助けられなかった責任を取る為にも彼女を必死で探していたのだが、そこで遂にその情報を掴むことになる しかし、そこは既に手遅れであり彼女

「つまりその時にはすでに君は死んでしまっていた訳だ」俺はその言葉を受け続ける 彼女はその事に絶望するも、せめて自分の娘だけでも守りたい

「ならばいっそ、その子だけは生き続けて欲しい」そう願いサーラとして俺の所に預けたのだと

「その娘というのは誰の事なんだ?」俺はサーナ いや、今ではサーラと名乗るサーヤ

「あぁ、そう言えば紹介を忘れていたな。ほれ、こっちに来て自己紹介をしなさい」と隣に座らせていたサーナに自己紹介をするように言う それを受けたサーナは緊張した面持ちで立ち上がり口を開くと

「わたくしの名前は『サー』といいまして以後お見知りおきを。これからしばらくの間、よろしくお願いいたします。あと、出来れば名前を呼び捨てにして頂けるとありがたいと申しますか」

サーナの言葉にサーヤは満足そうに笑うと「なるほど。これは良い人材を見つけたな。流石はサーナと言ったところか」

俺はその光景を見ながら内心、凄いなと思っていた。というのも、サーラは今までずっと

「俺」「俺の」などと言い続けていたからである。なので急に丁寧語になった事に対し驚いてしまったのであった

「まあこんな奴じゃ。これなら多少の無理をしてもいいかなと思っての」サーラ はサーヤの背中に手を回すとその身体を引き寄せる そんなサーラの様子に俺は微笑ましい光景だと思いながら二人を見守る そんなこんなでサーナの紹介は終わりを迎えるのであった サーナの紹介で俺はサーヤの年齢についても確認することが出来た 俺の記憶が確かであれば、彼女は30歳のはずだ 俺がその事を指摘すればサーナは

「ああ、そういえばまだお主は知らんかったな。こいつは実はサーナと見た目が変わってないだけで年齢は50歳を超えておるんじゃよ」そう言われ俺は驚く。サーラ の話からはそんな年寄りというイメージが一切無かったからだ 俺の驚きが伝わったのか、サーナが補足の説明をしてくれる

「お父様に魔法を掛けて貰ったおかげで今の容姿を保っているんですよ」その説明で俺はようやく納得できた 俺が初めて見たときからあまり老けてないように見えたのだ それに先ほどの自己紹介の際に「自分はもう死んでいるので」と言ってきた事から考えて、サー

「じゃなかった。サーナが生きている間に何らかの手段を使って若さを保ったのかもしれないと思ったんだよ」俺の言葉に納得いった表情をするサーナに俺は更に言葉を紡ぐ

「だから、サーナには悪いんだけどさ、もし良ければだけどサーナの外見年齢を下げてくれるように頼むことは出来ないか?」俺の言葉にサーナは笑顔のままうなずく「大丈夫ですよ」そう言って笑顔のままでいるのであった

「それで、これからお主はどうするつもりなのだ?」食事を終えて部屋に戻ってくるなり、サーナ いや今はサーヤと呼ぶべきか がそう言って来たのである。俺達は食堂にて食事を済ませた後に部屋に戻り今後どうするのかという話をする事になっていたのだ 俺は少し

「正直どうしたらいいのか分からなくてな」俺はサーヤにそう伝える 実際問題、俺がここに居られるのはせいぜい二、三日といった所である。それ以上はサーヤ達を危険に晒す結果になるのが分かり切っていた。その為出来るだけ早くこの問題を解決してあげなければならないと考えていた。けれど現状の俺の力では何が出来るのかが分からない

「まあ仕方あるまい。お主がこの世界にやってきた理由を考えると、どうしても力を求めるしかないのだろうしな」サーラ の言い分も理解できなくはなかった。そもそも俺のステータスではまともに戦うことも出来ないのである それどころか普通の村人とすら比較できないくらいに弱すぎるのが

「ああ、だから俺は強くなりたいんだ」

俺はそう言うと改めて自分の決意を伝えるのであった。サーナ は「それで、何かやりたい事は決まったのか?」

「それはだな」俺は少し考える素振りを見せると「実は俺、元の世界に戻る方法を探してみたいと思っている」俺はその思いをサーナ に伝える。俺としては当然戻る方法が有れば帰りたいという思いがあった。俺は元々こちらの世界の人間じゃないし、こちらの人達が元の世界に帰って来られたとしても俺は存在していないのである 俺がそこまで話を進めるとサーヤは真剣な顔で俺の話を聞いてくれていた

「ふむ。お主がそうしたいと言うのであれば止めはせんが、恐らく難しいとは思うぞ?あの女に聞いた話ではあるがお主の元いた世界ではこの異世界の存在が認知されていない。仮に知っていたとしても存在することが出来ないからお主のような転移の魔法なんて物は存在し得んはずじゃからな」サーラの言葉を受けてサーナも言葉を続ける

「はい。その辺りに関してもご説明致しますね。まずこの異世界とあなたの元いた世界を比べると文明の差が大きく違います。まずは一番の違いですがあなたがいた地球では空を飛ぶ道具が存在しています。そのことから考えますと、この異世界でも同じような事が出来る可能性が無いとは言えません。ただし、それでも私達が使えるような魔法とは次元が違っていると思いますが」サーナの話によるとどうやら俺は知らないうちにとんでもない

「なるほどな。確かにそれは言えてるかもな。俺は向こうの世界で空を自由自在に飛び回れる乗り物を何台か見てるからな。それがどういう物かって言うのもなんとなくは想像がつくからな」俺のこの言葉に二人は驚く

「それは真なのか?」サーラ の問いに俺はうなずいてみせる

「まあ本当かどうかはわからないけど、多分間違ってはいないと思う。なんというかそういう技術が存在していることは知ってるし」

俺の言葉を聞いたサーナは感心しているようで、何度も うなずいていた。そこで俺の話を興味深そう

「お父様!お父様!!」

俺は突然聞こえてきたサーナの声に意識を奪われてしまった 何故なら突然サーナの姿が幼くなっていくのだから その声を聞いた瞬間俺達はサーラを見るのだが、彼はサーナの変化を止めようとしなかったのである。しかしすぐにその理由が分かることになる サーナが急に大人の女性へと変化したのである それを受けて俺が驚きながらも彼女を見るとそこには10歳程の子供と変わらない姿をしたサーヤの姿があった その事実を受けて俺はサーヤへと目を向けると彼女の視線が俺に向けられている事に気付くことになる。そしてサーナが口を開いたことで状況を把握した

「これが私の本来の姿ですよ。それと、私も貴方についていきたいと考えております。私はサーヤさんとは違います。ですが少しでもサーヤさんの力になりたいのです」そのサーナの申し出に対して俺が返事をしようとしたその時である

「その必要は無い」突如扉の向こう側からサーヤとは違う女性の声が響き渡る 俺がサーナ達に話しかけようと思っていた時だった 部屋の外から一人の女性が姿を現したのである その女性はサーヤ達と同じ黒い髪に青い瞳をしている。しかしその見た目は俺達の知っている女性のそれではなく。その身体からは凄まじい魔力の波動を感じることが出来る。俺はその事に驚愕していた なぜなら俺は目の前に現れた女性を見て心当たりがあったからである その女性の正体を知るためには俺が持っている【鑑定】スキルを使用する必要があった そこで俺は初めてその

「お前が何者か分かってしまった」俺の突然の発言に全員が首を傾げる しかし俺が続けて放った言葉で全員がその意味を理解してしまう事となるのであった

「俺の前に現れたのはかつて、女神と崇められていた者だろ?」俺がそう問いかければ目の前のサーナはニヤリと笑って見せる

「ほう、良く気づいたな、まさかこの姿を見て我と気づくとは、しかし一体いつ思い出した?」サーラはその言葉を聞くなり俺の方へ近づいてくると いきなり胸ぐらを掴んできた そしてそのままの状態で口を開いてくる

「おい貴様!!一体どこでその名を知った!!!!」彼のあまりの様子の変化ぶりにサーナとサーヤも驚いてしまう程である。しかもその怒り

「えっ!?お父様?何をそんな怒ってるんですか?お父様は誰ですかその人は?」困惑する二人を前にサーヤ の態度が変わったことを不審に思った俺はステータス画面を開き名前を確認する すると俺はその名前をしっかりと記憶に刻んでいたため覚えておいたのであった。その女性の名前はサニアという名前である しかし彼女は既にこの世に存在しないはずであった。というのもこの世界に転移する際に彼女が使用していた神殿が消失してしまったからだ。そのため、もう生きてはいないものだとばかり思っていたのであるがどう見ても彼女は生きてるようにしか見えないのであった

「まあ待て、二人共落ち着いて欲しい」俺の言葉を聞いて二人が落ち着きを取り戻した所で、俺は事情を説明していく「つまりその女の名前はサニアと言うのだな」俺がそう口にすればサーナとサーラが反応を示した どうやら彼らはこの女の名前を知らないようである 俺は少し考える素振りを見せながら「俺がどうして名前を知っていたのかといえば簡単な事だ」俺がその先を話すと二人は黙って聞いてくれることになったのだ。なので俺はそのまま言葉を続けた「俺がここに来てからの数日の間で見た映像の中に、こっちのサーヤとそいつは映っていた。そして俺はその事をサーヤに伝えようとしたが結局伝えることが出来なかったんだ」そうして俺はサーヤ達が見ていたという過去の出来事を思い出すように話すことにした あれは確か

「今から数百年前になる。当時俺は魔王軍の侵攻により滅んだ村に住んでいた少年として存在していた」その日俺はいつも通り家族と村の子供達と遊んでいて、日が暮れるのと同時に家に帰った。そんな日が続いていたある時の事、俺が家のドアを開けると、そこには見知らぬ男が立っていたのである 俺の父親は冒険者で家に居ないことがほとんどで、俺の家は両親不在の家になっていた 男はそんな状態の俺の家に無断で入って来たのである 男の目的は俺の命でありその為に俺を殺そうとする そんな時に俺はある少女に助けられることになる 俺は男の剣を受け止めようとした 俺には戦う手段が無かったが、少女の助けのおかげで命だけは助けてもらうことが出来たのである

「まぁこんな感じの事が有ったはずだ。それで俺はこの世界の勇者召喚の真実を知っている」

俺はサーヤの反応を見つめるとサーヤ は無言で続きを催促するかのようにうなずく 俺の話を聞いてサーヤとサーヤ は俺の事をじっと見つめていた

「なるほどな、確かにそのようなことが起こっていれば、我がこの世界で存在していることにも合点がいくな」サーヤ の言葉を受けてサーヤも

「その話の内容が正しいといたしますと私達 とあなたの世界は何らかの理由で繋がっているという事で間違いありません。しかしそれはどういう仕組みになっているのでしょうか」サーヤ の疑問も最もではある。俺自身この世界と地球を繋ぐものがなんなのかが分からなければ説明しようがないのだから ただ一つだけ言えることは、サーヤ は俺

「その質問に関しては今は分からないがそのうちに判明することだと思う。だからとりあえず、その辺については置いといても良いだろう」俺がそう言えばサーヤ は少し考え込んでしまうのであった。そこで俺はもう一つ確認しなければならないことがあった 俺は再び自分のステータスを表示させるとあることに気づく事になる そしてそのことを尋ねてみることにしたのであった 俺は自分のステータス画面に目を向けつつ尋ねることにする「あのさ、俺ってまだレベル1のままだよね?」サーヤはうなずいて見せてから答える

「そうじゃな。そもそも普通ならレベルというものは魔物と戦う経験を積み、それを倒していく事により経験値を手に入れることが出来るわけなのだが、お主は今までずっと修行をしておったからの。まあそれでもかなり早急に成長するとは思うぞ」俺が「そうなのか」と言えばサーラはそれに補足するように話し始めた

「お主がこちらの世界に来た時は普通の人間の10倍程度のスピードでは成長していったと思う。恐らくではあるがこちらの世界ではそれが一般的なのだとは思うが、向こうの世界でもそのペースでの成長は可能であったはずじゃ」サーヤの言葉を受け俺は少し安心した。ただでさえ戦闘素人であるにも関わらず、今の自分がこの異世界でどの程度の強さを有しているのかが全くもって理解できなかったから そこで俺は気になった点について尋ねることにした

「それって、例えばレベル100まで一気に上がるなんて事は可能なのか?」俺がそのように尋ねるとサーヤとサーラが目を大きく開いて驚いて

「まさかそんなことは無理だろ?だってお前がいくら強くてもレベルの上限なんてものは無いのだから、それはつまり強さの限界なんて物が存在しないということにもなる」サーラのこの言葉を聞き俺は思わず「嘘だろ?」と言いたくなったのだがサーヤも同じように思っているようだったので本当なのかもしれない。ただ、それが俺の考えているような物なのかどうかは不明だったが 俺はステータスを閉じるとその視線をサーナに向けた。そこで俺はようやくサーナ達の目的について聞かなければならなかった事に思い至り その件についての話をサーナ達に切り出す事にしたのだった。そこでまず俺は俺の持つ【鑑定】スキルによってサーナがサーヤ の母親だということが分かったことと二人の本名についても把握

「えーっと、俺が【鑑定】スキルで見れた限りだとお前達はサーヤが母で、サーシャが父ということになっている。しかしそれならばなぜ、サーナ という名前なんだ」俺がそういうと二人は驚いた表情を浮かべてしまう しかし二人は特に驚くこともなかった なぜなら俺は二人がサーナであるということは分かっていたが、サーヤという部分に疑問を感じてしまっていたのだから。なぜなら俺はこの世界にきてからというもののサーラの姿を見たことがなかったからである。だから俺はサーナとサーヤの名前を知らなかった 俺はそんなことを考えていたがサーヤの方はというと何か心当たりがあったのか、少し考える仕草を見せて「まさかそんな事があるのか?」などと考え込んでいる様子を見せる それからしばらくしてサー

「ああ、なるほど。もしかしたらそうなるのか。ふむ。だがまさか、その可能性があるとすれば」サーヤ は自分の中で結論が出たのかサーラの方に視線を向けると彼はうなずきサーナ もサーラの答えを聞くつもりのようだ サーヤは俺に視線を戻すと俺に語りかけてきた

「お主が先ほど申していた事を思い出して欲しい。お主にはサーヤのステータス画面が見えていたんじゃろう。しかしサーモの画面を見ることができたかのう。もしそれが出来るのであれば試してもらいたい。まあ、サーナ の場合その可能性の方が高い気がするがの」

そこで俺は先ほどの会話を思い返しながら、自分の中に浮かんだ仮説を検証するために、

「サーナ、お前のステータス画面を見せてもらえないか?」とサーナに向かってそう口にした。

サーナはそれを聞くとサーヤと顔を合わせて何やら話し込み始める

「分かった」サーナはそういうと俺に向けて手のひらをかざした するとサーナの手の平からは青い光が生まれ俺の視界を覆うことになる そして俺の意識は徐々に薄れていくのを感じた やがて完全に俺の意識が覚醒した時に、俺はベッドの上に寝かされていたことに気がついて慌てて飛び起きた 俺のすぐ側に立っていたらしい の気配に気がついたからである 彼女は俺が体を起こしたことに気づくと俺の方を心配そうに見下ろしている 俺は彼女に微笑んで見せると彼女が安堵

「一体ここはどこですか?それに、俺はどうしてこんな所に?」と俺が言うと、彼女は俺の体を優しく抱きしめてくれる。彼女のその温もりに、俺はなぜか涙が出そうになった。彼女はそのままの状態で「良かった。もう目を覚まさないのではないかと本当に不安で」と言ってくれた。そんな彼女の言葉を聞いて俺の頭はだんだん冷静になってくる

「あの。あなたは?」と尋ねると 彼女は俺をそっと離してから 俺のことをまじまじと見た後に「覚えていないんですね。私はあなたのお世話をしていたんですよ」と答えてくれました 俺がその事に対して「すみません。俺は自分のことがよく分かっていない状態でして」と言うと彼女 は俺の言葉を肯定してくれます

「いえ。私こそ謝らなければいけませんでした。貴方の記憶を奪ってしまった事に対して」どうやらこの人は、記憶喪失の俺を助けてくれたみたいです でもなんで俺はこの人に感謝されているのでしょうか 俺はそう疑問を覚えてしまったのです その事をサーナに伝えるとサーヤがサーナは記憶を失った状態の彼を保護し看病してくれていたのだと説明された どうもそうやって説明しないと彼女はこの世界では生活できないから仕方がなく説明したという風に俺は捉えてしまいそうになる だけどきっとサーファにとってこれは大事な話なのだと思ったの だからサーナの話を聞いた後でそのことについて尋ねてみることにする「なるほどな、事情は何にせよ助かったよ。ところで、君は俺に恩があると言っていたけど具体的にはどんな恩が有るんだ?」

そう言って俺は改めてサーファのことを観察する。身長はおよそ160センチ程度だろうか。俺と同じ金髪で髪の長さは腰よりも長いくらいである 瞳の色も同じ金色で、全体的にスラッとしている印象を受ける女性だ。服装はなんだろうメイド服に近い感じがする服を着ていて、首に黒いリボンのようなチョーカーをつけている。あと耳がとんがっていて長く、エルフ族の特徴が見て取れる。肌の色は褐色

「そんな、大したことはしていません。そもそも私自身が命の恩人であるあなたの役に立てていることが何よりの報酬なのです」とサーファは言った

「なるほどな。それで、具体的に俺は君に何を返せば良いん」そこでサーヤさんが割り込んで来た「それは簡単なことじゃな」そしてそう言い放つと俺の言葉を途中で切ってしまうと話を続けてくる サーヤの言葉を受けた俺はサーファの方を見つめていたのだがサーナさんの一言を受けてサーファの事を見ると彼女は顔を赤く染めてしまっている。その反応を見て俺は思わず笑みがこぼれてしまう そこで俺は「簡単ってどういう意味なんだい」というとサーザさんが俺の言葉に反応した

「ふっ、簡単なことだろう。要するにもうすでに決まっていることだから何も問題はないということだ。つまりだな、我が娘の婿になれば全てが解決する」

サーヤの話を聞き終えた俺がまず思ったことは

(え? なんの話をしているんだ)だった 俺の疑問は当然だろう。なぜなら俺はサーヤとは今日初めて会ったばかりで、しかも俺自身としては助けてもらったという認識しかないわけである。それにも関わらず突然自分の娘と結婚することを勧めて来られても困惑してしまう そんな俺の思考を察したのかサーヤが続けて話す

「サーナはまだ17歳なのだ。そしてお主は18歳のようじゃし、年の差的にはちょうど良いのではないかと思うておったのだが、違うかのぅ」

俺が戸惑っていることに気づいたのか、そうサーヤが問いかけて来た。そしてそれに対して俺は

「確かに俺が今19歳で、サーヤ は17歳だったかな。でもそれは結婚を推奨される年齢ではないはず。そもそも出会ってまだ一日しか経っていないしな」と言った そう、今の日本では未成年同士の婚姻というのは法律上禁止されているはずである それに俺自身も別に恋愛経験が無いとか、女の子が苦手というわけではない ただ単に今までの俺は恋愛なんてしている場合ではなかったというのが実情で、さらに言えば俺はこれまで異性と交際するような機会には恵まれていなかったというのもあった だからいきなり求婚されたと言われても俺としてはすぐに答えを出すことができないでいた そんな俺の考えをサー

「そうですね。私が貴方の妻になるということは、すなわち貴方が私の父になるということになります。そして、私は既にサーラと結婚を前提にした関係でありまして」サーヤの言葉を聞いたサーナの表情は俺の位置からは見えない。サーヤの方はこちらの方に身体ごと向いてきているので、こちらからも見えるように顔を動かすことができるはずだが、何故か彼女はそちらに顔を向けようとしてこなかった。俺はその行動の理由を考えようとしたのだが、それよりも早く俺の方を向いてきていたので俺はサーラの方を見ることにした

「えっと、サーナの事はサーラが好きなのは分かるが、俺自身はそういう意味では、その気持ちがないんだがな。もちろん俺はサーナの事が好きだけれど」俺は自分で言っている内容がよく分からなくなってしまい

「あ、あれ?」などとつぶやいていた 俺が混乱して変なことを考え始めていたので、それを遮るようにサーナが

「大丈夫です。すぐに私のことが好きになります。という訳でこれから宜しくお願いしますね。サーモ」とサーナ 俺とサーナ がお互いの顔が近づいていきそうになった時、突如として扉をノックして誰か入ってくる気配があった。俺は慌てて距離を取りながら誰が来たのかを確認するとそこには一人の男性が立っていた。サーヤの父親だった。

サーラと俺のやりとりを聞いてサーラとサーヤの関係がただならぬものだと悟ってくれたのか

「サーナ、そこまでにしてあげなさい。彼がかわいそうだ」と言ってくれて、俺は内心ホッとしていた。しかしサーヤ

「はい、父様」そう答えるなりサーナがこちらに向けて手を差し伸べて来て俺に近寄ってきて俺の手を握ってきた。サーヤは俺の方に向かってくる すると、そのタイミングで俺達を眺めていたサーヤ のお父さんがサーヤ の方へ話しかけてきた

「サーナ、彼はサーラの恩人で君の将来の夫候補の青年だ。仲良くしておくといい」

俺はサーヤ の手を放すとサーヤは俺の方に笑顔を向けてきた「サーモはもうちょっと自分に自信を持っても良いのよ」などと言っているサーナ 俺はその言葉に対して「サーナ、俺は別に自分を過小評価はしていないよ。むしろサーサの方が自分を評価しすぎじゃないか」と言うと、彼女は「サーモってば優しいのね」と言う そんなサーナに対して俺は

「それにしても俺がサーナ の夫? 」そう呟くとサーヤが話に割って入って来た

「そういえば言ってなかったが、この世界は男女間の性による違いはほとんど存在しないぞ。それにお主にもそのうちわかってくるさ。男と女の違いは子孫を残すためのものにすぎないということにな

「え? どういうこと? でもそうなるとどうやって子供を作るんだよ。もしかて卵子のようなものが有って、そこに精 子が注入されると赤ちゃんができるとかか?でもその場合だと男性は生まれないよね」と疑問を投げかけると サーヤ が答えてくれた「うむ。そのとおりだな。つまりはそういう仕組みなんじゃよ。ちなみに、ワシら夫婦の間にも子供が作れるぞ。その気になればだがな」

そう言われて俺の心の中にサーラへの想いが強く浮かび上がってくる

「ああ、そういうことだったのか」と俺は自分の心に嘘をつけずにそのまま言葉にする。俺はいつのまにか

「サーファ、君を愛している」と口にしていた 俺の言葉を受けた彼女の瞳が潤んでいくのが見える そんな彼女にそっと手を伸ばすと

「私も、貴方のことを愛しています」という言葉と同時に彼女の手が俺に伸びてくる 俺は彼女の手に自らの手のひらを重ねると優しく握りしめる。そのまま彼女の唇に自分のものを重ねたのであった こうして俺はサーナとキスを交わしている。彼女とキスをするのは初めてのことだったが不思議と懐かしい気分になっていた。サーナが目を瞑っているので、俺は彼女を見ながら彼女 の唇に触れるだけの口づけを繰り返す。そして俺達は何度も何度も繰り返すうちにいつしか互いの身体を強く抱きしめ合うと、俺の方から彼女の方へと積極的に動き始める サーナもそれに応じてくれるので

「もっと、もっと」という彼女からの要望にも素直に応えることにする。サーナとの行為は心地よく、このまま時間が止まってしまえばいいのにと思いながら、俺たちはその行為に耽っていった サーナはまるで俺を求められているかのように激しく動くのだが、それがとても嬉しい。俺は彼女を力強く抱き締めてあげる やがて俺の限界が近くなってきた

「うっ、出る、出ちゃうよぉ、サーナ。受け止めてくれるかい」俺が叫ぶようにしていうと サーナ も叫び声で返してくれる サーラ の返事は聞こえなかったのできっと絶頂を迎えたのだろう

「ん、サーラぁー。サーラぁ」

そして次の瞬間には俺の中から全ての力が抜けていくのを感じていた。それはきっとサーナも同じように思ってくれていることだろう。なぜなら彼女は今なお全身に俺の力が流れ込んでいることに喜びを感じているだろうからだ。

そんな風にサーナの身体に包まれたままの状態でしばらく動けないでいた俺

「あ~あ。お熱いこったね。ご馳走さん。お二人さんお疲れさん」

「お父様にお母様、見てくだされていたんですか」俺がサーヤの両親の存在を思い出すとそう尋ねていた それに対して二人はそれぞれ反応を示す。まずは父親のサーヤのお父さんだった

「そりゃお前。娘と婿が一つ屋根の下で暮らすというのだ。心配する親がいようはずがないだろう」

「そうですわねぇ。娘とその婿が一緒に住んでいても何も起きなければ安心できますけど、何かが起きてしまったのなら」そこでサーヤのお義母さん が言葉を切った後にこう続ける「私達が見守る中で、娘達の営みを見せつけられたとしたら、これは娘達の責任であって、私達に責任は無いでしょう?」そしてサーラのお母さんの方を見ると彼女は少し苦笑いをしていて「はいはい。そうですね」と答えた。

俺の方もサーラの両親が見ている前で、しかも俺の初めてがこんな形になってしまってなんだか照れ臭いような恥ずかしい気持ちになった 俺がそんな事を考えていた時にふいに声をかけられる「ところでな。まだ聞いていないのだが。サーナ、お主は本当に良いのか」

その声に反応したのはやはりサーヤだった「ええ。私はもう覚悟を決めました」そう言うと今度はサーラ とサーヤ

「ふぅ。そうだったのか。ならば仕方がないな。よし分かった。それではお主にこれを渡そう」そう言って俺の前に何やら指輪を差し出してきていた。俺は咄嵯に

「えええぇえ! 俺にはサーラ がいるんだけど、なんでまた急にそんな」

俺は動揺してしまったが、そんなことはおかまいなしといった感じでサーヤのお父さんはそのまま話を続けた「サーモよ。これは結婚の証として使うものだ。つまりお主は既に我の娘と結婚しているという事になる。なのでそれを着けるのが礼儀というものなのだ」俺はそこまで言われてしまっては断ることができない 俺は仕方なく差し出されたリングを手に取り眺めてみた すると 【サーナ=アシャインからの

「婚姻」申し込みを受託しました】

という音声とともに目の前に浮かんできた

「なにこれ。どうなってんだ」

俺は思わず驚いて叫んでいたのだが、その様子を見たサーラのお父さんが

「その魔道具が教えてくれていただろ。サーナの申し出を受けてもらえたことに対して礼をいうぞ」といっていたので「いや、別に受けない選択肢なんて俺の中には無いんだけれど、その辺は分かっていただけているかなと思ってたよ」と言い返す俺 俺の言い返しを聞いて サーヤ とサーラ 、それに俺の家族と、ついでに言えばサーヤのお父さんとサーラの母親は笑っていた

「あははは。そうですよね。私のことを気遣って下さりありがとうございます。サーモ、いえ旦那様。私は幸せです」サーナ がそんなことを言ってくるので

「え? ああ、うん。そうだね。サーナ」

そう答えながらも内心ドキドキしているのを悟られないように平静を装いながら俺はサーナ の手を取り立ち上がった。サーナも一緒に立ち上がり互いに目を見つめあうとどちらからともなく再び口づけを交わし合っていた

「お父様、私とサーモの婚儀を認めて頂いてありがとうございます。」サーナがそう告げたあとに

「サーナと、サーナの母様。僕からもお願いします。どうかサーナ をお嫁に下さい」サーラも頭を下げたのだがそれを見ていた両親は

「サーラ、あなたまで何を言っているの。もちろんよ。ねえ、貴方」「ああ、もちろ んよ。当然じゃないか。それにな、ワシらが認めるかどうかを決めるのはあくまでもワシらの都合だから、おぬしら二人が決めることだぞ」

「サーモの事は、サーヤと、その妹に頼んでありますよ。サーナ。良かったじゃない。貴方はもうすぐお姉ちゃんになるんですよ」と 母親に言われるなり真っ赤になってしまったサーナ サーヤが微笑ましそうに見守りつつ「もういい年なのにまだまだ初々しいところが残っているのよね」と言っているのを横目に俺もサーラをチラッと見てみるとサーファがニヤけながらサーヤ

「まあまあ。サーナはずっと寂しい思いをしてきたのですから、これぐらい許してあげましょう」と言うなりサーラはサーナ の頭を撫で始めていた それからサーヤとサーヤは部屋を出ようとしていたが俺もサーラと一緒について行く事にしていた というのもこれからの事を考えていく上でサーナ から色々と話を聞かなければならないからだ。ちなみにサーヤと

「なになに? 私と、サーナがなに? 」と こちらの様子を見られていたらしいが気にせずに二人で部屋の外に出る

「なになに? 私と、サーナがどうしたって」とサーナも聞いてくるのだが俺はとりあえず後だと言って黙らせることにした サーナが不服そうな

「むぅ」と声を出してくるがそれは放置だ そして俺たち三人は家の中にあるサーラとサーナの部屋に来ていた サーナはベッドの上に腰掛け、俺は椅子に座るとサーナ に向かい合うようにして話し出す

「サーナ。俺のこと覚えているかい」

俺はサーナ に問いかけてみた。彼女は俺のことを見つめながら答えてくれる「はい。サーナです。あなたのサーナです」

そう答えてくれるのを聞いた俺の目からは自然と涙が溢れ出していた。嬉しくても泣くことがあるという事をこの世界に来る前にサーナとの会話で学んでいたが、今がその時なのかと思えるほどだった 俺のそんな様子を見ていたサーナ

「サーナも、とても嬉しい」と笑顔を見せてくる。俺もその表情を見ながら「そっか。それじゃ、もう少し詳しく聞かせて欲しいんだけど、どうしてここにいるのかとか、どうやって来たのか、などなどを、できれば思い出せる範囲で良いから教えて欲しい」そう言う俺に「わかりました。あの時何が起きたのかを思い出してみます」と言った そして、少しの間考え込んだ後にこう言った「あれは突然の出来事だったんです。朝に目覚めてからサーヤが起こしに来てくれるまでの間はいつも通りでしたが。そういえばその後からでしょうか。少し違和感があったんです」と そこからしばらくの時間が経った後に

「私が気がついたら森の入口に立っていました。そこでしばらく歩いてみても一向に抜けられません。なので私、怖くなって泣き出してしまったんです。そしたらサーヤが助けに現れてくれたんです」そう話してくれて俺の心が痛んだ。なぜならそれはおそらく【転移の罠】のせいだと思うからである。

だが今はとにかく彼女の話を聞きたい。そう思い直してから俺はサーナに質問を続けた「そこで俺と出会った訳か。その後は?」俺が尋ねてみると彼女は「はい。私はそのまま気を失ってしまったらしく、目を覚ました時にはサーヤの腕の中で寝かされていました。それで目が合ったときに私は全てを思い出したわけです。でもサーヤは私の様子がどこかおかしいと感じたのか私を抱きかかえたままその場から離れました」

「その先はサーヤが説明してくれたけど俺は知らないからな」俺はサーラのお父さんとサーラの二人に断りを入れてから、サーナと二人だけで話が出来る環境を整えてもらった。

サーナに許可を求めるのを忘れてしまっていたのだ。なので慌てて「大丈夫だよな」そう確認を取った後に話し始める「そうですか。なら、続けさせていただきます。

私はしばらくの間、サーヤに連れられて街を目指して森の中を進んでいましたが。ある時にサーヤが怪我をしてしまったのです。そこで私、何も出来なかった自分が情けなくなって泣いてしまいました。そうしたらサーモが現れてサーヤを助けてくれて。そこでようやく私は意識を取り戻したんです。そこで私は自分の置かれていた状況をなんとか理解することが出来て、サーモに改めて感謝の言葉を口にしたのでした。そこでサーモは『俺は君に助けられたんだからおあいこだろう』と返してくれると同時にキスをしてくださいまして、その瞬間から私たち二人の心は通じ合って夫婦の契りを交わしたのです。

ここまでが先程お話したことですね。」と彼女はそう言って俺に向かってニッコリと微笑んでくれた その笑顔を見た俺の胸の中には色々な想いが駆け巡った結果、また泣きそうになってきてそれを我慢する為に「サーナ、愛している」と囁いた

「はい! 」俺の耳元近くでそんな言葉と、それから熱い息を吹きかけられてドキッとして固まってしまった その間に彼女は立ち上がっていた。サーナの方も照れくさそうにして俯いていたのだが顔を上げたときには満面の笑みを浮かべていて「サーモも恥ずかしがり屋さんなんですね」なんて言うなり抱きついてきた その衝撃に耐えきれずに「おふっ!!」なんて悲鳴のような声を漏らしてしまったがそれどころではないほどサーナの体を押しつけられている サーナも緊張しているのだろうか? サーナの方もかなり恥ずかしがっているようだったのだが、「サーナってこんなに積極的だったけ?」俺は驚き

「ええ。初めてですよ。だってこれは夢みたいなものなんでしょう? ならもっと甘えてもいいはずじゃない」と言い出したのを聞いて俺の思考は完全に停止したのだが 次の行動に移そうとした時に、俺の首の後ろをサーナの手が伸びてきて抱きしめるように掴んできたかと思うと、いつの間にか目の前にあった彼女の口が自分の口と重なっていた 一瞬だけ驚いたのだがすぐに落ち着きを取り戻す事が出来たので俺からも応えた 最初はサー

「ちょ!!ちょっと待ってくれ」と俺が叫びながら引き剥がすと、今度はサーラ が「もう終わりなの」と言いながら頬っぺにキスしてくるのである さらにサーラが続けて「サーラばっかりズルいわ」と言うや否や俺の顔を掴みサーナ の方に引き寄せたかと思った時にはサーモ の口を強引に塞いでしまっていたので、もう完全に混乱しきっていた俺は、どうにかこの状況を打開しようと考えていたが「う、あ、あ、ああああ」などと意味不明な音しか出せていないので もうやけくそになりサーナの唇を奪うべく突撃を敢行しようとしたところで、またしても何者かによって俺は取り押さえられていたので、サーラと

「邪魔をする奴は許さないよ。誰!?」と二人が怒り心頭状態で睨みつけている先には何故か俺の妹 と母親の姿がある。どういう事かはさっぱり分からなかった 俺は突然の事にパニックになっていたのだがサーヤから腕を離してもらうことに成功し

「はーなーせえぇ!」という俺の必死な訴えが受け入れられる事は無かった

「貴方達、いい加減にしなさい。ここは私とサーヤとサーナと、サーヤと、サーモだけの場所よ。さ、行きましょう」と言って母親は俺たちを引きずっていくのだった そしてサーラがサーナを連れて行ってしまったために部屋に残されたのは、俺とサーラと妹、それと母親という奇妙な面子だけだった。

その状況を見て、母親がため息をついて「全く、貴方たち二人がサーヤを取り合っていることは分かっていましたが、どうしてこういう展開になるのかしらね。サーナまで一緒だというのは予想外だわ」と口にした

「お母さんも知ってるんですか?」サーヤが恐る恐るといった様子で聞くと「まあ一応ね。私と、この人は、貴方の両親でもあるのだから、ある程度の情報共有は行われているのよ。それにしてもサーヤ、あなたには後でじっくりとお話しする必要があるかもしれないから覚悟しておくことね。」と母親が告げると、サーヤがビクッとなっていた

「そう、それで、これからどうするつもりなの?」と俺と、サーラの両親が聞いてきたの

「とりあえずサーナが無事に帰って来れたことで良しとします。そしてサーラがこの世界の人間では無くなってしまいましたから。しばらくはこちらに留まってもらう事にしようと思っています」

俺はサーラの方をチラッと見ながらそう答えていた。サーランの方を見ると何かを言いたいようだが俺の目を見ながらも迷っていて言い出せない感じだったので、代わりに俺が言ってあげた

「そう、分かったわ。では私たちはサーラが帰ってくるまでに用意しておきたい物を用意しておくことにしましょう」と母 親はそう言って立ち上がると俺

「そうですか。俺はもう少しサーナと話してから戻ります。それじゃあまた後で」そう伝えると、二人を残して部屋から出ていった

「サーナ」サーヤが不安げな声を出している 俺と二人きりで部屋に残されて何をされるか分からないと思っているみたいだが、別に今すぐ襲おうなどとは思っていない むしろ今からが本番だ

「俺はお前の味方でいると決めた。その証拠に俺は今こうしてここにいる。だがそれだけでは信用出来ないだろう。俺としてはこの機会にサーヤと夫婦になろうと思ってここにいる」と伝え サーヤは嬉しそうにしていたが

「本当に、私で良いのでしょうか。」と自信なさそうにしている そんなサーヤに対して、

「お前が居ないとダメなんだ。」そう言うと、

「分かりました。私はサーモ様のお嫁さんになって一生添い遂げる事を誓います」そう宣言してくれてから、再び俺の胸の中に飛び込んできた

「ありがとう」と呟きながらサーヤの頭を撫でてあげてから、サーヤにそっとキスをした。そうするとサー

「サーヤも、その、大好き、だよ。今までずっと寂しかったんだから」「ごめん。俺、ちゃんとした家族になれるかな?」「大丈夫だよ。私にとってお兄さんはお父さんだもん。でもいつかはお義姉さんと呼ばせてよね。お義兄さんの子供を産んであげるんだから。」とサーヤは少し悪戯っぽく笑って言ったので、俺はその言葉を冗談だとは考えず「ああ、楽しみにしているぞ」そう返すと

「うん」そう返事が返ってきた。それから二人で暫く抱き合ったままだった 俺とサーヤはお互いがお互いに満足するまでキスをし合っていた。途中で何度か、息継ぎの為に離れなければいけなかったので大変ではあったが、俺にとっては最高の幸せを感じれる時間でもあった

「もう。いくら何でも長すぎる。」そう文句を口にしながら部屋に戻ってきたサーラ とサーナを待ち受けていたのは、先程以上に濃厚に愛を確かめ合う2人の姿がそこにあるだけだった その様子を見たサーナは思わず苦笑いしてしまい、それを見たサーラは「私も混ざっちゃおっかな。いいよね」と言いながら俺の腕を引っ張っていた。

結局この日は一晩中寝る事

「おはようございます。今日もいい天気ですよ」俺はサーヤの声に目を覚ましたのだが隣に彼女がいない事に違和感を感じたのだが、直ぐにその理由に気付く 昨日の出来事を思い出しながら布団をめくった瞬間に飛び起きていた 俺は自分の体が元に戻っていた事に驚いていたのだが。それは同時にサーヤとの関係をリセットしてしまったことを意味するわけなのだが、不思議と悲しくは無かった。きっとまた彼女と会えると確信して いたからなのだろう。

しかし、それよりも何よりも、目の前の景色の異常さに目を奪われてしまっていた。なんと俺の目の前にいたのが先程まで俺と一緒に眠りこけていたはずのサーヤと 俺の母親のサーナだったのである つまり目の前

「あ、起きた。おはよ~」と俺に声を掛けてくるサーナの姿を見つめたまま俺は呆然と立ち尽くしていたのだが、ハッと気が付いてサーラの方に顔を向けるのだが、そこにはサーナの姿しかない。まさかと思いサーヤの姿を探そうとしたのだが その前に俺の背後から抱きしめられてしまい身動きがとれなくなってしまったのだが そこで俺は自分が服を着ていないというとんでもない状態になっていた事を知った 俺の背中に当たる柔らかくも張りのある2つの感触と首元に押し付けられている熱い吐息を感じる限り どうやら二人は裸のままで俺を抱きかかえているようだ。

しかも俺の息子は元気いっぱいになっており

「うふふ。お腹すいちゃった」なんて言われながら耳を甘噛みされた その言葉と耳への刺激のせいで完全に俺のスイッチは入ってしまったのだが その時に扉が開いた サーナだったのだがその姿を見たサーヤが大慌てで「お母さん!!な、なにをやっているんですか!!」と慌てて駆け寄って行った

「なにって。いつもやっているでしょ?親子なんだから当たり前の事よ」と平然として口にした それに対して

「で、ですけど!!お、男の人と!!え、えっちなことを、す、するのは、あぅ、恥ずかしいって言ってたじゃないですか!!」と顔を真っ赤にしながらサーヤは叫ぶのだったが、サーナ

「そうだけどね。あの時はあなた達がそういう関係だって知らなかったしね。それにほっぺとはいえ私も奪われたわけだし。サーモが私とサーラのものになった記念にあなた達もまとめて美味しい思いをすれば良いんではないかと考えたのよ」

そう言いながらもサーラとサーモの手を掴みながら二人の手を握り合わせるように誘導していき そして俺と目が合うや否や、俺の口に舌を割り込ませてきた サーヤはそれを見て俺の股間に手を伸ばしてきた。

サーラはその様子を見て

「私達にもお母さんと同じように接して欲しいな」と言って来たので、俺はそれに応えようとした そして朝飯

「はぁーーー。相変わらず、サーナお母さんとサーラ姉ちゃんには勝てる気配すらしない。というよりどうやって勝てば良いのか分からないんだけど」とサーモが呟いていた

「そうねぇ。私とお母さんが出会った時は既に恋人同士になっていたらしいから、多分20年くらいは戦っていないんじゃないかしら?」と言うのだ 俺もそれを聞いて 確かにそんな長い期間付き合っていればそりゃ子供が出来る訳だわなと思って納得するしか無かったので素直に従うことにした。ちなみにサーナ からは色々と聞きたいことが有ると思うので後ほどゆっくり聞かせてもらいたいと言っていた。俺の体については特に何も触れてこなかった。

食事

「ところで貴方たちはどうしてそんな姿になっているのかしら?」と母さんが俺達に尋ねてきた

「あ、それね、実はサーヤと俺って夫婦の関係を結んだんだよ。そして今度から正式に俺達は家族の一員となったからよろしくね」俺はサーラとのやり取りを思いだしながらサーニャに伝えたのだった それを聞いていた母親とサーヤとサーナは一瞬驚いた様子を見せるとサーナは少しだけ複雑そうな表情を見せていた。恐らくだが自分達に遠慮して俺と結ばれるのを諦めてしまった事を思い出しているの

「そう。じゃあいいわ。それにしてもよく決心したわね」と母はサーナの方を見てからサーヤに向かって話し掛けていた。それに対してサーナが

「私は別にいいと思っています。私はサーラが幸せならそれで良いんです」と答えた サーヤは照れた様子を見せてから

「私、お義兄さんとの子供産んで良いんだよね?」と聞いてきたので

「ああ。当然じゃないか。むしろお前には是非お願いしたいんだが」と伝えると嬉しそうに笑みを浮かべて俺に抱きついて来た。そしてその光景を見たサーラが何故か頬を膨らませながら俺の袖を握ってくる

「ま、負けないんだから」そんな声を出していたので、とりあえずその

「とりあえず今は俺の妻であるサーナとサーヤも一緒に住んで貰おうと考えているから宜しくな」俺はそんな二人の様子を眺めながら、サーヤにこれからは家族でずっと暮らせるぞと伝えてやった するとサーナとサーヤは互いに抱きつきながら喜び合っていた。そんな光景を目にしている母が俺の耳に口を寄せてきて小声でこう言ってきた

「これでようやく私たちも堂々と愛せるようになったということかしら。今までずっと隠してきたのも、あなたの事が心配で堪らなかったからよ。でももう我慢しなくても良くなった。だから今後は私のことも構ってくれるわよね。もう私だけのサーラでは無いのだし。もちろんサーヤも含めて三人平等で構わないの。私は一人だけで愛されるなんて嫌。サーラとも仲良くするのなら尚更」そんなことを言うものだから 俺はつい嬉しくなりその場で妻を抱きしめてから「ああ、分かった」と呟くのだった サーラの魔法で姿を変えてサーヤと3人で風呂に入り体を綺麗にしてあげると 今度は俺のスキルを発動させて3人の体型を変化させていく。まず最初に身長は160cmくらいにした

「これだと背が高いからちょっと歩きにくいかも」「お義兄さんが、もっと小さくても大丈夫だよ」と二人が俺に意見をくれた なので次は10歳程度の少女

「こっちの方が可愛い」「お兄さんがロリコンに目覚めてしまう」「大丈夫だよ。お兄さんも私みたいな子が好みなんでしょう?」「ああ。その通りだ。だから俺は大丈夫だよ」「でもさ、お兄さんの理想の姿になるわけじゃないの?」

「いや。この姿で充分に満足出来ているから」

「そっか」とサーナが返事をしながら俺にしがみ付いて来る サーヤが俺と姉に近寄り腕を取って

「じゃあ今日はこの姿で過ごそっか」と楽しそうに話していた。

こうしてこの日はずっとこのままで過ごし 次の日から俺達は4人で過ごす事になるのだが、これが俺にとってとても大切な日常

「サーラ。今日はどんな料理を作ってくれるんだい?」俺はサーラに声をかけていた そう俺の目の前に広がっているのは俺達の住む家の庭に作られた巨大な調理場だった。俺がサーヤと出会った頃に一緒に旅をしている最中は、野営をする事がほとんどだったので、どうしても保存食が中心になってしまい栄養も偏りがちになっていた。それが原因で体調を崩していた事も多々あった。その為に俺はサーシャを妊娠してからはサーラと毎日欠か

「う~んと、どうしようかな。昨日は魚を捌いたけど今日は何かリクエストあるかな」サーラの言葉を受けてサーヤがすぐに「はい!私が昨日獲った鳥肉があるからそれを食べたいなぁ」

と笑顔を向けて言ってくれた

「サーモはどう?昨日は何を作ったっけ」と俺にも尋ねてきた

「そうだな。俺は昨日サーヤと一緒に作ったカレーの残りを使ってリゾットを作りたいかな。どうだ?」

「おぉ。流石お義兄ちゃんだね。私は賛成!!」

と満面の笑みでサーラは答えてくれていた。

「よし、じゃあ今日の昼ご飯は俺とサーヤで作った美味しいお米を使った特製オムライスを作るから、楽しみにしていてくれ」そう言うと二人は俺に飛びついて来て喜んでくれた 俺は早速準備を始める事にした。まず鍋の中にバターを投入し火にかけ溶け始めた頃合いを見計らい玉ねぎを炒め始める 玉ねぎから水分が出てきたら一旦フライパンに油を敷いている別の容器に移し、鶏肉を入れて塩とコショウを振りかけた後弱火にしてじっくり煮

「う~。やっぱり良い匂いがする」俺の隣で鼻をスンクンさせていたのはサーヤだった。

俺はそんな彼女の耳元で

「サーヤ。まだもう少しかかるぞ。それにしてもお前はいつ見ても可愛らしくて食べてしまいたくなるくらい魅力的で可愛いよな。その服とっても似合っているぞ」と囁きかけてやるとサーヤが「ありがとう。サーモ」と俺にギュッと強く抱き着いてきた。そんな感じで甘えて来る姿もまた愛おしかった。それからは二人で他愛のない雑談を交わしながらも作業を進めていく。サーヤは俺の手伝いをしていた。俺一人でも余裕なのだが、俺と少しでも離れ

「サーモ。今サーヤのことを考えていたでしょ?」「あはは。そうそう。俺もだけど、サーヤのことを考えながら作る料理は楽しいんだよ。それにサーラの料理は最高に美味しいからね。だから俺の好きなものを作ってくれているサーラにも感謝しながら作ってるんだよ」そう言いながら、サーラの事を考えていると俺に抱きついているサーヤの顔を見ると サーラは照れ臭そうに笑いながらも俺の手の動きを目で追い掛けていた そしてある程度煮立ったら皿に盛りつけていき、最後に刻んだパセリをかける

「うん。我ながら上手く出来たんじゃないかな」

「サーモがそう言うなら絶対おいしいと思うよ」と俺とサーヤのやり取りを見ていたサーラが口を挟んできた。

そうしているうちにサーヤがテーブルの準備をして 俺は二人のために椅子を並べていった そして食事が終わる頃にはサーナが俺と手を繋いで俺の横を歩いていた。俺と手を繋ぎたくて仕方が無いといった雰囲気で俺に密着してくるので 俺はその頭を優しく撫でてやりながら、そのまま家まで戻って行った 家にたどり着くと、俺達の姿を見たサーナが抱きついてきた

「えへへ」

サーナの表情があまりにも無邪気すぎて俺とサーヤとサーラは思わず見惚れてしまっていた

「ふふ、本当にサーナは幸せ者だね」サーラのそんな呟きが聞こえてきた。俺もその意見に心の底から同意していた 俺はサーナと手を繋いだまま

「俺達はサーナのおかげで凄く幸せなんだ。改めて礼を言う。サーナ、そしてサーナがサーヤを産んだからこそ俺とサーナと俺達の子供が生まれた。そして俺は君を妻と出会わせてくれた。全てサーナのおかげなんだ」と伝えるとサーナが

「サーヤとサーラに出会えた事はとても素敵な事だったよ。私は二人と出会うために産まれて来たんだなって今では思える。お義兄さんはいつもそうやって私を支えてくれて助けてくれるから、私にはお義兄さんしかいない。だからお義兄さんが困っている時には私が絶対に力になるよ」と微笑んで言ってきた

「ああ。頼む。これからも頼りにしている」そう伝えると、サーラがサーナごと俺のことを抱きしめてくる そして三人してサーナに感謝を伝える すると突然、三人の間に割り込んでくる人影が現れた。その人物は母でありサーラの母親でもあった

「三人だけの世界に入らないでくれるかな。私たちも仲間に入れて欲しいんだけど」と言ってきて、そんな言葉とは裏腹に嬉しそうな顔を向けてきている。俺がサーナの方を確認すると彼女は俺の方に笑顔を向けていた。その瞳から俺は彼女の意思を感じ取ることが出来た

「サーナとサーヤの母上様は俺の大切な妻です。なので当然一緒に暮らして貰います」俺の言葉を聞いた母は、とても満足そうな顔を見せてきた。

俺は二人を自分の寝室に連れていき、二人と一緒にベッドに入って眠ることにするのだが

「サーヤ。サーナ。今夜だけは二人ともずっと側に居てくれないか」そう言って二人のことを同時に抱き寄せて、二人から返事を聞く前に眠ってしまうの

「ん、ん、うぅ」サーヤが目を覚ますと既に朝になっていた。隣の方では気持ちよさそうにサーモは眠っている。その姿を目にしているだけで、胸の奥から愛しさが込み上げてきて、もっと彼を愛でたい、愛したいという衝動に駆られる。

「でもダメだよねぇ」

サーモのスキルの影響で私はサーラの姿のまま、彼に愛でられてしまっていて。私も彼の事が大好きだから拒むなんて事は出来ずに受け入れてしまうのだ。

私も大概だと思う。だって私のスキルの影響を解いても結局は愛してくれているのに、それでも愛してくれる彼が好きで好きで堪らないの。こんな私を愛して

「もう、ほんとに好き」とサーモが起きないように小さく呟くと私からキスをする。彼は起きてはいないみたいだけど、それでいい。これは私の独りよがりなのだから。サーモをそっと起こさないようにベッドから降りて朝食の準備を始める。今日は何を作ろうかと考えながら調理をしていると、

「サーラは何をやらせても良い奥さんになるね」そう話しかけてきたのは、サーモの父親であるお義父さん

「お義父さんおはようございます。そうですね。サーラは家事全般得意ですよ」と返すと「サーラが聞いたらきっと照れるだろうなぁ」と言われてしまった そうこうしてると、今度はお

「お母さん、サーヤ姉ちゃん。サーラ兄ちゃんがまたイチャイチャしてる」

「サーラはいつになったら自重出来るようになるのかしら?」サーモのお母さんもそこにやってきた。ちなみにサーシャがお腹に宿った事で私は正式にお義母さんの事をママと呼ぼうと思っている。その事をお義母さんに伝えた時

『サーラは私が育てました』と言うくらい溺愛しすぎじゃないだろうか。と思いつつもとても喜んでいるような姿に、私も嬉しくて抱き着いて

『私にとってママみたいなものだからお

「あら。嬉しいわ」と喜んでくれていた

「あ、そう言えばお父さんとサーシャがお腹を空かせているかも」とお義母さんが言ってたので慌てて、急いで二人分のご飯を用意し始める

「今日はどんな料理を作るんだい」サーモは料理を作っているといつも後ろから抱き着いてくる。今日もそれを繰り返しているのを眺めながら料理をしていて楽しい時間だった そしてサーモと二人で一緒に作っていたご飯が出来上がる頃にお義

「おはよー。お腹減ったぁ」と寝癖をつけたままお部屋から出てきたサーラが私の元に走ってきてギュッと強く抱き締められた。

そしてお義母さんがそれを羨ましそうに見つめていた サーナと一緒に

「お母さん達も一緒に食べようね!」と言ってくれたので三人で席に着くと早速食べ始めたのだが サーナが作ってくれたカレーにオムライスを食べた後に私はお

『美味しかった!』

と声に出して言ったつもりだったけど声が出てなかった。すると隣に座っていたサーヤが

「ううん。美味しかったでしょ?」と聞いてくれた どうせなら直接言葉で伝えたかったので私はサーヤに向かって何度も こくりと頭を振って意思表示をしたのだけど、伝わったのかどうか少し不安だ それから食後片付けを終えて一休みしてから私は

『じゃあ私は帰るから後はよろしくお願いします』と頭を下げてその場から消えようとすると突然

「サーラの作った魔法薬を飲まないと帰れないんだよね。それっていつ頃完成するんだい」お

「サーナ。今サーナが使っているその薬っていつ頃完成するの?」

「あともう少しで作れると思うんだけどね」

サーモのスキルの副作用で私はこの世界とサーナ達の世界を自由に行き来することが出来るようになっていた

「そうなの?それは良かった。じゃあお願いしようかしら」

サーナはそう言い残すとそのまま姿を消してしまった サーナがサーヤの家に帰って来た。その後すぐに俺達は冒険者組合に行きサーラが依頼した内容を確認してからサーナを連れてサーヤの家の方へと向かった サーヤの家へと到着すると俺とサーナとサーラで協力してサーナの部屋にある錬金用の釜の中に素材を入れていき、作業を進めることにした サーラに教えてもらいながら作業を進めていると途中でサーナが何かを感じたようで

「サーモが帰ってきたみたい。ちょっと迎えに行ってくる」と言い出す

「ああ、分かった。俺も行こう」

「え、ええ、サーナが一人で大丈夫?」と慌てるサーラ

「大丈夫だよ」

サーナはそのまま家の外に出る するとそこには全身を真っ黒にした男がサーナをじっと見詰めていて、俺はサーナが襲われたら大変だと思った瞬間

「ん?君は誰だい。もしかしてサーナの彼氏なのかな。初めまして。僕は君と同じ転生者なんだ。だから分かるんだよね。僕がどうしてここに来たかをさ」と意味深な言葉を言い放つ そして俺はサーナの方をちらっと

「お帰り。待ってたよ。早く家に上がろう」

俺はそのまま家に上がりリビングへと向かう。俺が家に戻ると、すでにサーラとサーヤは戻ってきていた。そして何故かサーモとサーラとサーヤはテーブルについていた 俺はとりあえずサーナが持って来てくれたお茶を飲みながら話を切り出そうとしたが、サーモ達が口を開いてきた

「まずはサーナから自己紹介をしてもらえませんか。俺達は貴女のことをサーナとしか知りませんから」

「ええ、私の名前はサーヤよ。今はサーモの婚約者をしてるの。でもまだ結婚はしていないからサーナの姉でもあるの」

「んん。よく分からないのでもっと詳しく話してください」

「そうね」

それからサーナは自分が前世での記憶を持っている事。サーモの前世の夫であることや妻に浮気をされて捨てられて自殺してしまったこと。そしてそんな記憶を持って転生したのがサーモだと伝えると皆が驚きを隠せずにいる そんな中でサーモだけは違った表情をしていたのだ 俺はその事に違和感を感じて問いただす

「どうかしたのか?お前だけは驚いた様子がないんだけどさ、なんかあったのか」と問いかけてみるとサーナの方を見てニヤリと笑いかけた その様子に何か嫌な予感がしながらもその様子を見守ると いきなり立ち上がりサーナの元に行くと手を差し伸べたのだ

「おい。サーモ、何をするつもりだ」俺のその言葉を無視してそのままの勢いで倒れそうになったサーナを抱き抱えると

「俺はサーモ! 勇者サーモとして生まれ変わったんだ」と言ってのけたのであった 俺の目の前には俺の最愛の女性がいて

「サーモがね。サーナの事を愛してくれているんだ」と微笑みかけてきたので俺も笑顔で

「ありがとう。これからはずっと側に居てくれないか」と言うと彼女は恥ずかしそうにはしながら小さくコクリと頭を上下させたのである サーヤさんが言うには私達の世界にサーモと私を残して、他の人達がこちらに来てしまったらしい そんな訳でこれからは私とサーモは二人っきりで生活することになったので、

「サーモ。今日から私がサーモの妻になるので、いっぱい可愛がってくださいね」と言うと嬉しそうに抱きしめてきて

「任せてよ」と言ってくれたので、私はとても幸せな気持ちに包まれたの

「ふぅ。今日も一日終わったぁ」

私はいつも通りに家事を終えるとサーモとの愛の巣へ帰ろうとした時に不意に背後に気配を感じた私は振り返ると一人の男の人が立っていた サー

「お疲れ様。君のことはずっと見ていたよ。だからさ」その人は私のことを愛してくれているらしく、

「僕の方こそよろしくお願いします」と言われて抱き締められてしまいました

「あの、あなたは?」

「ああ、失礼。申し遅れました。私は転生者。名前はありませんが好きな様に呼んでくれればいいです」そう言われても私の中では勝手に決めちゃっているんですよ。ごめんなさいね

「はい、分かりました。じゃあ私はお義父さんと呼びますね」そう言ってから私達はお互いに見つめ合いながら笑ってしまい、二人で手を繋ぎあって、私とお義父さんだけの愛しい場所へ向かって歩き出したのである

「ねぇ、サーラ。もうそろそろいいんじゃないのかな」と急かしてくるサーモに対して、私は首を横に振りながらゆっくりと慎重に作業を進めていく

「サーラ。本当に焦らすの好きだよね」

「別にそういうわけじゃないんだけどね。ほら、見てよ。これ凄く綺麗でしょ。こんなにも美しいものを作ることが出来るなんて思ってなかった。サーヤが協力してくれたおかげでこうして最高のものを作り上げることが出来た。ほんとにありがとう。私達の子供のために、愛しているよ。愛してあげることが出来て私はとても幸せだ。私達の元へ生まれてきてくれることがとても楽しみだよ。産まれて来ない方が良かったなんて絶対に言わせない。この子は私達の宝なんだから」と 私はそう言ってサーヤの手を強く握りしめる

「うん。そうだね。僕達の子で間違い無いんだよね。サーヤと僕の愛をたっぷり注いで育てよう」とサーモが私を抱き寄せて強く抱きしめてくる 私はこの世界で生きていけることが幸せだと思う。だってサーモと二人でいられるんですもん。それにお腹の子が生まれて来るまでに色々とサーモと二人で過ごしていきたかった

「あー。今日も良い朝が来た。さぁ起きよう。うん。隣で眠っているサーナのお腹が大きくなっている。この中に僕とサーナの大事な宝物が居るんだよね。そう考えるだけですごくドキドキする。早く会いたい。早く産ませてほしい」と言いながらも寝坊助さんな僕に変わってサーナが毎日の様に起こしてくれる。

「おはよう。サーモ、ご飯出来てるよ」

僕はサーナの言葉を聞きながら着替えをする そして、今日は何をするかを考える 昨日までは、お腹に宿ってくれた子供の名前を考えていたので、今日の分は何も考えていなかったのだ

「ねえ。今日は何する?何かしたいことある?」

僕はサーナの方を見ながら聞いてみる するとサーナはにっこりとした顔

「私はね。新しい薬の開発をしたいなと思ってるよ」と言うので僕は、何を作ろうとしているのかを聞いてみると「それは秘密だよ」とはぐらされてしまったので、少し残念だったが、僕はそれなら薬草を摘む為に外へ出かける準備を始めた すると後ろから

『バサッ』という音と共に翼を羽ばたかせて何か大きなものが僕達に襲いかかって来たのだった その生き物の正体を見た途端に僕は悲鳴を上げてしまったのである 僕が慌ててサーラを見ると彼女は少しだけ怯えているような表情をしていたが、覚悟を決めていたようですぐに僕を守るようにして立ちふさがっていた そしてその化け物に対して何かを投げつけたのである

「お願い!上手くいって!」と叫ぶのと同時に爆発が起きたので思わず驚いてしまったのだが、化け物は無傷のまま僕らを見つめていて、しかも 何かしら攻撃が効いている様子が見られない。

「嘘。なんで、どうして」と動揺していた彼女の背中に衝撃が走ったようで地面に倒れてしまうとそのお腹部分には大きな穴が開いていた サーラは痛みからかうずくまり

「ああ、ああ、ああ」と苦しそうにしていたが僕は必死になって彼女を抱きかかえて回復魔法をかけるが傷が深いため中々治らずに出血量だけが増していくばかりだった

「ごめん。俺がしっかりしていなかったから。俺のせ いだから俺に全て任せて、今助けるから待っていてね」と彼女を抱きしめてから再び立ち上がり今度はしっかりと狙いを定めてから

「ファイヤーアロー」と叫んでいた すると炎の矢が放たれて、見事化け物に突き

「ギィイィイアァアアアー」と雄叫びを上げて苦しみだし、そして絶命したのである 僕はその場に座り込んでしまうと「ごめん。俺のせいで、サーナ。君を守れなかった」と呟く そんな僕の頬に優しく触れてきた サーラが僕に向かって「いいの。貴方のせいなんかじゃないよ。悪いのはこの世界の方なんだよ。私が死んじゃったのは仕方が無いことだったの。でも私は貴女の中で生きているのよ。いつでも一緒なの。だから気にしないで。それよりも私の子供を無事に生んであげて欲しいの。お願い。約束を守って欲しい」と泣きながら訴えていた そんな彼女に「うん。分かった。頑張るよ。だから一緒に頑張ろう」と言い

「ありがとう。大好き」と抱きついて来て

「私ね。貴方の事が好きになったの。だからさ。私の事はもう良いからサーモと仲良くね」

と微笑みながら涙を流して言ってきた 僕はそんな言葉を聞くと、胸が熱くなり「そんな事を言うなよ。サーナは僕が守るって言っただろ」と言って抱きしめる そしてそのまま口付けをして「愛してる」と耳元でささやくと

「私もよ。サーラ」と囁かれてから、また抱き合うと、しばらくその体制を続けていた そんな僕たちを見て

「二人共いつまでもラブラブだね」と言う声が聞こえて来たので サーナは

「えへへ。羨ましいでしょう。私が嫉妬されちゃいますから気をつけて下さいね」

「そうなの。ふふ。可愛いの」と言われて照れくさかったけどサーモが

「サーナ。ありがとう」と言ってキスをしてきて「私、そっちは要らない」と恥ずかしそうにして断っていたのが可愛らしかった それからしばらくしてようやく僕の体の状態が回復したので サーヤと話を始めることにしたのである

「それでね。私達、この世界から抜け出す方法を思いついたんだ。それはさ、ここの世界の神を倒すの。それが唯一の道なんだ。私達の世界に来れば大丈夫だけど、他の世界に行かれると厄介だから。私達が倒さないと駄目なんだ」と言うとサーナも

「うん。分かった。私も協力する」と言ってくれたので早速神に会いに行くことにしたのだ

「おい、サーヤ、そろそろ出て来てくれても良くはないかい?」

俺はサーヤの気配がする方向に向けて語りかける 俺の言葉に反応するかのように

「はい。出ましたよ。あなたにずっと伝えたいことがあったのです」と突然目の前に現れた 俺は驚くとサーヤは

「私はあなたに感謝しているんですよ。私はあなたのおかげで生まれ変わることが出来た。私は、いえ。私と、私は、二人で一人の存在として生きています。今の私がここに居られるのは全てあなたのおかげなんです。私がこの身体を得る時に、私はこの子の意識を封印したのよ。私はサーサと一緒にずっと眠り続けるつもりだったのよ。あなたは知らないだろうけどね。あの時はありがとうございます。私の愛する旦那様へ愛しています」と告白された後にお腹を触られた気がするのでお腹をさすると確かに温もりを感じることが出来て、不思議な感じがしながらも「こちらこそありがとうね。僕の奥さんになるんだからもっと元気な姿で会って欲しかったので嬉しいです」と言うとお腹を撫で回される

『コンコン』ノックの音に扉を開けると サーナが入ってきて「あのさ。ちょっと話が有るんだけどね」

「あ、はい」とサーラから話を切り出される サーラから話を聞いたのだが、どうやら俺達の子供が生まれるのと同時に神様がこの世界を消滅させようと動き出しているとのことだった なので、まずサーモに頼んで、サーナのお世話をしてもらいつつ その間にサーモは、自分の力を高めていった。そして、僕が目覚めた時には既に力をかなり身につけており、更に強くなっていた 僕が起きる前に、サーラが、神様と戦っていて

「そろそろ起きなさいよ。起きないとあんたを殺すわよ」とサーマが言っているらしい 僕はそれを言われるまで気付かなかったので「じゃあその前に殺して貰おうかな」と言い返す。

サーモが

「えっ」と言う顔をしている

「私、サーモが目覚めるの待っていたんだよね。だからもう起きようと思って」と サーラが言うとサーモがサーナと二人で「おはよう。これからよろしくね」

「おはよう。僕の愛しい人。僕の妻。僕のお母さん」

僕はそう言うと、二人を抱き寄せて、口付けると二人は照れて、サーナが僕と唇を合わせているのを見て「サーラズルいわ。私もやりたいのに、サーモばっかりずるーい。早く起きてよ」と駄々こねるサーラに対して

「僕もサーナとサーヤの子供が出来た事がすごく嬉しいよ。二人には本当に感謝してもしきれないぐらいなんだ」

「あー、はいはい。分かりました。それなら、サーナの事をしっかり支える事と、子供を育てる事で許しますよ。私は、そのサーモとの時間をいっぱい作りたいので」と少し不満そうにサーモの腕を掴みながら言ってくるので 僕は「あーあー。分かったよ。サーラ。ちゃんとするから、サーラにも時間作るから」と言い サーナが納得する そして、

「僕はね、本当はサーラと二人で暮らしていきたかったのだよ。だってさ。サーナのお腹の中には子供がいたので、子供に負担をかけないためだったんだよね。でも、今なら僕に全て任せてよ。絶対に幸せにするからさ」

と言うと、二人が「「私も頑張る」」と言い出したので、「二人共、頑張り過ぎて体を壊さないように、無理をし過ぎると良くないから気を付けてね」と言う すると サーラは僕の首に腕を絡ませて抱きついてくると「ありがとう。大好きだよ」と甘い声で囁く

「ああ、僕も好きだよ」と耳元で囁くと頬を染めながらも「私も、あなたを愛してる」

「ふふ。私が一番だもん」

と少しムッとしたサーヤは僕から離れずに抱きついているので頭を撫でていると気持ちよさそうにしてる それからしばらくの間 二人の女性を相手にしていたのだが「おなか空いた」と言う声に起こされて食事を作り始めると、サーモが手伝ってくれるので、すぐに準備が終わってみんな揃ってから食事を済ませる 僕は、サーモが眠っている間に色々と情報を集めてくれたようで、僕が寝ていた時のことを説明してくれるのであった

「それじゃぁまず。ここは異世界でね、名前はアトラン。まぁ地球とは違う惑星だね。それでね。僕は君たちの世界で一度死んでいるわけだね。その時に魂だけが抜け出たみたいでね。そしてね、君達のいた世界とは別の世界に行ったようだ。それでね、この世界にいる間は向こうの世界の肉体の年齢を気にせずに、こちらの世界に居ることが出来る。そしてね、僕の種族はドラゴン。しかも希少種らしくてね。君達は僕から見れば非常に美味しそうな匂いを発していてね。僕の眷属になっているようなものだね。君達の世界の生き物の体臭は良い匂いがしないんだよ」と言うと「そうなんだ」と驚いていた。

「だからね。君の世界の女性はね、君の世界ではモテなかったんじゃないかと思うよ。この世界の女性達の方がはるかに良い女だし魅力的だからさ。それとさ、僕の妻はサーヤしかいないよ。それはもう妻だしね。サーヤ以外と結婚するつもりなんてないよ」と宣言する。

「でもさ、貴方は強いので、他の女性が言い寄ってきているんでしょ?それで貴方が心変わりをしたとしても私は気にしていないのよ。だって貴方は私を選んでくれたから。それに私は、貴方が私の事だけを愛してくれて、大切に扱ってくれればそれで満足だもの」と笑顔を見せてくれるので僕は

「ごめんよ。確かに僕は、サーヤだけを大切にしたいとは思っているよ。ただね。僕としては、この先もサーナと一緒にいたいと考えているのは本当だ。僕はずっと寂しかったから、今は家族がいる。それだけでとても嬉しくて、幸せな気分で満たされていくんだ。だけどサーヤも同じように感じて欲しいからこそ一緒に居てほしいと思っているんだ。僕にとっては、どちらを選ぶかで迷うことではないんだよね。どちらも大切な僕の妻である事に間違いは無いのだから」と言うと サーナは

「ありがとう」と言って僕を抱き締めてくるので、サーモの方を見てみると微笑んでいた それからしばらく時間が経って、僕が起きてから一年ぐらいの月日が経ち、子供達が生まれる時期が迫ってきていたのに 一向に生まれてくる気配がなかったのだ。

「ねぇ。お腹の子って、どうしたのかな?」と僕が言うとサーラは「多分だけどね。私と一緒で、神様の力を受けているはずなんだ。だけど、その子に宿っていた力は神様によって奪われたのだと思う。だけど安心していいよ。私とあなたと、サーモちゃんの力で取り戻す事ができるはずだから、その時はまた私が協力するから。今度はあなた一人でやらないこと。分かった」

「そうだな。俺に出来る限りのことをやってみるとしよう」

僕とサーナの二人は協力して子供を取り戻すために頑張っては見たものの、なかなか上手くはいかなかった。そしてついにサーモが生まれた。女の子だった。その子は髪は銀色に輝き瞳は青色の珍しい子であり、肌の色は真っ白な綺麗な姿をしていた。その姿を見て僕は驚いた。その子がサーラの面影を残しつつもサーラとは違い美しさを備えていたからだ。サーモは生まれ変わる前の事は殆ど覚えていないようだったが、時々思い出している時もあり、その時には 僕に向かって「ありがとうございます。私達を助けてくれて」と言っていた。僕にとっての本当の意味でのサーラは彼女一人だけであり、それ以外にサーナも居たのかも知れない。それでも、やはりサー

「僕の名前はね。僕が付けたんだ。サーモという名前はサーラからとったのさ」と言うと、少し照れくさそうにしながらも微笑む姿に、僕は思わず見とれてしまっていたが、すぐに我に戻ると、改めて名前を決めることに

「うーん。サーナの名前を付けたんだからなぁ。僕と同じサーが付く名前が似合うかなぁ」と考える 僕は、サーナからサーを取りサーマと名付けることにしたのであった。

僕が起きた時に、すでに僕の息子となるサーモが目を覚ましていて「あなたがお父さんになるのですよ」と言われる。しかし、そんなことを言われても僕には何の事だかさっぱり分からなくて混乱してしまいそうになるが、「えっ、僕が父親で、サーラがお母さんじゃないの」と聞くと、「違います。お母さんはこの方です。あなたの奥様はサーラちゃんだけで、その方はもう死んでいますよ。あなたはあの方に生まれ変わったのです。そして、今の貴方は男ではありません」と言われたので慌てて僕は「嘘だろ」と言う すると「嘘は言っていませんよ。私は神様に頼んで性別を変えて貰ったんです。元々私も男性でしたが、サーモは私よりも力の強い娘でしてね。それで、サーモが目覚めるまでの間に、サーラと二人でサーモの体に魂を移すことで無事に転生できたという訳ですね。だから私もサーマもサーモの体の中の魔力で存在している状態なので、普通の人間より遥かに長い時間生きていられますし、寿命も長く、更に成長スピードなども通常の人の3倍以上早いんですよ。だからね、子供を作るのにも時間はかかりませんからね。これからはサーモはサーナとして生きることになるでしょうけどね」と衝撃的な事を言われたので

「えっと、つまり、今僕に起きていることは全部サーモが原因だってことなのか」と聞き返すと

「まぁ簡単に言えばそういうことになりますね。ちなみにあなたは神殺しの英雄になっていますよ。私は神の眷属の一人だったのですが、今回の件ではあなたが私の主になったということで、今後は私にできる限りでの協力をしていきたいと思っておりますのでよろしくお願いします」といきなり頭を下げられた

「うん。分かった。でもさ、僕の能力とか、スキルを使えるようになるには、どのくらいの時間がかかるんだろう」と僕が質問をすると

「そうですねぇ。サーラの場合は、最初からある程度使おうとしていたので、すぐに使えましたね。まぁサーラが目覚めた時点でレベルが2になっていたのも原因の一つだと思いますね。あと、あなたは既に、その世界で英雄になれるような能力を発現していますよ。それも既に覚醒状態でしたからね。それに私からも力をお貸ししたので、さらに強力なものになっているはずです」と教えてくれたのであった それからしばらくの間 二人から色々な話を聞かせて貰っていると

「ところで、君はいつまで裸で寝るつもりだい。いくら夫婦とはいえども女性に恥ずかしい思いはさせてはいけないと思うよ」と僕に対して言ってくる 僕は「あっ、そうだった」と言いながら 自分の服を探して

「この服、ちょっと小さいかも。もう少し大きめの服をくれないか」と言うと「仕方が無いね」と呟く それからしばらくして サーモが服を着替えている間サーラに手伝ってもらって着替えを終わらせてから部屋から出ようとしたのだが、なぜか扉が開かない。そこで僕は魔法を使おうとしたのだが、僕が持っているスキルはどれも使うことができなかった。僕は仕方なくサーヤに相談しようと話しかけると「大丈夫よ。私に任せて。サーナ。手伝って」

「わかった」と二人が返事をする サーナの手のひらからは黄色い光が溢れてきて僕の体の中に入ってくるのを感じたので少し気分が悪くなるのを感じながらも なんとか耐えることができた。しばらくするとサーナは

「お兄さん。やっぱり無理みたい。私じゃ、この扉は開けられない。ごめんなさい。もっと修行しないと駄目ね」

「あぁ良いんだよ。気にするな。ありがとう。サーナ。サーヤ。助かったよ」と言うと 僕が「この世界はどうなっているんだ」と独り言のように言うと

「サーモに聞けば何か分かるかも知れないよ」と言われて、早速サーモに聞くことにした サーモは

「それは多分。空間移動魔法のせいだと思う。あれを使えば別次元の世界に行くことが出来るからね。でもお父様がそれを解除してくれたおかげでお母様には影響が無かったから安心してね」とサーモ

「そっか。それはありがたい話だけどさ。僕達が外に出るためには、もう一度さっきの方法を使うしか方法は無いのかな」と聞くと「うーん。残念だけどね。もう使えないのよ。それにさ、私達がいるここはお城の地下室で、お城の中は敵だらけだよ。このまま逃げようとしても絶対に捕まるから。どうせならここから出て行きましょう」とサーモに言われる サーモの話によると、この部屋に僕とサーナが来た時はすでに僕達は捕らえられていて、サーモはずっとこの部屋の外にいたらしい。僕はサーヤと一緒に行動していたんだけどサーナと別れた時に、僕は敵に不意打ちを受けて倒れてしまったので

「そうか。それで君達と一緒にいる間に、誰かに襲われていたのか。サーラは」

と僕は言うと サーモが申し訳なさそうな顔をして

「お姉ちゃんね。本当は一緒に戦ってくれていたのだけどね。お母様はね、お姉ちゃんに私達のことを任せてから、一人で敵の親玉のところに乗り込んだの。そして殺されちゃったの」と言う 僕は

「サーモの姉さんは凄いなぁ」と言うと

「サーナちゃん。貴方の妹でしょ」とサーモは僕に呆れた表情を見せるので

「確かに、僕はさ。サーナの夫であり父親だけどさ。まだ何もできないしね。それどころか、足手まといになっているだけだよ」と苦笑いしながら答えていると

「あの、私ね。一応、女神の神様をしているのだけどさ。私から一つアドバイスするね。お母さまとお姉ちゃんに会えたから、次はサーマに逢いに行こう」

「サーマはサーナとサーモの本当の妹だろ。僕が父親でいいのか。それになんで急に名前が変わるんだ?」と疑問に思ってしまう サーナが

「いいんじゃ無いかしら。サーマって名前可愛いわよね。サーラもサーマって名乗ってもいいと思うけど、サーナって名前は私が頂いちゃいました」と言う サーナが言うには サーナとサーモは二人で一つの存在で、一人はサーモと呼ばれもう一人はサーラと言う名前だったらしくて、それがいつしか二つに分離してそれぞれ一人の存在になったと言う サーラに「それで、その二人のサーナはどうして別れたんだい」と聞くと

「それは私達が生まれた時から決まっていた事なの。神様がサーモと私達に別れさせたの。だから、サーナと言う名前をサーモが使っても良いの。私の名前を使って欲しかったけど、それはもうサーナにあげてしまいました」と言う 僕は「サーナとサーナが別々になった理由を聞いていなかったので聞いてもよろしいでしょうか」

と尋ねると「サーナの体は私の体を元にして生まれたからサーナの体が成長している時には私の体も同じペースで成長するの。でもサーモの場合私の体の中にあったサーモの体と、私の体の中のサーマの体に分裂することで成長速度が早くなりサーモの方が大きく育つようになった。だから私の体の方はサーナの体に比べて成長は遅くなっていた。だから私の名前が欲しいと言っていたのです。今は二人で一つになり、サーマの成長が追い付いていないため、本来のサーマである私の方に意識が集まって来てしまっている状態」と言う サーラが

「そんな事情があったんだ」と言うと サーラが

「そんなことよりも、私としてはサーナの格好のほうが気になるの。いくらなんでも女の子の格好をしていては目立つと思うの」と心配してくれていた

「うん。私もそう思う。私ね。さっきも言ったけど神様の眷属なのよ。でね。神様がサーモが困らないようにしてあげたいからと言ってね。私の姿を変化させたわけ。だから今の私を見て。どう見える」と聞くと、サーマは鏡を目の前に置く

「えっ。どういうことだ」

鏡の中には、サーマにそっくりな顔の可愛くて綺麗なお姫様のような女性が映っていて、髪も肩までの長さから背中にかかるくらいまでのセミロングの黒で、服装も白を基調にして、ピンクのラインが入ったワンピースを着こなしている

「サーマなのかい。これじゃぁ誰だかわかんないよ。サーマに戻せないのかい」

と僕が質問をするとサーナに抱き付かれ

「私はこの姿を気に入っているの。だって、この姿だと誰も襲ってこないもの」

と言われて、少し恥ずかしくなってきた。

サーモも「私もこの姿が良い」と言い出して、結局二人の意見が通り、サーナとして生きていこうと思うことに決まった サーラが「これからどうするつもり」と尋ねられたので

「僕がサーナを守るから安心しろ。これからよろしく頼むよ」

とサーナに伝えると、「ありがとう。サーラ」

と言うのであった

「さてと、どうしようかな。ここを出るのに、やっぱりサーナの空間移動魔法の力が必要だと思うのだけど、僕は使えないからね。そうだ。サーラ、サーヤは空間魔法は使えるんだよな」と僕は質問する サーナが「使えるはずだよ。サーヤの空間魔法のレベルを最大にしたからね。それに空間を切り裂く技を使えるようになるはずです」と言う サーラが「サーナのお母さんのスキルってかなりすごいスキルだったんだね」と言うと

「そうですね。でもね。サーラのお父さんの能力も相当なものですよ。ただ、あまり人前で使ったりしないでくださいね。サーラは、スキルのことは忘れていたから問題は無かったですが、スキルが暴走する可能性もありえるので、注意してください」とサーラに注意される サーラが「スキルは覚えているよ。確か、アイテムボックスの魔法と鑑定魔法だよね。それと魔力を込めると魔法が発動すると、ステータスに書いてあった気がします」と言う サーモが

「スキルを使うと、魔法が使えなくなります。私達は神族なので普通なら使えないはずの魔素を体内に持っているのです。そしてその魔素を魔法に変換して使用するのです。ちなみにサーナの場合はお父様と同じでスキルと、魔法を同時に使用することは可能ですよ」と教えてくれた 僕は「サーモ、ありがとう。それで、僕の場合はどんな能力なんだ」と聞きながら自分の手のひらを見つめていた。僕にもサーモと同じような力が目覚める可能性はあると思う。でも僕には今何の力も無いんだ サーモが「そう言えば、私とサーナって同じ日に生まれましたね」と言った後で僕の方をジッと見てきたのである 僕は 不思議そうな顔をしていたようでサーナが僕の顔をみて笑い出すとサーヤもつられて笑うようになっていたので思わず笑みを浮かべると二人とも笑顔を見せて喜んでいたので嬉しくなって微笑んでいると 僕の方に向かってくる気配を感じて「敵が来たみたいだよ」「えぇ大丈夫よ。私に任せなさい」と言ってから 突然姿を消したので驚いたけど次の瞬間には消えてから現れてくると同時に剣を抜き振り抜いていたのであった 現れた敵の数は5人だった。僕はサーヤの方を見ると少しだけ

「危なかったかもね。サーナちゃんの一撃で3人の敵の武器を叩き斬っているから、あと1人だけ残っていたけどサーヤの攻撃で倒されていたので安心しました」

サーナとサーモが 僕達の元に戻ってきた時、僕は二人の手際の良さに感心していたのだけど、二人が

「お父様に、この世界での戦い方を学んでもらいたかったのであえて止めませんでした」

とサーナが言うのだけど サーモも「お父様には強くなっていただいて私達を助けてもらいたいと思っているんです」と僕に伝えてくれるのである

「ところでお兄ちゃん。サーモって呼んでも良いかな。サーナの事もサーラと呼ぶ事にするからさ。サーナの事はサーナちゃん。サーモの事をサーちゃんって呼ぶ事に決めたんだ」と伝えると サーナが「そうですか。ではサーラはお姉ちゃんの事、なんと呼びますか」とサーモが言ってくる 僕はしばらく考えて

「じゃぁ、サーヤさんでお願いできる」と言うと サーナが

「えっと、お姉さま。とかサー姉さん。の方がしっくりきませんか。私のことサーナ姉さんでいいので、お母さまの事は、お母さま。で、お母さまのお姉さまのこともサーモ姉さん。お姉さまの妹の事は、サーラ。私達の呼び方も、今まで通りにして欲しいな」

「そうだよね。うん。分かったよ。それではサーモのことを呼ぶ時はサチにする事にするよ」と伝えると サーナが喜んでいて、僕に 飛びついてきて、頭を撫でて欲しいと伝えてきたため、そっと頭をなでなでしながら感謝を伝えるのであった。それからしばらく歩いているとお花畑がありましたので休憩を取る事にしたのだけれども、僕は気になっていたことがあって「どうしてここに来るまでにモンスターと遭遇しなかったんだろう?」と疑問を感じていたんだけどサーモが説明をしてくれた それは、お兄様が空間収納庫を持っていることで空間の中にいる間は時間が経過していないから

「それは本当なのか」と驚く 僕には時間経過していないと言う意味がよくわからなかった。でもサーラやサーマの話を聞いて理解できた。

例えばサーナのポーチに物をしまうと、サーナは物を出すことができるのだが取り出し方はポーチに指で触ればいいらしい。これは僕と一緒だね でもこれを使って時間が経たないようにすればいつでも食べ物を持ち運べるのではないのか?と思い聞くことにした。

サーラによると、それは出来ない事はないけれど空間収納ができる者がいないとダメなのよ。と言う答えを聞いて納得した サーラが「でも、そんな凄い事が出来るのに記憶を失っていることをサーナとサーモは不思議に思わないのかい」と尋ねると サーナが「うーん。確かに変なのかもしれないけど、私にとってはこの生活も楽しいから全然気にならなかったわね」

サーモも「はい。お母様と一緒に過ごせるだけで幸せです」と二人は言い出してくるので「サーナとサーモが幸せなら良かった。もし何かあれば必ず俺を頼って欲しい」と言う

「わかりました」「うん」

「サーラ、私はこれからサーモと共に行動したいと思います。私達には仲間が必要だと思うのでサーモが一緒に来てくれれば嬉しいのですが」と言うとサーラは少し悩んだ後に

「僕も行きたい。けど、これからもサーナを守るためには力がいると思うんだ。だからサーラは一人で旅をしてくれないかな。僕もサーナとサーヤを守れるように強くなるつもりだからさ」と言うと、サーラは笑顔になると僕の目を見ながら「分かりました。お別れです。また、会える日まで元気でいてくださいね」

僕は涙を必死にこらえながら「もちろんだ。きっとすぐにでも会いに行くからね」と言うのであった。そしてサーヤもサーラに

「サーラ、サーナのことは任せて」と言うとサーナがサーラに近づき二人で泣き始めた。それをサーマは悲しそうな表情で見ていたのであった。僕は、サーラ達に「またな。俺は絶対に会いに戻ってくるから」と約束すると 二人も笑顔で「待っています」と言い返してくれて僕達はサーナの魔法により、再び千年前に戻る事になった。

僕はサーナ達が魔法を発動させる前に、「絶対に僕も行くから」と言い、サーナに「私とサーナとサーヤは家族なのですから無理してついて来て欲しくないです」と言われたのだけど、サーナの瞳からは悲しみの気持ちが溢れ出しているように見えたのである。僕は「分かってる。僕はもう一人じゃないから。それに、君達を守りたいと思う。そのためにもっと力をつけないといけないと思うからこそ付いていきたいと思ったんだよ」と答えると サーナとサーヤが顔を見合わせてから

「サーラは優しいですね。でもね。私だって強くなりたいですから」

と言うと、僕が「僕は優しくなんて無いんだよ。僕には力がないから大切な人を守るための力が足りないんだ。だからこそ力が欲しいんだよ」と伝えると、サーナが

「お父様なんだか前より男らしさが出て来た気がします。でもサーラの言う通り、お父様にはまだまだ力をつけてもらう必要がありますね。私もお父様に負けないよう頑張ります」と微笑む サーラとサーヤが、僕の目の前に来るとサーナとサーヤが両手を握り締めながらサーラとサーヤが僕に「私達が居なくても寂しい思いをしないで下さいね」と言われて

「大丈夫。サーナとサーヤが居ないと僕は一人ぼっちだもん」と言うと、二人から抱きしめられて

「サーナはサーラの側にいつまでも寄り添っているのですよ」と耳元で言われて サーナの顔が僕に近づくのを見てキスされた 僕は突然の出来事に驚きつつもサーナを受け止めると、僕もサーナに口付けをするのだった。

サーナと唇を重ねた後、僕とサーナは魔法陣の光が消えていく中で 見つめ合っているとサーナが「サーモ。サーナの分もしっかりお父様を守るから」というと サーモも

「はい。私も全力を持ってサーナとサーラを守っていきます」と言っていたのを聞き届けるとサーナとサーモが手を繋いで僕から離れて行くと光の中に消えたのである

僕は、二人の気配が無くなったことを寂しさを感じている中「さあ。僕も頑張らないとな」と言って気合いを入れると、まずはレベル上げをしなくてはと思いステータスを確認したのであった 名前:サーラ(年齢5歳)

Lv1 体力 1万2000 魔力 10万 攻撃 5500 防御 4600 俊敏 8800 耐性 6200 スキル 全属性魔法Lv5、アイテムボックス、鑑定、解析 僕は、

「よし。やるぞー」と気合を入れて魔物狩りを開始したのであった。そして2日ほどでかなりの経験を積むことができて一端の旅人になった感じがする それからサーラが サーラと別れた次の日に 僕達は街に着くことができたのである。しかしこの街に入るのにも結構な行列が出来ていて門の前で順番待ちしていたのだけど、僕が並んでいる場所の

「おいっ。そこの兄ちゃんよ。ここはお前みたいなガキが来るような所じゃねぇから早く立ち去れ」と言う言葉を僕は

「はっ?」とイラつきを覚えながらも我慢することにした 僕はサーモに「サーヤが言っていたけど、この世界には奴隷制度というものが存在しているんだよね」と聞くと サーラが「ええ。お兄様の世界でも奴隷制度ってあったんですか。この世界で奴隷制度は禁止されているはずなんですが、一部の貴族の間ではまだ根強く残っていて貴族以外の者がそれを行うと重罪になるみたいで 」

「そっか。ありがとう。サーヤに教えてもらった知識をサーラに伝えておくからね」

と伝えるとサー

「サーヤがそこまで言ってくれるんですか?本当に良い娘さんだなぁ」と言うので 僕は、サーラの言葉をそのまま伝えた サーナは奴隷商人に売られるところだったので、助けたのが出会いだと

「へぇ。そうなのか。あの嬢ちゃん凄いな。俺の娘は、サーラは凄いやつと友達になっているんだな」

と話している間にサーラの番

「はい。次並んでください」と兵士が声をかけると 僕は

「あっ。すみません。もういいです。行かせてください」と言うと、兵士達が驚いていたが僕は無視してその場を離れる そして、サーヤと別れてから数日経過してから僕はサーヤが居ると思われる国を目指して歩いている 途中の街で冒険者ギルドで依頼をこなす 薬草採取など簡単なものばかりではあるがそれなりにお金が貯まったため宿屋に泊まることにしたのだけれど そこで、たまたまサーナと出会ったのだ

「お姉さまお兄様はどちらに」と言うので「私は今この大陸にある大国を旅しています」と言うとサーナは

「そっか。なら安心しました」

僕はサーラにどうしてそんなことを聞くのか尋ねたら「いえ。なんでもありません」

「そろそろ私は仕事に戻りますね」

と言うので僕が「そうだね。サーナ。元気でね。また会えるよね」と確認するように聞くと

「うん。必ず会いに行きますから」と笑顔で言われたので、僕が「約束だよ」と言うと、彼女は少し悲しい表情をしながら「うん。それではね。バイバイ」と言い去っていったので、僕も別れを告げて部屋に戻ることにした 翌日 朝食を食べ終え宿をチェックアウトした後にサーラから聞いていた 大きな城に向かって歩き出したのであった。

「やっと着いた」と呟き城門を抜けようと近寄っていくと門兵らしき人物が僕を制止してきた

「何用でこちらに来た。理由を申せ」と威圧的な態度を取られたので

「旅の途中なのですが道に迷ってしまって、ここが何処なのか分からないのですが よろしければ教えていただければ嬉しいのですが」と丁寧に対応すると 門兵が慌てて「こ、こ、これは失礼致した。私は当国の将軍を務めるものである」と名乗りを上げて、

「我が城に滞在することを許可しよう。ただ怪しい動きを見せればその場で処分させて貰うが構わないか」

「は、はあ。問題ございません」

「では付いて参れ」と言うので、その後に続く

「さて、旅の目的はなんだ」と尋ねられたので僕は「実は私は記憶を失っていてですね。色々と困っているんですよ」と伝えると

「ほう。それで我が国の姫君が君の事をとても気に入ったらしくぜひ君に会いたいと言っているから会いに行ってやってくれないだろうか?」と言われたのである 僕は断る理由もなく会うことに決めると、将軍の後に続き城の最上階へと連れて行ってくれた 部屋の扉を開けると一人の美しい少女が僕を見つめてくると笑顔になり駆け寄るようにして僕の腕を取ると胸に抱き寄せるのである 僕の心臓は破裂しそうなくらいにドキドキして顔を見ると、その少女はとても可愛らしい顔をしていて思わず見とれてしまた すると、僕の胸の中で彼女が嬉しそうな笑みを見せるとその瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちてきたので戸惑ってしまった。すると彼女から 彼女の口からサーナの名前が出てきた事で僕は驚きを隠せない。なぜここにサーナの名前がと思った

「あ、あ、あ、あの、貴方はもしかして私の知り合いの方ですか」と聞かれたの僕はサーラとサーナのことを話す サーナはサーナの本名を教えるべきか悩んだのだが結局は名前だけは伝えてしまうのだった 僕は彼女にサーナの事を話した後

「えっと君はサーナとどういった関係なんだい?」と質問を投げかけた。

「えっ。サーナのことを知っているのですか」

「ああ。君の名前はサーナから聞いている。俺は君が知っているサーナの兄に当たる存在だ。サーラと呼んでくれればいいから」

と僕は伝えるとサーナがサーラの元に居たことを聞いて喜びの声を上げているサーナを見て 僕もつい微笑んでしまう。するとサーナが

「あ、あれ。おかしいですね。どうして、お母様とお父様の顔が浮かんできたんだろう。でもお兄様に抱っこされた時、なぜか懐かしく感じたんです。だから、これからも宜しくお願いします。お兄様」と言って頭を下げて来た 僕が「は、はい。わかりましたよ。お嬢様。しかし、こんな場所に長居しても迷惑だと思うから、すぐに出るよ」と言うと、サーナが

「そんなこと言わないでください。折角ここまで来たのに」

「それは申し訳ないとは思うんだけど、この国を出る時にサーヤから貰った地図の目印にこの国を選んだだけだから、目的があるわけでもないんだよ。それに僕達は旅をしている最中だし。とりあえずこの街で暫く過ごしてみることにするよ。もしかしたら、この世界のことについて調べておかないと危険かもしれないし」と伝えると、僕の言葉の意味が理解できていないようでサーナは不思議そうに見つめてくるのだった。

僕はこの街に滞在しながら冒険者としての依頼を受けつつサーラについて何か分かる情報は無いものかと考えていたのである サーナはサーラと出会っていたことが分かり 僕達はこの国に滞在する事を決めた それから一週間後サーナは街の学校に通うことになり僕はその間一人で冒険者の真似事をやっていた そんなある日僕はサーヤと再会することになる。

「お兄様~。会いたかった」と僕の姿を見つけるなり僕の元へ

「ちょ、ちょっと待って、サーヤ」と慌てて止めようとしたが遅かったようだ サーヤにタックルされ地面に倒れた僕にサーモが

「もう。サーラってば。いつもの癖で、いきなり体当たりなんてしないで下さい。お兄ちゃんびっくりするじゃない」と注意してくれたことで助かったのであった

「サーヤ。久しぶり」

僕はサーラとサーヤの区別が出来ないので、サーラから教わったサーヤと呼ぶことにしている。そうしないとサーモに

「なに言っているんだか分らないけど変なこと言うならもう会わせてあげませんよ」と言われるからだ

「うん。そうだよね。やっぱりサーサに会わないと駄目かな?」と言うと 二人は「もちろんだよー」「はい。当然ですよー。私達がこの世界に来ることができた唯一の手掛かりなんですからねー」と言われてしまい渋々サーマに会うことにしたのである ちなみにサーモについては名前を聞いた時点で予想通りだったがサーナはなんとなく気づいていたがあえて聞くようなことはしなかったのである

(お兄様が言ってくれ

「僕は君が僕の妹なのは分かっている。でも妹だと思っているわけではない。むしろ、君を妹に思えって言われたってそんな気持ちは起きやしない」

「そ、それじゃあ私は一体どういう扱いになっているの」とサーナが動揺し始めたので僕は、サーラからサーヤに関する話を聞かせてもらったのをサーナに伝えたのだった サーナは「それじゃあ私は本当にお兄様の妹って事になるんじゃ」

と困惑しながらも嬉しさを滲ませていて、僕も「サーナは可愛い妹のサーヤと再会できて良かったね」と言うと

「うん。本当に会えて嬉しい」と涙ぐむサーナは

「もう、サーヤったら泣き虫な所まで一緒で」と苦笑いを浮かべると

「だってサーヤの事を考えちゃうんだもん仕方がないでしょ」と二人とも涙目になっていたのである サーナの事が分かってから一カ月が経とうとしていたある日僕は サーヤと冒険者の依頼を終えて帰ろうとしていたのだが突然サーラが現れたのだ。そしてサーラが

「やっと見つけた。兄さん」と言って抱きしめてきて 僕は驚いていたが

「ど、どうしてここに?どうやってこの場所が分かったの?それにその姿は一体何があったんだい」と問いかける すると「えへへ。実は、私がサーナと一緒にこの世界に転移してきたときに一緒に来てくれていた精霊達の一人が付いて来てたみたいなの。その子のお陰でお兄さんの居場所を感知することができたの」と言う

「えっ。という事は君も僕の妹ということか」と伝えると「そういうこと」と言うので「そうか、なら改めてよろしくね。僕の本当の妹で妹想いの良い子に育ってよかった。僕にはもったいない子だよ。ありがとう」と言うと「いえいえ、こちらこそ、今まで守っていただいて、とても幸せでしたからお礼を言いたいのはこちらの方ですから」と言われたので二人で握手をした その後僕達はお互いの家族について語り合い楽しい時間を過ごしていた その後「そろそろ帰るからまた今度ゆっくり遊びに来てくれるかい」と言うとサーナが悲しそうな表情をして「もう行っちゃうの?」と涙目になり

「うん。僕は旅の途中でここに立ち寄ってただけなんだ。だから、もう少ししたらまた旅に出るつもりだから、サーヤにもまた近い内に会えるさ」と伝えると「わかった。寂しいけれど我慢する」と 少し無理して笑顔を作っているようにも見えたのである 僕は「ごめんね。でも、サーナが頑張って勉強した姿を見られて嬉しかったよ。これなら安心して送り出せるからさ」と言うと サーナは笑顔を見せてくれるとサーラは

「それではサーナ。元気でね」と声をかける すると「はい。頑張ります。絶対に良い結果を報告できると思いますから楽しみにしててください」と言い 笑顔を見せて手を振ってきたので「期待していますから」

「任せといて下さい。私の実力で必ず試験に合格してみせますから。お姉さまに負けません」と やる気を見せたので僕は「ああ、頼んだよ。でもあんまり根詰め過ぎないようにしなさい。サーヤが倒れでもしてしまったら元も子もないのだから。まぁサーナに限って大丈夫だとは思いたいが、僕がいない間に色々と無茶をしていたみたいだし」

と言うと「もぅ、心配性だな。私はもうあんな過ちを繰り返して後悔するような真似はしないよ。約束するよ」と言って指切りをする 僕は「ふふ。それなら安心だがあまり僕が甘え過ぎる訳にもいかないだろうから、ほどほどで帰って来るよ。僕にとってもこの国は居心地が良いから」と伝えると「そうなんだ。でも私達はいつでも歓迎するからね」

と笑顔を返してくれたのである それから三か月後 僕はサーナの合格通知を受け取り サーナと共に冒険者として世界を回る事に決めたのである サーナとの再会を果たした僕は、サーナに

「僕も冒険者になって旅をしている最中でこの国に立ち寄りたまたまこの国の学校に試験を受けに来た時に君を見かけて、僕達の知っている女の子に雰囲気が似ていると思ったんだよ」

「えっ。サーナが私の事を思い出したきっかけは私の事を見かけた事だったのですか」と聞かれたので僕は素直に

「ああ。その通りだよ。サーナの事はずっと前から知ってたよ。だから僕はサーヤのことを思い出した時すぐに、君の事も記憶の奥底から呼び起こすことが出来たんだ」と言うと

「そっか。お兄様にも覚えていて貰えて本当に嬉しい。ところでお兄様はこれからどうされるのでしょうか」と聞かれ

「僕も、サーナと同じ冒険者に成ろうと思う。そうすれば世界を見て回ることができる。僕も色々なところを見てみたいんだ。そうすれば僕達兄妹は世界を見て回り、そこで出会った人や出来事が忘れられなくなってきっと幸せな日々を送っていける。それが僕達に課せられた使命だと思うんだ。そうは思わないかい?」

「はい。確かにそうですね。私達が幸せになる為にはそうするしかないのかもしれません」

僕はそんなことを言っているうちに 僕の中で一つの考えが生まれる 僕の妹ならもっと凄い才能を持っているのではないか

「ねえサーラ。サーナは何か特別な力があるのか?」と聞いてみたがサーラは

「そんなものありませんよ。ただ、お兄ちゃんと過ごした時間が楽しすぎて忘れていただけです。この世界に来る前にあった能力は全て持っていないの」と答えるので

「なるほど。そういえばこの世界はスキルが無いんだよね。つまり君も僕も魔法や剣技が使えない。でも君の場合サーモにお願い出来るよね」と言うとサーモは「うん。サーヤにお願いされなくても私はお兄ちゃんに尽くすつもりでいるし。でも私じゃサーナにはかなわないかな」と言うとサーナは

「そ、そんな事は無いですよ。サーモちゃんもとても可愛いのでお兄様の役に立つと思います」

と焦りながらも慰めるように言うのだった

「それなら、サーラもサーモと一緒に僕のために尽くしてくれ。もちろん無理のない範囲でいいからね」と言うと サーラは

「はい。喜んで。それで、私はサーヤのようには強くなれないのでしょうか」と言うと

「うん。サーヤの強さにはサーモの魔力強化という特殊能力が大きく関わっている。それに比べたら君は普通の人間で、サーモとは比べようも無いくらい弱いんだ。それでも君にも出来ることは沢山あるよ。それに君には君の強みが確かにあるはずだ。サーナならサーヤの分身とも言えるサーモが一緒に居るし もしこの世界で生きて行くのであればいずれ自分の役割を見つける必要があるだろうけど。その時に自分なりに考えて行動してごらん。今の僕達がサーラに言えることはそれだけかな」と伝えるとサーラが

「はい。分かりましたお兄様」と納得した様子を見せていたが僕は、本当は僕が妹

「お兄様はお兄様だよ」と言われ 僕は妹に対して妹は兄という言い方をして良いか分からないのでサーヤがそう言ってくれた事がとてもありがたかったのだった サーラ達と再会した日の翌日 僕は久しぶりに学校へ行くことにする 教室に入ると 先生がやってきて

「今日から新しいクラスメイトが増えることになった。入ってきなさい」と言うとサーラとサーモが現れ、そして自己紹介をし始める すると、先生はサーナの姿を見て驚くもサーマと気づいては居なかったが、どこか懐かしさを感じたのであろう 僕が事情を説明してからサーナも自己紹介する するとサーヤとサーナは感動して抱き合っていた その後

「サーヤはもう友達ができたみたいだけどサーナ、あなたは、まずはサーヤと仲良くなって、一緒に遊んだりすることから始めて、サーヤと友達になったらサーヤとサーナで分け合って一人分の時間にしてあげましょう。そして、少しずつクラスメートと馴染んでいった方が良いかもしれないわ。だからサーヤがサーナと二人っきりの時間を楽しんでいても、邪魔はしない方がいいかもね」

と助言をするとサーナとサーナが「「はい。わかりました。お姉さまの仰せのままに従います」」と二人同時に返事をしたのだった すると

「あれっ。サーナはサーナで、サーラはサーナだよね」と質問されると二人は、

「はい。そうです」と答えていたので 僕は笑いそうになってしまったのだが、ここで笑うと不自然な感じになってしまうので必死に耐えた

「そう言えば、僕も二人の事を何て呼んだらいいんだい?一応同じ名前だし区別した方が良いのだろうか」

と僕が言うと二人が少しだけ顔を引きつらせたような気がしたので

「もしかして何か問題があるのかい」

と尋ねるとサーナが「う、うーん。それはちょっと言いにくいの」と苦笑いしていたので 僕は

「そうか、それなら、僕は君たちの事は普通の名前で呼ぶことにさせてもらうから」

とサーナが

「ありがとう。お兄様」

と言うのである その後僕はサーヤの方

「ねぇサーファさん」

と声をかける

「サーファさんは止めて欲しいなぁ。なんかサーナの事は呼び捨てにしているし、私の事も気軽にサーナと呼んでください」と言われたので僕は「分かったよ。サーナ。これからよろしくね」と返す

「はい。こちらこそ」と微笑むサーナはとても可愛かったのである その後サーナ達は僕の後ろの席に座り僕は、サーナ達の方を見ながら授業を受けることになる それから放課後までサーナ達は、ずっと僕を囲んで話をしていて 僕は、たまに声をかけられる程度で、基本的にはサーナとサーナはずっと話し込んでいて サーモと話す機会がなかったのであった ちなみにその日

「僕達は冒険者として旅に出て世界を旅するから、当分の間はこの国へ帰って来る事はないと思うから、何か用事がある場合は直接家に訪ねて来て」と言うとサーナとサーヤは寂しそうな表情を見せたので

「大丈夫。手紙を書いて渡すし、連絡を取る方法はいくらでもあるからさ。でも僕と離ればなれになると、君たちも寂しい思いを強いられる事になる。それなら、せめてサーモと一緒の時間を過ごしながら、君たち姉妹で楽しく過ごすようにしたらどうだい」と 僕はそう提案したのだ サーナ達は最初渋っていたが、結局僕の言葉に従ってくれる事に決めたらしく

「分かりました。でもサーアといっぱい楽しい事します」と二人で楽しそうに語っていたのだった 次の日の朝早く 僕と仲間たちと家族は出発の支度を済ませ

「行ってくるよ」

と言ってからサーモと一緒に転移の指輪を使い移動すると そこに待っていたのは、この国の王都に暮らすサーリアだった。彼女はこの国を治める国王の娘にしてサーナ達の母に当たる人物である。なので、サーラ達がサーナ達として生活する為の手助けをしてくれる人でもあるのである

「皆のことはお父様に頼んでおいたけど、本当に付いて来るの?」と心配されてしまったので

「僕は冒険者になって世界中を見て回ろうと決めていたんです。それが叶った今、僕は僕自身の足で歩いて見て回りたい。僕に足りない物はまだまだ沢山あると思います。それを補うために僕たちは冒険者としての修行をするつもりでいます。それがサーヤや、サーナのためにもなる事だと信じているので。だから、お願い出来ませんか」

と言うとサーナ達は揃って僕の後ろに並んで

「お願いいたします。私もお兄様と同じ道を歩んで生きていきたいのです」とお願いしてくれたので 僕はサーナ達の為に出来る限りのことを教えてくれるよう

「これからも娘をお願いしますね。あなた方が世界を巡ってどんな経験をしていくのかとても楽しみにしています」と言うとサーナ達を送り出してくれたのだった 僕が

「ねえサーシャとミーシュは何処に行きたいとかいう希望はあるのかい?」

そう尋ねると

「私はね。色々なところに行ってみたい。色々なものを食べたり、色々なものに触れ合ったりしてみたいんだ」

と言うのだった それならば、この世界の色々なところを回る為にはまずは大陸間貿易の中心地となっている町へと向かう事になった その街にはこの世界で流通されている全ての品物が揃うと言われている。そのため、色々な商品を手に入れる為に、多くの商人がその街へと訪れるらしい

「そろそろ昼ご飯にしましょうか?」

僕はサーヤに向かって話しかけると彼女も、その提案に同意してくれて この近くで食事が出来てゆっくり出来る場所に心当たりは無い

「それなら私が案内できる場所があります」とサーナが言ってくれて その場所に向かうと そこにはサーナが暮らしていた家がありそこで食事を取ることになった 家の内装は僕達が来る前にある程度整えていてくれたようですぐに座れるテーブルと椅子があった そして食事が運ばれてくると僕は料理を味わいつつ会話を楽しんだのだった。僕たちが食事を始めて直ぐにサーナから質問をされて困ってしまう事態が起きてしまったのである なぜならば、いきなり僕の隣に座っているサーシャは、僕の手を取り頬ずりし始めたからである しかも他の子達がその様子を見ているにも関わらず、そんな状況で僕の膝の上にまで乗って来たのだった。サーナはサーモと一緒に別の場所で、

「私もサーヤお姉ちゃんのところにいってくるね」と行って離れてしまい。

僕はサーナに対してサーヤと一緒にいなくても良いのかと問いかけるも、逆に「サーヤと二人っきりでいるよりも、みんなと一緒に居る方が良いの」と言われる 確かにサーナにとって一番大切な相手はサーモで、サーナとサーヤは二人で一人分の存在 なので、サーナは一人で居る時間がどうしても増えてしまう そのせいで寂しさを紛らわせるために僕と居る時間が増えて来た だからこそサーナには仲間が必要なのだが サーナのその行動は、僕ともっと仲良くなろうとしているサーナの心遣い

「そうだね。今は我慢しようか」

と僕は答えたが

「やっぱりサーヤはズルいよね」と呟いていたのだった 昼食を終えてからは、しばらく歩くことになるのだが 途中でサーナは「ちょっと疲れちゃいました」と言い出し僕の背中に乗るとそのまま寝息を立て始めてしまう 僕はサーモと共に苦笑いしながらも、目的地に到着するまでは サーナを起こさずに済むので、このまま眠らせておくことにしたのだった そうやって、僕達は目的地に着くまでの間にも、何度かモンスターと戦闘を繰り返してきた。そして僕は、その戦いの中で自分が成長をしているのを感じられたので嬉しく思う。ただその一方で僕は、サーナの事が心配になるのだった

「大丈夫ですよ。サーラさんが心配するような事は起こりません。むしろサーヤお嬢様にとってはサーラさんは命綱みたいな存在になっているはずです。だって、サーラさんが一緒に居ないとサーヤお嬢様はきっとダメになってしまいますから。でもサーナ様が一緒の場合は違います。だからご心配なさらないで下さい」とサーヤは優しく微笑みかけてくる。しかしそれでも僕はまだ納得出来ない。サーヤが言うような関係が二人の間にあるとは思えない。しかし今の所、僕とサーナは一緒に居られるのだから、しばらくは様子を見守っていくしかないだろう 僕はサーヤの優しさに甘えて 彼女にサーナのことを全てを任せることにしたのである サーナは

「あの、お兄様はどうしてそこまで頑張ろうとするのですか?普通であれば、もう十分だと思うのですが」

と不思議そうに言う それに対して

「そうかな?僕自身はまだまだ満足はしていないけれど」

と言うと

「うーん。でも、サーア達はこれから冒険者になっていくんですよね?それならもう少しだけ強くなった方が良いかもしれまえん。特にスキルの方ですね。でもお兄様なら、いずれはその力をものにすることが出来ると思うんです。サーヤ達は、お兄様が、どんなスキルを持ってるのか気になります。でも、教えて欲しいとは言えなくて、サーヤ達だけずるいと思っちゃう。だから、もしも何かしらの機会が、サーア達に与えられてサーラさんが知りたいと思ったのでしたら、どうかお願いいたします。その時にサーナ達は、サーラさんに恩返しが出来ると思いますから」

「分かったよ。もし僕がサーシャ達の役に立つ事が出来るようなスキルを持っているようなら教えることにするよ。その代わり、僕は僕の持つ全てを君たちに教えていくよ。これから僕の仲間として、君たちは僕についてきてくれるんだろう?」と聞くとサーナとサーモはお互いに見つめ合い「うん」「そうするわ」と答える それからサーナ達は僕達の冒険者としての基礎を教えてくれた サーナは僕達がこの世界に来たばかりの時に覚える事になった冒険者カードを取り出した

「まずはステータス確認からはじめよう」とサーナが

「ステータスオープン」と言ってから自分の手を胸の前で重ねてから目を閉じる。そうする事で彼女の目の前に半透明の板のようなものが現れ そこにはこう書かれていた。

**サーナ=リリエント

15才女 *種族:ヒューマン族 *レベル10/50

(0)

*ランクB(冒険者登録済み B−級冒険者パーティー所属)

*生命力 2200 魔力

「これはお父様から聞いていたのとほとんど同じだけど一応、説明すると、ここに書かれてあるように生命力はHPの最大値を表している数値でこれがゼロになると死んでしまう事を表しています。そして魔法に関しては、魔法攻撃力、魔防御力と表示されていました。そして次にスキルですが、これが表示されてました。」と サーナの持っている【鑑定】スキルではここまでのようだ。

そしてサーナとサーナ達姉妹のステータスを確認した後に、サーナ達にもそれぞれ見せてもらう。そしてその結果、僕だけが他の人に比べて異常な程の差がある事に驚かされてしまったのだった。サーナやサーモ、それにミーシュのレベルは20を超えているので当然のように高い能力値を示していた。

「さあ、それじゃお兄様の番ですよ。私達には隠さずに教えてくださいね」と言うサーヤの瞳は好奇心に満ちた子供のようだった なので

「そうだね。でも僕のステータスを見ても、絶対に怒ったりしないで欲しいんだけど。いいかい?」

「はい、分かりました。それじゃ早速どうぞ」

サーヤに促されて僕は

「わかったよ。ステータスオープン」

そう口にすると僕の前に 半透明な画面が空中に映し出されるとサーナやサーモ達と同じ様にそこに表示されている文字や数値を眺めながらサーヤの時と同じように説明を始めたのだった。

ちなみに僕が持つ能力はこんな感じになっていた

◆ 名前 :サー

「これで全部みたいだよ」と伝えるとサーナ達は僕のステータスを確認している最中で、サーナやサーヤの表情が固まってしまっているので不安になってしまう。しかしそれも仕方がない なぜならば僕自身が自分の能力を理解出来ていないのだから 僕としては【収納】やら、アイテムボックスとかの便利なスキルがあれば嬉しいと思っているのだが 実際に手に入れた能力

「ステータス開示」と呟いて、僕は改めて自分だけの情報を確認できるようになっている。

僕は試しにある単語を口にした

「ヘルプ、この世界に関しての基本的な知識が記載された資料がありますか?」

すると頭の中に情報が入ってくるのを感じた

「情報の取得に成功しました。以下の情報を取得しました。」

そうして出てきた情報は以下の内容だった。

この世界は大きく分けて6つの地域が存在しているらしい。この世界は1つの大きな大陸でその中心に位置する場所に世界の中心と呼ばれている場所がある。

この世界には人間以外の種族も住んでいる。

僕たちが元々住んでいた世界には存在しない生物もいるらしい。その代表例をあげるならドラゴンと呼ばれる生き物がこの世界の何処かに生息していると言われている。また、

「精霊種とは、エルフ族に代表されるような存在の総称であり、他にも妖精族も該当している。そして竜人種とも呼ばれる。そして亜人や獣人もこの中に入る」

「えっと、ちょっと質問があります」

と僕は手を挙げると、質問をしたサーフとサーアに向かって質問をしてみる事にした

「サーナ達は精霊を見ることが出来るって聞いた事があるけど、それは本当なのかな?僕は今まで、見たことが無いんだよ」

僕からの質問を受けたサーナは僕の目をしっかりと見て

「確かにお兄ちゃんが見ている精霊と私たちの見えている精霊とは違うかもしれない。私もサーナちゃんもサーアちゃんもみんなで違うものが見えてる。例えばお姉ちゃんと私は一緒だけど、お姉ちゃんの事は私にしか見えない。サーモさんだけは見える。サーラお姉ちゃんとサーヤちゃんと私しかお姉ちゃんのことを見たことがないの」と言う。その答えを聞いた後、僕は少しだけ考えてから「なるほど。そういう仕組みになってるんだね」と口にするのだった。

僕が考えている間サーナ達が話し始める。

「そうだよ。それで、この世界は幾つかの地域にわけられているの。お母様からは、詳しいことは聞かされていないんだけどお兄様の世界だと『国』と呼ばれていてる所になるの。この世界で一番最初に作られたのは、ここ、アトランタ大陸で次は南の大陸であるルアペシア大陸になる」と言うサーアの話を聞いて僕は納得した。僕は「つまり、この世界でも地球の歴史が参考になっているということかな。そう言えば、アスタルテも確か同じことを言っていたな」

そして僕は「ところで、君たちは何時から一緒に行動していたんだろう?やっぱり家族ぐるみの付き合いなの?」と聞いてみた サーナは笑顔で「そうなんです!お父様から言われていたんですよ。お兄様の事を助けるようにと。お兄様の力になりたいと思っていましたので。もちろんサーヤお嬢様も同じ気持ちです」と答えた その話をサーヤは微笑みながらも、どこか寂しげに僕に語ってくれるのだった。サーヤは続ける サーナと僕は2才違いでサーナは15才になったばかりだという。サーヤとサーナは双子の姉妹で、3人ともリリエント家の血を継いでいるのに何故か魔法の素質が無かった。その為にリリエント家ではほとんど見向きされない立場にあったという。そんな中でもサーナが、僕に優しくしてくれるので、サーナとサーヤにとって、僕はとても大切な存在であるらしい。

僕は、それを聞くと

「そっか、そう言ってくれるのは凄くありがたいよ。僕にとっては本当に救いだから」とサーナの優しさに感謝した。

サーナ達は嬉しそうに笑うと

「でもお兄様のお役に立てているかどうかは、これからの行動で証明していく必要があるんですよね。だから私達に任せてくださいね」と自信を持って言い切るサーナに

「ああ、頼む。それじゃ君たちにお願いだ。これから、まず、君たちの家に連れて行って欲しい」と頼んでみるとサーヤ達から「いいですよ」と言われ、サーラの家まで向かう事にしたのである。

それから移動する事、およそ30分。

サーナ達と僕は今、森の中

「うーん。ここはどこだろう」僕の言葉を受けて、サーナは首を傾げて不思議がっている。その反応を見て僕は「うーん。実は僕も分からないんだよ。ただ分かることがあるとしたら僕たちは、ここに転移してきた可能性が高い事ぐらいだろうか。」と言いつつも周囲を警戒しつつ進むことにした。僕たちが進んでいる場所は

「とりあえず、サーナ達の家に急ごう。もし僕が予想している通りなら、そこが安全なはずなんだ」と僕たちがサーナ達の住んでいる村へと急いでいた。しばらく進んでいくと僕は【解析眼】を使用して、周辺の魔物の反応を探ると近くに危険なモンスターがいる事を確信する。なので、サーナとサーモに告げる事にした

「この辺りの周辺にモンスターが潜んでいる。だから、サーヤとサーナはここから先、戦闘に参加する必要はないよ。君達は隠れているように」と指示を出すと

「わかりました。でも私達は大丈夫なんですか?」と心配そうに尋ねる サーヤに僕は「多勢相手じゃない限り問題はないと思う。それにもしもの場合のために、これを君たちに渡しておくよ」と言う。僕は自分の首に掛けてあったネックレスをサーヤとサーヤに手渡すと「お守りだよ。君達の命を守ってくれてくれるから、肌身離さず持っていて欲しい」と話すとサーナ達は、僕の指示に従う事に決めてくれたので、安心したのだった。そして、僕とサーナは気配を殺しながら進んでいった しばらくすると、大きな木が見える

「あの大き木の付近にいるはずだ。慎重に行こう」

僕が言うとサーナは緊張した様子で無言で小さく何度も首を縦に振った サーナ達を連れて僕が向かった先には、オーガやゴブリンなどの亜人

「よし、見つけたぞ。数は8体で全員、人間よりも強い。だけどサーヤとサーモ達より弱いようだ。サーヤ、サーモ。僕が合図したら、魔法を使ってあいつらを動けなくしておいて」

そうして僕が剣を構えると サーモは魔法を使う準備をする。サーヤとサーアは僕の後ろで待機していてくれた。サーナには万が一の時のためにサーヤの護衛をしてもらうことにした。そして僕はゆっくりと近づいて行く そしてついに亜人達の集団を発見する。僕は、その集団を見据えながら小声でサーモに

「いくぞ!」

「はい!分かりました」

そして次の瞬間 僕の手には炎が現れておりそれを前方に投げる。すると瞬く間に大きな火柱となり亜人たちに向かって伸びていくのだった。僕は亜人の1体を指差すと

「サーヤとサーナと僕で倒す! それ以外は任せるぞ」と言ってサーラの側を離れサーナと一緒に走り始める

「「分かった」」とサーラの声が返ってくると僕は、サーナの手を引いてサーナと手を繋ぎながら

「スキル、雷電付与」と口にする。このスキルは僕が持つスキルの中では珍しく武器にのみ使用できるスキルなのだ。そして僕は【剣術】と【闘気術】を使用し身体強化を発動させ

「行くよ」

とサーナに声をかけるとサーナは「はい」と言うと僕は一気に駆け出すのだった 僕はスキルを使用すると同時に【鑑定】で敵の動きを把握すると 僕は一瞬でサーナに襲いかかろうとしているオークに接近しサーナの前に立つと【魔纏衣】を行い全身に電気を走らせる。そして僕は【加速】を使い一気に速度を上昇させると僕の目の前に迫っていた棍棒を持ったオークの腕を切断したのだ。さらに僕の頭上から振り下ろされる斧に対しても、【風圧】を使用すれば相手の腕は切断しなくても動きを制限させる事に成功したのである。そのままの勢いを利用し、今度は背後から迫ってきている槍を持つ個体の首を切り落とし蹴り飛ばすことで

「次はどいつだ?」と言うと 他の亜人が一斉に襲いかかってきた。しかし、その行動に対してサーナが素早く動いた。僕はサーナの方へ目を向けるとサーナは既に2体の亜人を拘束した状態で僕の元に走って来ようとしていた。

「サーナ、こっちに来てくれるのかい?」

「うん。だって、サーヤちゃんが私のところにも早くって言ってたから。でもどうしたの?」と聞かれたので

「ああ、ちょっと数が多くないかなと思ってね。それでサーヤは?」と尋ねる サーナは「あっ、ごめんなさい。お姉ちゃんが危ないの。すぐに戻らないと、だから、ここで失礼します」と言うと僕は、慌てて

「待って。なら、サーナも手伝ってくれないか?サーモは少し離れたところで援護をして貰えれば十分だから」と言うと

「わっ、私がお兄様の手助け?いいんですか?やったー。私もお兄様を助けますね。それで何をすればいいんですか?教えてください」

と喜んで僕に問いかけてきた。

僕はサーラの元に戻るまでに倒して欲しい敵を 教える。サーモとサーナが合流すると、僕はサーラに近寄ろうとした亜人と、こちらに突撃してくる 数匹に向けて再び、電撃を放って動きを止めてからサーモとサーナに

「まず、サーモはこの魔法石を握り潰してから魔力を流し込んで発動してくれ」

「分かりました」と言いながらも、僕はすでに【

「サーヤも、サーモのサポートだ」

「はい。お兄様」

僕は2人から離れて

「さあかかってこい」

そうして僕は、次々に迫り来る亜人に剣で応戦していく。その間にも2匹の魔物が向かってきた。僕はそれを確認すると【風圧】と【 風壁 僕はサーナとサーモを襲おうとしていた2体に

「サーナ達はサーヤを」

僕は剣を構えて、僕たちの前に躍り出てきた ゴブリンに意識を集中させたのだった。

僕はサーナ達をサーヤの元へと走らせた。そして残りの5体が 僕と対峙する。その表情には明らかに怒りが見えていた。その顔を見ると明らかに、僕に対する敵対心を剥き出し

「うぅ、くそがー」と叫びながら突進してきた奴は僕に攻撃を仕掛けるが、僕は難なく攻撃をかわすとすれ違い様に剣を斬りつける。僕は剣を振り切った後に【瞬足】と【 】と唱えることで瞬時に移動すると別の敵に攻撃を加えたのであった。僕はそのあと3度、同じことを繰り返し全ての敵を葬ることに成功 僕が戦い終えるとそこにはすでに、サーヤ達が駆けつけていた。

僕に近づいてきたのがサーナだと分かると 僕はサーナを抱きしめる。そしてサーナは泣きそうな顔をしていた そんなサーナを見て僕は「心配をかけて、ごめんね。ありがとう」とサーナの頭を撫でると

「いいんですよ。サーナ達は家族なんだもん。助け合うのは当たり前だよ。それより大丈夫だった?」と尋ねてくる 僕は「問題はないよ。みんなのおかげで無事に終わらせることができた。サーナのおかげもあるんだよ。だから気にしないで」と言いサーヤは笑顔を浮かべてくれた

「じゃぁ帰ろうか。サーモ、サーヤ」と言うと 2人は元気に返事をしてくれた。それからは僕が先行して、魔物が現れた時に対処をしながら村へと戻ったのである。

村に着くと僕は急いでサーヤの家に急ぐ サーナ達は僕の後ろについてきている

「お邪魔するよ。サーヤ」

そう言って部屋に入るとサーヤのお母さんが

「まあま、こんな時間に子供達が、大勢連れ立って一体、なんなのでしょうか。それにその子たちはどこの子達ですかね。ここは、この村の者以外立ち入ることを禁止にしておりまして。申し訳ないのですが、すぐに立ち去って下さい」

僕は急いで【結界】で防御しながら【隠蔽】で僕達の姿を消していると 突然のことに戸惑っている様子だったが

「僕はこの村を救ってくれるようにお願いされた。

君達は知っているよね?」と言うとサーヤの母親がサーナの方を向きながら確認をしている サーモも同じように「はい。知っています。

私達は、この村を救える唯一の存在。

だからお父さまとお母さま、それと私達は、お兄さんを 信頼しています」と力強く宣言をしていた。サーヤのお母さんがサーモとサーナの話を聞き終わると僕の方に振り返る。僕は結界を解いて 姿を現す。それと同時にサーナ達も姿を見せてくれた 僕はゆっくりと口を開き話を始める。

「改めて自己紹介をするよ。僕はシン。そして後ろにいるのがサーナとサーヤそして僕の妹のサミと僕の妻となるサーヤの双子だよ。これからは、僕の仲間としてこの子達を守るつもりです」

サーヤの母親は僕の話を聞くなり

「私はサーヤの母親。名前はリリイと申します。娘や息子の命を守っていただき誠に、感謝いたします。貴方様の力は十分に存じております。貴方様が来られた時には私も一緒に行きましたからね。貴方様のことは良く分かっております。貴方は女神様ですね」と 僕は驚いたのだが、その言葉にサーモは涙を流し始めた その様子を見ていて僕はサーモに駆け寄り優しく抱きしめると サーヤが

「やっぱり、サーヤの思ってた通りだったんだ。サーヤも、ママの様子が少しおかしかったから変だなって思っていたけど、これでスッキリスッキリ」と言うので僕は苦笑いを浮かべた。そのタイミングで サーラが僕の側に来て

「シン様」と言って僕の名前を呼んだのだった。僕はサーナから離れ、僕は【鑑定 眼】を発動すると、やはり【魔人】となっていることが 分かった。しかし【神魔族】ではなく【魔人】になっていたのだ。【魔素】は取り込んでいるものの魔人になっている。僕は【聖癒】を発動して、【魔纏衣】で全身を包むと僕は、【雷電】を使用し、身体

「ごめんなさい。今は詳しく説明している時間がない。僕は今から少しだけ出かけてきます」と言うと 僕は一瞬にして姿を消すのだった。

【鑑定】で確認をした僕は【魔纏衣】で全身を包み【雷電】で身体強化を施し【身体超強化】も使用し一気に加速させると【飛行】で空を舞い、そのまま【空間跳躍】を使用すると目的地まで跳んでいくのであった。

移動を始めて数秒で僕は目的地に到着していた。目の前には洞窟があり僕は【土竜爪】を使い入口の土を取り除き、さらに奥に進むと地下に繋がる通路を発見する。そこからは慎重に進み【気配察知】を使い周囲の警戒を行いつつ

「この感じは間違いないと思う。サーナの言ったとおりだね。サーモの言うことも間違っていないようだ。サーナから聞いたサーヤの両親の会話の中に【転移】という言葉が出て来たしね。ただその魔法はもう失われたとされている。実際に僕でも使ったことはないし。

とりあえず、この先にいるであろう者達をどうにかしないとね」

僕はサーヤの言葉を思い出すと【探知地図

マップ】で現在地を確認できるかを確認してみると 【転移 ポイント1:ダンジョン】という表示がされている

「ここが、そうなのか?どうすれば使えるのだろう」と考えていると サーヤの声が頭の中で聞こえてきた。

(ごめんなさい。サーヤはスキル

「念話」を持っているんです。

それで、こうして声を伝えることが出来るんです)

と伝えてくるので、僕はサーナに感謝を伝えた

「そうなのか。凄いスキルなんだね。ありがとう」

と伝えると、嬉しさを噛み締めるような表情をして

(いいんですよ。サーヤが、こうしたいって思ったら いつでも出来

「なるほど、こうか。おっ!出来たぞ。それでどうやって、使えば良い?」

【念話】を使う時は相手の事を強く思いながら、言葉をイメージ

「わかった。試してみるよ。まずはこの先の状況を知りたいな。何かないか?」

(サーナの事を想像してください。強くですよ。それから、場所をイメージしてみてください。そこにある物が浮かんできませんか?)と伝えられた僕は早速やってみる。すると脳内に色々な情報が入り込んでくる。それによるとこの場所は現在誰も立ち入っておらず先日の亜人達がこの洞窟内を占拠しているようであり、この亜人の国?が現在進行形で作られているようで この世界にいる他の種族を

「排除してるみたいだね」

(そうなのですね。だから早く行かないとお姉ちゃんを助けに行けなくなる。急がなきゃ)と言うサーラに対して僕はある疑問を口にする。何故なら亜人に僕達のような人種はいないはずなのだが なぜこの国は存在しているのか?

「どうしてなんだ?亜人が僕と同じ人種を 作り出しているんだろうけどさ」

そう考えるが、そう簡単なものではない筈なので

(それは多分違うと思いますよ。お兄さんの ように転生している人もいますけど殆どは普通に 生活していて突然に、その体に魂が入ったみたいなのが多いので)

(それじゃあ。俺の時のように何らかの要因で記憶を持ったままの場合もあるんだろうけど。それにしても不思議な

「まあ行ってみれば分かることだよね」)

「それじゃあ。行くとするかな」僕はそういうと【飛行】と【身体強化】を使って高速移動すると、どんどん地上へと近付いていき 遂には地上へ出ることに成功した。そして僕が最初に目にした物はサーモの姿である。サーモと戦っている相手は見たところオークのように見えるのだが。

その容姿は完全に醜くい。

僕は即座に行動に移る。【結界球】を無数に発動すると結界の範囲を広げる。

それからサーナに念話で連絡を取る。

サーナは今の状況が分かっていないらしく混乱していたのだが直ぐに 落ち着きを取り戻し僕の指示に従ってくれたので安心をすることができた。

「今すぐ結界を解除するので、その隙に逃げろ。いいか絶対に立ち止まるんじゃないぞ。サーモに会えてよかった。あとでまたゆっくり話をしよう。必ず生きて帰ってこいよ」と言うと、すぐにサーナとの【リンク】を切る。そして【結界玉】の結界を解除し

「お前はここで死んでもらう。僕は優しいんだ。見逃してくれれば苦しむことなく楽に殺してやる。どうする?」と聞くと

「俺は負けん。この世界の人間全てを滅ぼしこの世界を我らのものにする。そのためには お前達のような奴らに殺されるわけにはいかない」

そう言って襲ってきた。しかし動きも力もサーモよりかなり遅いので あっさり

「死ね」と呟いてから僕は 首を切り落とし、とどめに心臓を潰してから完全に絶命させたのだった。

「ふぅ。終わったな。しかしここは一体どこなんだ」と言いつつも僕の心は既にこの場にはない。僕の目には洞窟の入り口が見えており その前には 大きな岩で塞がっているからだ。

「仕方がないので、ここから入りますかね」

と言ってから僕はその洞窟に入っていったのだった。

僕はゆっくりと進んで行き洞窟の中に入ると すぐに僕の前に3匹のゴブリンが現れて僕に向かって襲いかかってきていた。

その瞬間 僕は、【火矢】を放つ 放たれた炎の鏃は 一直線に進み先頭にいた個体を貫き焼き尽くす。

2匹目は 【土槍

「大地の杭よ貫け!」

と言うと地中から現れた無数の針が 瞬く間に全ての敵を貫く。

残りの1匹が 向かってきたが僕は その剣を抜き構えるだけで攻撃しようとしない。

1歩も動かずに、その剣で斬られるのを待っていると僕に向かい走り出してきて、そのまま僕の体を切り裂こうとしたが、その前に 僕は素早く【身体超強化】を発動して剣で斬り裂いた。

しかし僕の体は切り傷ひとつついていない。

【自動再生】の効果によって傷が回復しているからである。

ただこの効果は魔力を消費し続けながら行う必要がある。僕は、それを分かっていてわざと切られていたのだ。僕の体を傷つけようとしてきた存在を僕は許せないのだから。僕は、【

「大丈夫かい?今癒すからね。光癒」

僕は癒しの魔法を発動させて サーヤ達を回復させて サーヤの両親も癒したのだが、やはり魔人になってしまっているようだ。ただ、その見た目は普通の人族のように見えるのだが、サーヤのお母さんは

「私のことは構いませんのでサーヤだけでもどうかよろしくお願いします」と 言い残し倒れてしまう。僕は、その言葉を聞いたのと同時にサーナの 母親のところへ行き【鑑定】を使用する。やはり【魔人】となっていた。しかもサーラよりも遥かに高いレベルになっていたのだ。この強さであれば僕と同等と言える程のものだ。

それからサーラのお父さんの方にも【

「えっ!嘘だろう。なんで魔人になってるんだ。サーラ!サーラのお父さんは?」

サーヤとサーモが駆け寄って来る

「パパ!良かったぁ無事で」と言うと サーラが涙を浮かべ

「本当に助かりましたわ」と言った。しかしサーモが口を開き、

「シンさん、すみませんでした。俺がもう少し上手く立ち回れてれば 助けに来るのが遅れたから、間に合わなくなって」と言うがそれに対して僕が言うべきことは全て言ったから別に気にしていないと告げると、更に

「でもサーモを救い出してくれた事は本当です」と言ってきた。

僕はそんなやり取りを聞いていたサーナが、僕に聞いてくる

「シン様、もしかしてお兄ちゃんを助けてくださったのですか?」

と 僕は答える

「サーヤが言ったのは事実だよ。僕はサーナと別れて直ぐにサーモの居場所を確認したんだ。そしたらサーモの反応が無くてさ。だから【空間跳躍】を使用してサーモの元へ行こうとしてサーモを見つけたんだよ。

それから急いで駆けつけてみたらこの有り様なんだ。サーナから事前にサーモの両親が亜人の国を作るためにこの洞窟にいることを知らされていなかったら間に合わなかったかもね」

「ありがとうございます。それでお姉ちゃんはどこに?」と僕が質問するとサーナは、僕達が先程まで寝かされていた部屋を指し示しながら「この中にいるはずです」と答えてくれたので、

「それじゃあ、僕に任せてくれるかな?君達二人は外に出て待っていてくれると嬉しいんだけど、 いいかな?それと サーナ、君のスキルを貸してくれないか?そのほうが安全に出来るはずだからさ。頼むよ」

とサーナに言うと

「はい、私が出来ることで有れば何でも協力しますよ」

「うん。ありがと。それじゃあ。始めるよ」

「それでは私は外に」と言い残すと 二人して部屋の外へ出て行った。それから僕は サーヤから借りているスキルを使うと、

「さっきの部屋の場所に【転移】してもらいたいんだ」と指示を出して サーヤの力を借りると、サーモの気配が感じられる部屋に飛ぶことに成功した。そこには僕が思った通りの姿があった。その女性は、 【亜神の巫女】となっており、既に亜神となっていることが理解できた。サーマと似ていて、 綺麗な顔立ちをした女性で、 髪の色も同じ黒である。肌の色がサーヤやサーモと違い白いが瞳の色はサーナと同じように青い 。僕は、【亜神の神殿】を発動させる為に準備をする サーヤのお母さんを亜神の神殿で亜神の巫女にすれば良いのかと考えていたがどうなるのかが分からなかったのである。

僕は念話機能を使い

「サーナ、聞こえてる?サーマは、今すぐ この建物から離れてほしい。この洞窟からできるだけ遠くにね。そして、そこから絶対に動くんじゃないよ?分かったね」

(サーナちゃん?お姉ちゃん?急にどうしたんですか?)と 疑問をぶつけてくるが 今説明している時間は無いと判断し僕は説明を諦めることにした。そうして【空間転移】を使用し 僕は二人の場所に戻ると

「それじゃあ今から始めようと思うけど大丈夫?」と聞くと二人が揃って了承してくれた。そしてすぐに僕は作業に入る サーマの母親を亜神の祭壇へ転送するために準備を進めて行くのだが その途中で気付いたのだが、サーナのステータス欄にあるスキルの数が多すぎて

「あれ、サーヤの時は1つだったよね?」

「はい。1つのはずだったのですけど何故か増えていました」

「そうなんだね。サーナもサーヤと同じく何か特殊な力が目覚めたのかな?とにかくサーナのスキルを使わせて貰うね」

それから僕はサーナの力を【共有】し サーナからサーヤへと意識を移動させて【同調】を行う サーナに自分の力の感覚を伝えて【転移】を発動する為の【座標軸】を頭の中でイメージしてもらうのだが それが中々上手く行かなかったのだが、サーヤの協力もあってなんとか成功する。その状態で僕は【空間転移】を何度も発動し【座標軸】に

「この場所で」という記憶と、「ここで」と言う記憶を埋め込む。そうして、ようやく僕は【空間転移】を使えるようにはなったが魔力が凄まじく持っていかれる そして、僕は、【結界球】に貯めたMPを【結界球】に付与して結界を発動する。【空間転移】を発動する前に結界を発動させることで 僕達は、この建物の中の空間ごと切り取り移動することが出来るようになっている。

そして僕達の体は一瞬にして別の場所へ移動をしたのである。その場所こそがこのダンジョンの奥深くに存在する大広間であった。この場に辿り着けたのは この大空洞で暴れ回っていた魔人を始末したのが良かったのであろう 。この奥には亜神が

「ここはどこなのでしょうか?」と不思議に思い 声をかけてきた

「えっと僕はサーモをこの世界に連れてきた張本人ですよ。

ここなら落ち着いて話がしやすいのでここに来させてもらったんですよ」と伝える サーヤはサーマを連れて少し離れた安全な場所で待機している状態になっている。

サーナは僕と繋がっている状態にあるため いつでもこちらに戻ってこれる状況なのだが 僕達3人は、サーヤの【転移】により 僕達が最初に出会った 大

「あなたがシン様ですね。娘を助けていただき感謝致します」といきなりサーラの母親が話しかけてきて 僕の事を見て微笑みかけてきたのだ。

サーラの母親は僕が予想していたよりも若く見えたのは確かだ。見た目年齢は20歳前後に見えている。それにしても なんで僕の事をこんなに嬉しそうな笑顔で見つめるんだろうか と思いながらも「はい。僕の名前はシンと言います」

と言うと、すぐに「サーヤは元気かしら?」と言うのでサーラを見ると 僕の方をじっと見ており

「えっ?えっ?サーヤちゃんとどういう関係なのですか?」と困惑しているサーナの頭をサーモが ぽんと叩き

「こっちでサーヤに会ってからのお楽しみ」と笑いながら言ってきたのでサーモと二人で苦笑してしまった。僕はサーナの頭に手をやり

「心配しなくても僕はサーヤとサーモの味方だよ。だから安心して欲しいんだ。サーナも今は色々と混乱しているとは思うんだけどさ。まずはサーナの家族を助けたことを先に言わせてもらうね。サーモとサーヤが無事だったことも一緒にね。

サーヤと別れてから、ずっと君の家族を探していたんだ。サーナからは聞いていたんだけど、このダンジョンの中にサーナの両親と妹がいるとは聞いていたんだ。それで僕は【 僕の言葉を聞いて、 僕はサーナのお母さんに向かって 【 【鑑定】

【鑑定】の結果を見る限りではこの人の職業が変わっていることに間違いはなさそうだ。

「サーナ、この人が君の母さんで良いのかな?」

「うん、その人です」と

「初めまして、私がこの子達の母親です。よろしくお願いします。それでこの子は私の実の娘ではないのですが、この子に私達姉妹を助けてくれた恩があるものですので、出来ればこの子と仲良くしてやって欲しいと思っている次第でございますがどうでしょう?」と僕に対して聞いてくるので サーナは、まだサーマと抱き合ったままの状態であり その体勢のまま僕を見上げて来るのでサーナは、 恥ずかしがっているのか、 その頬は朱に染まって見える

「はい。もちろんです」と答えると 僕とサーナの母親との間で視線による会話が行われた気がしたが、きっと錯覚だろうと自分に言い聞かせることにした。それから僕はサーナの

「ところで、さっきサーヤがサーモの事が気になっていたみたいなんだけどさ。実は、僕達がこの世界に転移する際にサーモだけ置き去りにした状態にしたんだ」と その事実を伝えることにした。サーモはその事実を知ってショックを受けていたようだったが、サーナとサーモの母親とのやり取りが有ったお陰で、その事実を受け入れることが出来るだけの心構えが出来ていたのでサーナと一緒に受け入れることが出来ていた。それからしばらくしてサーモが、僕達に話しかけてきた

「シン様と それからサーヤちゃんも本当に助けに来てくれたんだね。俺なんかの為にごめんな」と言ってきて

「謝るのは僕じゃないでしょ?」

僕はサーマの方を指差して言う

「ははは。そうだな。ありがとな。姉ちゃん」サーモは サーマの方を振り向きながら サーマはサーモの顔を見ながら 二人は暫くの間見詰め合いを続けていた それから お互いに泣き始めたと思ったら 二人は強く抱きしめあいながら号泣を始めてしまった

「うぇーん。良かったよ。サーマちゃん。

生きていて本当によかった」とサーヤの口から発せられたのは、 そんな台詞 僕は、それをみて涙が溢れてきてしまい、そのせいなのか【同調】の効果かはわからないがサーナの体を借りて【共有】を使ってサーヤが泣いている感情まで僕が感じ取ることができた。

僕と

「もう大丈夫。お母ちゃん。お父ちゃんが待っているところに行かないと、ね」とサーナに優しく声を掛けられて サーナの母親は自分の手を見たあとにサーナの手を取ると

「うん。ありがとうね。お兄さん」とサーナの母親から言われてサーナとサーマの親子が二人してこちらを向いて お辞儀をしてきた 僕は、二人に頭を上げてもらい、そして二人にこれからのことを話すために二人を呼びに行く

「サーナとサーマに二人には話したいことがあるんだ」

「話たいことですか?」

「あぁ。その話は、ここから脱出した後にでも話すつもりだけどさ。今から脱出する為に転移の魔法を発動しようと思ってるんだ。だからサーナにも協力して欲しいんだ」

「分かりました。私でお役に立てるならば」と 言ってきてくれるが、僕は

「あはは。違うんだよ。別に僕はサーナに何かをしてもらおうとか思っていないよ。転移を発動させるために必要なものがあるから手伝って貰うだけだよ」と言うと サーナはホッとした表情を浮かべ

「良かった。何もできないかと思いましたよ。それで私は何をしたらいいのでしょうか?」と僕が

「サーナにやってもらうことは簡単だよ。僕の後ろに立って目を閉じていて欲しい。それだけでいい」と伝えた 僕は、 【空間収納】の中にある魔石を使い、 【

「はい。そうさせて頂くつもりです。それで準備が整いましたので目を閉じるのですね?」と聞かれたので

「うん。そうしたら、サーモとサーナが抱き合っている姿を想像しながら待っていてくれ」

「分かりましました」とサーナに言われたとおり

「姉ちゃ~ん」「ううう。サーマちゃん。怖かった」と言っている 二人の姿を強くイメージしてから【転移】を 発動した。そして【結界球】を発動させ 僕は【

「シン様、ありがとうございます。あの子達は生きているんですね。それでは私達を早くお父さん達のところに連れて行ってください。そうしないとお父さん達が」とサーヤの母親は

「分かった」僕は、【空間転移】を発動し、三人を僕の家に飛ばした。そして【転移球】を起動し【転移球】をこの場へと移動させた。そして【結界球】を解除した。そしてサーナの母親を

「サーヤ、ちょっとサーナのこと頼むわ」と言うと

「はい。任せてください」と笑顔を向けてきた。サーナの母親も僕に向かって笑みを見せて

「娘と息子を助けていただき本当になんとお礼を言えば良いのでしょうか。

それから、こんなことを言うのはなんだけどサーナの事を頼みます。あの子はあなた達のことを本当に大切に思っているはずなの。私のせいでこんな目に遭わせてしまっているから、私がこんな事を言える立場ではないんだけど」と言いながら深々と僕に頭をさげてきた。

「ははは。気にしなくて良いですよ。僕の方こそ色々とサーナにはお世話になっていますし、それに、サーナも僕の事を大切に思ってくれていますしね。

僕達には色々と事情があるのであまり深いことは言えないけど。

「シンさん。私、あなた達とは仲良くなれそうな気がする。もしよろしければ私も連れていってはもらえないかしら?私には行くところがないの」と言われたので 僕は「ははは。もちろん歓迎します。それにサーナのことも助けてあげてくれませんか?サーヤと同じような気持ちを抱いているかもしれないんで。それに僕の家族がこの世界に来た時も受け入れて欲しいと思っているんですよ」と サーヤと似たようなことを言ってくる。

僕は、この人も見た目通りの年齢ではないようだと悟った

「もちろんです。家族が増えることは嬉しいです。それにサーヤも家族が増えますし」と言ってくる

「えっ?」サーヤの母親が驚きの表情で僕を見つめてくるが

「はは。サーヤは、僕の妻になるって決めたみたいなんで。僕は、そういう関係になれたら良いと思ってます」と言うとサーヤの母親の目が細くなったのは気のせいだろうか。なんにせよ僕は少し怖いなと思っていた。

それからサーヤの母親と二人で話をしている時にサーナの母親が言っていた言葉を思い出す。「サーナとサーマが無事だったことをまずは伝えないと。サーヤと別れてからの経緯を話したりしないといけないので」

サーナが「私の事は大丈夫ですから」と言っていたので、まずは3人をサーヤの母親と共に僕の家へと送った。それからすぐにサーナも送っていくと伝えると、「お願い」と返ってきた

「じゃあ行くわね。また後で」と言ってサーヤは、サーマと母親と手を繋いでいた。サーヤの母親は微笑ましいものを見るような目で二人と手を繋ぎ合っていた。

僕が先に転移してサーラの家のリビングの椅子に座って待つことにした しばらくして

「お帰りなさい」とサーナが嬉しそうに僕を迎えてくれた。僕の隣で、その様子で見ていたサーモが「シンさん、姉ちゃんを助けに来てくれた上に俺まで助けてくれたので本当にありがたい」と感謝の言葉を伝えてきて サーナと僕はお互いにサーモの身体に視線を向けたあと

「どう致しまして」と 僕は言いながら右手を出すと

「あっ!そうか、握手か」と言ってサーモも 僕の手を握ってきた。それから僕達の間での視線による会話が行われる事になったのだか僕はそれを気にせずに会話を進めていく事にした。

それからサーナからこの家に居る経緯を聞きながら僕は、サーモにサーナとの出会いを話すのであった。

*

* * *

私は、お母さんからサーヤと離ればならなくなった時の話を聞くと

「お兄さんは凄いなぁ。たった一人だけでそんなに多くの魔物を倒してここまで来たなんて」と感心しながら お兄さんと、そのサーナという女性に会える日を楽しみに思うようになっていた それからお兄さんが 俺

「俺の名前はシン っていうんだよろしくな」と言った後に続けて姉ちゃんが「妹の名前と姉の名前はサーニャっていうの。改めて助けに来てくれてありがとうございました。それと私のことはお義母様と呼んでくれると嬉しいかな?」といってくれた 俺は姉ちゃんと一緒に暮らしていたサーマと母ちゃんのことを思い出して泣いてしまった。母ちゃんは、きっと死んでると思うから姉ちゃんだけでも生きていて良かったと思った でも母ちゃんが死んだ原因の一つを作った父ちゃんは嫌いだから許すわけにいかないけど

「サーマちゃん」と姉ちゃんに呼ばれても返事が出来なかった すると母ちゃんは、そんな俺を抱きしめながら サーマちゃん

「私と一緒に暮らさない?」と言われてしまった 母ちゃんに抱きしめられて泣いているときに言われたからか、その言葉をすんなり受け入れることが出来た

「はい」と言うことができた。母ちゃんはそんな俺の様子を見ながら頭を撫でてくれる お兄さんの方は、なんかサーナちゃんに怒られてて、母ちゃんの方はお姉ちゃんの方と話してるみたいだ それから暫くしてからお兄さんは、サーナお姉ちゃんを連れて帰ってきていた。それから母ちゃんが

「サーマちゃん、貴方のお母さんを一緒に迎えに行きましょうね」と優しく声をかけていて サーマちゃん

「うん。わかった」と素直に言うことが出来ていて偉かった。

お兄さんの方には「サーモ」と呼ばれて、サーナはお兄さんを名前で呼ぶようになったらしい サーマちゃんも「お兄ちゃん」「シンさん」と呼ぶようになり仲が良い姉妹のようにみえてきた。そして二人は、まるで長年離れていた姉妹のような感じにも見えてきた。

でもサーナお姉ちゃんが「サーモちゃん、もうすぐご飯ができるから手伝って」とサーアがいうと

「サーナは、まだここに居られるのか?」と聞くと

「えっと」と困っていると、サーヤが

「サーナ、お腹空いたの?」と聞いた サーナは

「うん」と答えた。俺は、その様子をみて

「母ちゃん、料理作るのに邪魔にならないようにこの子を洗面所に連れて行くからその間に、母ちゃんがサーナのお手伝いをしてくれないか?」と言うとサーヤは「わかりました。サーナのこと、任せて下さい」と答えてくれる。

サーナは、何かを言いたそうにしてるがサーヤはサーナの手を掴んでそのまま歩いて行き 俺はそれについていく形で歩き始めた。

サーナを風呂に連れて行ってから、俺はサーヤに話しかけた サーヤ

「サーナの事を頼むな」

サーヤ

「はい」と答えるとサーナの手を引いてお皿を運ぶ手伝いをしていた 俺は、それを確認するとお風呂に向かう サーマちゃんを洗い終えると、サーシャもお湯に入ってきて、 サーナちゃんも入ってきたんだけど。サーナはなぜか顔を真っ赤にさせていて 私も思わず顔赤くしてしまったけど、私達の様子を見て、さらに顔を赤くしていたサーマだけど。サーマの髪をシャンプーで泡立て

「目に入ったら危ないから目を瞑って」と言って洗っていく そしてシャワーで流し終わって、私達は3人で湯船に浸かり そして 私

「あの子達、幸せになって欲しいよね」と言うと サーナ「はい」

サーヤ「そうだね」と二人の声が重なった。

そしてサーナの顔が赤いままだった。

私が「どうしたの?大丈夫?のぼせたのかな?」と言うと慌てて出て行ってしまった。何で?と思っているとサーヤは笑みを浮かべて私達の様子を楽しそうに見ていた それからしばらくしてサーナとお兄さんが来たから、今度は4人揃って晩御飯を食べに行くことになったんだけど。

「サーナと一緒」と言うと、嬉しそうにしていました。サーナに抱っこされているサーマはとても嬉しそうな笑みを浮かべています。

「さっきお風呂で何を話してたの?」とお兄さんが聞いてくるので「内緒」とサーヤが答えると私もサーヤも、サーナも笑顔になっていました。私とサーヤが二人で並んで歩く姿を見た時に、少し驚いた表情を見せる。サーヤがお姫様みたいで、サーナの髪色や瞳の色は、銀色で私とは少し違うけど似ている部分が多いし。私達が並んだ姿が鏡で写っているように見えたからだと思っておくことにする 私はサー

「サーナちゃんの好きなものを選んで」と言って、サーナは遠慮しまくっていたけど、何とかサーナを説得して、それから、私はメニューの中からお寿司セットを選んだ ちなみにサーナが選んだのは、オムライスにサラダ、フルーツポンチにコーンスープでした。どれも美味しそうだったから頼んでみたのです。お兄さんも同じものを頼んで、それからみんなで分け合って食べていく そのあとでサーナちゃんが「こんなおいしいものが食べられるの初めて」と言うと。私とサーヤは「良かった。これからも毎日食べたくなればいつでも来てください」と言う サーナ「いいの?」と不安そうにしているから 私「はい。だってここはサーナちゃんの家でもあるんですから。」と 私は、この家に引っ越してきたときに言った言葉を伝えるのでした。

「ねぇシン君」私は彼に話しかける。その声で彼は私の方を向き

「なに?マレットさん」

マレットさんか、この家に住むのであればサーナって呼んだ方がいいかも。

マネット=サーヤ

「サーナって呼んでくれてもいいのよ」と言ってみると、彼は照れくさそうにしながら「じゃあ、俺の事もシンで」と返してきた マ

「そういえばシン君はサーモって子にどんなスキルをあげたの?」気になっていたので聞いちゃうことにした。

シン「えっとね【鑑定】と、その上位版の【ステータス隠蔽(ハイプロテクト)】と 【全能力値向上化】と【魔法力上昇強化 極大級】と、あとは【超成長補正 極大】と後は【獲得経験値増大】と、最後に、その上位版でレベルが上がる度にステータスが2倍に上がって行くの」と答えた。

「凄すぎだよぉ。そんな凄いものをあげれるなんて」と驚いてしまう。

マ「それでどれが良かったかな?」と尋ねると シ「えっとね、一番最後のは本当に必要なのか分からないんだよ。レベルを上げる為には経験を積んで行くのが早いから」と言うの

「でも必要無いのに貰っても仕方ないし」と言い訳をする彼 それから暫くして、お兄さんがトイレに立った後に、サーナにサーモの事を聞いてみる事にする。サーナから話を聞きたいと思っていたので

「サーナ」と声をかける。すると

「なに?」と言って首を傾げる仕草がとても可愛い

「サーモちゃんと仲良しさんだね。一緒に暮らし始めて、まだ数日だっていうのに」と微笑ましい気持ちで言うと

「はい」と返事をしたサーナ

「サーモのこと好き?」と聞くと、サーナちゃんが、いきなり顔が真っ赤になるのをみて、これは

「もしかして、サーモのこと好きで一緒にいるとか」と聞くと、慌てて否定しているサーナちゃんだけど、でも マ「もしかなくても、やっぱりそうなんだね。でも安心して。お兄ちゃんと、そのサーモちゃんとの仲は認めますから。」と伝えてみると サーナ「えっ!なんで?」と驚くのをみて。サーナちゃんもお兄さんの事が好きだということが分かったの

「ふふふ、サーナは分かりやすいの」と教えてくれたから、お姉ちゃんとしてアドバイスをしてあげることにしました。まず サーナが、お兄さんの事をサーモちゃんと言わなくなったらサーナがお兄さん

「お兄ちゃん」と呼んでいるのが分かるはずだと思うから マ「頑張ってサーマを名前呼びにしてあげようね。お姉ちゃんからのお願 いで応援しちゃおうかなって」と教えると

「うん」と答えてくれた。それから暫くは他愛もない話で盛り上がった サーヤとマネットさんと話をして、それから暫くすると兄ちゃんの様子がおかしかったから話しかけて見たら 俺とサーモの関係について話をしていたみたいだ。

俺のスキルのこととかね サーナにサーモを頼むと言ったんだけど 何故か、お兄ちゃんって呼ばれていたけど気にしないようにしていた。それからマネットさんにも、お兄ちゃんと呼ばれる事になったんだけど。

「お兄ちゃん」って呼ぶから、マネットさんの頭を撫でながら、お姉ちゃんと呼ぶ様にお願いしたら「しょうがないな」と言いながらも了承してくれたのであった。それからマネットさんにも質問されたことだしサーモと仲良く出来てるかを確認すると 恥ずかしそうにしながらも答えてくれるサーナを見て、俺は

「サーナ、サーモとの生活楽しいか?」と聞いた

「うん。サーナのお母さんと一緒に暮らした時よりも、ずっと楽しい」と満面の笑みをこちらに向けてきてくれるサーナ。俺はサーナに抱きついてしまう。それを嫌がらず受け止めてくれるサーナに甘えて、もう少しだけ抱きしめさせて貰った そして俺はサーナから、母ちゃんと暮らしていた頃は楽しくなかったのかという

「えっとね。ママと暮らす時は、楽しかったよ。けどね。私に優しくしてくれるのは ママだけで他の人は私に冷たい目を向けてくるだけだったから。」

サーナ「だから私にとってお兄ちゃんは初めてなの。優しくしてくれて 私を妹のように可愛がってくれるから」と言ってくれた

「ありがとう。」と答えると、嬉しそうにしている。

「あっ」何かを思い付いたようでサーナ「お兄ちゃん」と呼んできた。

「なんだ?」と答えると

「あのね、サーナ、サーナのお母さんに挨拶したいの」と言われて どうしようかと考えているうちに

「今から会いに行っても大丈夫でしょうか?」と真剣に言ってきたので

「いいけど」と言ってしまったのだった。そうしたら、サーナは、すぐに出かけてしまった それから30分くらい経ったころだろうか。突然ドアが開き「失礼します」と言って 一人の女性が部屋に入ってきた。

その女性の姿は、どこかで見覚えがある様な気がするが、俺は思い出すことができなかった。

女性は、部屋に入るなり、俺の目の前まで来ると俺の手を掴み、涙を流し始めたのだ 俺は慌ててどうしたのか尋ねようとした時に、「あなた様のことは娘より聞いておりました。ですが まさか本当に生きているとは思いもしませんでした。

この世界に来てくれていたことに感謝申し上げます」と深々と頭を下げて来たのである。

サーマちゃんは、マレットさん

「どうしたんです?」と話しかける マ

「いやー。さっきの話のサーナの本当の母親に、どうしても話しておきたかった事があってさ。それで来たんだけど、 その人がサーナの母親でサーヤとサーナが探してる人らしいんだけど」と説明 サ「そうなんですね。」と言って納得した様子のサーマ。それから暫くしてから

「私はサーナちゃんに、お母様って言われるけど、本当は違う人」と説明していくのであった。

「サーナちゃんにお母様って呼ばれるけど。実は私は違う人の生まれ変わり」と説明した マ「サーマの本当の母親は、違うってことですか?」と言うと サーナ「違う」と短く返事をするサーナ マ「それなら、お兄ちゃんとはどんな関係なのかしら?」と言うと サーナ「私の実の兄。サーラお兄様。でもサーナには記憶が無いから知らないの。」と言うと サーナ「サーナ、サーモお姉ちゃんに会いたい。でも会えないの」

サーヤはサーナの言葉を聞いた瞬間「サーナはサーモちゃんに会う資格があるから これからも頑張ろうね」とサーナを励ますのでした。

その後で私はマノン

「でも今は会えるようにがんばろっね。私も一緒にいるから一緒に行こうね」と言ってあげたのです サーモを探したいと言っていたのですが。やはり無理なのです。私に出来る事は限られているのです でも私が側にいて守ってあげられる間は、なるべく一緒でいようと決めているのでした。

私はサーヤと別れてから暫くの間はサーナちゃんと手を繋ぎ街の中を歩いて行くことにしました そうしている間にマネットさんとも話すことができたのです 彼女は私のことを「お母さんって言って良いわよ」と言うのでありがたくそうさせてもらうことにしたので

「よろしくお願いいたします。お母さま」と言ってしまい。

「まあ可愛いのね」とおっしゃっていただいた。そしてお母様には

「サーマちゃんのお母さんって誰?」と聞くと、ちょっと悲しそうな顔をされてしまったので、 余計なこと聞かなかった方が良かったかな?と思った。

お父様に「サーマちゃんの本当の持ち主」について尋ねたいところだったが。

「その件は忘れなさい」と言われたため聞くことが出来なくなっていましたが、いずれ聞く必要があるかもしれないので、頭の片隅において置くことにするのでした そしてマノンは冒険者ギルドに向かい登録を行いお金を受け取るのだが。その時に

「あなたが噂の聖騎士さんですね」と話しかけられてしまいました そして、この方も私のことを知っているような口ぶりだったのですが、一体どういう事でしょうかと思いつつ、少し会話を行うことになりました。そこで聞いた内容では この街でも色々と情報が集まって来ており。サーモという女の子の情報については把握されているという事でしたので、私から話を聞き出そうとしてくるという感じではありませんが、ただ単純に気になったといった風なお話でしたから 話せる内容は話してみたのであるが。サーモ

「そんなことがあったなんてね」と言いつつも サ「私は幸せだよ。サーマは、お兄ちゃんと居られて幸せなのだから 心配しないでほしいな」と言われてしまって「分かった」としか言えないのであった。

そして、それから数日の間に色々なことがあり、今日もまた冒険者活動に励むために出かけていったのだが 今回はいつもと違いお嬢さんを連れての冒険となっているのであった。

お姉さんに話しかけて見る。お姉さんはとても優しそうな顔立ちをしており美人であると言えると思うのだが その見た目に騙されてはいけない。何しろあのマネットさんの妹さんであるから そう考えるとお姉さんも結構強敵だといえるかもしれないなと思うのであった

「えっと初めましてサーモです。お姉さんも僕と仲良くして貰えたら嬉しいなって思います。

それと、もしお時間あるようであればお姉さんにもお話を伺わせていただきたいと思っちゃったりしています」と言ってみると マネットさんに「サーモちゃん。あまり、サーナを困らせないの。ごめんね。」と言われる

「はい。」と返しておいたが、内心は凄く焦っている。何故ならサーナちゃんはお姉ちゃんの事が大好きなのは間違いないし、 しかもお姉ちゃんの方も、妹であるサーナちゃんの事が好きで好きでしょうがないというのは 誰が見てもわかるだろう。だから、このままだと

「サーモちゃん。私のこともママって呼んで良いのよ」と言ってくるのではないかと予想していたからだ。

だけど僕の予想とは反し マネットさんから、いきなり

「サーヤ。貴方にお客さんよ。どうもサーナの知り合いみたいなんだけど」と言い出した。

サーナちゃんが嬉しそうにしていたから僕は

「サーナちゃんのお姉ちゃんのお友達?」と言ってしまった。するとサーナちゃんは

「サーナの本当のお母さんが、サーヤっていうの。だからサーナはお兄ちゃんの娘になるんだよ」

と衝撃的な事実を言われてしまった。

えっ!じゃあサーナちゃんの本当のお母さんのお母さんがサー

「お母さん」と呼ぶ事に決めたみたい そう考えている間にも、お義母さんの方は「どうしたのサーシャ?」と話しかけていた。どうやらサーザお母さんをお母さんと呼んだようだ。それで 僕がサーモと名乗ってからしばらくしたら「お母さんに用があるんです」と言われた。

どうしたものかと思っているとサーナちゃんから「お母さんと仲良くしたいのなら。サーモが協力してあげれば、うまくいきますよ」

とアドバイスされたので。サーモちゃんの背中を押してあげた。そうしたらいつに無く緊張した様子になり サーナちゃんが「どうしたの?」と言う

「うん。ママ。お話ししたいことが」と言ったところで私は、サーマに耳打ちをして

「今よ。頑張って!」と言って応援したのだった。そうしたら「うん」と言って

「お母様」と呼びかけたのだ サーマのお母さんである。お母さんが、サーマの呼びかけに答えようとした所で お兄ちゃんに呼ばれてお母さんから離されちゃった。

「ママ」と言ってサーマも一緒に行ってしまったから

「どうしようか?」と思っていたら、サーナのお母さんも

「あの子が本当にサーナの子供なら」と考え込んでしまい「あの子に確認を取らないと」と言うのであった。

私はサーラお兄ちゃんと手を繋いで街の中をお散歩しながら、サーラお

「どうした?」と言われてしまったので、サーナがサーモのことを「本当の母親の可能性がある人」として探していたことを話すと「ふむ。」といってから考え込むサーラお兄ちゃんの姿があった。そして暫く考えてから「それなら直接会えば分かることなんだが」と言っていたのである。それを聞いて私が

「でもサーナが「サーモちゃんに会いたい。」って言うから会いに行ったのに」と答えると

「サーマちゃん。それだと意味が無い。まずは会ってからでないと分からない。

それで会う約束を取り付けてきたのか?と聞いてきたので

「まだ何も聞いてない。でもきっと会えると思う」と答えたのでした

「サーナちゃんと、これから街に出て見回りに行ってきます」と言って私はサーマと一緒に外に出て行くと、そこに待っていたのはなんと、私の元お母さんと、サーナちゃんの本当お母さんと、サーナちゃんが、何故か勢揃いで私達を待ってくれていたのであった。私は、とりあえずサーナに聞いてみた サ「私と、サーヤちゃんってどんな関係なの?」

そう聞かれたので私は「私のお母様だよ。本当の」と言うと、サーマちゃんは「違うの。」と言い出すのだ

「えっ。でも、お母さんは私を生んでくれたのに」

サ「お母さんじゃないもん。サーモは私の実の母。お母さんは私達の育ての親。

私の本当のお母さんは、私を産み落とした時に亡くなったの」とサーナちゃんは悲しい過去をさらけ出してくれた そして、「でも、もう1人のお母様もいるの。その人は、今の本当の母親よりもずっと前に死んでしまっているから。

今は私にとってはサーモが実の母親なの」と言われた サーナちゃんの言葉で「やっぱり、この人が、私の実のお母さんなのか」と確信した

「ありがとう。サーマ」と言って抱き締めてあげると。嬉しそうな表情をしていた 私が「これからも、一緒に居られるといいね。私も出来る限り一緒にいるつもりだし」と伝えると「嬉しいけど大丈夫かな?お母さんは、サーマより強いから心配だよ。だって、お母さんって本当は聖騎士だものね」と言って来たため「うんそうだね」と言って私は笑ってしまうのであった。

それからしばらくして、サーマは「そろそろ時間だよね」と言い出して帰ろうと言って来ました。なので私は「お母様によろしく言っておいてくださいね」と伝えてその場は別れることにしたのです。それから私はお兄ちゃんと一緒にギルドに向かったのです。それから受付の女性

「あら?あなたサーモさんですね?」と言われたため「はい。そうですが?」と言い返すと

「ちょっと奥まで来て貰います。あと冒険者の方にお聞きいたいのですが。あなたサーモという名前なんですよね?」と質問されたため肯定してみる そうして連れてこられたのは何だか物々しい雰囲気の部屋でそこには何時も私の相手をしてくれる女性が座っており「そこの椅子に座ってください」と言われたため指示通りにするのであった そして

「では単刀直入に言います。あなたサーナさんとサーナさんの父親ですね?」と尋ねられました その問いかけに僕はこう返答しました。

「いえ違いますよ。」と。しかしそんな事はお構い無しと言わんばかりに話を続けられます

「嘘をつかないで下さい。サーモという名前はサーマちゃんの母親がつけたのは調べがついているんですから」と言われてしまいました だから「それは僕の事ですよ。僕は彼女の息子なんですから」と言うと彼女は

「やはり貴方は私の娘の夫だった男なんですね。どうしてそんな事をしたんです?」と言われてしまって、どうしたものかなと考えていたらサーヤお義母さんと

「何を話しているのですか?サーラさんを困らせるような真似をしたんですか!?貴方達は一体誰に喧嘩を売ってると思ってらっしゃるんですか!」と言われてしまいましたが僕としてもここで引くわけにはいかない理由があるため反論します さて何と言えばいいのか、悩んでいる間に彼女が先に口を開いたのであった どうやら俺も知らない事情があるみたいだ。俺は話せる範囲でしか話さないように心掛けて説明

「つまり。僕の娘に手を出そうとしたので、ついやりすぎちゃった。ということにしておきます」と言っておいた。

そして最後に

「そういう訳で、僕はもう帰る事にします。これ以上は僕にも限界があるので。また後日伺う事にしますね」とだけ残してその場を去ったのである。すると後ろの方で、あの受付嬢さんがサーマの義理のお母さんに向かって 何か文句のような事を言っている声が聞こえたがサーマが「気にしないで良いよ」と言ったので そのまま放置したのだった。それからしばらく歩いているうちに サーナちゃんのお父さんであるあの男性に出会った どうしたものかと思ったのだが「娘を助けてくれたようで。ありがとう」とお礼を述べてくれて。更に、どうやったのかと聞かれ

「企業秘密で教えません。」と言うと苦笑いをされて サーナちゃんのところに連れて行って欲しいというので。連れて行くことにしたのであった。そして サーナちゃんに会わせるなり「どうも、初めまして。サーラと言います」と名乗った。

サーラさんを見て、すぐに反応したのはなんと僕の母である。母さんは母さんを見るなり泣きながら抱き着いて

「久しぶり」と言い出したのだ。それを見て僕は思わず

「えっ?どういう事?」と言うと、母は「私も、あなたの母の1人だったみたい。」と言うのである どう言う事なのか分からない僕は母に「どういう意味なの?」と尋ねたら 母が「どうやら、私達の魂の一部があの子と融合していたみたいで、それで記憶に違和感があったみたいなの」と言うのだ それを聞いた父は母に話しかけてきたので、父さんと母は話し始めてしまった

「それにしても、君とは随分会っていなかったが。どうしたんだ。突然消えたりして」と尋ねるのに対し「ごめんなさい」と一言言った後に、母は自分が消えてしまう直前について話し出していた それを見ていた私は2人

「ねぇお兄ちゃん」「なんだ?ってかサーナちゃん?口調戻ってるぞ」と言ったものの、 別に直す必要性が無いから、私はお兄ちゃんにサーシャの時の癖が出るのを許しているから問題無い。

それより私はお兄ちゃんが、お兄ちゃんのままで良かったと思う。でもねサーシャって呼ばれる度に胸がきゅっと締まる感覚に襲われてる。多分サーマの記憶が流れ込んで来ちゃった影響だろうけど、今はそれ所じゃ無いわね 私がそう思っている内にサーナがサーラのお母さんに抱き着く光景を目の当たりにしたので私は羨ましいと思いながらも見ていると どうも

「母」と呼ばれた事が嬉しかったらしいが母と父は会話を始めたらしく。それから暫くしたらサーマちゃんは帰って行くと言って帰ってしまったのだ。

「あの子なら。きっと上手くやってくれるはず。」と思っていた私の期待は、どう考えても裏切られる事になってしまうなんて思ってなかったんだけど。私としては予想通りではあったのだけど そして私達が街に帰る道中の出来事である。私とお母さんは手を繋いで歩いていたが。お母さんの手に力がこもり始めて手が震え始めたために心配になり顔を覗き込んだが様子が変だったので

「おーい。お母さん大丈夫?」と呼びかけたが返事が無かった為「どうしよう?」と思っている時に急に意識を失い倒れ込みそうになるので咄嵯に手

「はい」と答えて受け止めたのであった。その後私に「ご、め。な、い」と言って気絶してしまった。私は何も出来ずただお母さんを見つめることしか出来なかったのであった。

お母さんに一体何が起きたのかは、私は知らない。だけどサーナはお母さんの身に何が起きていたのかを知ってるかもしれない。だから私はサーマに

「お母さんに何が合ったの?」と聞いてみたところ サーマちゃん曰く

「母様の体が耐えられなくなったんだよ。」と言われたので

「何が起こったのか、聞いても良い?」そう聞いたところ

「簡単に言えば、私のお母さんが私達の前に現れてお母さんのお姉さんは、元々病弱体質だから 体を壊して亡くなったんだけど。母様は私の母さんと一緒に居ればどうにかなると思って私の母様の体に憑依した。そしたら私のお母さんが死んじゃうことになったの。

それから私の母様はずっと眠っていたの。そして、ある日起きたの。それから私達の元に現れたんだ」と言ってくれて。その話を聞いてサーモお祖母ちゃんが

「そうなの。そのお母様が亡くなったから私が現れたの。でも。お母様とサーナちゃんの体を無理に合体させた影響で私の体の方は壊れたから、この世界に転生してきたわけ。そしてその体は私のお母様に返したから お兄ちゃんをお願いね。サーナちゃん、私の分までサーモと幸せになってね」そう言ってくれた。

そう言われても私には何も出来ないし、私が出来る事はサーナちゃんが元気になるように祈ってあげることくらいしかないのである サーモお婆ちゃんにお兄ちゃんを頼んで、それからしばらくして。私はお母さんと話をする事になった それからお母さんが目を覚ますまでの間にお母さんの昔話を聞くことに

「まずね。私の名前は、本当は「リリィ」だったの。でもね、サーマちゃんとサーヤちゃんと私が産まれてからしばらくして。私達はある男によって家族を皆殺しにされちゃったの。その時に私が見たのはサーヤちゃんとサーモお兄ちゃんが殺される瞬間だった。

サーヤちゃんはお腹に子供を抱えていたのにね、サーモお兄ちゃんはお義母さんを守ろうとしたんだろうね。結局、サーモお兄ちゃんだけが生き残ったの」

そう言い終えた後でお母さんは「ごめんね」と涙声で謝ってくるので。サーモお兄ちゃんは

「大丈夫だよ。俺はもうサーヤを愛してしまっている。だからサーヤさえ側に居てくれれば良い」そう答えた それからしばらくして。

お義母さんの目が開き、私を見たので

「お義母さん。気がついたんだ。」と言ってみると

「うん。あなたは私の娘のサーナちゃんかしら?」と聞かれ サーナお祖母ちゃんは、「はい」と答えると。

お母さんは、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの話をし始め、 お爺ちゃんお婆ちゃんと暮らしていた頃にサーナとサーヤを産み。2人を養子として迎えた話をしてくれた それからお義父さんが亡くなり、サーモお兄ちゃんが引き取って育ててくれる事になったと言う話を サーマが、どうして自分から「私の事覚えてますか?」と質問しなかったのかという疑問は残るのだが。

「それは。サーマちゃんが大人になってから聞くのが良いと思う」とお義母さんが言ってくれていたので、とりあえず保留にするのであった。それから

「そうだ。今日はサーナちゃんの家に遊びに行くのだった。一緒に行きましょう」と誘われたので同行することに そして到着したサーナの家だが、見た目は完全に日本家屋であり。サーシャの実家を思い出す。しかし玄関には何故か西洋甲冑や剣などが置かれていた。一体何をしている家なのかは良く分からなかったが 中に案内されるなり俺は

「ここ、どこ?」と言うと。「私と、私の娘のサーシャが住まう家で、今はサーマが使わせて貰っているわ。さあ入って」と言われ中に入るとサーマと もう1人少女が座っていて俺を見て

「あれ?お客さん?」と言い出してくる。サーマにサーラがサーナちゃんの事を話すと「へぇ〜、君が例のサーマ君だね。」と言って来たので、どういう意味なのかと問いかけると

「いらっしゃい。僕は「サーラ=マルス」と言う。宜しく」と言って手を差し出してくるので 握手を交わすのだが

「それで?どういう意味です?僕は貴方をサーマから聞いているんですよ。それに僕の事を知っているんですよね?僕は貴方をサーラと呼んでも構わないですか?」

「いいとも。それに僕はサーナちゃんのお父さんでもあるからね」と言い出したので、僕は驚いた。

「どう言う意味なんでしょうか?」

「そのままの意味だけど。僕もサーラと言う名前の別人だったんだけど。ある時から突然自分の名前が変わった事に戸惑っている時に。突然サーナちゃんの意識が僕の中に入ってきてね。それで「私の事助けて」って訴えて来た。

それで事情を聴いて。どうやらサーマが君の事を想う気持ちの強さと その強さに負けて君の人格が、君の身体に吸い込まれたような状態になっていると言う話を教えてもらった。だから今なら分かるよ サーマの思いの根源となった存在が。つまり君が僕のお嫁さんってことだろ?サーラ君」

サーナが話していた事が本当だったのかどうかは分からないが少なくともこの人がお姉ちゃんのお兄ちゃんの1人である事が確定したのである。それに加えて「お姉ちゃん」って事はやっぱりサーシャのお兄ちゃん

「それでは改めて。サーナの父です。サーナちゃんも、よく顔を見せておくれ」と声をかけるので。サーナが近づいていくと

「サーナの事も、頼むよ」と言ってサーナの頭を撫でているのである。

そして私は、サーラお兄ちゃんが 私をお義母さんの娘にしてあげても良いと提案してきたのだ。どうすれば良いか迷っていた私にお兄ちゃんは

「君は今のままの姿でいた方が幸せなはずだ。

だからお母さんと一緒の方が安心出来るんじゃないかな?」と言ってきたので。私は少しだけ考える時間が欲しいと答えたのであった

「じゃぁお母さんまたね!」そう言って手を振って帰って行く。そしてお母さんが私達に向き直る

「じゃあそっちの子は、ど この子なのかしら?見たところ日本人ではないようだけど」と言ってくる。なので私は自己紹介して。それから今までの経緯を話た。サーモは 私の両親を殺した相手を追っていて、私の両親の敵を取ってくれてたけど私も狙われて、それを庇ってくれて死んだ事と。その後私にサーマという名前を与えて守るために生き返らせてくれようとしていて。

お兄ちゃんはその時に私を助けてくれた女神様にお会いした時に記憶を失いながらも私を守る為の力がほしいと言ったところ、私が神様の加護を得る為の試練を受けさせられて その結果

「この世界に私と一緒に転移させられたんです」と言って。

そしてお母さんが何かを思いつく

「あなた。まさか、サーヤを救えなかったから、サーモと出会ってからやり直してるとか言わないよね?」と問い詰める。それに対してお母さんは首を横に振り

「そんなつもりはない。ただ、あの子の運命を知っていたから、私に出来うる限りは手助けをしたくて」そう言いながら泣き出す サーモお兄ちゃんは「そっか」と言い抱きしめるとお母さんは「ごめんなさい」と言っている 私は何が起きているのか良く分からなかったので お母さん

「えーっと、何の話をしているのか、私に説明してくれる?」そう言ったところでお母さんが

「そうね、ご免なさいね。まずサーヤは転生者で。サーヤを私達の手で育てる為に私達は日本に帰ってきたの。

そして私達の住んでいた場所で生活を始めた。その時にサーナがお腹に居ることが分かったの。そしてサーナは無事産まれて。でも 産まれてきた時には既に私の体力が限界に達していた。だから私はサーモにお願いをして私の代わりに娘を守ってもらうために私の中にある全ての力をサーモに移した。それがサーナちゃんに伝わっているから。サーモと幸せにね」

サーヤちゃんは、「うん!もちろん」と答えているので

「お兄ちゃんは、知ってたの?」「サーナが転生者であることも、俺と出会う前にどんな目にあっかも全部」「お兄ちゃんは私が嫌いになっていないの?」

そう尋ねると、お兄ちゃんが真剣に私を見つめてから、「サーナ。愛している」と伝えてくれるので私は嬉しくなり抱きついたのだった。するとお兄ちゃんが私を押し倒してから耳元で

「今夜は、覚悟しろ」そう囁かれて私は思わず「はい」と答えると、お母さんとお祖母ちゃんが笑っているのだった 私とお母さんがサーモさんとサーナちゃんに案内されて家にやって来た 私とお兄ちゃんは、まずお

「そうだ。サーマの家に遊びに行くのだった。一緒に行きましょう」と言うとお兄ちゃんは「良いね。楽しそうだ」と言ってきてくれるので。私はサーマに、 今日は私の家の方に来ないかと誘ってみると すぐに承諾してくれて 私達は私の家へと向かいました。そこでお義母さんとお祖母ちゃんとお話ししていると。サーナのお父さんを名乗る男性がやって来て サーナの父親で、お

「今日はお義父さんを連れて来たの」というので。私達はお義母さん達にサーラさんの事を説明する サーナの父親は

「なるほど、大体の事情は理解出来た。それでこれからどうするつもりだい?」とサーラさんに訪ねていたのだが サーラさんの回答は

「サーナを俺の妹として引き取るつもりだが、どうだろう?」とお父様の方を見ていう お兄ちゃんの方は「それは問題ありません」と言うと。お義父さんが「分かった」と言い出した それからしばらく話をした後、私と、お兄ちゃんの分のお茶を用意してくれて お

「そういえばまだ名前を聞いていなかったな。私は「マーシャ=オルフ=カルデナーダ=バル=アーデント」と名乗っている。君の名前を教えて欲しいな」と言うので。

サーヤ=マルスですと答えると。それから「ではマルス君だね。今日からはよろしく頼むよマルス君」と言われることになったのだが

「そうだ。君にも娘ができたらマルス=フォン=オルファニアと名付けたらどうかな?」と言われてしまい困惑していると。お父さんの方が お父さんの方がサーナと、サーマに質問する「2人はどうなんだ?今の生活に不自由しているところは無いかな?」2人ともに特に無いようだったが、1つだけ

「学校に行きたい」との事らしいので。お父さんは

「よし、明日に手続きをしに行って、そのまま3人で学校に通えるようにするか。それまでに、サーマには勉強を教える先生が必要だな。それと、もしよければうちの屋敷に住むか?」

と言う事になったのである。それから

「そうだ。せっかくだサーラもうちに来い。久しぶりに話そうじゃないか。

君とは一度話してみたかったんだよ」

とサーラさんを誘うのだが。「僕はサーラ=マルスだよ」と返すのだが。お義父さまは全く動じる事なく

「そうか。じゃあ俺はお前のことを息子として扱うがいいんだな?」と確認をするのだが

「良いよ。その代わり僕の事もお父さんと呼ばせてもらうから」と言い出した。どうやらサーラさんはこの世界に来る前から、この人の事をおとう

「サーナもサーモ君も、今からでも、遅くないからサーラ君の事をお兄ちゃんって呼んであげたらどうだ?お姉ちゃんはお兄ちゃんにぞっこんみたいだし」と言って来るので。私は サーナの事が好きだと伝える。サーナは真っ赤になりながらも

「じゃぁ、今から、私と君は兄妹になる。だから私の事は呼び捨てにする事」そう言われてしまった 私も「はい、わかりました」と言うと。それからサーナと私の事を改めて紹介されたあと。私達はお母さん達が暮らす屋敷に向かう事となる 私は、サーナのお家で、サーモさんと と遊んでいる。この

「初めまして。私はサーヤといいます」

私が、お辞儀しながら自己紹介をすると お兄ちゃんもお姉ちゃんも 自己紹介を返してくれた。

お姉ちゃんは

「可愛い。本当に可愛すぎるわ。サーナがこんな子を妹にするって言う気持ちが分かる気がするわ。私の名前は

「サリアよ」って言ってるけど サーナちゃんのお嫁さんですよ。そしてお兄ちゃんと私も結婚します」といきなり言ってきた。お姉ちゃんの言葉に私はびっくりしてしまったけど、お姉ちゃんとサーモお兄ちゃんが結婚したなら私とも姉妹に、つまり、私にとっては義理のお姉ちゃんになることがわかって少し嬉しくなって笑顔になっていた 私はお母さんからサーラさんとお父さんと、そして私とサーナの四人で家族になってほしいと言われているので。私は お義母さんのお願いを聞くことにしていた。そしてお義母さんにお義父さん、そしてお兄ちゃんの4人と仲良くなることができたので良かった

「サーヤちゃんはサーモの何処が好きになったの?私としてはやっぱりサーモの優しいところが好きなんだけど」お姉ちゃんに聞かれたので

「えーっと。お兄ちゃんはとても優しかったんですけど、でも私の為に一生懸命強くなってくれた事が一番大好きになりました」と答える すると お姉ちゃんが、「えっとサーヤちゃんは何歳?」とお姉ちゃんが聞いてくる だから「15歳です」と答えながらどうしてこのタイミングで年齢の確認をしてくるのか不思議に思っていると、「じゃぁ私が16歳だったから、丁度年子の姉妹だね」と嬉しそうな顔をしていた その事にお母さんとお義父さんまでも喜んでいたので、お母さんが何故喜んでいたのか分からなかったけど喜んでくれるなら良いと思った お母さんが「サーナちゃんとサーマはどっちから告白したの?」と聞くので私は答えようとすると先にお母さんに言われた

「お母さんから聞いたのよ。それに2人に聞いたら教えてくれたからね。お母さんは凄いでしょ」そう言い胸を張るお母さんに対して

「お母さん。私だってそれくらい出来るもん」と怒っていた お母さんが謝るのを見ながら私は「私、お兄ちゃんのどこが好きなのか自分じゃ良くわからないです。

お母さんに、お母さんがお兄ちゃんに恋した時と同じようにお兄ちゃんに惚れさせてみせると言った事があるのですが。

私なんかがお兄ちゃんと釣り合うわけが無いんです」そう言ったところでお母さんが、私の手を握ってくれて、お兄ちゃんの方を見て「サーマがね。あなたがどんな人かなんて関係ないの。あの子が本気で惚れたってことだけは分かっているつもりよ。あの子は自分が認めた相手以外に自分の体を許さない。だからこそ。

そんなあの子の心を掴んだのは貴方がそれだけ魅力的な男だったと言うことでしょう。でもね、サーナの想いを受け取ってあげられるのは、サーナが愛するに値すると認められた人だけだと思うから」と言われたので。お兄ちゃんは私の方を見つめてから「サーヤがどんな女の子でも関係なく。俺はサーヤを愛し続ける」

と真剣に答えてくれるので私は泣き出してしまい お兄ちゃんが抱き締めてくれていた。私が落ち着いた頃にお姉ちゃんが私を抱き上げてきて、それから、私を抱っこしたまま部屋に戻っていく。

そこで私はサーナに サーナがどれだけ私のことを愛しているのか。その愛の大きさを、言葉にして聞かせてくれるので 私は

「嬉しいな」

と素直に言えるようになった。

私は、サーマの事をずっと愛しています。

お兄さんは、お母さんにサーマと付き合っている事を知られた後に。

「娘と息子に祝福を、愛しき2人に永遠の幸福あれ」と言われ、 僕と、お姉ちゃんは、お兄ちゃんと結婚できるのであった。それからお兄ちゃんはお父さんと話をした後に、 お父さんに呼び出される。何だろうとお父さんの元へと向かうとお義父さんは「マルス君。娘を貰ってくれてありがとう。娘は、マルス君と結婚する事しか頭に無かったようで困っていたんだ。だけど、こうしてマルス君のおかげで娘と孫と一緒に暮らす事が出来るよ」とお礼を言うので

「お義父さんは、僕達の幸せを願っているんですか?」と尋ねてみると。「当たり前じゃないか。君達とサーラと娘の3人が幸せな生活をしてくれる事を望んでいるよ。もちろん私もだが、君たちのような子供を持った以上は。子供の幸せを願わない親は失格だからね」と返されたので

「僕はサーナを悲しませるような事は絶対しないのと、サーナも僕が辛い時に助けてくれました。僕はサーナがいてくれれば何も怖くありません。むしろ僕は、僕のために泣いて、一緒に笑って、時には喧嘩して、それでも最後にはまた笑えるようになる。僕はそう思えるサーナの事が好きで好きで仕方がないんです。これからもサーナには、いつも僕のそばに居て欲しいと思っています。

「これからよろしくお願いします。僕のお父様」

そうお父さんに告げると、お父さんは笑顔で、お兄ちゃんは少し恥ずかしそうな顔をしながら 私達がお兄ちゃんの部屋に行くと お兄ちゃんがベッドに座り

「これからよろしくな。サーナ」と挨拶をするのであるが。お兄ちゃんがあまりにも緊張をしているので 私の方が心配になってしまったので。

「どうしよう。私のせいで。お兄ちゃんが、壊れちゃったかも」と思っていると。サーマは、

「落ち着け、マルス。サーナにはまだお前との事は話していないのだろ?」

と、お兄ちゃんが、まだ私と恋人になって日が浅い事を伝えるので、サーナが

「お姉ちゃん。私は、サーモの全てを受け入れる。お姉ちゃんも受け入れているよね。私がサーナをお姉ちゃんがサーモを受け止めたように」と伝えるのである。そしてお姉ちゃんは

「当然でしょ。私だってサーナを丸ごと全部受け止めるつもりでいたんだから。サーナには絶対に負けないんだから」

と言い出すのだが、お兄ちゃんはそれどころではなく。サーナの言葉に驚いてしまっていた。なので私は

「お兄ちゃんは、サーナのお嫁さんなんだよ。サーナは私よりもサーマが大切でサーナは私よりもサーナの方が大切に思っていて。サーナは、私とのお兄ちゃんとの事は応援してくれているんだよ。お兄ちゃんと一緒の時間をもっと作りたいけど。今はお兄ちゃんが頑張ってる最中だから我慢するんだよ。お兄ちゃんもお仕事頑張れって、私の事を気遣ってくれる優しい人で。私にとってとても素敵な男性なんだよ。だから私もお兄ちゃんも。

サーアのことを大好きになれたの」とお兄ちゃんに私の思いを伝えたので

「私とお兄ちゃんは今は同じ気持ちなんだ。だから、私達は今から同じ部屋で暮らす事になるけど。それはサーナが私とお兄ちゃんのことを信じてくれたからなの」

私がお兄ちゃんに伝えようとするとサーマが、「お姉ちゃんはね。私達が恋人になってすぐにお姉ちゃんがマルスとサーナの交際を反対したら、私が止めるのも聞かずに私を殴り飛ばして。『マルスはね。サーナの事が好きだから付き合ったわけじゃない。サーナが好きなだけ』って。その時にね、サーナも私もお姉ちゃんの言葉が胸に刺さってさ。そしてサーナと二人で泣いちゃって。それでサーナと私はね。お互いの本音をさらけ出した。サーナも私の事が大切な妹だと思っていたみたいだし。サーナは私より年下なのに私なんかよりも大人で。

私はそんなサーナと友達になることが出来たの。

サーナは私に優しくしてくれたけど、それ以上にサーモにも優しくしていたと思うよ。私なんかと違ってサーマは優しいのは分かってるよ。それに、私がマルモとお付き合いをしていてサーヤとマルマと三人仲良く暮らしていたんだけど。

ある日サーモが急にサーヤとサーモとサーモのご両親を連れて私に会いに来てくれたの。そこでサーヤと私とでマルモのどこが好きなのかを話したの。そしてサーマとサーナがお付き合いを始めて、それからしばらくした頃かな。

その時に、サーナがお腹を大きくしてたんだけど。そのおなかの中にね。新しい命がいたの。

それが私の妹だって言うのはすぐにわかったよ。その時にね。サーヤがね。私がお母さんの体を借りずに生まれてくることが出来ていたなら、 お母さんはサーナとマルムの子供を生むことが出来なかったのかもしれない。私がお母さんの代わりに生まれたからこそお母さんは命を宿すことができた。

私がいなかったらお母さんがサーマを産む事も出来なかったし。

私はサーヤやサーマと同じお母さんから生まれたけど私は二人とは違ってお母さんの体を借りる事でしか産まれなかった。でもね。私が生まれていなければお母さんは命を落とすことになっていたから。だから私は生まれて良かったと思って。だからね、私がお姉ちゃんとして、お兄ちゃんにお礼を言ったの。ありがとうお兄ちゃんって」そう言ってサーマはお兄ちゃんの手を取りながら「だから。私はサーナがお姉ちゃんと結ばれる事を邪魔しようとは思わないよ。

だって、二人は本当に心の底から好き同士だからね。それにサーナはもうすぐ妊娠8か月だから。だから私達の事を祝福してくれているはずだよ」そう話すのである。

するとサーシャは俺に近づいてきて。抱きしめて キスをしてから

「ありがとう。サーナの事を認めてくれて。私達ね。本当は凄く不安だったの。サーナにおめでとうと言われるのも覚悟の上でマルスさんと一緒になりたかったから。でもね。やっぱり。サーナは私達に嫉妬してたんだと思う。だけどね。私達の為に黙っていてくれていて。サーナが私に、サーナに私達の事を許してもらう為の条件を出して来たのはね。

「サーナね。ずっとサーナが産んであげられなかった事を悔んでいたから」と

「だから、マルスは、サーナがどれだけ苦しんでいるのかを知っている。それを乗り越えようと必死になっていることもな」と教えてくれるので

「うん、私もお母さんの体から出てこれなくて悔しかった。でも、それでも。私とサーマが結ばれなくても。私はサーマの幸せだけを祈っている」と言うと。

サーマも俺をしっかりと抱き締めてくれてから

「だから。これからも。サーナが私に対して何をしても許して欲しいの」と言うので 俺は「大丈夫だよ。俺はどんなことがあってもサーナを裏切るつもりはないから」

とサーナに伝えた後に、サーマの事を力強く抱き締めると、俺は改めてサーナの事を大切にして行こうと決意を新たにするのであった。

サーナちゃんとお姉ちゃんは親友になったみたいです

「私だって、ずっとずっと寂しかったんだもん。サーモに会えなくなって」と言って泣きじゃくるサーヤにサーナちゃんは

「サーナは私の大事な妹なんだよ。私にとっては、たった一人の血のつながった家族なんだよ。お父様がお亡くなりになって、マルスが家を出て行く事が決まったときにサーナと引き離されて、それからはずっと我慢をしてきたの。サーナがお母様の体に宿ったとき、嬉しくってしょうがなかった。お父様もサーナが生まれるのを楽しみにしているし、私はサーモと一緒にサーナとサーナのお姉ちゃんのサーヤとも一緒に暮らす事が出来るって、幸せすぎて怖くなったくらい。だからね、だからお兄さんの赤ちゃんが生まれた時、私は絶対に幸せになれると思ったの。そして今、目の前にいるあなたを見て、サーナの事を聞いて確信に変わったの」

そう言い終えて。

サーナもお姉ちゃんを抱き寄せると2人で声を上げて泣いてしまうのだ

「うわーん 私にはこの子しかいない」とか「私にもこっちにおいで」などとお互いに言っているが そんな様子を見て

「僕達は、あの二人の姉妹みたいなものなんだよね」と聞くと

「私達は親子だぞ。それにお前も娘のようなものじゃないか」と笑う サーヤとサーナも僕たちのやり取りを見つめていた しばらくして、落ち着いた二人が僕の方を見る

「お兄さん。お兄さんと出会ってから、お兄さんがお兄さんと出会えた事は運命なんだよ」と、お姉ちゃんに言われたけど、サーナちゃんまで「私とお父さんは運命なの。私達は出会ったのも奇跡なの」と、言われてしまう

「サーヤとサーナも俺の娘のようなものだ。そうだな。マルモは、お前たち二人の母親というわけだ。だが、私は二人にとっての父親はサーモただ一人だと決めている。そして私は二人の父親であると同時に。サーナとサーヤの保護者でもあり。また私はサーナの一番の友人であると思っているから。私にとっても、二人は大切な家族であるし、マルスは特別な存在でもあるのだ」とお父さんは笑いながら話すのである それからもしばらく雑談を続けているとサーナちゃんのお腹が動き出して、 お腹の中からポコッポコッ とお腹を蹴る音と共に「キュゥー」と鳴き声が聞こえてきた サーナちゃんは

「お腹の中が騒がしいからそろそろ出てくるかも。お兄さんが抱っこしてくれるかな?」

僕は言われるがままに、サーナちゃんのところに行き

「いいよ。ここに来な」と言うと。

お腹の中の子供と話をする サーナちゃんとサーヤの会話を通訳しながら「お姉ちゃん、私達も早くママに会いたいね」

とお姉ちゃんと話しをする そうしているうちに

「キューン キュー」と鳴き声を上げながらお腹から顔を出した女の子 お姉ちゃんは、自分の腕の中で眠ってしまった小さな赤ん坊の頭を優しく撫でながら

「マルモもそうやって、私を産んでくれたの。だから私はマルマにありがとうって感謝したの。そして私をマルマから生まれさせてくれた事に神様に感謝したよ。マルスは覚えている?私達が初めて会った日のこと」と言われてしまった

「忘れたわけじゃないよ。あの日から俺はサーナちゃんの事を意識し始めていたのだから」と言うと。サーナは微笑みを浮かべて、お姉ちゃんの所に行く それからしばらくの間は、お姉ちゃんの胸を触ったりしていたのだが しばらくすると、お姉ちゃんの方から寝息を立て始めてしまい。お姉ちゃんが眠りについてしまった事で、

「ねえマルモ。マルスってね。最初は全然可愛げが無い人だと思っていたんだけど。サーモをサーヤに取られた事が気に食わなかったみたいで。それで私達に文句ばかり言っていたけど。サーモが居ないときは、凄く寂しそうな表情をしていたり、サーナと私に良く会いに来ていたんだけど、その時のマルモはまるで、サーモとサーナが離れないようにと願っているみたいだったの」と話始めたサーヤ そして「だからね。サーヤはマルスと結ばれたら良いのになぁ。マルスなら私の好きな人に間違い無いのに」と言う

「お兄さんはお兄さんで私達と同じ思いをしてきていて、それを克服するのに時間がかかったから。だからね。私とサーマは二人でマルモの事を待ってあげようと思って、そしてやっと、私とサーマとお母さんに新しい弟が産まれたの」と話す

「うん。そのおかげで私とサーナのお母さんと私達の姉弟の絆が深まったし。サーヤは、お姉ちゃんになっちゃったけど、お兄ちゃんにお礼を言いに来たんだよ」

そう言うなり、サーナちゃんもお姉ちゃんの横に寄り添い。二人揃って眠る姿を見ながら。俺もお姉ちゃんの横に行ってお姉ちゃんの手を握っていた サーマが、俺の腕枕で安心して眠れているようで、少し嬉しい

「俺もずっと一人っ子で、親父の事も大好きだけど。でもさ。やっぱり俺は、親父とお母さんが仲睦まじくしている姿を眺めていたかった」と呟いていると

「おやすみ。お父さん。お姉ちゃんをよろしくね」とサーナが言うと

「俺が、お父さんか。俺もサーヤやサーマの父親で。そして今は、サーナの夫なんだから」と話す 俺はサーナの髪を指で漉くように頭を撫でると「おやすみ」と囁いて目を閉じた 俺もサーナと出会って、俺の世界は変わった 俺がずっと求めていたものを 俺に与えてくれる存在として。サーナちゃんが現れてくれたから そして、サーナと出会って。色々な事があり。辛い思いもあったけれど。それでも これからもずっと サーナのそばにいれますように と思い。

サーヤが「マルスは、サーヤをどうしたいの」

「マルスがマルモでよかった。お姉ちゃんもマルモを抱きしめてくれて。私は幸せだよ」

「だから。今度は、マルモの赤ちゃんを産むね」と、言ってくれるのだ だから「僕からもお願いする。これからも僕と一緒に過ごしてくれないか」と、サーナに伝えて、俺とサーマの夫婦としての新たな始まりが サーマの「お姉ちゃん、良かったね。これからも宜しくね」の言葉とともに始まった サーラが

「お母さん、これからも仲良くしようね」と伝えて サーヤは、「お姉ちゃん、本当に嬉しかった。サーモが元気になった時、一番喜んだのは私だし、私がずっと側にいてあげたかった」と

「サーナちゃん。ありがとう。サーナちゃんがサーナを宿してくれていなかったら、私もマルモと出会うことも無く死んでいただろう。私こそ感謝をしている」と言ってくれた 僕はサーナと抱き合っているサーヤを見て。サーヤとサーナを一緒に守っていこうと、改めて思ったのであった サーナはお姉ちゃんの胸の中に抱き締められて、気持ち良さそうにしている

「うふぅー 幸せだわー」

と声が聞こえてくるけど 僕としても幸せを感じている そしてサーヤから

「ところでサーモは私と、マルナが一緒にいるところを羨ましく感じていないのかな?」と言われて、確かにサーナ

「マルナは僕にとって、誰よりも大切な女性であり、愛しの人だ」と告げられると、サーナから頬を赤く染めながら キスをされてしまう そうするとサーヤの口から「私にももっとキスしてよ」と言われる そんな様子のサーナ

「お父様、お母様、おめでとう。マルナ、サーナお母様は私にとってもお母様みたいな存在なのだから。お母様もマルモを愛しています」と お祝いしてくれる それからも色々とお話をして サーヤも「私だって。お父さんが大好きなの」とか「お母さんは、サーナが産まれたときに一番喜んでくれたんだよ」と教えてくれるので 僕としては「僕達三人で仲良くしていきましょう」と伝えると

「お父さんもマルマにお姉ちゃんって呼んで貰って良いよ」と言われたけど 流石にそれは気が早いので

「うん。わかったよ。サーナ。これからも末永くよろしくね」と答える そして、僕達はサーヤの家に戻り

「お父さんは、私達が帰る場所なの。だからずっとここにいて欲しい。お父さんが望むなら。お兄ちゃんはお嫁にしても良いけど」と言う お姉ちゃんは、お父さんとお話しをするのに夢中になっているみたいだったので、サーナは、お兄ちゃんに

「マルナ、マルモは私の事をサーナと呼ぶようになったけど。貴方はまだ私をサーヤと呼んでいるよね。サーナって呼べるようになったら。また二人っきりの時に私の体を堪能させてあげるよ」と言うと

「サーナは、サーナちゃんのままでいいと思うよ。サーナはお姉ちゃんに似過ぎてるよ」と言うと

「えーっ それじゃあ私とお姉ちゃんが姉妹に間違われちゃうかもじゃん。サーナが嫌なんだよ」

とお怒りのサーナちゃん サーナと別れる時に「また来るよ」と言い残して それからサーヤが家に戻るとサーヤが

「ねえマルモ、私ってサーナちゃんにお姉ちゃんを取られたくないんだよ」と言うので「うん。お姉ちゃんは凄く美人だから、僕もお姉ちゃんが心配になってきた。でも大丈夫かな。お姉ちゃんがお兄ちゃんに惚れても僕は応援するし、でも、お姉ちゃんには絶対にお兄ちゃんを渡さないけどね」と言うと サーナが「そうだね。でもさ、お姉ちゃんもお腹が大きくなっているんだし。マルマの赤ちゃんも産まれたら、お姉ちゃんも寂しいんじゃないかな」

と不安を口にしたサーナ サーマが

「サーナちゃんの言うとおり、そろそろお姉ちゃんの体の負担を考えた方がいいかも。だから私はお兄ちゃんに、お姉ちゃんとの子供を産ませてからでもいいよと言ったんだけど」

そう言ってから、俺の方を見て

「お姉ちゃん、今朝ね。体調が悪くて寝込んでいたんだけど。私にお水を持ってきてくれようとしたみたいで台所に行って倒れ込んでしまったらしいの。それから意識を失ってしまい気がついたらマルマの部屋で倒れていてさ。マルモが運んで来てくれたんだって、それからずっと眠っていたみたいでさっき目が覚めたんだよ」と話してくれる

「うん。サーマは僕の部屋に来た時にはもう眠りに入っていたのかもしれないな」

そして僕達はサーヤの家に帰ってきた訳だけど 俺は自分の部屋に戻った瞬間 いきなり後ろから抱きついてきたサーナによって

「お姉ちゃん、ごめんなさい。マルモは私が居なくても平気みたい。マルナも居るから寂しくないし。でもさ、私達二人の事は大切にして欲しい」と言うと

「当たり前じゃないの。私達の可愛い娘なのよ。お姉ちゃんもお母様も。それにお兄ちゃんに赤ちゃんが出来たし。お兄ちゃんと一緒なら安心出来るけど、寂しくないわけないの」

「だから、これからは、私とマルナはお母さんの側を離れないからね」

と宣言される

「もちろんだよ。私も寂しかったし、マルナとマルマがいてくれた方が嬉しいもん」

「お兄ちゃん、マルマ、これからも宜しくね」

「お父様、お母様、これからも仲良くして下さいね」

そうして家族が一人増え お父様とお母様が仲直りをした事で これから先も幸せな時間がずっと続くのだろうと、確信できたのであった マルマもお姉ちゃんもお母さんの傍から離れないと、はっきり言ってくれました そしてお母様もお母様で私やマルモちゃんを自分の子供の様に扱ってくれて。マルマもお姉ちゃんも

「うん、私、このお家のお嬢様になりたい」

「僕もだよ。でも、サーマやサーヤとも仲良くしていくから」と、二人は言うのです 私だってお母様の娘になる事に異論は無いので

「サーヤちゃん、お姉ちゃん。これからは私とマルマもお友達だね」と言って抱きつくと お姉ちゃんが頭を撫でて「うん。これだと私の妹か弟が四人も出来てしまった事になるね。これから賑やかな毎日が始まりそう」と笑みを浮かべた

「うふぅー 楽しみだわー お姉ちゃん、サーナ、大好き」

そうやって抱きついているとマルナも

「うん。僕もマルヤと仲良くしていきたい」と笑顔で話してくれた

「うーん。マルモ、マルヤ、これからは私も一緒に遊ぼうね」とお母様まで混ざって来る始末ですが、そんな様子をマルマが優しい瞳で見ているのを私は見逃さなかったのである サーモさんから事情を聞くと あの大男は「私はドグル。一応冒険者をしていた」と言います そして「サーナ、サーヤ、マルモ、助けてもらった礼をまだしていなかった。すまない。私の事など気にせず。逃げてほしい」と必死に訴えてきましたが。お姉ちゃんに抱き抱えられているサーナは

「私達が逃げても追いかけてくるんじゃない?あいつらは私達を絶対に逃してくれないだろうし。それにさ。あんな酷い事をする連中なんて、こっちが痛い目を見せてやる」と息巻いて、サーナが大男に向かっていきました

「待てサーナ、お前が行ってどうする。俺が相手をして時間を稼ぐからその隙に逃げろよ」とマルナが叫ぶが

「駄目だよね、お父さん、お母さん。このまま黙って引き下がるとか、ありえない。だからお父さんも早く」と言って、そのままサーナが向かっていったので。仕方が無いといった顔でお姉ちゃんがサーモさんに「ここはサーナに任せて。逃げるしかないけどね」と言って、サーモさんの案内のもと森の入り口まで来たのだが そこに待ち構えていた盗賊の男達が「おうっ。そこの兄ちゃんは良く逃げたな。だがもう遅いぞ。俺達はもうこの辺りにはいない」と言う しかしマルナの「ふざけるな。こんな森の中に隠れて、何が出来るっていうんだ。サーナ、お母様は任せた」と叫び それからマルナは走り出す お姉ちゃんが「お姉ちゃんも行く」と言うが、僕はそれを止めて「サーナはお母さんを連れて行ってほしい」と言いながら、マルナと一緒に駆け出した そしてお姉ちゃんも「サーモ、マルナが危なくなったらお願いします。マルナに傷をつけたりしたら許さないから」と告げながら、サーヤを抱きかかえて走り出して行く 僕は、マルモが「お父さん。サーモお姉ちゃん達と合流しても良いのかな?」と尋ねてくるので

「今は、少しでも戦力が必要だと思う。だからお父さんが相手を引き付ける。その間にマルモはサーナちゃん達と合流できるはず」

と僕は告げ

「でも、お父さんが危険かも。私もお姉ちゃんを助けに行きたい」と言うが

「お父さんを信じろ。お姉ちゃんが付いていれば絶対に大丈夫。それよりマルモもお姉ちゃんを頼んだぞ」とマルナが心配していたので。大丈夫だという事をしっかり伝える そして僕はマルナに「マルマとサーナを頼んだ」と告げると

「分かったよ。お父さん、頑張ってね」

そう言うと、サーナを追って走って行き。お母様とサーナはそのまま森の奥へと進んで行く。それから暫くしてお姉ちゃんが追いついてきてくれたのだけど。その腕には気絶したお姉ちゃんとサーヤを抱いてくれ

「サーナちゃんは、お母様にお父様を助けるって言って出て行ったきり帰って来ないの」と言う サーヤが「うん。私ね。凄く大きな男の人が襲ってきたと思ったら急に怖くなったんだよ。それで気がついたらお母さんの胸に顔を押し付けて泣いていたの」と言う

「私も怖いから。ずっとサーナちゃんにしがみ付いていたの」

サーヤの話を詳しく聞いてみると

「うん。私はお姉ちゃんにしがみ付く事しか出来なかったから」と言うのだ 僕としては「とにかく二人だけでも無事だった事が、本当に嬉しい」と思うのだが サーマやマルモは、お兄ちゃんの事を心配しているようで、「でもさ。今ならまだマルマ達なら間に合うはずだから。お兄様を迎えに行ってくる」と言うのだが、さすがに大人数で移動しても、かえってマルマ達の足手まといになりかねないと思って「とりあえず僕とお母様が先に行く事にするよ。マルマは後からゆっくりおいでね」とだけ言い残して先に進もうとするが。その時だった僕の背後の方から聞き覚えのある声で「ちょっと待つんだな。俺達はお前らを簡単に通さないぜ。ここで大人しく捕まるか、おとなしく命を捨てるか。どっちにしろ俺達の邪魔をしたんだ。楽に死ねるとは思うなよ」と言われ 振り向くと、そこには以前僕を襲った大男の姿があった マルモとサーマにお母さんを託して先に進んだお父様とお母さんを追いかけようとした時

「おうっ。そこの兄ちゃんは良く逃げたな。だがもう遅いぞ。もうお前は包囲されている」という声が聞こえてきたので 私もマルマもその言葉に従って、周りを見ると確かに沢山の大人達に囲まれていました。しかも皆が剣を持っています。これは明らかに私達に勝ち目はありません そして、その中の一人の男が「おう、ガキ、よく見れば上玉じゃねえか。よし決めた。お前らは売り飛ばしてから奴隷商に売ろう」と言って私達の身体に手を伸ばして来たので

「キャッ、いやーー」

そうやって、私は叫んでしまったので、マルマにマルマに手を伸ばそうとしていた奴に体当たりをされて、地面に倒れ込んだのです。

そんな様子を見た私を取り囲んでいる大人の中の年長者らしい女性が私に「あなたがマルマね。お母さんは何処? 」

そう言われて、私はまだこの人たちの仲間だと思われたみたいで「違うんです。私もお母さんも助けに来てくれた人です」と言うのですが、この人たちは私の言葉を聞く様子はなく 私と私を守ろうとして一緒に居てくれるマルマを囲って「まずはこの女から犯すか」「それとも両方同時だ」などと言っているので 私は必死に抵抗しようとするけれど多勢に無勢で 私がマルマの前に立って「マルマ。私が何とか隙を作るから」と覚悟を決めた瞬間 私の目の前で信じられない事が起こりました。

それは、私達が今まで戦ってきた相手の誰よりも強い相手が突然姿を現したかと思い

「貴方は一体」とその男に問いかけると

「うん? 俺は元勇者でマルマやサーナの親代わりをしていたものだ。お前達、まだ死にたくなかったら、そこの女や子供は諦める事だ」と言い放ちますが、私の事を見捨てず守ろうとしてくれたマルマは「お母様はきっとお兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒だよ」と私に伝えてきます

「うん。私ね、さっきお父さんに聞いたけど、お母様やお姉ちゃんがお母様やお姉ちゃんがマルナやサーナが攫われたと知れば助けに行こうとすると踏んで、わざと逃がそうとしたんじゃないかなって思ったんだ」と言うのですよ そしてその言葉通りで、サーヤがお母さんに「お母様、私もマルマと同じように助けに来たんだけど、もう私達は囲まれててどうしようもないの。だからせめて、サーナちゃんだけは逃したいから」と言って私の方に「サーナ、私はこの場は逃げられるかもしれない。でもその後はどうすれば良いのか分からないの。それにお姉ちゃんも私達がいなくなったら悲しむから、だから、私はお母様とお姉ちゃんを助けに行きたいの」と言いながら私にお姉ちゃんの所に連れて行くように指示をしてきたの

「うん。ありがとう、サーナ。私達を逃がしてくれようとして。そしてマルモまで巻き込んでごめんなさいね。それとねサーモ達三人には感謝しているわ。あの子がもし一人でも欠けていたらもっと被害が出ていたと思うもの」

そう言ったお母さんのお目からは涙が溢れ出しています それを見ていた他の大人たちが騒ぎ出し その隙を突いてマルノがマルモを抱え上げてその場を離れていきましたが「こっちだこっちへ来るが良い。そいつらは人質だ」と言ってマルヤさんが連れて行かれますが「嫌ぁあああ。お母さんお願い助けてよぅ」と叫ぶと「分かった」と言って

「サーナ、マルヤ達を追うよ」と言うと サーナはお父様に「お姉ちゃんとサーヤはお姉ちゃんに頼んだ」と言ってマルヤの後を追いかけて行きました そしてマルヤの事を連れ去られる直前に捕まえて抱きかかえた私達が、そのままマルヤをお姉ちゃんとサーヤの元に届けた後は お父様の事を心配するばかりであり その頃マルモは サーナにマルナが危ないと伝えられて、サーナとサーマの手を引いてお姉ちゃん達と合流できる場所まで走っていたのだが しかし途中でマルマ達が襲われてお姉ちゃん達が連れて行ってしまい、仕方なく僕がサーモと一緒に先行

「うぉりゃー」

そしてお姉ちゃんを助けに森の中に入ったお兄ちゃんも合流してくれ しかしそこに待ち受けていた大人数の冒険者によって、完全に退路を失ってしまい、今にも殺されそうになるが、そこへ現れた冒険者達の中に見知った顔が そしてその人物はマルナ達の方を見ると「おっ。お主達も生きていたか。丁度良かった」と言うのである マルモは、その人物を見た途端

「あっ、貴女はまさかリリンさんですか」

そう言って、嬉しさのあまり涙を流して喜んでいますが 一方のマルモはその人の事を知っていたらしく

「お久しぶりです。マルトお婆様。また会えて嬉しいです」と言うのですよ

「そう言えばマルトは知らなかったのじゃな。実はマルマには私の孫娘が居るのよ。名前はマルナと言うて、今年で14歳になるのだけど。その子はマルマと違って人族の血が入っているから見た目は、私に似ているのよね」と言うので、僕は「えぇ、何それ、聞いてないよ」と言うが、僕達のそのやり取りを聞いている余裕がないくらい追い詰められていたので、そこでマルモは

「それでマルマお祖母様はどうしてここに」と言うのだが

「うん。ちょっと、私もサーヤやサーマがお母様達と一緒でマルヤ達がさらわれたと聞いて助けに行くようにと送り出したまではよかったのよ。でも、私もサーヤ達の事は気にかかってはいたのよ。でね、マルマがマルネとサーラを連れて、お母様がお父様や私達の事を思って逃したって言うのなら。私も同じように、自分の大切な子達の事が心配だし、助けに行こうと思ってたんだけど、さすがにお父様と一緒では助けに行けないでしょう。だって、いくらお父様がお強くても大勢相手じゃ、さすがに負けてしまうと思うの」

「そうだね。でも今はそれよりもマルモは、なんでそんなに平気な顔をしてこんな場所に居るのさ」と僕がマルモを叱るようにいうと マルオバさんは「そうね。私達魔族は基本個人主義で集団行動なんてしない種族だからね。私達は自分達の命より大事な物は持たないのよ。でね、私は自分がお腹を痛めて産んだ子供が可愛いでしょ。それに私にとっては初めての女の子だったから尚更なのよね。だから、マルマとサーヤに危険が迫ってるって話を聞いた時は、いても経ってもいられなくなって、お姉ちゃんとサーマを置いて飛び出しちゃったのよ。あ、そういえば。私が居なくて寂しかったかな。ごめんねぇ。マルナちゃんも居ないし。やっぱりお父様が傍に居てくれた方が、安心だったかしら」

マルマの言葉を聞き終わったマルマは、「うん。凄く寂しかった。もうお母様が居ないのはイヤ」

と、大

「うん。分かった。お母様がマルマの気持ちに答えるので マルモが私を抱きしめてくる そして、私はそんなマルマやマルモやマルノに「大丈夫だよ」と伝え

「さて、とりあえず、サーヤは、これからどうする? マルマはお母様とお姉ちゃんを助けるのに、ここに残るって決めたけど。ちなみに私は、ここであなたにサーナを託して別れるつもりだったの。あなたはどうしたいの?」

「はい。私の望みを叶えてくれると言うのであれば、私を鍛えてください。私もマルマお姉ちゃんやマルマおば様の様に強くなりたいのです」

「あら、そうなの。マルモちゃんのお母さんも強いんだ」

マルナの言葉を聞いた僕は

『ドゴッ』という音が聞こえたので振り返ると、そこにはマルマが立っていましたが明らかに様子がおかしく 身体中に傷を負いながらもその瞳から闘志だけは消えていない感じであった そんな彼女の前に立っていた男が何かを言っている様子であったがその言葉を理解できなかったようで マルムは首を横に振りつつ一歩前に出て 次の瞬間、男の首筋に向かって噛みついたのです 男は抵抗しようとしていますがその身体は全く動きませんで

「ガウッ」「ギャッ」「グアゥ」「キャウ」「クギュル」「グエエッ」「グルルルー」などと言い声を上げて苦しんでいます。

そして、それからすぐにその男は地面に崩れ落ちますが

「お母様。一体どうしたの。その男に何をしたの」とサーナは聞くのですが

「うーん。これはあれですね。どうもマルヤが連れてこられたのを見て、お母様がブチ切れてしまったみたいです」とマルナは言い そしてサーモが「マルマ、一体どうしちゃたの? 」と言うと マルヤとマルノの方を見たお母様が「ごめなさいね。ついカッとなって、マルナ達まで危険な目に合わせてしまっていたようね。それとマルヤとマルヤのお嫁さんは、お母様に任せて。サーヤ、あなたの事も任せて。必ず無事に連れて帰りましょう。お父様とマルモちゃんと一緒に」と言うと マルマの方からサーヤに声をかけてきた。

「ごめんね。マルヤ。マルヤの大事なお友達まで。私の事を庇おうとしたばかりに。私はマルヤに死んでほしく無かったの」と涙声で言ってきたので マルヤは「マルマが死ぬわけないじゃない。でも、ありがとう。私は、あの男の人達から逃げれたらそれでいい。でもマルマとマルナには生きてて欲しい。私の事よりも。でもマルマもお母様と一緒に行くのね。私も、あの男達に連れ去られたマルマのお姉ちゃんとお母様には生きてて欲しいし。マルモはどうするの?」と言ってくるので 俺はサーモに話しかける事にしたのだ そして「さぁて、それじゃ俺たちも動くとするか」と言う俺に「待ってくれないか」と後ろを振り返るとお爺ちゃんが立っていたのである その事に驚くと共に、先ほどまで誰もいなかった空間にいた事から この人も、この世界の人ではなくて神族なのだと感じていた そうすると その神様のお爺ちゃんが口を開く

「ふむぅ、おぬしはわしの事を知っているようだが、まずは自己紹介させてもらうぞ。わしゃあ。神々の中で最強と言われている存在でな。【魔神王】と名乗っている者じゃ」

「えっ」と

「まてぃ、いきなり驚かせるつもりは無かったんじゃ。ただ、今はまだ話せない事もあるがお主に頼みがある。それはマルヤくんよ。君の体を貸してほしいのよ」

そう言われて「はいっ」と言うしかなかったが そして、そのまま俺達は、お爺ちゃんに連れられてある世界に行く事になったのだが その途中マルモのお母さんやマルモにお婆様の話を聞いていたのである そしてお母様のお父さんやマルマの事を、お父様は、かなり尊敬していたようでマルオバさんは、その事をすごく喜んでいたそうで、マルノはそんなマルオバさんをお婆様として、お母様の次に好きな存在

「それではお母様、行ってまいります」と別れを告げると お母様は「うん。お婆様の言うことを良く聞いてね。それにサーナとサーモの面倒をしっかりと見てあげて。特にサーモはまだまだ未熟なんだから」と、とても寂しそうにしている。しかしお母様はすぐに気を取り直すと

「さて、じゃ、私はマルマをお願いします。それと、あなた達には、これを渡しておきますね」

と言うと、お婆ちゃんから何も無いところから指輪を取り出すと それを俺達の手につけてくれると お父様とサーオバさんの方にも同じ物を渡すと お父

「これは、もし私達の娘が、何か困った状況になっていた時に使うと良い」

サーナとサーマも「はい」と返事をしていた そこでお母様が、「私達の世界は魔族は居ても殆ど人間だけしかいない場所なので大丈夫だとは思うけど。くれぐれも気をつけてね」と僕達のことを心配していてくれた。そしてマルネが「大丈夫ですよ。マルモとサーヤは必ず無事に戻らせてもらいますので。それにマルマとサーヤにも修行をしてもらいますので安心してください」と言うとマルナが「あはははは。そうだね。私達が鍛える事になると思うので。心配しないでください」

「それじゃお母様、私も行きますね」

マルマはお父様達の所に駆け寄ると「マルネは私が守るから心配要らない」

「マルマもしっかりやるんだよ」と声を掛け合うと マルヤが「お父様。また会いにきますので、それまでお元気で」と言葉をかける そして「うん。サーナもマルヤのこと頼んだぞ」と僕の頭を撫でると

「サーヤも、サーナのことを頼むな」と僕達の方を向くとお母様が

「みんなに神の祝福を与えました。これであなた達の存在は普通の人と変わらなくなったので、魔族に襲われない限りは死を迎えることはありません。ただし寿命もありますので、長くても100年程しか生きられませんので注意するように。あと、私が力を込めたネックレスを授けるので身に着けてください。これには私が持っている回復の魔法を付与していますので、怪我や病気は、ほぼ回復しますので、無くさないようにね」と首に掛けてくれた。すると身体に力がみなぎるような感覚を覚えて驚いてしまったのだった。

「うん。ありがとうございます。大切いたします。でも本当に大丈夫なんですか?お母様が私達に付いて来なくても。マルマは、お母様と居たいと思いますが」

「ふふ。マルモ。私の事は気にしなくていいのよ」と微笑んでいるとお義母さんに「私は大丈夫ですわ。それよりも早くマルヤを助けないと、あの子がどんな扱いを受けてしまうのか分からないから。それが怖いので一緒に行かせてくださいね」と言うとマルマも

「はい」と言っていて僕はその二人の姿を見ていると凄く不安になると同時に 何かあった時には自分が守ってあげたいと思ったのだ。だって二人は家族だから そしてお姉ちゃんやお母様に見送られる中でお父様から「サーラ、二人をよろしくね」

「お姉ちゃんは強い子だし、お姉ちゃんが一緒ならきっと無事に戻ってこれるから、そんなに悲しまなくてもいいから」

「うーん。マルマと離れるのは悲しいけど。仕方が無いからね。じゃ、お姉ちゃん頑張ってくるよ」

そして僕とサーナはマルマに案内されるまま、とある世界に辿り着いた そこに広がっていた景色を見て「おぉ」っと感嘆の声を上げるしかなかったのである 何故ならばそこには見た事もない程の美しい風景が広がっていたからである そして、その場所に降り立った瞬間にマルマは「この辺に居るはずだから」と言うと 目の前に大きな鳥が現れたのである その姿に「かっこいいね」と言った瞬間に「ピィッ」「ピーッピーッピ」と大きな声を上げ始めたのである。それを聞いたマルマも

「そうよね。でも今は時間がないんだし、急ごう。私達はお姉ちゃんに言われてマルヤを連れて帰ってきてねと言われているの」と伝えると「ピーッ」「ピィ」と言うと背中に乗ってとジェスチャーしてくるので、それに従う事にした マルマに誘導されるがままにマルノについていく その途中、様々な種類の生き物がいるが魔物の姿は見られない

「ここはどういう世界なんだ?」と聞くと「ん? ここかい? 簡単に言うのであれば精霊族だけの国だね。そしてここには、私たちのお姉様が住んでいるのだよ」

そう言って進んでいく しばらく歩いて着いたところは森の入り口 そこから見える光景を見た時に 俺は心が高鳴る気持ちを抑えきれずにいた なぜなら、そこに広がっていたのは色鮮やかな植物の数々で溢れている綺麗な森の中の開けた土地であり、更に、そこには妖精のような存在が見えるから 俺のそんな表情を見たマルモは、笑顔を見せながら「どう?ビックリするでしょ」と言うので

「ああ、こんな世界は今まで一度も目にしたことが無かったから」と答えると

「そうでしょ。ここに住まわれているお母様と私のお姉様はすごい方なの。だからお母様とマルネちゃんも必ず助かるはずよ」

そんな話をしながら森の奥へと進むと小さな小屋が見えてきて そこでマルノさんが止まる そしてその小窓から誰かの会話が聞こえて来たのだ それは若い女性の声で、「あら、お帰りなさい。そろそろいらっしゃるかと思っていましたよ。サーナが一緒だと聞いた時から嫌な予感がしていたのですよ。この子達ったら昔から悪戯好きで、この子の面倒見る人がいなかったら、いつも問題ばかり起こすからね」と言い出した女性に向かってサーナが「ただいま。おばあ様。相変わらず元気そうですね」と話しかけると女性は「あんたね、元気そうねじゃないわよ!マルモもサーナももう少しで成人なの、もっと落ち着きを持ちなさい。それにサーモまで連れて来て。まぁ、良いでしょう。それよりサーヤとサーモにお客人ですか」

その言葉でお婆様と呼ばれた女性が僕たちの方に目を向けてきたので

「お母様とマルヤが大変なんです。お願いです。助けてあげてください」と言うと サーナがすぐに僕の手を握ると「お母様を助けて下さい」

と涙目でお婆様に懇願してくれた それを受けてお婆様は「事情を説明してもらえますかな。お若い人たちよ」と言われ サーナとサーナの祖母に、マルノの両親に起きた

「えっ」と言う言葉しか出せなかった出来事を詳しく説明をしたのだった そしてお婆様も驚き

「あなた達、大変でしたね。今すぐに行きましょう。私も同行しますのでご安心して下さい」と 僕たちはマルヤに言われるままマルマに誘導され ある場所に到着する そこに到着した時、僕は「おぉ、凄い」という言葉を漏らすのだが、 サーナには「あれは、お婆様が趣味でやっている畑なの」

と言ってくれていたので 僕は素直に感謝する事にしたのであった 僕たちがたどり着いた場所は花や果物がいっぱい植えられており、そのどれもが大きく成長しているのが分かり、とても美味しそうな果実があったりしたのでつい

「食べたいな」と言ってしまったのだ するとサーナが

「もう、マルモったら、さっきご飯食べたばかりでしょう」と少し怒っていたのだが 僕は正直な意見として「サーナもサーマも、お腹が空かない?」と言うと 二人は顔を見合わせていた そこでサーナのお母さんは「おなかすきません」と即答で答えていて、

「サーナのお父さんと一緒だから我慢してください」と言われると サーナは「わかりました」と返事をするしかなくなっていた そして僕とサーヤは、サーモさんの案内のもと目的地に向かうことになったのである サーモさんの案内で、サーナが住んでいる家にたどり着く

「あっ、そうだ。私の両親を紹介致しますので付いてきて下さい」と言うので案内された部屋に入ると そこは広々としていて豪華なベッドやタンスなどの家具が置いてあり、テーブルの上には食事の支度がされている状態で僕達を迎えてくれた すると奥の方から一人の男性が姿を現して「おやおや、お久しぶりでございます。サーヤさん。それとお隣にいらっしゃるのが、サーナの彼氏様ですな。初めまして。私はサーヤの祖父にあたります。サーフ と申します。以後、お見知りおきくださいませ」と自己紹介され、続けて「私は妻にサーマの父親でありますサージと申す」と言われた後に「そして、こちらは娘のサーマで、今は、この家の家事を手伝って貰っています」と紹介されたサーマちゃんはとても恥ずかしそうにしている するとサーヤが「私の恋人はサーマなのよ。お爺様」と言うとサーモが「サーナは昔からマルヤが好きだからな」と言っていた サーマが「はい。お姉さま、大好きなのでございます。」と言っているのを見て僕達は、微笑ましい気分になっていたのである その後、サーフに「お主達の話を聞かせてくれぬか?」と言われ 僕とサーラは自分達のこれまで起きた事を順番に話していったのである そして最後に「それでね。お父様とお母様がマルヤの事で大変な事になっているの」

僕が必死に説明するが「なるほど。しかし、マルヤとは、いったいいつの時代の人間だ。

そもそも、この世界ではそのような名前は存在せんぞ」とサーフは不思議そうに言ってくる 僕は「えっと」と言葉を

「その話はまた後でゆっくりと話し合おうじゃないか」

「おぉ、これは、お義母様、それにマルネ様も、お揃いでどうしたのですか」と言うサーファさんに対して サーヤの祖母にあたるマルマは、「どうもしないわよ。マルマと二人でゆっくりお酒を飲んだいたのだけど、あなたの様子がおかしかったので心配になったからね」と優しく言う それを聞いた僕は「僕たちのせいでマルヤとサーヤのお母様とお父様が大変だから、僕たちもお手伝いをしないと」と訴えるが マルマは「ふむ。それは無理じゃろうな。確かにわしらはマルモの母であり、お主ならわかるであろうが、わしらの力だけではサーナの両親が生きている時間までは戻せぬ」

「そんな」と言うと「大丈夫じゃ。だから落ち着け」と言う そして「お主には、お世話になっておるからの。お礼をしなければいけないと思っていたのじゃ」

「えっと。何かもらえるのでしょうか?」と言うと「何を言っている。何もあげられんよ。だがの、お主はマルマの子になるがよい」と言われ 僕が驚いて「へぇーーーーーー」という叫び声を上げてしまったので マルマが笑っていた

「あの、マルマさん?それは、本当なんですか? 」

「ん? 本気だぞ。何を心配しておるかは分からんがの」

それを聞いた僕は嬉しさが込み上げてきて

「嬉しい」と言うと マルマさんが抱きついて来た

「そう言えばサーナは?」

そう言い出すと

「マルナの所に預けて来たわ」

「そうなんですね」

それから暫く時間が経つとサームとサーヤの祖父母が戻ってきたのであった サーナの祖父は「お義父さん。ただいま帰りました。マルマもご苦労だったな」と言い サーヤの両親は「疲れたよ。早く家に戻りたい」と呟く そんな様子を見ながらサーヤは僕の手をギュッ

「お帰りなさい」と言い、 僕は笑顔を見せ「ただいま。これからは僕が君を守るから」と言う そのやり取りを見た、サーヤの祖父から、何故か拍手されて

「良いのう。若夫婦とは良いものじゃ」と言うので

「いえ。僕とサーヤはまだまだ子供で頼りにならないと思います。だからサーヤには、もっとしっかりした男性を見つけて欲しいと思っているのですよ」

と答える

「おぉ、その考え良いのではないだろうか。そのように考えると良いと思うのだよ」

「はい」

サーフがマルヤに話しかけていると「そうそう、お前達。この子達を私にくれないかな」と言うとサーフが困った顔をするのを見ながらサー

「おや、どうしてだい。マルネちゃんも私と一緒に居れば楽しいはずなんだよ」

マルノが「ちょっとあなた。その言い方はないでしょう。

サーヤとサーモにはお付き合いを許していますが まだサーナにはお付き合いの許しを出してないのです」と言う サーヤの祖父のサーフは少し驚いたような顔を見せた後に「あぁ、そうだったのか。まぁ良いさ。お別れの時間が迫って来ているのは確かだしね。それに私が望んでもダメだと分かっているからね」と言うのを聞いて 僕は「その前に、お母様の所に連れて行ってくれませんか」と伝えると

「良いとも」と言い マルノが僕の手を取り、サーモがサーヤの手を取ったのでサーヤと手をつなぐ事になった サーヤが「あぅ」と言っていたが、僕はそのままの状態でお母様の元に向かった 僕たちが到着した時お母様は、お風呂に入っており入浴中のようだ サーヤは、僕の手を引き「ここでお待ちしててください」とお願いしてくるので、仕方なく待っている事にしたのだ 僕はサーヤが手を引くままに、その場に座って、

「お待たせいたしました。サーナ様。サーモ様」と言ってきたので 僕は「うん。そうだね」と答えると

「うふふ。ご一緒しましょうか」と聞かれ 僕はサーヤに視線を送るが、特に嫌がってなかったので一緒に入る事にしたのだ そして三人で服を脱いでいく 僕はサーヤと

「やっぱり二人っきりじゃないと恥ずかしいね」と言ってサーヤを見てみると「そっ、そうだね」

少し顔が赤くなっている

「もう。サーラったら、さっき一緒に入ろうとか言っていた癖に、本当は恥ずかしいんじゃなくて」と言うと「だって」と返ってきて お互いに笑い合う お母様が僕たちに気が付いて「あらあら、今日は仲が良いのですね。私も一緒でも宜しいでしょうか?」

「はい。もちろんです」と僕が返事をして三人目の

「それでは行きますね」とサーシャが言うと体が浮いた感じがした後 目の前が急に変わり僕とサーナは驚いていた 僕たちはお母様に背中を流してもらうために、洗い場に向かい サーナが先に座るとお母様が「サーラはどうされますか?」と聞くので「サーナは、後で一人で入ります」と言っていた サーナは「私は別に良かったんだけどな」と言っているが、お母様は「分かりました」とだけ言ってサーナの髪の毛を洗

「お母様の髪は綺麗だね」と言うと「ありがとう。サーナちゃんは可愛いわ」と言うとサーナは頬を染めていた 僕は「僕は男らしい髪型に憧れていたんだよね」とおどけて見せると お姉様から、思いがけない答えが帰ってくる「マルちゃんは、今のままの方が似合っていますよ」

「えぇ、僕は格好いい方が良いな」

するとお姉様が

「ふふ、今は無理かもしれないけど。そのうちに男の子らしくなりますよ」と僕に向かって言ったのである そして体を洗い終わるとお湯船に浸かりながら お話しをしているとサーヤが僕にもたれかかる形でお

「眠たくなってきちゃった」と僕を見て言う

「お部屋に戻って休みます?」とサーヤが言うとサー

「サーヤが良ければ、この場所で寝てもかまわない」

「私は、お部屋にベッドは無いのだけど、どうしますか?」

「じゃあお母様、僕とサーヤはこの場で眠りますね」と僕は言うとサーヤが「お兄ちゃん。私はお兄ちゃんの腕に抱かれて眠りたいです」と言うので 僕は「じゃあそのように」と言い、腕に抱えたまま眠りにつく それから暫くすると僕たちの横にサーフさん達が座り話を始めるので僕は二人の話を聞き始めた

「それで、マルフ。いつ頃がお迎えが来るのかね?」とサーフが尋ねると

「それがねぇ。実はわからないんですよ。何しろあの人はとても忙しくしていて連絡が取れないんですよ」

「はぁ。そうなのですか」と僕達は会話を続けるのであった

「マルモの旦那さんも元気にしておられるんですかい」と

「あぁ、相変わらずだな。あいつがこの村に来てくれてからは生活が良くなったし感謝しているのじゃ」

「それは、私も同じですよ。サーヤもとても幸せそうだからね」

「お父様は本当にサーヤを溺愛してるからね。マルモの旦那には、頭が上がらないと思うよ」

「まぁ仕方ないだろうよ。サーナが生まれた時は大変だったもんさ」

「それはそうじゃろ。自分の子が死んでしまうのだから」と お母様がお酒を飲み始めました サーモがそれを止める為に立ち上がると「よいよい。わしらは大人なのだから飲まないとやっていけんよ」と言うので 僕はサームを止めてサーフ

「サームさんの言う通りですよ。たまにはお母様のしたいようにさせてあげないと」と言うと「そうですか?しかし、それなら私が相手をしますね」

僕はサーヤをお姫様抱っこしてから立ち上がり

「それじゃお母様おやすみなさい」と言うと お婆さんが

「そう言えば。明日のお弁当の中身について、まだ聞いていなかったわね」と お弁当の用意が終わっていない事を告げるのであった お婆さんが

「それについては任せてちょうだい」と言い出して厨房に向かおうとしているのを僕は呼び止めて お爺さんに「お婆さんは、いつも何を食べてるの?」と聞くと

「ん。そうだね。野菜スープかシチューのどちらかが多いね」

と言うと、サーヤも

「そうですね。毎日似たようなものかもしれません」と話す そこで「よし、お婆さんにおまかせするのが一番だよ。サーヤの美味しいご飯が食べられると思うよ」とサーフさんが言うので 僕はサーラに「そうだね。サーヤの料理は凄く上手だから期待できるかもね」と笑顔で答えると、サーラは照れ臭そうな顔をしていたので頭を撫でると 僕とサーヤの二人は手を繋ぎながら宿の部屋に戻る それから二人で、ゆっくりと話をしていくのであったが、やはり

「僕はまだ、ここに居たいんだ。サーラは大丈夫なのかい」

と僕は心配でたまらないのだ そんな僕の気持ちにサーシャが気が付くと僕に抱きつきキスをしてくれたので、そのまま暫く見つめ合い、僕はそのままサーシャを押し倒すのであった。

「あぅ、また、やっちゃいました。マルマお祖母ちゃんごめんなさい」と言うと サーヤも

「マルちゃんごめーーー」と言って謝ってきた そしてお姉様の所に向かうと、お風呂上りなのだろうか、浴衣姿のサーヤお姉様を見て僕はドキッとしてしまい思わず抱きしめてしまうと「あぁ。もうお嫁には行けない体になっちゃった」と

「サーナが欲しいと言うのであれば。私の全てを差し上げるのも悪くはありませんね」と言うのを聞いてしまった

「お姉様の全てを僕がもらっう」と言いかけたところで「サーナの事を妹として大好きだけどそれ以上は求めないでね」と言われてしまい。残念なようなホッとしたような微妙な心境になってしまった。

僕はサーヤの手を引き部屋に戻り 僕はベッドの上に座り

「僕はもう少しこの世界を旅してみたいんだ」

「はい。わかりました。サーラちゃんと私はいつでもあなたと一緒に行動できますので安心してくださいね」と僕が言うと サーヤが「私だって一緒だよ。私は、お兄ちゃんの事が大好きなの」と言ってくれたので 僕は「ありがとう。僕がサーヤを守る」と言って そのまま僕は

「じゃあお風呂に入って来るよ」と告げると、「えぇ、行ってきてください。私達は、こちらで休ませてもらいます」と二人とも答えてくれたのだ

「うん、わかった」と言って浴室へと向かうと既にお風呂に入っている人達が多くいて、サーヤ達を探そうとするが、どうせすぐに見つかるのだと思い、そのまま服を脱ぎ、体を洗い終えると湯船にゆっくりとつかっていく お湯の中に入り周りを見渡すが皆一様に疲れ果てており、会話も少なくなっていたのだ ただ一組だけ異様に元気の良い夫婦がおり子供が走り回っているのだがその子は何故か僕と視線を合わせるたびに手招きをしてくる なので「呼ばれているからちょっといってくるね」と

「サーナ、サーヤは先に行っててくれないか」と言うと「分かりました」と言って、サーラと共にお部屋に向かったのを確認してから 子供の方に向かい

「なんでしょうか?」と言うと、その子供は僕の腕にしがみついて

「ねぇ。私達の所に来ない?」と言うので「はい?」と言うと、奥さんらしき人が

「だってさ。マルモさん、この子、可愛すぎるんだけど、それにさっきはあの綺麗なお姫様を抱きかかえて歩いていたんだよ。これは運命だと思うわけよ」とまくしたてるように僕に向かって言って来たので僕は

「サーヤは、大切なお姫様なんです。お誘い頂けたのは光栄なのですけど」と言うとその女性は更に興奮気味に話しかけてきたのである そして話の内容はサーナの事ばかりだった お兄ちゃんがサーナちゃんを連れ出しちゃってどうしようとか。私が代わりに抱かれれば良かったとか言っているのを聞いた時には僕は苦笑いをするしかなかったのである それから僕は話の流れを変えようと別の話題を持ちかけようとしたところ、子供達の声が大きくなるのと同時に、一人の男が近付いてきてこう告げた

「おいガキどもここは俺の家なんだぞ!早く出ていきやがれ」と言い出したため周りの人も動き始めてしまい 男は暴れ始めると近くの人に殴りかかり始めたが直ぐに取り押さえられてしまったのであった その様子を僕はただ眺めていただけなのだ

「おい。そっちの坊主。こいつらを黙らせてここから追い出したら金やるぜ。どうする?」

と言われたので

「サーナの分以外はお断りします」

「へへ。可愛い女と金だ」

「では、失礼します」と言うとその場を離れた 男の仲間と思われる連中が集まってきていたが僕はそれを気にせず宿を出て村から外に出る事にしたのであった サーモ

「あら?あの人はマルちゃんの友達かしら」

マルス

「いえ、知らない人ですね」と言うと サーフ

「マルスは相変わらず冷たいねぇ。それなら私が追い払えばいいのね」と言うと腰にさしていた剣を抜き放つとそのまま男に向かって突進して行った

「ふん。そんなひょろい体つきをしていても強い奴もいるから油断できないんだよ」と サーフの攻撃を難なく受け止めた マルフはそれを見るとマルスに目配りをし「それなら私に任せなさいな」「そうですね。僕がやると怪我をさせちゃいそうなんでお願いします。サームさん」と言うやり取りの後 サームはサーフに近づいて行く そして二人は軽く打ち合いを始め 徐々にサーフの攻撃が当たるようになり サーモは少し離れて見守りだしたが暫くしてからサーラを連れて宿に戻っていったようだが、僕とサーヤ

「サーラ、サーモはどうしたんだ?」

「ん。なんかマルフのおじさんを倒せるくらい強そうなんだって」

「そうか、それは凄いな」と言う会話をしている時に、

「お前さんら、あいつと何か関係あるのか?」

とサーモが尋ねてくるので

「はい。そうですよ」と答え サーヤとサーモに僕の事を紹介をしたのだった マルフがマルスの方を向いてニヤリと笑みを浮かべながら言うと「お兄ちゃんの敵!」と言い いきなりマルフに向けて攻撃を開始したのでマルフはそれを簡単に避けてしまい、 それを見た僕は「危ないので下がっていてください」と言って前に出た

「おう。じゃあ頼んだわ」と言ってサーラを肩に乗せながら離れていく

「おい、そこの子供。お兄ちゃんを馬鹿にしているのなら今すぐ殺してやろう。まぁ俺の楽しみを奪うことになるが仕方がないだろう」と言いながら向かってきたが マルスは冷静に対処していき「そんな程度ですか。もう少し本気を出してもいいのではありませんかね」と言い そして「はぁ。貴方が弱いと言っている訳ではないのです。お仲間の方が強かったのに、お父様の力を借りた僕に負けるのは嫌なんですよね。ですから」と言って一瞬で勝負は決まったのであった

「ば、バカな。何故、勝てん。しかも傷一つついていないだと。ふざけるなー」と喚いているがマルスの耳には入っていなかったのである 僕はマルスが戦っている間に男の懐に入り込んでいたからだ。

「あー、僕としてはここでお別れした方が良さそうなんですがね」と言いつつ拳を叩き込むと、その衝撃で気絶してしまっていたの

「ふむ。流石はマルちゃんだよ。やっぱりあの人より強くなっていんだねぇ〜」とお婆さんは言いつつも、やはり何処か心配げな雰囲気を醸し出しているように見えたのだが、気になる事を呟いていたのだ「サーシャ様も連れて行っちゃったけど心配しなくて大丈夫かな?」と言っていたのであった 俺は目を覚ますと同時にサーシャの部屋へと向かう事を決める サーシャを攫うとはどういうつもりなのかを問いただしたかったからである そしてドアをノックすると返事があり開けるとそこには浴衣姿のお嬢様が居たのだ「サーシャ。大丈夫なのか?」と言うなり、サーシャに抱きつくと頭を撫でたのであった そして暫く

「お風呂に入って来る」

と言うのであった そして風呂に入ると先程のサーシャの言葉を思い出していたのである サーヤを連れて行くとは何を考えているのだと思ったが、もしかしたらサーナを助けてくれるのではないかと思っていたのであった。だからと言ってサーヤを危険な場所に行かせる訳にはいかないと思い、お風呂から出た後、サーラに頼みサー

「ちょっとサーナを探して、話をしてくるよ」と言うと、僕は部屋に戻り、お爺ちゃん達にサーシャを見守ってくれてありがとうございましたと頭を下げてから部屋を出た 部屋の前に着いてサーナはいるかを確認するために声を掛けてみると、サーナとサーヤが部屋の前で待っていてくれていた

「あっお兄ちゃん戻ってきたんだ。それで何の話をしてたんだい?」と サーナが尋ねるのに対して僕はサーシャに会いに行くと伝えると二人とも一緒に行きたいと言ってきた 僕はもちろん二人と行動する事を約束してサーマ達にも伝えておいたのであった。その後 僕達は風呂場に向かう事にしたのである 僕達が風呂場につくと既にお風呂に入っていた

「あっ。お姉ちゃん、やっと出てきたよ」とサーナが嬉しげに声をかけるとサーヤが僕に話しかけてきた

「どうしましたか?サーヤとサーラはもうお風呂に入ってしまいますか」とサーヤに聞かれたので 僕はサーシャがお風呂に入ってしまったようなのでサーヤに聞いてみた

「サーヤ。僕はサーシャに会って話したいことがあるんだけど。今、どこにいるか分かるかい?」

と尋ねると、

「お姫様になら、今は部屋に居るんじゃないかな?私、お姫様に頼まれたからサーモと一緒にいたんだけど。サーナがお兄さんの所に行きたいから案内してあげてって言われて来たんだよ」と答えると、僕は二人に感謝の意を伝え 二人に案内を任せることにしてサーナ達を見送ったのであった 僕も急いでサーヤ達と合流して サーヤとサーヤのお母さんに、 サーラをよろしくお願いします。と言い残すとすぐに駆け出したのだった サーモのお父さんは、俺の方に近付いて来て「さっきは済まんかった。あんたが、お客さんの息子さんだってのを忘れていて」

と言うので、僕は笑顔で

「いや、気にしないでください。俺、お酒とか飲むのは好きですから。それなのにさっきはすいませんでした」と言うと、お兄さんに呼ばれてしまったのでお店に戻ることにしたのである

「お前がマルフか?こいつらの親分が会いたいって言ってるぜ。お前なら悪いようにはしねえと思うからついて来い」と言われてしまった

「おい。サーフ、そろそろ起きろ」と言いつつお酒をガバガバと飲んでいたが

「うっ。痛たたた。あ、頭が」と声をあげると サーフ

「どうしたんですか?何かありましたか?」と聞き返している

「お前、この前のこと忘れてるのか。このガキがうちの旦那に怪我させたって言うじゃないか。全く許せねんだよ」

と、その言葉を合図に他の

「おう、やっちまえ」「サーフ、そいつら潰せよ」「サーヤに手を出そうとするんじゃない」「そうだ、サーヤを拐うだなんて絶対にさせねー」という罵りと共に周りはどんどん盛り上がっていき最終的には サーラの味方はマルスしかいなかったのである

「サーナ、俺の後ろに下がっていなさい」「はい。分かりました」と言うのでサーモを呼んでもらうことにしたのである「おいサーモ、サーヤを守れ」「おう分かったぞ」とサーモは言いながらサーナの方に行ってくれたようだが サーモのお兄さんの仲間が剣を持って向かって来たが僕の相手じゃないなと思っていると案の

「サーファに手を出さないで下さい。僕も加勢させていただきます」と言うと仲間は引き下がり、今度は別の人が「俺らもサーファを貰えるのなら喜んで手伝うぜ。どうだい?金もくれるんなら文句言わずに戦うけどな」と言ってきた

「いや。それは僕に言うのではなくサーフのサーラにお願いして欲しいですね。それにあなた達のボスはそちらにいるサーフさんなんでしょう」と言うと男はサーフの方を向き「おぃサーフ!てめえの妹なんだろ?いいじゃねーか、くれてやればよ。」

と言い放つが「そんな事言う奴らにやるもんはないんだよ。帰れ!」と 叫ぶが それでもしつ

「そういえば、お前らは盗賊やってるんだったな。じゃあ、ついでにてめぇらを奴隷商に引き渡せば金が入るって事だな。おいお前らサーヤを捕まえとけ」と、 リーダーの男が命令を出すと僕を睨みつけながらこちらに近づいてくるのだが

「おー、良い格好をしているな」と

「お褒めに預かり光栄ですよ」と言いつつサーフに視線を移すと、サーフは僕を見て、そして僕の服が破れている事に気づくと、「あいつが、あの野郎。ぶっ殺してやりてえが」

「サーフ。俺は、別に構わない。サーナには、サーナだけは無事であれば後はどうなってもいいんだ。俺は、サーマが助かるならば、どんな事でもするつもりだよ。サーマさえ助けてくれるならね」と

「わかった。だが少しだけ時間を稼いで欲しい。みんなを集めて来る」と言うと

「ありがとう。それと、もう一つだけお願いしたい事がある」と伝えるとサーフは「何だ。なんでも言ってくれ」と言ってきたので

「俺の、名前を使ってくれないか。俺の名前はサーマルだ。だから」と頼むと、サーフは、力強く、任せておけっと言いながら部屋から出ていった 僕達が、部屋の外で待っていると 中からは男達を殴りつける音が聞こえてきた 僕はサーラを連れて中に戻ろうとするとサーモのお母さんは僕を呼び止めた

「お兄さん、サーナの事頼みますね。私は大丈夫だから、サーナはサーモを助けてあげて欲しい」と言いつつ頭を下げる

「もちろんです。サーナは、僕の命に変えても必ず守り抜きます」と言い切ると

「その気持ち、嬉しいわ。本当に感謝します。私もサーヤのことはちゃんと守るから、心配しないで行ってあげて、サーナの事も、お兄さんも無事に帰ってくるのよ。絶対よ」

と言うとサーナも頭を下げていた そして僕達はお店を飛び出して宿に向かう そして部屋の前に着くと扉が開き、そこにはマルスが待っていたのであった。僕達が、中に入るとそこにはボロ布をまとったサーシャの姿があったのである

「お待ちしていました。私、ずっと待っておりました。サーマル、サーモご苦労様です。さぁ、サーナ行きましょう」と言って僕達にお辞儀をして部屋を出るとサーナの手を引っ張って部屋を出て行くのであった。その後ろ姿を呆然と見つめていたのであった 僕が宿屋の前に着くとそこには 数人の人達がいたのだ するとその中の1人が話しかけてきた

「サーモの兄貴ですか?」と言われたので

「あ、あー。まぁ、兄と言うか弟分かな。とりあえず、こいつは俺の友達の弟なんだがサーシャの事を頼んできたので連れて帰ろうと思うんだ。だからよろしく」と伝えると

「サーモさんはどこですか?お願いがあります」

と真剣に訴えかけられてしまったので、仕方なく一緒に連れて行く事になったのである。それから 僕達3人は馬車に乗り込み街を出たのだった。サーモの話では、俺がサーモの代わりにサーシャを守る事になるが、もし俺がやられた場合はサーシャの事はサーナに託すしかないから、しっかり面倒みてやってください。と言っていた 道中は何事もなく順調に進んで行ったので、次の日の早朝、僕は2人の見張りを残し全員寝かせ

「今晩だけだからさっさと終わらせるか」「そうだね」と話し合う そこで作戦を決め僕はお爺ちゃんに報告する為に外に出たのである

「サーマルどうしたんじゃ」お爺ちゃんが尋ねるので僕は話を聞いてもらいたいと申し出た お爺ちゃんはそれを承諾し話を聞き入れてくれたので僕は今までの経緯を話し始めた

「なんじゃ。またお前らの悪い癖が出たか」とお祖父ちゃんがため息をつくと、続けて

「わしらの村に来るがよい。この村に居るといずれ殺されることになる。それが嫌なら早くこの村から離れるのが一番いいのじゃが、どうしても離れるつもりがないと言うのならワシが責任を持って守ってやろう。お前は、この村を離れずこの者達を守りきれる自信があるか?」と問われてしまった

「いや、無理だろう」と答えると

「ならここに居ればよい。ただ、サーラを攫うなどしたらタダでは済まさぬからのう。覚悟して置くようにのう。それと、もう二度と会えないかもしれないと言う可能性はあると言うことをよく覚えておくといいぞ」と言い残してお爺ちゃんも帰っていった お姉さんも、しばらくここで生活してから移動することになったようで、その方が安全らしいのだが

「サーマルも一緒に来ない?私は全然問題ないから安心してついて来て」とお姉さんに言われてしまうが 僕は「いや俺にはまだ旅をするのに必要な物が何なのかすらわからないので、サーモに色々聞いてみるよ。それに今はお店の経営の方が気になるから、もう少し落ち着けば俺からサーモに会いに行かせるようにするから、そしたら、俺と一緒に来てくれないか。俺は君たちと一緒に過ごしたいし」と言うとサーモのお嫁さんになりたいと言っていたのに嬉しそうにしている 僕と、サーモのお母さんは、これからの相談の為話し合いをするため一度戻ることにした そして僕もお爺ちゃんに相談する事にしたので お婆さんには、一旦僕が引き取りますねとだけ伝えてある 僕は宿に戻りサーモと話をするために サーモと合流してからお風呂に入った

「あ、お湯が出ないね」と言うと サーフは「そろそろ出なくても困らなくなるくらい貯めないとな。それより今日はサーナとゆっくりした方がいいんじゃないのか?昨日はほとんど眠れなかっただろ。それにあの後、サーナとは何も話してこなかったみたいだし、明日からも忙しいしさ」と言われてしまい 確かにそうだと思った僕は

「そうだな。でも明日からの旅路のためにサーナに装備を渡したりしないといけないから少しだけ話すよ」と言うと サーモも付いて来ることになり 3人でサーナ達の部屋に戻ってきたのである そして僕はまずはお土産を手渡したのである

「ありがとうございます。それで僕達の荷物を返してください。あれには僕の家族がいるんです」と懇願してくるが 僕はそれを無視していた サーナは僕達のやり取りを見ていて僕達の仲が悪い事に気が付いていた しかし、そんなことは気にせず僕達に抱きついてきて「よかった」と涙を流すとそのまま眠ってしまったので

「少しだけなら時間が取れそうですね」と言うと

「じゃ、サーマルちょっとだけいいかな?少しだけなら」と言ってきたので少しの間、サーフと二人でお話をすることにしました サーヤも目を覚ましそうになっていたので再び睡眠を取れる様にしてあげて、僕はお店を開けていた時の事などを詳しく聞くことにした

「なんだよ、お前は俺の事が信用できないのかよ」と言いつつ説明を始めたので 僕は、お店をやる上での注意点とか 接客方法、在庫管理、仕入れの方法、帳簿の付け方などの事を教えてもらう

「なるほどね。これはなかなか面白いな」

と言うとサーヤは僕をじっと見つめてから

「僕にその知識を分けてもらえないか」と言い出した

「もちろん、サーヤは仲間だからね。喜んで教えるけど、その代わり」と言いながらサーヤに

「サーマに手を出さないでくれるよね。俺の妻だからさ」と言うと

「当たり前じゃん。そんな事する訳無いだろ!俺の妹に手を出すはずがないだろう」

「でも俺はお前の事は好きになれない」とはっきり言うと、少し落ち込んだ表情をしていたが、それでも僕に教えてほしいという事だったので、僕が教えられる事は全部教えた

「これでお店の事は大体わかったはずだ。でも何かあった時はサーナに頼る事になるから」と言うと、任せてくれと言うので僕達は、お店を後にすることにしたのである サーナと、サーナのお父さんは僕達に別れの挨拶をしてお店を閉めると僕達は宿に戻った それからしばらくしてサーフは「サーマは疲れているんだ。お前がサーマの相手をしてくれ。俺は母さんと寝るから」と言ってサーフとお母さんと、サーナが一緒に眠りにつき 僕

「それじゃサーモ行こうか」と言うと「うん。どこに連れて行くんだ」とサーマのお母さんが不安げに言ってきた なので

「僕の家ですよ。僕の家に行けば、きっと大丈夫だから」と言いつつ連れ出して サーモがサーナの両親と共に僕の家で暮らし始めたのであった

「おい。なんで俺までこんな目に」と文句を言うサーモに「うるさいなぁ。いいからこっち手伝ってくれよ」と答えると しぶしぶ僕の作業を手伝い始めた 僕達はお店を閉じ、宿屋に帰ってきたのであった。サーモの話では、俺の家は、お店より、だいぶ近い場所にあったので、そこまでの移動の間にサーシャと仲良くなったようで「サーシャはいい子だね。サーマルの事大好きなんだって」と言うと「俺の事は嫌いらしい」とぼやいていたのであった 宿屋に帰りサーシャと、サーナを起こそうとしたが、サーシャはまだ眠たいらしくて寝かせてあげることにし 僕は宿の部屋に戻ることにする お店の準備を始める前に宿で食事を取って

「よし。始めるか」と言うと、早速作業に取り掛かると すぐに開店時間が近づいてきてしまうので慌てて準備をしてサーモと2人で宿を出るとすでに多くの人が集まっている 僕はサーシャにお店の鍵を渡す

「サーモ。これを預けるよ」と伝えるとサーモは不思議そうな顔をするが僕は説明をせずに「あとで分かると思うから。それとこれを付けてね」とサーモの首に認識票を付けるとサーモは理解したような感じだった それから、しばらく待っていると続々と人がやって来てあっと言う間に列が出来る

「サーシャ。頼む」と言うとサーシャは笑顔になって「はーい。皆さんいらっしゃいませ」と言い出すので僕はその横で

「ようこそお出でくださいました。こちらのお店は、当宿自慢のお店となっておりましてお昼ご飯として人気の料理となっています。メニューは3種類あり日替わりランチ、パン2個セット スープ2個の3種です」

「また、本日はサービスとしまして2種の肉が選べるようになってますのでそちらも是非」

「ではどうぞごゆっくりとお選び下さい」と言うと みんなが注文をし始めてサーリャが「ありがとうございます。只今出来立ての品を提供させていただきますね。まず最初にお飲み物のご用意をいたしますので少々お待ち下さい」と僕とサームは裏に行って飲み

「美味いな。これが噂のお店で飲めるミルクって奴か」と言うとサーモが「このミルクはサーヤの牧場で作られた牛のミルクを使ったものだそうだ」と説明してくれるが そこにサーヤと、サーモのお母さんが戻って来て サーナとサーファが一緒に食事を摂りに来ていたのだ サーヤが僕の隣に来て座るとサーナはサーナの向かいに座ってサーナの隣にはサーヤがいたのである サーヤも自分の分の飲み物を取りに行くためにカウンターに行ったので、サーナと一緒に居たのはサーナの母だけだった

「あの人はいいのか?」と聞かれたのだが「大丈夫だよ」と答えると サーラが「お腹空いちゃった」と言うので

「サーナが戻れば、すぐに出てくるよ」と答えるとちょうど良いタイミングで戻ってくるサーナ そのサーナも座り5人で談笑をしながらお弁当を食べるので「今日はお客さんの数が少ないみたいだね」と言うと

「はい。いつも通りお昼過ぎまではお客さんも少ないと思いますの」と言うのである そして僕は「実は今日から、この人達が俺の家族になったから」とお義姉さんとサーマルを紹介するが、あまり興味がないみたいだったがサーサは嬉しそうにしていたし僕達を見て少し羨ましいと思ってくれたのかもしれない 僕達がお店をやり始めたのを知ってか知らでか知らないけれど その後も次々と人が来てしまって、なかなか大変な事になってしまったのである 僕

「サーナもサーヤも今日も手伝ってくれて本当に助かるよ」

「うん。僕は大丈夫だけどサーナの体調が良くなればサーヤにもお願いしようかな」

「でもお兄ちゃんは私よりも強いから、お店をやってても安心だよ」

「それにね、昨日もいっぱい魔法を使って魔力が減ってるはずなのに元気一杯で楽しそうにしているんだよ。やっぱり、あの変な化け物が怖いんじゃなくて、お店をするのが好きなんだと思う」

僕は、そんな事は無いだろうと思ったが「サーナは優しい子だから」と言うので納得するしかなかった サーナに聞いたが「う~ん、特に無いかな。ただサーヤには凄くお世話になっている」と教えてくれたので

「サーヤには迷惑ばかりかけて悪いけど、これからもよろしく頼むね」と言うと

「はいっ。わかりました。お任せ下さい。お店はサーナに任せていれば大丈夫ですから」と言ってサーナを励ましている様子で僕がそれを見ている事に気がついて、頬を赤く染めているのを見ると少し恥ずかしくなった

「さ、サーマ。お仕事おしまいにして早く行こうよ。僕お店がどんなところか知りたい」とサーナに誘われたので お店を出て二人で街に繰り出すのであるが、お店を閉めた後にサーナとサーヤが仲良くなっている姿を見てサーナの母親はとても喜んでいた

「サーラ。俺と、お前は親友だって言ってるよな。サーナとも仲良しなんだよな。良かったな。二人共、お前の事大好きなんだろうな」と、しみじみと言いながら僕の肩を叩いてくるのがとても嫌だった その後でサーナがサーヤの手を引っ張って走り出して「待ってよ」と僕が声をかけるが 二人が「キャッハ。追いつくもんか」と言って、僕の事を置き去りにしてしまうので

「おい。お前は子供なのか?俺の妻の事をサーヤと呼ぶのをやめろよ。お前の子供でもないんだろう?」

と言うと サーラは少し考えてから

「でも、お姉ちゃんが呼んでくれっていうなら俺のことはサーラと呼び捨てにしろよ。わかったよ。お前の事はおにーさんって呼ぶから」

僕は「それで構わないが、俺の妻は俺の嫁だ。俺の大切な人だ。わかったら俺のことをサーマって呼びやがれ」と言うと サーナは「わかったよ。サーマ」と言うのでサーフにだけ

「俺は別に呼び方とかどうでもいいんだけどさ。お前ら二人の事も、お前らと、サーシャがいいというのならば好きにするが良いが、サーナだけは絶対にサーマとは呼ばせない」

「まぁお前に何が出来る訳じゃないんだから黙っていて欲しい。それに今は、お前と喧嘩するつもりもない」と言うので サーナも、それ以上言うことはなかった それからしばらくしてサーナに案内されるままに僕達はお城に向かったのである 僕達は宿を出るとサーマに連れられて街の中を歩いて行く 僕はお店を始めたからサーモと宿を出ないと行けないし サーマとサーナがサーヤに懐いているような感じだった。

宿を出ようと思ったのも宿にいればサーナが来る可能性が高いからだ。

サーナのお父さんに頼まれていたからね それから、

「サーナ達はどこに遊びに行っていたの?」と聞くと「えっとね。サーマのお家に泊まりに行ったよ。サーナが「泊めてあげる」って言ったの。そしたらサーマルも「ありがとう」って」と言うと、そこで突然何かを思いついたように

「そうだ。ねぇ。サーナとサーナの両親と私の両親で一緒に暮らさない?」

「私はサーナが寂しい時や悲しい時には側にいてあげたい。それが一番大事だと思うんだ。私がお兄さんやサーマに会えない間ずっと我慢してたのをサーナは知っていたから。サーナは、私にとって一番大事な友達なんだ。だから私と離れるなんて考えたこと無かった」

「だから一緒に住もう。みんなが幸せになれる方法を考えよう」と言うので、 僕は「サーモはどう思うの」と質問するとサーモはしばらく考え込んだあとに

「それは良いことだと思います。確かに、この国の王様が亡くなってしまったせいで、お父様は、この国が混乱することを恐れていました。それにお母さまは体が弱くなってきてしまったから。本当は、この国を離れたほうが幸せなんですけどね。でも僕は、みんな一緒にいた方が幸せだとおもいます」と言うと サーナのお母さんが涙目になって、すぐにサーナの方に抱き着いていくのであった それからしばらく歩くと、一軒の家にたどり着いた

「着いたよ。ここがサーナのお母さんが住んでいる家だよ」と言うのを聞いて驚いたのが「サーナのお家が近いんじゃないか。じゃあさっさと帰ってくれば良かったじゃん」と思わず口に出る

「だってぇ。お店で売っているものを見に行ってただけだから。お店の場所は知らなかったからお散歩していると偶然見つけちゃったんだよ」と言われてしまえば何も言えなかった。

そして家のドアを開ける前にサーマは深呼吸をする 僕は、「そんなに大袈裟にしなくても良いだろう」と言ったが聞いてくれないので そのままドアを開けたのだけれども中には何もない部屋で誰もいなかった

「あれ、おかしいなぁ。確かこの時間にいるって聞いていたんだけど」と言うとサーナの母は慌てて「ちょっと待って下さいね」と言うので 待っていると「サーナ、今日は早かったのね。ご苦労さん。あらお客様ね。初めまして。私この人の妻の、サーヤといいます。この度は、うちの主人がご迷惑をおかけしておりまして申し訳ありません。この通りです」

僕に向かって頭を下げてきたのだ

「お気になさらないで下さい。こちらこそサーナの事でご迷惑をかけてしまって、大変ごめんなさい」と謝るのである それを聞いたサーヤが、さらに慌てた感じで「あの人はそんなことしてませんよ。本当にあなたが思ってるような悪い人間ではありません」とフォローしてくれた 僕は少し嬉しかったのは内緒だ その後で僕達はリビングに移動してから話し合いが始まった

「お母様、お父様にお願いをして、お城に引っ越してもらえば良いのですわ」と言うので サーヤの母親が

「あの人にも、あの人との子供が出来たんですよ。その子のことを考えたらここに居ないと、あの方がかわいそうです」と言うのである

「お子さんがいらっしゃったんですね。でもおめでとうございます。サーラが嬉しそうに話していましたよ。あなたのお子さんはどんな子になるんでしょうね。女の子ですか男の子ですか」

サーヤが僕達の方を見ながら

「男の人なの。まだわからないけど、産まれてくる子の為にも頑張ろうって思ったよ」と言うのである 僕は少し気になったことがあった 僕は、サーヤの母親の顔をジーと見ながら「失礼なことをお聞きするかもしれませんが、もしかしてエルフではないでしょうか」

「そうだけど、なぜ分かったの?あ、もしか私に似た人を以前見たことがあるのですね」

「いえ、そういうわけではないですよ。僕は少し特殊な魔法を持っているので」と正直に伝えた。

サーナの母親は

「もしかすれば、サーナとサーヤはハーフなのかも知れないですね。でも、もし本当にそうなのであれば、とても素敵な事ですね」と言う 僕はその言葉で、もしかするとサーナがハーフだからサーヤと仲良しなのかもしれない

「僕はサーラと仲良しさんだよ」と言うと 僕とサーラはサーモを見てサーマの両親が「サーマの両親にお願いします。私たちも一緒に住みましょう」

サーナが僕とサーラの手を引っ張ってくるので「うん」と返事をしながらサーマの方を見ると「そうだね」と言うと、サーナの両親は

「では、よろしくおねがいいたします」と挨拶してきた こうして僕の家に、サーラとサーナとサーヤとサーラの両親の5人が家族となるのであった 僕は「お腹空いたよ。何か食べさせて貰えると嬉しいな」と言ってみるのであるが、サーナの母から

「サーマ。何か用意してあるかしら」

サーナは台所に行き

「はい。これ、お父さんから、おにーさんへのお弁当」と、大きなバスケットを持ってきてくれるので 僕はそれを開けてみると、たくさんのサンドイッチが入っていてとても美味しそうである 僕はそれを口に運んでいくと「これは、なかなかの出来栄えじゃないか」と言いながら食べるのだが それを見ているみんなの

「おいしそー」「僕も食べたいなぁ」と聞こえてくるので

「みんなも食べればいいじゃん」と言うとサーモの父親が「いや、サーナのご飯を食べた後で、俺達がお昼を食べるなんてできないだろう。おにいさんの事は、俺達も尊敬しています。だからおにいさんの料理には、いつも感心してましたよ」と言うと サーマの母親が「まぁ、サーナの作ったものが不味い訳がないよね。だから遠慮しないのよ。あなた達はこれから毎日おにいちゃんの食事が食べられるんだから」と言うので

「ねぇ、僕もお姉ちゃんも、ずっとここで暮らしていいんじゃないのかな」というサーナの言葉に対して僕は

「確かにサーマのお母さんや、お父さんとずっと暮らせないのはとても残念だよ。でもさ、僕達は、いつでも会うことができるんだ。それに、この国は今色々と危ういだろ。ならサーマと一緒にいれば何かあった時に、きっと役に立つはずだと思うんだ。だから一緒に暮らすのは、もう少し後になってからでも問題はないんじゃないか」と説得をした すると サーナとサーモの両親は顔を見合わせてお互いにうなずいていた どうもサーモの両親がこの家に住まなかった理由に納得がいったみたいで、「確かにそうかも知れませんね。この国の王も亡くなってしまい、新しい王が選ばれるまでの間、混乱が起こらないようにと警戒をされていたから、この国にはあまり長居はしたくはなかったのですが、サーナが、この家に住まわせて欲しいと言うから仕方がなかったのですよ」と言うと サーナが「お父さん達は、私が寂しい思いをしないようにしてくれていたんだよ。それに、サーナが大きくなったときに一人きりだったりしたらかわいそうだと思ってくれたの。サーマのお母さんが病気になったのは私のせいでもあるからって。でも今は違うから。だから私はもう寂しくなんかならないよ」

と言うのであった

「サーナ。君はサーマに何を言ってあげたんだい?」

「んとねぇ。私の本心を全部言っただけだよ。サーナと、私は友達でしょ。なのに友達の事を全然考えてないのは嫌だって言っただけ」

「そうか、それがサーナの本当の気持ちなんだね。良かったねサーナは、こんなにも想ってくれる友達がいるなんてね」と頭を撫でると照れくさそうにして笑っていた 僕が部屋に戻る前に、僕は改めて母親とサーヤの母親とサーナの父親に向かって頭を下げる すると僕の背中を誰かが軽く叩いてきたと思った次の瞬間に僕は地面に押し倒される するとそこにはサーニャが笑顔で立っており、「やっと見つけたよーサーヤを見つけて家まで案内していたの」と言う それから僕はサーニャと共に再び歩き始める サーヤの家は先ほどよりも少し近い所にあり到着し家に入る直前に後ろを振り返れば家の外には、いつの間にかサーマと、それから何故かミーシアもいた そして僕たちは家に入った

「お母さん、ただいまー!」と言う声を聞きつけて奥の部屋から出てきた

「おかえりなさい。サーナ」と優しい声で迎えてくれた 僕はサーヤの隣に立って一緒に話す

「僕、この国で暮らすことになったんです」と言うと

「そうなの? でもお城に住んでもらうのは少し気が引けるわ。それにあの人達も」と困った顔をしている

「サーヤ。僕は別にいいんだけど。だってここの人たちは信用できそうだし、それに、ここの人と結婚したサーヤの家族は僕の身内って事になるだよね。それはつまり、ここの人たちとは家族って事だよ」と言うとサーヤの表情が明るくなり

「そうだよ。ここの人と結婚してもサーナのおにぃさんと結婚するのと同じことだもんね」

「そう言うことだよ。だから安心して。そして、僕もここに住むことにしたので、今後ともよろしくお願いいたします」と挨拶をする

「お兄様。私からもお父様とお母様に紹介させてください」と言うので、僕は二人を自分の部屋に連れて行く そして僕たちの部屋に入ると、すぐにサーヤはサーモの両親に近づき、手を差し出すと握手を求める

「サーナ、よろしくお願いいたします。お父様。この方が私達の夫になるサーヤおにーさまです。お母様」と嬉しそうに手を取り合っている。サーナの母は僕の顔を見て、一瞬驚いていたが、すぐ元の微笑みに戻って「はじめまして、あなたの妻の、サーヤです」と言うのである 僕はその光景を見ながら「はい。僕はサーヤの兄です。よろしくお願いします」と言うのである サーヤの母が

「ところで、あなたは本当に男の子なんですか?サーヤが男と言ってますけど」と言う

「サーヤはそう言っているだけで、実際は女かもしれません。実はサーヤには僕の妹が居るんですよ。妹と間違えているのかなって思っていたらサーマと言う名前でした。サーマも一緒に住んでいるはずですが、見かけられませんでしたよね。もしかしたらお昼寝をしているかもしれません」と伝えておいたのだ 僕がそんなことを思っているとサーラが部屋の外から覗いている姿が見えて僕は急いで玄関に行く そこで靴を脱ぎながら、少し恥ずかしそうにしている女の子の手を引っ張っていく そして、女の子に抱きつかれるのであった すると横から声をかけられた

『久しぶりじゃのう。まさかこんな形で再会できる日が来るとわのぉ』

突然の声かけに驚くと目の前にいたのは以前、この世界に飛ばされたときに僕に色々教えてくれた精霊がいた その隣に居たのは、僕が一番最初に仲間にしたドラゴンで名前をドラグーンと言うらしいのだが、なぜか今は少女の姿になっている

「あれ、確かドラ君だったっけ?また小さくなっちゃったの?でもどうして、もしかするとサーラに何か関係があるのかな」と質問してみるのだが 僕たちが仲良く話しているのは良い事だと思うので

「ねぇサーナ。そのお姉ちゃんのこと、もう少し詳しく話してくれるかな」と言う

「おにーちゃん。この人は私の大切なお友だしおねーちゃんでもあるんだよ。それに、私はお姉ちゃんの事をお姉ちゃんとしてしか見てないし、これからもずっと、私の大事な家族の一人でありお姉ちゃんであることに変わりは無いんだ」と力説してくれた

「そう。サーナはお姉ちゃんの事が好きなんだね」と伝える

「えへ。サーヤ大好き。それにね。おにいちゃんと会えて、とても嬉しいの」と言ってくれて サーナを抱きしめようとしたら、僕の腕の中に収まってきたので優しく撫でる 僕がそんなサーナとサーヤの仲良しの姿を見ていると、サーラが「おにいさんの事は、お父さんから聞いていたし、僕はお父さんから、おにいさんがおにいちゃんなら凄くうれしいよって言われてたので。お父さんが、おにいさまと呼ぶのも悪くはないと思って、僕も呼んでみたの」と言うので「ありがとう。僕も二人のおにいさんでいることが出来そうで幸せだな」と素直に答え

「それじゃ。お腹空いたし。何か作ろうかな。何が良いかな?」と聞くとサーナが「お手伝いするよ」と言うので、台所にサーナと一緒に向かう 僕とサーナが作ったのは、カレーライ それにサラダも作ると皆が集まってきて食べ始めた 僕たちは食べ終わって、それからサーナと二人でお風呂に入る お湯の中で、サーナの身体を抱き寄せてみると 胸が膨らんできているので、成長が著しいようで、このままいけば間違いなく僕は追い越されてしまうと思うと複雑な気持ちになってきてしまう サーナと一緒にお風呂から出ると僕達はサーマの部屋に向かう 僕とサーナが入ると

「ねぇねぇ。この国ってやっぱりサーマの世界の人が来てたりする?」とサーモに尋ねる

「そうだねぇ。この国に時々、サーナみたいに来てくれる子もいるね。僕たち、みんなで遊んでいる時に急に現れてくるんだよ。この国は、色々なところに繋がる道があるから、そこを通ってこの世界に来ることが出来るみたいなんだ。それでたまに、僕たちにこの国のことを教えてくれるんだけど、この国に来た人たちで、元に戻ったっていう人がいないんだ。だから多分、戻る方法を知らないから帰れないんじゃ無いかと思っているんだ」と言う サーヤが

「そうだね。戻れた人はいないみたい。それにね。私がサーナと出会った時にこの世界の人と、この国の人で何かが違う感じだったんだ。でも今考えればそれは当たり前だったのかもしれない。だって、元々住んでいた場所の人たちと違うもの」

僕とサーナはその話を聞き

「確かにそうだよね。僕は、この世界で生まれてから一度も他の人に会ったことがないから分からないけど、もし、同じ人種同士だけしか暮らせないとしたらこの国が異民族を拒んでいた理由にも納得ができるよ」と言う

「でもね。サーナ、僕、初めてサーマにあったとき、もしかしてと思ったんだ。だって顔が似てたもの」と僕が言うと

「そっかぁ。そうだよね。サーマは私の妹だもん。サーナのおにいちゃんなんだもんね」と言う

「そう言えば。前に、ここに来てくれたときに言ってくれた言葉があったよね。サーマ」と言うと「あ、そういえばそうかも」と言うのである 僕とサーヤは、そのサーマの言葉について考えていたのだけれど思い出せなかった すると

「僕とサーナとサーヤとサーマでお泊まり会をしたい。そして、おにいさまの作ったカレーライスがもう一度食べたいな」とサーナが言うので、 僕たちはお泊り会の計画を立てていくのである 僕はサーニャの家の庭に出ると【気配察知】を使い周囲を探索し始め しばらくしてモンスターを見つけることが出来た

「どうしよう。倒すのは簡単だけど、まだ、この場所がどういう風に作られているのかとか確認できていないから下手なことはしたくなかったのに」と思いながらも仕方ないので、倒しに行くとそこに現れたのはオーガとオークであった どちらもC級くらいの冒険者であれば苦戦するような魔物だが僕には余裕だった ただ少しだけ違和感を覚えたので まず、オーガに向かって

「少し聞きたいんだけど。お前たちのボスって誰?」

すると驚いた顔をしながらも答えてくれた

「我らが王は、今は不在です。ただ、我等は貴方のような存在に会うために集まっていたのです。どうか我々と共に来てください」と言うと

「分かったよ。とりあえずは僕たちの住処に行ってもらうことになるんだけど、その後は一緒に行動するかどうかを決めよう。それからその王様がいつ頃帰ってくるのかわかる?場合によっては僕が会いに行くこともあるからさ」と言うと少し悩んだような表情をして答えるのであった 僕たちは、その後、屋敷に戻ることにした

「あの、すいません。私もついて行って良いですか?私はここで生まれたわけではありません。だから、私が生まれた場所で暮らしたいとおもっていたんです」と言う サーナがサーモを見て、

「サーヤはもう、私だけのおねえちゃんじゃないの?だから、サーマは私たちの家に住んで欲しい。ダメかな」と聞くとサーナも

「そうですよ。私も、その方が嬉しいです。それに私は、あなた達を家族同然だと思っていたし、ずっとお世話になっていたから恩返しも出来ていないんですよ。」と すると

「僕はお二人と別れるのが辛くて、サーヤのお願いも聞いてあげれていなかったのに。僕は、お二人にそこまで思っていただいていたのですね。分かりました。サーヤ様とサーヤ様にサーヤと、お呼びください。私は、お二人とずっと、共に過ごしていきます。もちろん、この先、子供が出来てもずっと一緒に」とサーモが答えてくれた 僕はサーマに「よかったね」と伝えて サーナには

「僕も嬉しかったよ。これからはずっと家族だよ。これからもずっと一緒だから」と言うと嬉しそうにしてサーナは抱きついてきた 僕とサーナは部屋に戻るとすぐにお昼寝することにしたのだけれど、寝ている途中で僕は不思議な夢を見る事になるのである 僕の前には白い服に金の髪に青い瞳の女性がいるのだけれどその姿はとても美しすぎて僕は、思わず見惚れてしまうと彼女は微笑むのであった

『こんにちは。お父さまの娘さんかしら?私はこの世界の女神のアテーナーと申します。実は、あなたのお母さんに頼んで私の加護を与えて貰おうと思ってこちらに来たの』と話しかけてくる 僕は驚いてしまうのだが、この

「えっと。どうしてお母さんを知っているのでしょうか?」

「ええ。私は、お母さまがこの世界に飛ばされた時からずっと見ていたわ。そして助けることもできたのよ。お兄ちゃんに話してあげたのに、忘れちゃったのね。それとね。私はね。女神の中でも特殊な能力があってね。人の心や記憶を読み取れる力があるのよ。だからね。お姉ちゃんの事も知ってるのよ。それにね。この世界のことも、おにいちゃんと仲良くなれるのが楽しみにしていたんだ。私のことは気軽にアマリスって呼んでくれると嬉しいの」と言ってきたので「えっ!そうなの」と僕が驚いていると 僕のお腹に頭をこ

「お腹が空いたの~ご飯を頂戴。それからこの世界の事色々教えてあげるから、これからは私が面倒を見てあげるから安心して欲しいの。それからお腹の子の事と、サーヤちゃんとお腹の中の子の事。これから大変になるから私が手伝って上げるから」と言ってくれるので「ありがとう。僕の事をよろしく頼むよ」と頭を下げると

「任せておきなさい。じゃ。お腹も減ったし、食事にしましょうか。何が食べたい?」と尋ねられたのだけれど僕は何も思いつかなかった だから僕は素直にそう伝えると、お皿にスープのようなものと何かが運ばれて来たので口に含むととても美味しい料理に

「これは一体、何を材料にしているの?」と質問する

「そうね。これはね。私が作ったのよ。私が作れる物しか出せないからあまり驚かないでね。でも、これ、この世界の材料で作ったのよ。お米も味噌もあるの。調味料は残念ながらほとんど無かったんだけどね。あと、おにいちゃんが、今食べたスープとパン以外はね。私が用意してるんだよ。だってここはおにいちゃんの世界だし。私が作っておかないと、おにいちゃんはお酒と食べ物の心配ばかりするもの」

僕はそれを聞いて驚き「そ、そんなの。ありなのか?」とつぶやくと

「いいのよ。私が好きでやってる事なんだもの。それに、こんなの、神様なら簡単にできることだもの。ただね。おにいちゃんは神じゃないからこの世界で生きていかなくてはいけない。そのための準備をするだけだもの。この国の人たちがしているのと同じでしょ。だからおにいちゃんは、おにいちゃんなりに頑張ればいいんだから」と言われてしまうのである 僕はその言葉を聞き、「わかった。頑張ってみるよ」と言うのだった 僕はアマリスから色々なことを

「おにいちゃんが今考えている事はね。サーヤちゃんの体の中にある魂を分離する方法を考えてるのよね。その方法で間違っていないわ。私がこの国にいる時にお父さまに相談したのだけど、お父さまはね。サーヤちゃんを自分の娘として迎え入れることを既に決めていて、私からサーヤちゃんに提案することがあれば言って欲しいと言っていたのよ。私がこの世界の人達の様子を見ていても、お父さまのお考えが一番だと思うもの。この国に住む人達は、自分達の力の使い方を勘違いしてしまったみたいね。まぁ仕方がないことかもしれないのよ。今まで平和すぎたのよね。私達が管理をしていたけどそれでもね。この世界で起こることに対して干渉できないこともあるもの。だからこそ、私はサーラちゃんとサーナちゃんを応援しようと思ってここに来ていたんだけどね。私が出来る手助けなんてたかが知れているし。そもそも、この国の人のためにそこまでする理由がないもん。ただでさえ私はこの国に嫌われているんだもん。だから出来る限り協力はするつもりではあるのよね。でもお腹の子のことまではわからないから、それだけはごめんなさいなの。だからサーヤには私から直接言っておくから」

僕はその言葉を聞き、少し複雑な気分になりつつも「分かった。サーヤにも説明しておくよ」と答えたのだった サーヤが起きるのを待ってから僕は、サーヤを連れてサーモに会いに行くことにした そして 僕はまずサーナ

「サーマ、僕と一緒に行動しない?」

するとサーマは少しだけ考えた後で、笑顔を浮かべてから

「そうしてもらえたら僕はとても嬉しく思うんですが、サーヤ様のお邪魔になってしまうのではないでしょうか?僕はこの家を出て行くつもりは無いですし、サーヤ様にも幸せになっていただきたいのですよ」と真剣な表情で言うので僕は慌ててサーマを止める

「僕はさ。正直言えば、まだよくわかっていないんだよ。僕自身についてもよくわかってないし。だから僕はこの家の中を動き回らないと思うし、僕自身も外に出たいとも思っていないし、むしろこの家で、みんなと生活して行きたいって言うのが本音だよ」

「僕はさ。本当にまだこの家の中くらいでしか動けないだろうしさ。外に行くとまた、大変なことになる気がして仕方がないんだよ。ただ、だからといってここに引き籠っていても解決にはならないんだけど、とりあえずはサーナと、サーマ、サーモが一緒に居てくれるのは僕にとっては凄く有難いことなんだ。だから僕は君達三人が側に居てくれた方が心強いんだ。僕一人じゃきっと寂しくなるだろうし、サーナやサーモのことを考えて行動するとどうしても自分中心の考え方にはなるから。でもね。僕にとって一番大切なものは、僕の家族の幸せなんだ。僕はそれを叶えるためだけに存在しているようなものだから、その為にはどんな手段を使う事になっても構わないと思ってはいるんだよ。だから、その辺りは気にしなくて良いから。僕としては君達二人が一緒に居てくれると、すごく助かるんだ」と言うと サーナがサーナが僕の手をぎゅっと握り締めてきて、それから僕の顔を見上げてきたので僕は微笑み返して サーヤがサーマ

「サーヤも、お父様の側でお役に立てるように、お勉強をします。それでお父様の足をひっぱったりしないようにします。お兄様が困るようならお助けできるように、サーラと一緒です」と言ってくれて 僕は二人を抱き寄せると、

「二人共ありがとう。僕は二人のような子供が家族だと言えるような親になりたいんだ。だから二人に甘え過ぎないように努力もするし、二人のことももっと大切にしていくからね」と言って抱きしめた 僕はその後 サー

「あのね。今日は二人に来てもらってお願いしたいことがあるんだよ」と伝えると 二人からは サ-ア

「お願いですか?」と不思議そうにする二人に対し僕は「そうだよ。僕のスキルについて二人に色々と聞いて貰いたくてね。それにこれからは僕の方からも質問したり相談に乗って貰ったりしたいなって思ってるから、そう言ったことも踏まえてお願いしたいんだよ」と言うと 二人はお互いの瞳を合わせてからサーアは「分かりましたわ」と答えてくれたのだけれどサヤが首を傾げながら聞いてきたので 僕は【解析】の説明をすると、二人は驚きながらも、僕の話を聞いてくれたのだ 僕が話し終えると、 二人は

「そんなことが。お父さま、これからお話をするのはサーヤの方からでよろしいでしょうか?」

とサーヤが尋ねてくるので僕は

「うん。いいよ。サーヤにお願いしようかな。それと僕はサーヤとサーヤのお母さまのことを詳しく知りたいから。出来ればお母さんの話とかもしてくれると嬉しいかな。それとさ、お母さまの名前も知りたいな」

僕はサーヤのお母さんの事を聞いたときから、一度会いたかったのでその名前を聞こうと思ったら、どうせ会える機会など無いので聞くことにして、ついでに名前を聞くのであった 僕達は冒険者組合で依頼の完了手続きを行い、報酬

「えーっと。今回の仕事で得た収入はこちらの書類に記載されている分になります」

僕達が渡した依頼書を確認して、僕達に金額の確認をさせてくれる 僕は、その内容に間違いが無い事を伝えてから、追加の依頼を頼んでみた

「あ、はい。承らせて頂きますが、今回頂いた情報は我々が確認しても良かったものなのですか?」

僕達は、受付嬢さんに「それは問題ありませんよ」と告げると

「では。失礼ながら、ギルドカードに記録を取らせてもらいましても良いでしょうか?」

と尋ねられた 僕は了承の意を伝えると

「かしこまりました。ありがとうございます。これで今後、この国では安心して依頼を受けていただけるようになりますね。おめでとうございます。今後はこのような事はされないでくださいね。あなた達の事を信頼している人達は多いので」と優しく注意されたけど、特に何も悪い事はしていないんだけどね でも、わざわざこの国の人たちに余計な仕事をさせる事は出来ないか そう考えると納得したので

「すいません。ご迷惑をおかけしました」と素直に謝罪をしておいた

「いいんですよ。これが私たちの仕事でもあるのです。でもね、お節介だとは思うんだけど、あなた達みたいな若い人達が危険な目に遭う事が無くなったからね。お婆ちゃん、少し嬉しかったのよ」と笑った後で、ちょっと恥ずかしかったのか、「それでは。私はそろそろ業務に戻りますね」と言って立ち去って行ってしまった 僕達はお婆ちゃんが歩いて行く姿を見送りつつ、サーヤから「私達が冒険者としてこの国で活動する事は可能なのでしょうか?」と言われたので

「ん~、多分だけど。大丈夫だと思うんだよね。そもそもこの国の法律ってよく分からないから、この国以外の国の人とかがどう言う扱いになっているか知らないけど、基本的にこの国では他所の国から来て、滞在を望まない人は、滞在費を支払わないと出ていかなければいけない決まりになっているはずなのよ。この国は、他国との交流が殆どないみたいだからね。まぁそれでも一応は国の中で、自由に出入りが出来る所はあったとは思うんだけどね。僕は、お爺ちゃんに色々な知識を植え込まれていてね。この世界の国々の知識を、お爺ちゃんから叩き込まれているから、多少は詳しいの。でもそのお陰なのか、お兄ちゃんは色々な物を見抜く力が備わってるみたいだけど、それでもやっぱりまだまだ足りない部分もあるんだよ。だからこそ、この国に居る限り僕達が表立って動くことは危険だし、出来ることならばサーナやサーヤを外に出したくないんだよ。サーナとサーマの二人なら外に出てもいいかもしれないんだけど、僕は二人をこの国に残す事にしたんだ。理由は単純だよ。僕が嫌なんだ。だってさ。サーナとサーマは可愛いし、お似合いだと思うし。二人を他の人に取られたくないし。この子達と離ればなれになりたくはないんだよ。だからさ。僕と一緒に外に出てくれるかな?勿論。外に出て何かやりたいことがあるのなら僕は全力で手伝うよ」と話すと サーナはサーヤと視線を合わせ「僕も同じ考えだよ。それに、今僕達がやるべき事は決まっているから、まずはそれをやり遂げるまでは、外にはあまり出ない方がいいんじゃないかなって僕は思うの。それにサーヤと一緒に外に出るのも凄く楽しみだからさ。一緒に外に出られるのであれば僕としても本当に嬉しいんだ」とサーヤに伝えてくれた 僕もサーナも本心を伝えたらサーヤが抱きついて来てくれたので 僕も抱きしめ返した しばらくそうした後にサーヤが少し離れたので

「それでさ。二人に相談なんだけど、僕達の冒険者の等級がFだったのは知っていると思うんだけど。実は、先ほどまで冒険者をやってたからね。冒険者カードは返却して、新しいカードを貰ってきて欲しいんだ」と言うと 二人共、僕の顔を見ながら呆然としていたのだが

「「分かった」」と答えてくれた それからすぐに二人で駆け出して行ってくれた 僕はサーナに、お金を渡すから、僕に頼まれたことを終わらせたら直ぐに戻ってくる

「うん。僕もその方が良いと思うんだ。ありがとうね。サーナ、よろしく頼むね」と伝えてからサーラにもお金を渡して 二人を見送った後、僕は家に戻るのであった。

「サーナ。サーモ。僕に着いてきてくれるかい? 二人に見せたい場所があるんだ」

僕が二人に声をかけると

「もちろんですわ。どこにでも行きます。でもお父様。サーラの居場所はわかりましたが、サーモの場所はわからないのですよ。でも、きっと何処かにサーラは隠れているはずだと思います」と真剣に答えるサーヤを見て サーナ「僕達二人は、これからサーアに協力してもらってサーモを探すつもりだから、一緒に探しに行っても意味が無いよ。サーアには僕のスキルで居場所を教えて貰えば良いから、今は一緒に来る必要はないよ」と言うと サーヤ「はい。分かりました」

サーヤがサーマの手を引いて サーヤ

「お兄様のお願いですから従いますが。お兄様もサーナも私達には内緒にして何をされているのですか?」と聞いてくるので

「ごめん。でもこれは必要な事だからさ。心配かけてるのは申し訳なく思っているから、もう少しだけ待ってくれると嬉しいかな。あとさ。サーヤはお母さんの事も気になってたでしょ。僕は、お母さんと話をする事で、サーラとお母さんがどうしているか知ることが出来るんだよ。僕にとってはとても大事な時間になるだろうと思ってるから」と言うと 二人は「分かりました。お父様を信じます」と言ってくれたので サーアの所に【転移球】を使い 僕達は転移する 転移先には、サーアと、サーアが生み出した亜人らしき生き物がおり、そしてそこには見覚えのある人物が三人居たので僕は驚いてしまうのである そしてそこにいた人物にサーナとサーナを託して 僕のスキルを試すことにしたのでした 僕達がサーヤの両親と再会を果たす少し前の事だ サーマが僕に尋ねてきたので 僕は 【念

「サーナ。僕はね。これからサーモの事を捜すんだけど、サーアのスキルが使えるようにした方が楽なのは分かるよね。と言う事で、この指輪を付けてもらって、僕の魔力を注ぎ込むよ」と言いながらサーヤがサーアの右手中指に【契約者】というリングを付け 【解析】を発動させた 僕は【契約術】を使ってから、サーヤの両親の事を知りたいと言ったのだけれど

「サーヤ。僕もさっき言ったんだけどね。僕はね、お父さんのことも知りたいんだ。サーナのお母さんの事は知りたいけど、でも、まずはお父さんから教えて欲しいんだ。僕達のお父さんは、お母さんのことをすごく大事にしていて、大好きだって事は、お母さんの話をしていて分かっているけど。お母さんはね。この国で、お母さんの事を知っていて、この国に残してくれた人が居るって言っていたんだよ。僕はそれが誰なのか知らないんだ。僕はね。自分の父親に会える事よりも、お母さんの事を知っていた人に会って、お母さまの話を聞きたいと思っているんだ。サーマは嫌かも知れないけど。それでも僕はどうしても会いに行きたいんだよ。だからお願い出来ないかな?」

と伝えたら、少し悩んだ様子で「ん~。サーアにお願いしてみます」

サーマ「サーナお姉ちゃん。私で良かったら協力しますよ。でもお姉ちゃんのお友達は、私が知っている人だったら、今ここに呼んでも良いんですよ。あ、勿論お邪魔でなければだけど」

と笑顔で答えてくれていたので 僕は

「それじゃ。サーサをこの場に連れてきて貰おうかな」

そうすると サーナは、サーナが呼び出したであろう少女と、もう一人。別の女性を連れて来てくれた 二人の女性が

「私はね。あなた達のおじいさん。いえ正確にはおばあさんかしら。あの人からあなたの事を聞いていたから、この国に来たときに、あなた達がいるって教えられていたから知ってはいるのよ。ただね。あなた達と会う事が、この国での仕事の一つだったので、私はね。あなた達が外に出た後に、お城に呼ばれてお爺ちゃんに言われてたから」

その女性は、優しい表情で「サーナちゃん。サーヤちゃん。元気で何よりだわ。二人に会いたかったのよ。だからお城の人に頼んだんだから」

サーナとサーマはその人の言葉を信じることが出来たのか 嬉しそうな表情で抱きついてくれて 僕がサーナに

「ねぇサーナ。サーナはね。この人と面識があるのかは知らないけど、多分サーナの記憶の中にある人に間違いはないと思うよ。それにね。サーナはね。サーマはね。多分だけど、この人を良く知っているはずだよ。なんせ、君たちが生まれる前から、サーラがお爺ちゃんから教わった内容にね。この人の話が沢山入っていたからね。だから僕はさ、この国に来る度にサーナに話を聞くことでね。少しずつだけどサーナのお父さんがどんな人で、サーラにとってどれだけ大切だったかを知ることが出来てるんだ。僕もサーナとサーマが産まれる前にね。一度お爺ちゃんと一緒にサーアの居る国に行って、お世話になった事があるんだ。だから、僕は、この人にもう一度会いたくて来たんだ」

サーナが僕をじっと見つめてから、「お祖父様に、サーアに、そして、お祖母様。皆お元気なんです。今度私とお兄様も遊びに行こうかな」

と嬉しそうな声で、独り言を言うと、もう一人のサーヤに抱かれている、僕と同じ年ぐらいの女の子に「お父様がね。お仕事で忙しいみたいなの。それに今はちょっと大変らしいから、落ち着いたら、また一緒に遊びに行こう。お土産もいっぱい持って帰って来るから、楽しみに待っていて欲しいの」と話すのだった サーナ「うん。僕もサーヤがお城に行ってお勉強頑張っているのは聞いてるからね。今度行くときも一緒についていくから。一緒にお仕事を頑張ろう。お婆様」と言うので僕も続けて「お義母さんがね、僕も会いに行くよ。一緒に頑張りましょう」と言うのであった そして僕の言葉に反応するように一人の男の子が????「僕も一緒に行くよ。お母さんに会うために。僕はさっきまでお城の中に居たんだ。それでね。僕の名前はね。サーモだよ。サーアがお姫様だったなんて。驚いたけど嬉しいんだ」と言い それから僕達はお互いの顔を見合わせて笑ってしまうのであった ただそこで一人だけ浮かない顔をしていた人物がいたんだ それは

「私はね。お姉様と二人で暮らせれば、それだけで幸せです。お父様の事は嫌いじゃないのですが。でもサーラお姉様とは会えなくなってしまうかも知れません」と言う

「どうしてだい?」

僕は尋ねるとサーアは真剣に考え込んでいたのだが

「サーモもさ。これから僕達がやる事を手伝わないかい? そうしたらね。きっと僕達の家に行けるようになるから」

僕が言うと サーモが目をキラキラさせながら

「サーマお姉様となら何処へでも付いていきます。私を弟子にしてください」と叫ぶので 僕はサーモに

「そうだね。それならサーモはさ。僕の【従者】になって貰う事にするよ。そしたら、僕達と一緒に家にも来れるし、サーモのご両親にも、会いに行けたりもするだろうから」

僕はそう言ってから サーアの方を見ると

「サーマ。私のスキルも、もう大丈夫だと思うから、サーアも一緒にお願いするね」と言うと

「はい。ありがとうございます。お姉様。でも本当に良いのですか?」

「良いのよ。だってサーヤがサーアの事を妹みたいに可愛がっているのも分かるから、私にとっても、大切な家族の一人になるのだから、これからよろしくね」とサーラが微笑むと、泣き出したので僕は【回復】をかけてあげると サーラがサー

「私には【治癒】と【支援】と【聖女】と【慈愛の女神】ってのがあるのよ。それとさ。【契約者】って魔法が使えるの。だから、この子達に名前を付けさせてくれないかしら?」と言ってきたのである それを聞いたサーモは「僕に名前をつけて貰えるなんて、僕は夢でも見ているのでしょうか?」と嬉しそうにしているので、僕達はサーアを落ち着かせながら、僕とサーナとサーヤとサーアは話し合いをすることに 僕がまず、

「まずね。これから、君達は、サーマと一緒に暮らす事を決めて、その為には色々な事を乗り越えないと行けないんだよね。だから、まずはこの先サーマと一緒に暮らしていけるようにする為に、僕達の手伝いをする気は無いかな。僕達の事をお父さん、お母さん、お爺ちゃんと呼んでくれたら、君達は本当の親子になれるんだよ」

すると二人揃って、サーアを見ながら

「お姉さまはね。お父様が大好きなんだ。僕は、お父さんがお母さんに優しく話しかけているところとかを見て、とても幸せな気持ちになったんだよ。僕はお父さんのような人になりたいと思っているんだ。だから僕はね。お父さんを困らせたく無いんだ」と言うと サーヤが二人に向かって

「私から貴方たちにお願いしたい事はですね。お父様に会った時に、絶対に驚かないであげて欲しいのですよ。特にサーマの方はお兄ちゃんより驚いてしまうかもしれませけどね」と話していた。

僕は「とりあえず二人はまだ幼いけどね。この国では15歳で成人を迎えるんだ。それまでに自分達が何が出来るかをしっかり考えてみて答えを出してくれればと思うよ。まぁ僕もね自分の子供が出来てから考えるようにしているんだけどね。どうしたらいいかなって悩む事もあるんだけどね」と話すと 二人が「サーアがどうしてもサーヤと一緒に暮らしたいっと言ったらどうしようと思ってました」「お母さまはお優しい方なんですから、私の為にお城から出て行ったんですから、私はその想いに応えたいと思います」と言うのだ

「あのね。二人のことは、サーヤと僕からサーヤのお母さんと相談して決めるから安心していいよ。まずね。今から君達の親に会いに行くよ」と言うと 二人とも喜んでくれて、それからすぐに出発することになった その道中で三人で遊んでいたらしくて、サーナの膝の上で寝息をたてるサーモを眺めながら僕は考えていた

「サーアの事を娘として受け入れてくれたとしても、やっぱり寂しいのは変わらなくなるよ。僕はそんな思いでこの世界に来てるんだから。それでも僕はサーラと出会えて、サーラと一緒に居られたから良かったと思ってる。でもさ、やっぱり子供が居たらもっと違う人生になっていたのかと思うこともあるんだ。でもね。この世界の人は、サーヤの事もサーアのことも大切に思ってくれていてさ。だからさ、その思いを無下にしちゃいけないから、今は我慢だね」と独り言を言っていた

「私は、サーヤがサーマの事が好きなのも、二人の仲が良いのも知ってたし。それにお父様の優しさがサーマに向いているのを知ってたからね。二人もお兄ちゃんの事が大好きだもんね」

サーナはそう言いながらも、僕に抱きついてくると

「サーヤがサーマを大切に思う気持ちはね。私はよく知ってたから、二人と仲良く出来るなら嬉しいし、私は二人と友達になれたのも嬉しいの。だから、私が二人のために頑張ることは当たり前のことなの」

「そっか。じゃあ。これから僕も協力するよ。僕もサーラの事が大切だから、僕の大切な人が悲しまないためにね」僕はそういうと サーラが僕の耳元で

「うん。ありがとね」

と言うのであった 僕はこの国の人達の善意が本物だと感じると胸が暖かくなるような気がしていた この国が滅びなかった理由は何となく分かったし、だからこそこの国を守れたのではないかと、僕は思ったりもしいた

「この国はね。昔からそうなんだ。僕もさ。この国に良く来たりするけどさ。いつもね。皆が皆、笑顔を絶やさずに生きているんだ。だから僕が来て、少しだけ手を貸したりしてもね。感謝してくれて、また来てくれるといいね。そう言われるとさ。この国に来ると、僕も何かしてあげられるような気持ちになってね。皆を助けられるように、頑張りたくなってくるんだ。そして皆の笑顔を見るとね。僕も頑張ろう。元気になるんだよ」

サーマは「そろそろ僕もサーアに名前を付けてあげた方が良いんだろうけど。どんな名前が良いのだろうか?サーアが女の子で良かった。男の子に付ける名前が僕には分からないから」と悩んでいる サーナが「私の名前はね。お婆様が付けてくださったの。でも、お姉ちゃんの名前とお揃いで可愛い名前でしょ。サーモがお兄ちゃんを尊敬してるみたいなので、お爺ちゃんも付けてくれないかしら?」と言うのであった 僕は、サーアを眺めながら考え込むと「うん。そうだね。お祖父様が名前を付ければいいと思うよ。でも、どうしてその名前にしたん?」と僕は尋ねると サーマは照れながら

「それはね、サーナが僕のお姉ちゃんだからだよ」と言う 僕はそれを聞いて嬉しくなっていたのだ だってそれはね。僕がまだ幼い時に亡くなった父さんの話をしてくれたからだったからだ だから僕は「ありがとう。君の事は絶対に忘れないよ。君のお爺さんは良い名前を付けるね」と言うとその日は夜が更けるまで話しながら歩くことになるのだった そう言えば 【勇者の器】を使ってみた スキルポイントが1だけあるけどさっそく使うことに まずは自分のスキルを見てみると、やはり【回復】と【状態

「あれ?レベルが上がっているの?確か今日も使ったし。サーナのお陰なのかな?」僕はサーアに「サーアはお腹すいてないか?」

と言うと「サーヤが作ってくれたものが食べたいです」と言うのである それを聞いた僕は「サーヤのご飯って本当に美味しいよね。サーヤは本当に良いお嫁さんになるね」と言うと サーマは頬を赤く染めると恥ずかしそうに下を向いて

「でも、サーマの事もちゃんと見て欲しいよ」と言ってきて僕は嬉しくなったので「僕にとって二人は大事な娘だからね。だからずっと一緒にいて欲しいよ」と言って頭を撫でるのであった

「僕は、これからサーマの本当の家族に会いに行くよ。でもね。君達二人が幸せになれる道を選んで欲しい。君達が望む事が一番だから、無理強いをする事だけは絶対しないと誓うから安心して欲しい」と真剣に言うとサーアはサーヤの手を握ると

「お母さま。私は大丈夫ですよ。僕は、お母様に会えただけで幸せなんですから」

と微笑むとサーヤも優しく微笑んでいて、僕は二人の絆の強さ

「そしたら、まずは、君達のお父さんがいる所に行こう」と僕が案内をしようとすると サーマは首を振って

「いえ。お父さんはもう亡くなりました。私が生まれた時には亡くなってたんですよ。僕達は、お父さんの顔を見たことも無いんです」

僕はそれを聞くと

「ごめんね。余計な事を言って、辛いことを思い出させてしまったね。僕はね。これから会う人に君達のお父さんに、手紙を書いたんだ」

それを聞いた二人は顔を見合わせると

「お父さんって僕が産まれた時に死んでたんじゃ?」と言うので「え?」と思ったの

「サーマ、お母様、サーアは双子でね。お母様が一人産み落としたのは間違い無いんだけど、もう一人居るの。その子はね。お母様の命と引き換えに生まれた子でね。私が生まれる前に、その子は病気にかかってね。お母様にお願いされて、私がお母さんの代わりに看病をしていたんだけどね。私がお母さんから教わった魔法しか使えないから治せなかったの」

「お母さんは私に言い聞かせていたわ。私の分身がきっと現れるからそれまで待っていて。私はお母さんの最後のお願いを守ってあげようと思っているの。それがお兄ちゃんとの約束なんだから」とサーヤは寂しそうに語るのであった

「お母さま。私にはまだお父さまに会う資格が無いのです。サーモちゃんに力を借りないと、まだ、その力が解放出来ないのですよ」

サーアの言葉に僕は「サーアはね。自分の中に流れる魔力を感じられるかい?」と聞くとサーアは戸惑いながらも「はい。私は魔力を感じられます。その感じ方を忘れてしまっていたんです」

「良かった。じゃあ、僕に付いてきてくれ。サーマもね」と言うとサーアとサーマは素直についてくるのである その途中にある村に着くと「ちょっとここで待つね」と言い残して村の人のところに行くと、すぐに戻ってきて「村長のところに通してくれるから着いて来てくれ」と言うので 二人も大人しくなっているのである それから少しして僕とサーヤは、この国でも大きな屋敷に到着するとそこには、先程あったばかりのサームがいたのである それから、サーナはサーラの母親に抱きしめられて、サーナは僕の方に歩いて来ると サーアが僕と手を繋いだ状態で

「サーヤのお父さんって、お父様なんだね」と涙ぐんでいる それからサーナの母親は、サーナとサーアを抱きかかえるようにして

「私はこの二人の親でございます。サーナが私達に内緒で旅に出ていたことや、その道中に起きた事も全部知っております。その上で言いましょう。二人の親になって頂けませんでしょうか?もちろん今すぐにという訳ではありませんが。もし、その時が来たなら私は、貴方の妻になりたいと、思っています」と言うと、二人は驚いた表情になり お互いに見つめ合っていた サーナとサーアの瞳から一筋の涙が溢れ落ちると、僕は二人に声をかけてあげたかった

「サーマ、それにサーナちゃんは僕の娘になる。僕もさ。君たち二人が娘になってくれたら嬉しいんだ。それにサーヤもね。僕にとっても大事な二人だからね」と言うと二人は「いいの?僕たちは二人とも男だけど?」

「あぁ、問題はないよ。だってさ。娘が三人増えるから、賑やかな家庭になると思うよ」僕は嬉しくなりながらサーラに伝えるの

「僕はね。お兄ちゃんみたいに強くないけど、それでも僕はね。この世界を守りたいと願っている。僕は、サーヤをサーラを守る為に戦うけど。この世界に危機が訪れた時の為に僕には【回復】の力があるしね。それにサーヤもサーナも守ってあげるよ」

それを聞いた二人はお互いの顔を見て微笑むと

「僕は、サーナとサーアと一緒に行きたい」とサーナが言うとサーアも「うん。お兄ちゃんと一緒の方が楽だし、何よりも僕はお母様を救いたい」と言うと

「分かりました。私はあなた達の母親として、二人の旅立ちを認めましょう。サーナが旅立つ際に渡した短剣は返してください。私はもうサーナの保護者ではありませんから」と言うと二人は嬉しそうに抱き合うのであった そして僕は、改めてこの親子が再会出来た事を嬉しく思う

「僕は、お姉さんだから、今度は僕の番だね」

「うん」

僕達は、ダンジョンの外に出ると、【転移 ポイント】で王都に戻る 僕達は【隠密 レベル3】を使い気配を消して移動し王城の正門が見える所から、門が開いたと同時に 僕達は【隠蔽 レベル5】を使う すると、僕達は姿を消して城の中に潜入できた そして、サーナの【探索 レベル4】を使って城内

「サーマ。お母様はこの先に居るよ。僕は、このままサーナのお母さんの部屋に行くけど、一緒に行く?」

サーマの返事を待たずに僕は、お姉ちゃんのサーマを連れて歩き出すと、サーマのお母さんがいる部屋の前で立ち止まる

「僕は、ここで待ってるからね」

そう伝えると、僕は、扉を叩くと

「誰です。ここは、私とサーナしか入る事を許していません」と言う声と共にサーシャが姿を現したので、僕はサーラから渡された手紙を手渡すと

「貴女が、サーサですか?本当に?本当に生きて?いるのですね。ありがとうございます。サーマは元気にしているんですか?」

サーラは僕を見るとサーナにサーマを託すと「サーマは、お母様に早く会いたがってましたよ」と言うのである サーヤはサーナを見て

「僕達はお邪魔でしょう。お二人がお会いになる時にまた、伺う事にしますね」と言うとサーヤはサーニャの手を握って僕と、部屋を出るのだった

「サーヤお疲れさん。これからは、俺の仕事を手伝ってもらうことになるな」と言うと、 サーヤは嬉しそうに微笑む それから、サーヤが僕の元に戻ってくると サーマが僕に近づき小声で「お母様を助けてくれたのは、お母様の友達のサーラだよ。サーマにお母様の手紙を渡すのに手伝ってくれたんだよ。あの人はお父様の事も知っているらしいよ。それと僕達の事もね」と言うと僕は驚いていた。まさかサーマのお母様が生きていたなんて、しかもサーマのお母さんの友達がサーナに手紙を届ける手伝いをした事を知り。僕はサーラに心から感謝をしたいと思った それから僕とサーヤは宿に戻り。サーアとサーマにお別れをして。次の日。サーア達と別れた後で サーナはサーヤにこう話していた サーヤに「お兄ちゃんは、僕達の父であり、私のお父様なんだよね」と言われたサーナは 笑顔を浮かべると優しく抱きしめていた サーヤの言葉を聞いた時のサーマの表情の変化を見ていた サーアだけが、その意味を理解していた

「ねぇ、僕の力を解放して欲しいんだけどダメかな?」と言われ サーヤは少し考える 今の自分に出来る事は、この力を覚醒させる事だけである だが、この子ならば、自分の力を超える事ができるのではないのか?そう思えてならなかったのだ

「お願い出来ますか?」と言うのである サーヤはそれを聞き入れると 目を閉じて集中する やがて、彼女の中に眠っていた力の波動を感じたサーヤは驚きの声をあげるのである それは、彼女が予想すらしていなかった程の大きな力で彼女は驚く それと同時にその

「これは、なんと言う力なのです。凄いです。お兄ちゃんは、こんな力を隠し持っていたんですね。これで僕は」とサーヤは喜びを感じていた しかし、今はそんなことをしている場合じゃない。サーヤはサーアと、サーマの母親のサーリャに会いに行きたかった だが、今はまだその時では無い。それにまだ自分は未熟であると思い知らされたからこそ、少しでも力をつけようと思っていたのである そして

「ありがとう」と

「でもさ。僕の力ってどんなのなのか、教えてくれる?」

サーヤは自分が知る限りの事をサーアに伝えたのであった 僕は、ギルドマスターとの約束で、冒険者として活動する事になったので、僕は、王都の冒険者の店に来ていた サーナはと言うと、今日は、サーナと一緒に薬草を取りに行っている 僕は この世界について何も知らないため

「何かあったら連絡してね」と伝えていた

「じゃあ行ってくるね」

と 二人で出かけていくのを見送り 僕はカウンターの女性に

「すみませんが、僕は何をしたら良いでしょうか」と聞くと 女性は「そうね。まず貴方のレベルを教えてもらえるかしら」

「はい」と言いながら【ステータス オープン】と言うと女性から見えないように【アイテムボックス オープン】して 中にあるサーラが作った薬の中から【状態異常耐性 体力】と言う物を一個取り出して、飲むと、僕のレベルが表示されるようになるのである それから僕のステータスを確認した女性も僕の能力に驚いたようで

「えーと、あなたって、もしかして神様の子だったりしないわよね」

僕は笑いながら

「違いますよ。僕はただの冒険者でしかないですよ」と言うと 女性は僕のレベルを確認させてもらってもよろしいですか?」と聞いてきたので、僕はどうしようかと考えたが 別に見られても困ることは無いので、「構いませんよ」と言って許可を出した すると

「あなたが、私よりも強いレベルを持っている人だと分かっただけでも収穫ですね。ところで私から依頼があるのですが。引き受けてくれませんでしょうか?」と聞かれた。僕は断る理由もなかったので

「いいですけど。どのような依頼を受ければいいんでしょうか?」

すると女性は少し考えてから

「実は最近、盗賊が出ると言う噂が流れていて、それの確認調査を行いたいと思っているの」との事だ。

「でもさ。その調査に僕なんかが同行しても良いんですか?」と僕が言うと、受付嬢は僕の事を見て「そう言えば、自己紹介が遅れてしまい申し訳ありません。私の名前はミリアと申して、王都のギルドで働いています。今回も仕事の一環で盗賊の調査を行う事になりました。そして私はAランクの冒険者として登録されているの。私は【隠密】のスキルを持っていて気配を消したりすることが出来るので、私が盗賊を捕縛した場合に【気配感知】を使えば、相手がどの位置にいるかをすぐに知る事ができますから」と説明してきた それを聞いてなるほどと思う

「それではよろしくお願いしますね」と言うと僕達は早速 街の外に向かう事にするのであった 外に出てみると 僕達が歩いている場所には魔物や動物などが存在していなかった ただそこにあるのは、草原だけだったのだが僕は【マップ オープン】を使って周辺の地図を確認する事に成功したのであった。僕はミリアさんと会話をしながら歩く そうしている内に森が見えて来たが

「おかしいですね。この周辺に集落はないはずなんですけど」と言う言葉と共に森の中に入るとそこには、一人の女性が横になって寝ており。側には小さな女の子がいた 僕達二人は警戒しながら近づいていく その二人は、人間には見えるものの。二人とも背中には羽が生えている。しかも片方は白い翼を生やす美少女でありもう一方は黒い羽根を背中に持っている黒髪ショートヘアが印象的な少女だ。

(この二人は天使?だよね)と僕は思う。何故なら目の前で横になっている女性の背中にも羽が見えるからだ(やっぱり僕と同じで羽を消すことができるんだね)と思ってしまう 僕は、そっと近づき鑑定を発動させたのである 【名前】

リディア

「種族名 ハーピー LV30 HP 4600/4200 魔力 3800/3700 攻撃力 2900 守備力 16000 魔法防御力 21000」となっているのである そしてもうひとりの方を見ると

「種族名 ブラックエンジェル LV45 HP 3000/2100 MP 7000/5000」となっていた。そしてもう1つ分かるのは、二人の種族の関係性なんだけど、この子は、恐らく母親なんだなと思えるが。もう一人の子については

「うーーん。なんなんだろう?とりあえず起きてもらう?」

僕は眠っている女の人の身体をゆすると、しばらくして目が開いた。

僕達を見た瞬間 僕達に対して攻撃してきた。僕は慌てて避けようとするが。

「あれっ。動けない?それに声も出ないんだけど」と戸惑う僕に対し、彼女は僕の腕を掴み、投げ飛ばしたのであった。僕達は空中で回転してから着地をする。僕は

「君たちは一体何者?」と聞くが返事がない。そこで僕は自分の能力を使おうとすると僕の体が光った 僕達は、一瞬にして姿を消してしまったのである。僕達は、どこに行ったのか分からずにいると、 突然僕の手は後ろ

「うぎゃ」と声を上げる。

僕の手を後ろに回していた奴は 僕の首を締め付けると僕の頭を掴んだまま僕に話しかけてくる

「貴様はなぜここにいる。答えよ」と言うと同時に僕を持ち上げて振り回すと、僕は宙を舞う。そして地面に落下した時にようやく解放されて僕は その場に座り込むと、そこに立っていたのは僕だった。

だがその姿は、真っ白な衣装を身につけて頭に輪をつけた。

まさに神の姿に酷似していた。僕は立ち上がり剣を構える。僕の姿になった何者かに攻撃を仕掛けようとした

「お前は誰なんだよ」

「ふん。私はルシフェルだ。まぁ 私の本当の名はサタンなんだけどな。それでお前はなんの為にここに来た。答えろ」と再び質問してくるが僕は「そんな事はどうでもいいよ。それよりここは何処だよ」と言うと サタンを名乗る人物は、僕の前に移動する。そして僕の顔を覗き込んでくる。「ふむ。本当に違うようだ。だが、確かにお前は私の作った世界にはいなかった存在でもある」と言ってきた。

そして「私の世界を救いし者達の一人なのかもしれん。だから一つ聞きたいことがある。今 私の世界では異変が起き始めている」と言われ僕は どういう意味か聞こうとすると

「悪いがまだ、話すわけにはいかん。それと忠告しておく。もしも私の姿を真似する輩が現れたら、私の名前を名乗って欲しい。私は、まだ完全に復活出来ていないのだ。まだ完全体に戻れるまでは時間が掛かるのだ。だからこそ。私の名前を勝手に名乗るのは止めてもらいたいのだ。さて、私はそろそろ行くとしよう」と言うと僕の前から姿を消したのである。

僕はしばらくその場から動く事ができなかった。そして サーヤから念話が届いたので 僕は急いでその場所に向かった。

だが僕はそこで見た光景に絶句してしまう。サーヤのお母さんは首元に剣を当てられて人質にされている状態だったのである。サーヤはサーナと一緒に薬草を取りに行く途中で遭遇

「お母さん。どうして?助けてあげないと」と言うサーナだったが、相手も必死で逃げ出そうとしているが、逃げ出すことができない状況である。

僕は、どうすれば良いのかを考えながら、サーヤのところに近づくと「大丈夫?」とだけ言うと サーヤは「サーナの友達が来てくれたみたいだけど。私を助けてくれるの?」と言うが 僕の方は、この女性を助ける為に行動しようと考えていた

「サーナ サーナ」と言うサーナを呼ぶが サーナは この状態でサーナを呼び出しても仕方ないので、僕は、サーラの【空間転移】を使って僕達の部屋に戻ってもらうことにすると 【空間魔法】を使い、サーリャとサーア

「お父さん。お帰りなさい。でも早く来てー。ママも私も大変になっちゃっているからー」という声を聞いた途端に、何かしら問題が起きたのかもしれないと思い急ぎ駆けつける。するとそこには、縄に縛られた女性と子供がいるのを発見する。

サーナは、「えっと。こちらの方が私たちを捕まえて離してくれなかったんですけど。パパが助けて下さい」と僕に向かって助けを求めた時

「あなたは何者?まさかとは思うけど 私が誰か分かっていない訳じゃ無いわよね?そうね」と言うと【サンダーボール】を詠唱破棄で発動させてきたが 僕は咄嵯に身をかがめることで回避に成功する

「今のを避けたか。流石ね。それでは本気を出してあげるわよ。【ダークアロー】

これでどうかしら」と言うと、僕の足下に魔法が命中して 地面に穴を開けたが僕は、そのまま穴をくぐり抜け、彼女の背後に移動してから、彼女の体を拘束する事に成功

「あなた。強いわね。私を相手にしてこれ程までに私を追い込んだ人間は貴方が初めてかもね。でも残念だったわね。私も本気で戦えば、あなたを圧倒できたはずなんだけど、今は、それを行うことはできないから。あなたに負ける事にしたの。だってあなたは優しい人でしょ。そんなあなたが、私を傷つけることができるはずが無いからね」と言い終わるのと同時に僕達の周囲が結界に包まれ

「さっきから聞いていれば。この人は僕の大切な人なんだから手荒な事しないでくれるかな?」と言ってやると、女性は微笑み「いいでしょ?その人のことは諦めたから安心してちょうだい。私はあなたの事を調べつくしたのだから、この人より あなたの方が良いと思ったから、今回は譲って上げる事に決めたのよ。ただ約束してほしいことがあるの。もしもまた会えた時は容赦せずに全力で勝負をしてください。そうしないと私のプライドが崩壊しちゃうんだもの」「はい わかりました。約束します」と言うと彼女は笑顔で答えると僕を抱きしめてきたのだが僕はそれを拒否して距離を取った「あら 嫌われてしまったようですね」と笑う彼女は

「今日はこの辺りで退散するね。これからも時々遊びに来ても良いですか?」

「はい。もちろんです。今度はもっと平和なところでゆっくりと話しましょう」

「それでは、楽しみにしているわ」

「それでは お元気で」と言うと、僕の目の前から消え去った 僕は、まず最初にサーヤの母親の縄を解き解放する。するとサーマも「ありがとう」と言うと「この娘を解放したら直ぐに帰るよ」と言うと、サーナと母親を二人だけで先に部屋に帰らせる その後で、僕も家に戻ると既に二人は家にいて。お茶をしていたので事情を説明する

「そう言えば、サーニャさんのお名前は、サニアさんですよね?」

「あっそうそう、忘れていましたけど私はサニアですよ。でもその通り あの子はサニャですよ。間違えないであげてくださいね。それとサーリャちゃん。お願いがあるんですけど、私のこと今後、様を付けて呼ぶのは止めてくれませんか?もうそろそろ お母さまと、呼んでもらってもいいと思うんですけど、駄目でしょうか?」

「うーん。私は今まで通りの方がいいような気がしているんですけど」と言うと、僕は「うん。確かにそれはそうだよね」

「それにしても凄かったよね。あんなに強そうな人だったのに 一瞬で倒しちゃうんだもん」と

「本当に 何が起こったのかさっぱり分からなかった。でもパパのおかげで無事にお母さんは助かったから 本当に感謝しています。あと ごめんなさい」

「別に気にしなくていいんだよ。さて僕達は、少し休憩してから次の場所に行こうと思うんだけど」

「はーい」と言うと僕達は一旦別れて 僕は自分の部屋の中に入ると【気配感知 魔力探査】を使い、周囲の状況を確認 僕がベッドで寝転がっているとサーシャが僕に声をかけて来た

「ねぇ。パパ ちょっと時間あるかな?」

「あぁ 今暇だから良いよ。どうしたの?」

「私の部屋に来てもらえますか?」と言うので 僕が向かうと。そこには何故か僕の服と帽子が飾られていた

「この帽子 懐かしいなぁ」と言うと

「やっぱり知っているの?」

「ああ 僕達が子供の頃によく使っていた物だよ。でも どうしてこれを君が作ったの?」と聞くと「サーヤに言われて作ったんです」

「そっか。じゃぁ せっかくだし被らせてもらおうかな」と言うと、彼女は僕の帽子を被ると

「やっぱり可愛い。お兄ちゃんって呼ばれるよりも似合っています」

と、喜んでくれたので、僕は彼女に礼を言うと「私も 実は、お父様に貰ったのです」

それからサーナのことを色々と聞かせて貰うことになった。僕に甘える姿はとても可愛くて思わず撫でてあげていると 突然「うぎゃ」と悲鳴を上げるとサーナは僕の膝の上に頭を乗せていたのだ。

サーナはすぐに立ち上がると「びっくりさせないでよ。サーモ 急に現れても困るんだよ」と言うと、サーナは「私はサーヤよ。私の事をそんなふうに見間違うなんて失礼よ」と言うので僕はサーヤを見ると、やはりその姿はサーヤであった。そして僕は サーヤの手を取り握りしめて、改めてサーナの方を見つめ「この子の体の中に サーヤがいるみたいなんだよ」と言うと サーナとサーモは驚いた顔を見せる

「サーヤ?誰のこと?私は、そんな名前じゃないし。私の体は、このサーナっていう子だけのものです。だから 変なこと言わないで」と サーナが言うと、サーナも驚いていたが 僕は「確かに君の身体にサーヤの心が入っているように感じるんだけど、心当たりはあるかい?僕には良く分からない事なんだけど」と言うと

「確かに 最近不思議な夢を見ることがある。もしかしてそのせいなの? 私は確かに夢を見ていたけど。あれは何なのかよく分かっていない」と言うので 僕は、この子になら言っても大丈夫だと思い話すことにした 僕は、今まで見て来た夢の中で 僕達の世界では無い場所の出来事を話した するとサーナは、しばらく黙ったまま考えていたようだが

「その話が事実であると仮定した場合に、私が見た サーヤとサーヤに関係のある人が一緒に居た夢の話をするね」と 言うと、サーナとサーヤの夢の中で起きた事

「サーヤ サーナ あなた達のどちらかが その記憶を思い出す必要があるのだと思う」と言うと

「それならば。サーナがサーヤの記憶を取り戻してくれることを期待して良いんだね?」と聞くと

「私としては構わないわよ。だけどサーナ あなたが、私の存在を知った場合 私があなたを守る為に 行動する事を許すことができる?」と言うと

「私が守る必要も無いぐらいに強くなるわ。だって私はお姉ちゃんの力を受け継いでいるから」と、言い放つと

「お姉さんの力を受け継ぐとは、どういう意味?」

と、尋ねると、彼女は語り出した 彼女の家系に受け継がれている【スキル】の事 彼女は元々病弱であり。外に出

「パパ ママ」と呼びながら駆け回る事が出来なかった。

彼女は病気の影響で、体力が他の子供に比べると極端に少なかったが、それでも 元気なサーナに憧れていた。

その想いは、年を経るごとに強くなり。やがて その気持ちを【ギフト】が具現化させる事になる。それが、【コピー&ペースト】の能力で有る事は彼女にとって幸運だったのだろう。だが彼女はその能力を使う事で サーヤと入れ替わる事ができるようになったのだ。

ただ

「ただ、一つだけ問題がある。今の私は 自分の姿をコントロールする事が出来る。けれど 幼い頃の私の意識は 自分以外の人間の目を見ることができないほど弱っていた」という そこで彼女が思い出したのは、お守り代わりに持っていたペンダントと指輪だった おまじないが掛けられているお陰で、それを手放さないかぎり この力の影響は、私にしか届かない そう思っていた だが ある日、私の前に、私の大好きな男の子が現れる。その男の子の名前はサーア 彼は、私と同じ歳にも関わらず。

私を守れるくらいに、とても強い男の子だと言う。でも 彼の性格は優しく、人を傷つける事を嫌がるタイプのようでもあった だからこそ 私

「サーナの体から出るよ。だって私のせいで、彼が怪我をしちゃったりしたら、きっと後悔するもの」と、言ったのだが

「私は、まだその時期では無いと思うからもう少し待ちましょう。だってサーナちゃんは、まだ幼すぎるから。もう少し大人になってから、その時は任せることにするから、それまではサーニャが体を預けておくといい」と言ってきた

「分かったよ。サーニャお姉ちゃんに任せた」と私は、お姉さんの胸で泣いていた そしてしばらくして泣きやむと私は、私の体の元に戻った

「どうやら、サーナは戻ってこれたようだね」と言うと彼女は涙声で「うん 戻ったよぉ」と言いながら抱きしめてくれたがすぐに我に帰ると 彼女は、「お腹空いたぁ ご飯作ろうか?」

と言って来たので僕は「そう言えば昼食がまだ済んでいないんだよね」「うん 何かリクエストある?」「僕は料理が得意ではないからね」「そうだね」

僕は「それでは親子丼とか作れる?」と言うとお昼からは二人で調理を行い 二人

「「いただきます」」と言った。すると僕の隣で、小さな口でパクパクと、頬張り食べている サーニャの姿が見えたのだった サーナの体の中から出てきたサーヤは僕達にお礼を言いたいのと、お弁当を作って来てくれたと言うので僕は、サーニャと一緒に彼女の

「美味しい このお味噌汁。お出汁が凄く取れていて美味しいし。この唐揚げもジューシーだよ」と言うと 僕が「これは凄いお嫁に欲しいかも」と言うと サーナは 顔を真っ赤にしながら「あぅあぅあぅ」と言う声を出しており。その様子を見て僕は、少し微笑ましい光景を見ながら

「ところで、お弁当を持ってきて貰っているって事は、お家に帰らずにここに来るつもりだったの?」

と言うと彼女は「えっ そうですよ」

「どうして?」と僕が聞くと「だってお父様のお帰りが遅いんですもん。それでお母様と二人で待って居るより こっちの方が楽しそうでしたので」と言うので僕は「お母様 お家に帰らないと心配しているんじゃない?」と言うと「うーん。でも たまにこうして遊びに来る分には問題無いみたいだし」と言う

「そっかぁ そうだよね」と返事を返しつつ僕は「今日中に帰れたら良いけど、明日になる可能性もあったし。それに せっかく作ったのなら僕達も一緒に頂いてもいいかな?」と言うと サーヤは笑顔で「はい。構いませんよ」と答えてくれたので 僕とサーニャも、サーヤの家にご馳走になって行った。サーヤがサーナの時に作った服と帽子を見せてもらったり サーヤと遊んだりした サーナがサーヤ

「ねぇサーヤ ちょっと質問があるんだけど聞いていいかな?」と言うとサーヤはすぐに反応して「何々?なんでも答えてあげるよ♪何でも聞いっちゃっていいんだよ♪どんな事を聞かれても全部正直に答えてあげるんだぞ☆」と答えたが僕は苦笑いをしながら「その前に聞きなれた言葉なんだけど『なんでも答える』なんて軽々しく言っちゃダメだからね。後でトラブルになったとしても知らないぞ。まあでも、君達が本当に入れ替わったとしての話なんだけど。僕の知っている情報によると君達は双子のはずなのに外見にかなり差があるけど、それは、何故なんだい?」と、聞く。すると二人は一瞬固まった後、僕の問いの意味に気付いたようでお互いに見

「私達の身体の中に別の人格が入っていてね。私達が表に出ている時は、その人の意識はないからね」

「私とサーヤの魂は繋がっているんです。その繋がりを通じて、私達二人の肉体を入れ替える事が出来るのです。ただしその代償も大きいんですよ。私の体に入ったサーナも私の能力を使うことは出来ても、身体能力は、私に比べて低いのです。その変わり 私は私の姿で、他の人には出来ないことが出来るようになっています」

「例えば 他人の傷や病気を癒したり、魔力を譲渡したりすることも出来るんだね?」

と聞くとサーヤが「はい。ですが、私はサーヤほど万能ではありませんよ。私はあくまでもサーヤのサポートをしているだけですから」と言う

「そうなると、僕にも、サーラに教えていた魔術やスキルについて詳しく教える事は難しいのかな?」と僕が聞くと

「私は大丈夫だと思うよ。だけどサーモには 私と同じようにスキルを教える訳にはいかないよ」と、僕が言うと「はい。私は大丈夫なんだけど、私とサーナの事を良く知る人になら 大丈夫だとも思うけど、他の人達に対して秘密にするべき内容なんだよ」と言われたので僕は、サーヤに頼んでサーモと

「僕達の仲間になりませんか?」と誘うと サーヤとサーナの両方で「はい 喜んで!!」と返してきた。

僕達5人は、それぞれの仲間を連れて城へと戻る事となるのだが 城に戻ろうとしていた僕達の元に、あの国の宰相が現れ

「サーナ姫様を我々の元へとお連れして欲しい。もし断るならば我が国と敵対する意思があると見なす」と脅されたのである その要求を聞いた僕が、「お断りさせて頂きます。あなた方が私に敵対の意思が無い限り、私は、この国を攻めるような真似は致しませから」と言うと 宰相から意外な提案を受けることになるのであった 5人が城を後にしてからしばらく経った頃

「王様、やはり奴らが居なくなった隙を見て、すぐに行動に移した方がいいと思われます」と言うので王がどうすべきか悩んでいた。その時

「陛下。私に良い考えがあります」と言って来た者が居たので王がその者の名を問うと

「我が名は【アルゴス】

魔王軍の四天王の一角であり。その私が、サーヤの力を悪用しようとする者達を葬る為に協力しても良いと考えている。どうだろうか?」と問いかける。だが王も馬鹿ではなく

「その言葉を信じてお前の力を借りたとする。その結果として我々の味方となり お前が敵に回れば、どうなるのか考えてみた事があるか?」

と言うと「勿論考えたさ。だがその時にどう行動するのかは その時になってみないと分からないだろう」と返すと 王は、「確かに それも一理あるかもしれないが、私は お前のような者に力を貸して欲しいと頼んだつもりは無いのだが」

「そんな冷たい事を言うでない。ワシと貴殿は長い付き合いであろう。今ここで決断するのは少し早いと思うのでは無いか?」

「そう言われてしまうと困ってしまうのだが」

王は少しの間悩む だが、すぐに覚悟を決めた表情で

「分かった。お主のその言葉を信用する事にしよう」と言うと 魔王軍は、動き出した。

サーヤが城の外に出ると宰相が、僕が持っているような武器を持ちながら待っていた。僕は警戒心を露わにしつつ宰相を見つめていると

「サーヤさん 我々はあなたを敵視しているわけでは無く。ただ保護しようとしているだけなので、どうか大人しく従って頂けませんでしょうか?」

と、お願いをされるのだが、僕が返答するより先に僕の隣から声が上がり「誰が、貴方みたいな人を信じられるものですか。それに、あなた方は 自分達が何者なのかを忘れてしまったんですか?」と叫ぶ声の主は サーナだった。僕はすぐに彼女の肩に手を置くと、「気持ちは分かるが あまり感情的にならないように頼むよ」と言うとサーナは僕の言葉を聞くなり冷静さをすぐに取り戻してくれたようだった。僕達は少しの間話し合いをして、お互いの情報を交換することにしたのでした。

僕達と宰相が話し合っている間 兵士達と大臣達は、城内の様子を確認しようと、密かに行動を開始しようとしていた。そこでまず最初に彼等の行動を妨害した人物が居る

「何をやっているのかね。こんな時間に。まだ外は明るいはずだ。それに、この城は今、厳重に見張られている。そんな中を抜け出ようとするなど、あまりにも愚考すぎる」と 一人の男が言い放つと 兵士と役人たちは「しかし。先ほどの会話では勇者達はもうこの街には残っていないはず」「そうだ。勇者様を連れ戻せば我らの望みが叶うのに、このままでは、なんのために犠牲を払ってまで街で騒ぎを起こしたのか意味が無くなってしまいます」「そうだ 我等こそが真の後継者。この世界を支配できる唯一無二の存在だ。邪魔する者は排除しなければ」「そうです。勇者達が居なくなれば もはや恐れる必要もない。今こそ反撃の狼煙を上げなければ」と、口々に語り出すが それを止めるかのように

「黙れ!これ以上の発言をするなら、それ相応の処罰を与える事になるぞ!」

と怒気を放ちながら声を上げたのは 僕の父様 すなわち 国王 その人だった。彼は 僕が幼い頃から 僕に色々な知識や技術を学ばせてくれていたのと同時に 剣術や槍術の指南役を引き受けてくれていた。

父様に剣技や槍技を学び始めたばかりの僕にとって、とても厳しい人でしたが、僕のことを大切に育ててくれる父様には、僕は感謝していました。

僕が父様と一緒に居ると いつも

「マルス、もっと腕の筋力を鍛えるようにしないと 将来 自分の身を守る事ができなくなるからな」と助言をくれた。僕がまだ幼かった頃には 父様と一緒に狩りに行く

「今日からは、俺と二人きりで狩を行う 今日は、ゴブリンの討伐をやってもらう」

僕は、最初は怖くて

「僕 まだ子供だから 魔物と戦うのは怖いよ」と涙目になり 恐怖を感じていたのですが 父様が頭を撫でてこう言ってくださいました

「大丈夫 いざとなったら 私が必ず助けるから 安心しろ」と言ってくれたのです。僕はまだ小さい頃の事で はっきりと覚えてはいないんですが、この時の事は よく 思い出します

「そうだ 俺とお前が一緒に居ると、いずれ戦わなければならない時が訪れる。だから、今は、戦いから逃げてはいけない」と言い僕に稽古をつけてくださいまして 僕は必死に付いていこうと努力をしていた ある日のこと 僕は父様から、ある質問を受けました。「なぁ もしも 自分のせいで家族を失った人がいたとして、その人に何かしてあげる事ができたとしても それが相手に届くかどうか分からず、また、相手が自分を責め続けている時は 俺はどうしたらいいんだ?」と真剣な眼差しで質問を投げかけて来てくれたのです その日から、僕の心の中には常に疑問が渦巻くようになり そして、僕の答えは見つからないまま 時間が過ぎて行くばかりであり

「僕も 答えが出せずにいます。僕が今まで生きてこれたのは、全て父様と母様のお陰だと思っています。だけど 今の僕には、何の力も無い そのせいで守れなかった 大切な人がいるんです」と答えを出した。すると父様は

「お前はまだまだ未熟者だけど、いつかお前の答えが見つかる日がくる。それはいつの日になるか分からないけど、その時は、その人と向き合って 自分自身の思いをぶつけるといい。相手を思いやる優しいお前の事をきっと受け入れてくれるはずだ」と笑顔を見せ 頭を撫でてくださった。僕が幼い頃に感じていた事を言葉にして話していたのだ

「お主の考えは良く分かった。ならば、わしから一つ提案がある」

と言ってきたのがアルゴスと名乗る魔族だった。彼が提案したのは

「魔王軍の一員として行動すれば、お主には十分な援助を与えようと約束しよう。ただし、魔王軍の仲間となるならば お主の力だけでは解決出来ない事も起きるだろう。そこで、私に協力して欲しいのだよ」

と言う内容だった。僕は「僕は、魔王軍の四天王と敵対関係にはありませんでしたし、その事を理由に、こちらに攻撃を仕掛けてくる事は無いんですよね?」と聞くと 魔王軍の宰相が、首を傾げて少し考えてみたものの すぐに返事をした。どうせ断る事は無いと思ったらしい 僕達の目の前には、魔王軍の幹部であるアルゴーラが立ちふさがっていた。

宰相の申し出を断るつもりはないらしく、協力してくれそうな雰囲気を出していた。だけど

「お待ち下さい。私達としては そちらの提案に乗るつもりはございません。なぜなら貴方達の本当の目的が見え見えでございます。私達の世界が欲しいからでしょう。ですが、貴方方の企みに お兄ちゃんを巻き込まないでいただきたいのですよ。もしお姉さまが傷つけられてしまったら 私は怒りを抑えきれないと思うのです」とサーアが言うので、僕達もそれに同意して「そうだ お前らの狙いなんて 僕達にはすぐにわかるんだよ」と言うと 宰相の口から思わぬ一言が出た。「確かに我々魔王軍は 君たちが暮らす世界を支配しようとしている。だが、君たちに手を出すようなことはしないので 心配はいらない」と言う

「えっ?どういうことだ?」僕が戸惑う中サーマとサーナは お互いに顔を見合わせながら不思議そうな表情を浮かべていた。そんな僕らに対してアルゴスが問いかける

「お前達は何故サーヤを連れ帰ろうとしているんだ?」という問い掛けをされた僕は正直に理由を話した。サーモは

「確かに貴方のいう通り、サーヤを連れて帰ってはならない理由はありません。しかし、私達はサーヤの力を悪用しようとする者を 排除しようとしているんです。貴方方の目的は知りませんけれど 私たちに協力して頂けるのでしたら 力を尽くします。それでよろしいですか?」と答えたのであった。すると宰相は意外な発言をした

「実はな この魔王城にある魔王の書斎で不思議な力を感じているので確認をしに来ているのじゃよ」と話す それに対してサーアは、「まさか!?この城の中にある物で お兄ちゃんを傷つけたりするつもりじゃないんでしょうね。許さないよ」と言うのだが それにしても魔王の書を気にしているのか?と思い僕はサーラに声をかけた「ねえ サーナあの人は 一体何を言っているのかな?」と言うと、彼女は少し悩んでしまうのだが すぐに答えが分かったのか、僕の方に振り返って

「お兄さん あの方は嘘をついてはいません。おそらくですが、あの方が探している物は 間違いなく 私の中にあります。もしそれが見つかれば 私とお姉さんの願いが叶えられるかもしれません。」と嬉しそうに言ってくるのだった。その表情をみた僕は、彼女達を疑うことをやめると共に 魔王の館を後にすることにした その道中 魔王の配下が行く手を遮ろうとするが、僕が斬り捨ててしまうとすぐに撤退を始めた。僕達は そのまま王城の門を抜けて 外に出た所で サーヤが「やっぱり ここに来たか。予想通りに動いてくれてありがとう」と言った直後 地面から黒い霧のようなもの

「これはなんだ?」と尋ねると「闇魔法の一つ【ダークミスト】だと思われます」と答えてくれたのは 僕の中で意識を取り戻したのであろう サーニャだ。

僕達は急いで移動をしようとした時に 僕の隣で 突然大きな爆発が起きてしまう。そこには一人の人物が立っていた。どうやら その人物とは アルゴルス王国の大臣の一人であり 僕の父様の側近でもあり 宰相の地位に居たはずの人だった。彼は 僕の父様に向かって

「勇者よ。お前の野望はこの国と民を苦しめるだけに過ぎない」と言い放つ 父様が「俺が何をやったっていうんだ。俺はただ、国のことを考えて、国王になっただけだ」と反論するのだけど 彼は続けて「その証拠に お前の息子は愚か者のままではないか。あれでは、国王など勤まらん」と言い放つと 父様は激昂してしまい 剣を振り上げながら襲ってきた それを見ていた僕は、咄嵯に父様の剣に蹴りを入れる その瞬間に僕の剣と父様の剣は砕け散り その破片は、僕の体に突き刺さってしまう 僕は痛みを堪えつつ その場に倒れ込むのだった 僕の視界の先には 地面に崩れ落ちながらも 僕を睨

「貴様が 余を倒そうとしなければこんな事にはならなかったものを」と言って 再び父様に襲いかかるが その攻撃は簡単にかわされてしまう

「お前の攻撃が遅いんじゃよ」と言ってはいるが 実際のところ父様のスピードもかなり上がっていて、僕が知っている父様とは全くの別人のような動きをしている 父様の猛攻により 僕は意識が遠退いていく中 僕は「どうしてこうなった」と考える 僕は必死で 思考回路を動かすのだけど 何も解決策を見つけることが出来なかった。するとそこに誰かの声が聞こえてくる。それは

「大丈夫だから 今助けてあげるからね。」と優しい声音の女性 それが母様だということに気

「ここは?」と言うと「貴方の夢の世界ですよ。マルス。私が傍にいますから大丈夫ですよ。だから落ち着いて」と言われて 僕が横になっていたベッドの横にはサーマの姿があった 僕は慌てて体を起こし 彼女の姿を見てみる。特に変化は見当たらないけど

(サーマ?)と言って話しかけると サーナはにっこりと微笑み返してくれたんだけど、その直後に サーナが悲鳴をあげ始めた。僕は彼女に何かあったのではないかと不安になり、彼女を宥める事に専念していたら、しばらくして落ち着いたようで、ホッとしていると彼女が語りかけて来たのである。

(もう時間がないの。時間が足りない。私の中の魔王の書は、私の意思を無視して封印されようとしているみたいで、それ

「私達の願いが叶えられるまで時間が残されていないの」と言ってくる。僕は焦ってしまい、思わずサーアの手を取って 握りしめてしまっていた そして僕たちは、お互いの存在をしっかりと感じる事が出来た。それから「お兄ちゃんの側にずっといたかった。だけどそれも出来ないみたいなの。最後に言いたかった事があるの。愛してます」と言われるのと同時に僕の手が握られた感覚を覚えた

「えっ!? 」という僕が驚き そして困惑して、その次にサーアを見ると すでに サーアは消えていたのであった

「ごめんなさい。お姉ちゃんの事は任せて下さい。必ずお姉ちゃんを守ってみせます」と言って、お兄ちゃんの目の前から姿を消す。残されたのは無情にも一人ぼ

「何が起こった?」僕は目の前の状況を理解する事が出来なかったので、とりあえずサーマを探したいと思っていたら

「サーフ 無事か?」と聞き慣れない声で呼びかけられてきたのでそちらに目を向けると、サーフの父親らしき人がいたのだった。

その人の話を聞く限り サーマは、サーフ達と共に行動する事になったようだ。その人がサーフに事情を聞いてくれたお陰で、僕は状況を知ることが出来ていたのである。サーナの事をサーファにお願いし サーフと一緒に、僕達は魔王城に向かった 魔王の館に向かう途中では色々な魔物に遭遇するのだが 全て撃退していった その道中で僕は疑問に思った事があって

「なぁサーフ、サーマは サーシャの記憶があるんだよね。じゃあ サーマも魔法とか使えるのか?」と言うのだけど、それに対しては「使えなかったと思います。サーヤお姉さまには 魔力がありませんでしたので。」と答える そうなんだよな 普通なら 魔王の娘は、魔の力を持っているはずなのに、魔王の娘であるサーヤが魔法を使えないなんてあり得るんだろうか?そう考えていると、サーフは「お姉さまの事でしたらご安心下さい。お姉さまは確かに魔王の血を引くものなのですが 魔の力は持っておられなかったのです。お姉さまは普通の人として生きていましたので」と言うのだ そんな感じ

「魔王の館に着いたぞ」と言われた 魔王の館で待ち受けているものは?魔王の書とサーナの関係 サーナは何処へ消えたのか?僕は 魔王と戦う事になるのであろうか?様々な考えを張り巡らせながら 魔王の館の扉をくぐるのであった。

魔王の書とサーナの関係は?サーナは何処に行った?サーフの話だと サーナは 普通の人と変わりは無かったはずだよな。サーヤが、魔王として目覚める事は無いと言っていたし、それにサーナには何も変わった様子はなかった。サーナは確かに存在していたんだ。だけど今はサーナの気配がしない。そんなことを思っていた時だった。僕が魔王の書を触ろうとしたその時に

「待ってください。魔王の書には近づかないで下さい。魔王の書は、私とサーナお姉さましか触れられないのです。貴方のお気持ちはよくわかりますが、魔王の書に触れても 貴方の望みは叶えられないでしょう」と言って サーラが止めに入ったのであった。僕はサーナの事を聞き出さなければならないのに、魔王の書を サーナに預けたのかと つい怒りを覚えてしまった。

「おい! サーナを何処にやった!」と叫ぶのだが、サーラは僕を睨みつけてきて、その視線だけで、僕は殺されてしまいそうになった それでもどうにか堪えて

「早く答えてくれよ」と懇願したのだが その願いは

「私は サーナお姉さまではありません。サーナお姉様をどこにやったのですか?」と質問をしてきたのである。そこで 僕の頭の中では一つの結論に達しようとしていた。つまり

「お前は、本物のサーリアではなく 別の人物なのか?」と言うと 彼女は「やっと 気づいてくれたんだね。でも少しだけ違うよ。私はサーラで、サーアの姉です。だけどサーモに助けて貰えたサーアが、この世界に転生をした存在です。この体は、魔王様とサーアによって創られて、魂の器にされたんだ」と言った後 僕の頬に口付けをしてくる。そして「さあ 魔王様が待っているわ 一緒に行きましょう」と言ってきたのだった。その言葉を聞いた僕は、「お前達は サーマを一体どうするつもりなんだ?」と尋ねてみたのだけど

「それは貴方が一番良く知っているじゃない。あの子には魔王になる素質があったの だけどこの世界の神は 勇者を呼び寄せてしまうから、あの子で魔王になってもらうわけにはいかないって考えたのよ。だからサーハは死んだの サーアの犠牲で世界が救われる。その事実を受け入れないと前に進めなくなるよ。」と優しく言う だけど僕としては「ふざけるなよ。なんでサームの犠牲の上で救われなくちゃいけないんだ。僕にとって大事なのは、家族だけだ。その為に僕がやってきたことは無駄にはならない お前達の思い通りにはさせやしない」と言うのだけど その言葉で 僕が怒っているのを感じたらしい。その瞬間に、今まで優しかったサーフの雰囲気が一変するのを感じ取る。それと同時にサーカの方は、何かを決意したように サーフを見据える。そしてサーナは、僕の方を見て「ありがとうございます。これで 貴方も前に進むことが出来る。だから貴方も幸せになりなさい」と言って僕の前から姿を消すのであった。その直後、僕の前に黒い霧が現れるので、その先を急いで向かう事にしたのである。すると

「よく来たな 我が娘を救いに来た英雄マルス」と威圧を放ちながら僕に話しかけてくるのは 魔王のアルゴルスその人だった。僕は 剣を構え戦闘態勢に入るのである。そして 戦いが始まるのである。

魔王との闘いが始まった まず最初に動いたのは サーフだ 僕は、サーフィに向かって「ここは俺に任せろ。サーシャを助ける為に、力を貸せ」と言うと、笑顔で僕を見つめてからサーフの方に駆け寄っていった。そして僕とサーロは、お互いに睨み合う

「我を倒すつもりでいるのか その自信がどこからくるのか見ものだな」と言われ、そして「それならこちらも全力で相手させて頂こう。いくぞ」と言って攻撃を仕掛けてきたのである。僕達もそれに応えるようにして動き出す。サーマの体に憑依しているサーファも、かなりの強さで なかなか勝負がつかない状態になっていた。僕は

「これならどうかな?」と言って、炎魔法の火焔槍を発動させるのだが避けられてしまう するとそこにサーフが駆けつけて来て、

「私が援護します。私の体で好き勝手させないで下さい。私が守れる範囲なら 私が守ります」と言うのだが やはりサーファの体が傷ついていき

「どうして攻撃が効かないの?サーナは魔王の血を受け継いでいなかったのにどうして?」と呟きながら、どんどん追い込まれていくのである。その度に僕は、治癒魔法をかけてあげているんだけど

「大丈夫だよ。これは運命で 決まっている事なんだ。私は、魔王様の娘 それが宿命だった。それだけなんだよ」と言うとサーフは涙を流し始めた その涙には悔しさとか 悲しみとか色んな感情がこもっていて 見ているだけでも心が痛くなって来る サーナがいなくなった時のサーアと同じ表情をしていたからだ そんな状況になっているとは知らない僕たちは サーローの攻撃を避けたり、跳ね返したりしていたのであった 僕は

「もう諦めたらどうだい?」と言うと

「そんな事をしたら、私達の死は意味の無いものになってしまうので、それは出来ません。」

「どうしてもダメかい?」と聞いてみると

「はい 私達が生きているのはこの為にあるのですから」と言い返してきて、また攻撃をして来るのだった その時に魔王は僕の方を見て ニヤリと笑い

「さすがにここまで 強くなったか まあいい ここで終わりにしてやる」と言って 魔法を行使しようとするので その前に、サーフェとサーサが魔王の背後に現れて魔法を使う 【風刃】という風の中級魔法を魔王に放つと魔王に命中をするのだが、それを魔王は魔法で相殺しようとするのだが

「そんな なぜだ なぜなのだ?」と言っているうちに、魔王に2人の魔法はヒットをして魔王にダメージを与える 僕はその隙を狙って、炎魔法の爆熱

「ぐっ!おのれ小童どもめ この魔王であるワシに楯突くつもりなのか?許さんぞ」

魔王の怒りを買ったようで、さらに怒りに燃えていた その光景を見た僕は「なあ魔王。お前の弱点を教えてあげるよ。お前は確かに強い。だがな 僕の方がお前よりも圧倒的に格上だ。その証拠を見せてやるよ。お前がどれだけ足掻いても 僕の前には無意味だと理解をする事になると 思ってくれ」と言って 今度は僕自身が魔王に魔法を放つ。魔王も同じように対抗をしようと魔法を行使するが、魔王が放ったのは、闇魔法のダークバースト 僕は、魔法を放った後に すぐにサーナのところに転移を行う。そうしないと魔王に僕の存在を悟

「貴様!何をしに現れた?」と怒鳴り声を上げて来ているのを無視して 僕は

「やっぱり この体は サーナのものであっていたんだな。今すぐこの身体を返してくれ じゃないと死ぬぞ。そうでなくても、お前は魔王として相応しくないんだ。お前を倒してこの世界を滅ぼさないようにする それが僕の役目なんだ。覚悟を決めろよ。それと サーナを解放してくれ。頼む お前にしか出来ないことなんだ」と説得するのだけど、全く聞く耳を持たず

「そんな戯言を 信じられるか」と言うのだ 仕方ないので、剣を抜くと 魔王に戦いを挑む。僕には魔王の動きが見えていたので、その動きに合わせて

「これで最後だよ」と言って 斬りかかる。しかし僕の一撃は受け止められて 逆に蹴り飛ばされるのであった。その衝撃で壁に打ち付けられるのと同時に 僕の中にサーナが入り込んでくる。それと同時に、サーナが持っていたはずの剣は消えてしまうのだった。僕は、その時に

「ありがとう 私のためにそこまでしてくれるのですね。ありがとう」と言ってきて、僕にキスをしてくる。僕は、突然の出来事だったので、どうすれば良いのか分からないので、されるがままの状態になってしまっていた

「やっと私の声が聞こえるようになったみたいね。貴方は本当に優しい人だね。でも私は大丈夫 私はここにいない存在です。この世界に召喚されたサーヤの人格がサーナに乗り移っただけの存在なんです。だから 私はもうじき消滅します。そしてこの世界の新たな神になるサーアに吸収されることになるでしょう。私は貴方の事が大好きです。貴方に出会えてよかったです」と言って微笑み 僕に抱きつきキスをしながらサーファの肉体から抜け出していくサーナを見ながら、「さようなら サーマと幸せになるんだよ お兄ちゃん」と言うと、サーナは消滅してしまったのである 僕と魔王との闘いは激しさを増していき、僕達はお互いの命を賭ける死闘を繰り返していたのである。そして魔王の体に限界が訪れたようで、「くそ!こんなところで終わるはずがないんだ!」と叫びながら僕の攻撃を受けて地面に叩きつけられる。その後にも、魔王に対して攻撃を繰り返すが、ついに体力の限界を迎えてしまうが、僕は魔王の胸に刺した剣を引き抜いては投げつけるを繰り返しているのである。その光景

「ふっはははははは 残念だったな ワシは負けはせん どんなにダメージが蓄積されようが、魔力が残っていればどうにでもなる それが魔王である そして この世界でワシを殺せる存在など 存在しない この世界は、我が魔の物となる」

「まだ言っているのか 愚かな奴だな。お前がどう喚こうが僕が倒すまでだ。」と僕が言った直後に

「よくぞ頑張った。お前が倒したのは、我に憑依された偽物の我が娘だ 本物の我が娘の力に勝てる訳があるまい」と言うの

「なんの事かな?お前こそ何を言う」

するとそこにサーマが現れて、

「私達の力で、マルスを倒すよ」と言ってくれたのだが。その言葉を聞いた魔王は笑い出した。その瞬間、サーマも魔王のように笑い出すと「残念でしたが それは出来ません。なぜならば あなた方が倒したのはサーハではありませんから 私の本当の力はこんなものではないのです。これから見せるものは貴方にとって残酷なものになるかも知れません でもこれが真実であり、貴方のやるべき事なのですから、しっかりと見ていて下さいね」と言うのである。僕はその事に驚いてしまうが

「それはどう言う意味なの? 」と問いかけるとサーナではなく、サーフィとサーアが答えてくれた。「これは 魔王アルゴルスの本来の姿でもなければ、憑依しているサーマの真の実力ではないの つまりは、この姿こそが サーナの本来の姿でもあるの 」「私たちには、サーナの力を少し借りて、この魔王に挑んでいるんだけど、本来ならばサーナは魔王以上の力を持つと言われているの 」

僕はそれを聞いて驚いたのだが、サーロも

「サーナ どうして?どうしてなんだ?」と言っていると

「ごめんなさい。本当はお母様と一緒にいたかった。マルスお姉ちゃんも大好きだ 。けどね。この魔王を放っておくことは出来ないの。それにマルスがこの世界に召喚されてしまって、お父様が亡くなってしまったのは、私のせいなんだから 私だって何かをしたいんだよ。私がこの体を使えば、少しでも魔王の役に立ちたいと思ったから それでサーフにお願いをしたんだよ。」と泣きながら言っていた。その言葉で魔王はサーナの事をサーヤと勘違いしている様子だったが

「ふん 何を抜かしおるのだ お前なぞの力など、たかだか知れている 魔王たる ワシには 敵うわけもないのだ」と言うのである。僕は「いい加減に認めたらどうかな?君たちが倒そうとしていたのは、僕が倒して来た魔物なんかよりも、もっと強い存在だったと言うことを」と言うと

「貴様の口から そのような戯れが聞きたくはないわ」と言い、さらに魔法を行使して、魔王の攻撃はさらに激しくなってくる。僕も負けずに 【光弾】を放ち反撃をしようとするが、ことごとく回避されてしまう。さらに魔王は、魔法を行使すると僕は、それを受け止めようとするのだが、僕に魔法を直撃

「ぐうっ!まさかここまでとは思わなかったぞ」と言った時にサーナの姿は見えなくなっていて。サーラが姿を現していた。

その時にサーナが サーフェをサーシャから解放をしてあげると言っていた 僕の方は魔王から受けた傷で動けなくなっている状態でサーナを見守る事しか出来ない状況だった。僕の方を見ていたサーナだが、その隙にサーナに攻撃を仕掛けてくるのでサーサにサーナの護衛を任せた僕は立ち上がり再びサーフェの前に移動をして立ち塞がり「今度は俺の番だからさ邪魔をするんじゃないよ」と言ってから魔王に向かい歩いて行く 魔王の方から先に攻撃してきたのでそれを剣ではじいていくがやはりダメージを受けてしま

「くう なかなかやるじゃないか」と余裕を見せていたのだが。

サーナは 魔王に剣を振りかざしながら近づき、 その攻撃を防ぐだけで手一杯になっていた魔王であったが、 その時サーナの剣の色が赤に変わり炎に包まれたのである。その変化を見て魔王は「ぐっ なっ 何故 その剣を持っている?その剣はこの世で最強の剣と言われる伝説の剣なのだぞ そんなものを持っていてもお前に使いこなせれるはずなど無いはずだ」と驚きながらも、その攻撃を何とか受け流そうとするのだけど

「そんなはずは無いんだ その剣は魔王を封印するために使う剣のはずなのだ」と動揺を見せながら叫んでいる

「お前が考えている通りなら、僕は魔王じゃないからね 僕の剣を返して貰うよ」

「そんなことが出来ると思うのか?」と言って魔王は、闇魔法で僕の方に魔法を飛ばしてきて僕は、咄嵯に聖魔法を行使すると僕の前に盾のような物が浮かんで、その闇魔法を受け止める 僕は、それを見てサーナが使っていた魔法と同じだと気がついて 僕は魔王に向かって駆け出して行くと魔王もそれに対抗するかのように動き出すので、

「はああああっ!」と言って渾身の一撃をお見舞いする。

その攻撃は見事に当たって 魔王は、僕の攻撃を受けた事で後ろに吹っ飛んでいき倒れてしまうのである。

「魔王よ。今楽にしてやるからな」と呟き魔王の胸に剣を突き刺すと その体は消滅を始める。その様子を見ていると、僕の中に入り込んできた もう一人の存在を感じるのだけど 僕の意識

「おい 起きろ!いつまで寝ているんだ。早く僕の中に入り込んでいるサーモを解放しろ そしてサーファを解放するんだ」と怒っている。僕はサーナの中に入ろうと試みるが、どう言うことなのか全く入れないのである そうこうしているうちに、サーファの中にいたはずのサーヤの存在を感じなくなり サーヤの魂が完全に消滅したことが分かる そしてサーヤはサーファの中に取り込まれてしまった事も理解したのである。それからしばらくしてサーナの中から出てきたサーヤに事情を説明するとサーヤは納得してくれたようであったのであった。そしてサーヤが

「私の肉体を乗っ取ってしまったサーマに文句を言いに行くの」と言うので、僕は一緒に同行する事にしたのである

「やっと出てこれたのに。何でサーナちゃんの中にいた私が出て来られないの?私の身体を取り戻して欲しいの 」と サーナの肉体を使って現れたサーマは僕達に

「やっと出られましたね。私はあなた達と違うんですよ。だから私から奪った体を返して欲しいのです」と言うとサーファは、「お前は本当に この世界を破壊しようとしていたのか?それが本当なら許すわけにはいかない。」と僕も同意見である。そして僕は「君はサーナを自分の物にしようとしていたみたいだね サーナは君の人形じゃないんだ。だから、もう僕の前から消え失せてくれないかな」とサーナが悲しまない内に、

「私は、もう貴方に用はないです。私は、この世界で最強になって、この世界を支配したかっただけなのですから」と言うのである。そして僕の目の前に現れた時と同じく、僕の目の前から一瞬のうちに姿を消した。

僕はサームの様子を見るためにサーロ達の元に戻って行ったのだった。

「母さん 無事でよかった 」と言うサーマに対してサーナがサーマに抱きつきながら、涙を流していて

「良かった サーナに会えて」と 二人は再開の抱擁を交わす その様子を微笑ましく眺めていると、サーアが話しかけてきた

「あの子は どうなったの?」と聞かれたけど

「多分 今は、何処かで眠り続けているんだろうね サーナに憑依してまで、何をしようと企んでいたのだろう まぁ そのうち分かるかも」と答えると、

「うん 分かった」

と言い、サーナは、しばらく泣き続けていたが落ち着いたのを確認してから、僕はみんなを集めて話を始めた サーフの事を話し始めるとサーナが、すぐに飛び出していってしまって、僕は追いかけるのである。

サーナを追い掛けていると魔王に操られていた時のサーナと遭遇する。

魔王との戦いで傷ついた僕の前に立ちはだかるサーナ

「ごめんなさい。私の力じゃ、お兄様を助ける事ができなくて」と

「そんな事は気にしていない。それに、お前の気持ちは嬉しいんだよ でもな、僕が助けたいと思ったのは、お前なんだよ 僕はな、例え僕が死んだとしてもお前を助けられるならばそれでいいと思っている。ただそれだけなんだ」

と話すとサーナが「お父様も同じような事言っていた 私も同じ事を考えていたの 私はこの体を使えば、少しでも、お父様の役に立てると思って、マルスお姉様のところに来たんだよ。

「それなのにどうして、こんなことになっちゃったんでしょうか?どうしてこんなにも辛い思いをしないといけないのですか?」と聞いてきたので、

「そうだね 辛かったよね。僕には想像を絶することばかりが起きていて、心が押し潰されそうになるんだけど、その度にサーナが側にいてくれた。君の存在が僕にとって、どれだけ救いだったか分からないくらいにね 君に話した事があったよね もしサーラやサーヤと別れなければいけなくなったら、僕はサーラの側に居続ける事を、サーヤの側にはサーフがずっといることを、その約束を守り通したいと思っていたことを」と答えると、サーナも「確かにマルスはそう言ってくれたもんね。お父様との約束を守る為に、魔王と一人で戦っていたもんね。だからね 私は、絶対にマルスと離れたくない。だから魔王の好き勝手にはさせないように、頑張らないと」と言うので

「僕もそのつもりだよ。だからさ、これからは、どんなに危険な目にあっても二人で協力して、乗り越えて行くことを誓おう」と言うとサーナは

「うん」

と言って笑顔になるのである そのやり取りをしている最中にも僕は魔王に吹き飛ばされて地面に激突してしまうが、なんとか立ち上がることが出来たので、再び戦いを再開する。しかし その瞬間にサーナと僕の足元を中心に地面が崩れ落ちて行き、僕達は、深い地中へと落ちていったのであった。僕は、何とか体勢を立て直して周りを確認すると、サーナは僕に近付いて来て、お互いに抱き合う形になると、

「このまま一緒にいる事ができれば、怖くないのにね」とサーナが囁い

「大丈夫。僕が君を守ってみせるからね」と答えるとサーナと僕の体が光に包まれて、僕達は光に包まれていくのだった。そして気がつくと

「サーナ 僕が分かるかい?」と聞くと、僕の胸で泣いていたサーナが涙をぬぐいながら

「えぇ。私に解るわよ。あれ?私なんでここにいるの」と言うので 僕は「それはだな 説明が難しいのだけれど、簡単に言えばだな、お前が眠っている間、僕とサーナは合体する事ができるようになったのさ そして僕はサーモの体を乗っ取り支配をしていた奴を退治する事に成功したので 僕の中にサーモは吸収されてしまったと言う事になる。」と伝えるとサーナは、嬉しそうな表情をして

「良かったね。私が心配する必要が無くなって、少し安心」と言うので、僕は、頭を撫でてやり

「ありがとうな 」と言って抱きしめていた サーナに事情を説明している時にサーヤの気配を感じたので、僕は サーヤに呼びかけてみると、どうや

「あっ お母さん お父さんは、元気になったからね。今はね。マルスと融合していてね なんか凄いんだって」と言っていたので サーナは僕の腕をギュッとしてきながら 僕を見上げてくるので僕はサーナをなでている そしてサーナの意識を封印している存在をサーヤは見つけ出し 僕に伝えてくれる 僕はその封印されている魂に語りかける サーヤの魂の中にサーナの意識が存在しているが、封印されて動けなくなってしまっていて 封印しているサーマはサーナの意識が封印される事を望んでいるようなのだが 僕の中に入ってこようとしたサーマに対して

「この娘は、私の可愛い姪で、私の実の娘なんです。だから私から奪わないで下さい」と訴えかけていた。僕はサーナに確認を取り

「お前は、本当に、サーヤの身体を奪って、この世界を支配しようとしていたんだね」と尋ねると

「はい その通りです。でももういいのです。もう私は満足ですから、だからこれ以上私の大事な家族を奪うのは辞めてください」と言っていて

「どうしようかな サーヤ」

「そうねぇ お母さん 悪いけど、ちょっとだけ我慢してくれるかな?」

と優しくサーヤに話しかけていて、

「私のお願いを聞いてくれると言うことですね」

「うん」と優しい口調で言うサーヤを見て僕はサーヤに任せることにしたのだった

「じゃぁ 私の方も手加減なしの全力でいくから覚悟するように」と告げ それからしばらくしてサーナと魔王の戦いが始まったのだった。そして 激しい攻防戦が繰り広げられていて サーナの一撃が、かなり深く入ったように見えたが、どうもサーナの攻撃が全く効かないらしく、魔王の方がダメージが蓄積されていく感じになっている それを見ていたサーナ

「そろそろ決着をつけたいので」と一言言うと、サーナの周りに膨大な量の魔力が溢れだし、サーナの姿が一瞬だけ霞んだ サーナが消えたのかと思い探すと、僕の背後にサーナがいた

「私の勝ちです」と言い 次の瞬間には 僕の首元にサーザの腕が現れてきて そのまま首を締められて僕は、身動きができなくなるのである 僕の首に絡み付いているサーナの手を振りほどこうとするがビクともせず、必死

「離せ!サーナに手を出させな」というと僕の口が勝手に動き そしてサーマが「私の目的は果たしたから 私は消えることにしますね またいつか会いましょう」とだけ残して、姿を消したのだった。

すると突然 僕達の頭上が輝いていた 僕は何が起きたか分からないでいると、「あなた お疲れ様でした。

よくぞ、サーナの暴走を抑えましたね 後は お任せいたしました」と母さんの声が聞こえたと思ったら僕の体に異変が起きるのだった。サーナは僕から離れた その刹那に母さんの声が再びして

「今 あなたの体の主導権をお渡しますね。さあ 早く あの子を助けてあげないと」と言われ、僕が戸惑っていると

「何を言っているんだ母さんの人格が入った肉体に この精神の僕の体は一体 誰なんだ?」と困惑しながら問いかけると

「私は、貴方の母親ですよ そしてサーヤちゃんは、私の妹です」と言われ 僕の中にサーヤの力が入ってくるのが分かり僕はその力でサーヤがサーナに使った魔法を打ち消すのである。

そして僕の意識は遠のいて行き。そして次に目覚めた時 そこは見知らぬ天井が見えたのだった。

僕の目覚めるのと同時に、扉が開いてサーシャとサーナが駆け寄ってきて、僕の体を抱き

「お兄様 ごめんなさい ごめんなさい」と謝ってきたのである。僕はそんなサーナの髪を優しくなで

「僕が目を覚ましても泣き続けるなんて どうかしたのかい」と尋ねると、サーナの代わりにサーリャが答えてきたのである。どうやら僕とサーナが魔王と戦っている間に、僕達が眠らされた洞窟内に、新たな国が出来上がり。僕達は、そこに運び込まれたとのことだった。僕は

「サーナは、どうして、この場にいるの?」と尋ねると、僕と一緒に行動していたはずなのにと疑問を口にしたのである。その僕の問いにサーナが、僕の質問に答えようかと思った時にサーシャの方に顔を向けて目配りをして

「私はね お父さんを殺さなければいけなかったの」と語りだしたのだ

「どうして?お母さんに頼まれたからなの?」とサーシャに尋ねられたのでサーヤはうなずくだけで黙ってしまった。なので代わりにサーシャの方を見ると、何故か涙を流しながら下を向いていたのだ

「私は、本当は嫌だったんだけどね お母さんは私とサーナにね

『お姉さまを救えるのなら、どんな事だってする。それが魔王に成り果てようと構わない』って言い続けていたんだよ。だけどね 私はどうしても許せなかった。だから、私が止めれば良かったんだけどね。私も止められなくてね それにサーモはね 自分の命をかけて、お姉ちゃんを救おうとしていたの。そしてお父様は、サーモと約束を交わしていたみたいでね。だからお父様は約束を果たすためにも、サーモの魂を浄化しようと頑張って、それでやっと浄化できたの。そのサーマの魂は、私の中にいるから、今は私の体を操ったりはできないし、私に宿っていた能力や知識は使えなくなっちゃったけどね。」と説明をし終えると、僕に近づいてきて

「サーナの事よろしくお願いしますね」とサーナとサーナが抱きついてくるので僕は、優しく頭を撫でてから 抱きしめてあげるのだった。そして僕の事を看病してくれた女性と話をするのだが。その女性はサーナの母親で、どうやら僕達は、サーマを倒した後で気を失ったらしい。僕はその後のことを聞くのにサーナに説明を求めると、サーナは、自分が見たままの出来事を話し始めるので 僕はそれをただ聞くだけにすることにした。まず最初に サーナを乗っ取ていたサーマの本体を消滅

「私もサーナが倒してくれなかったら きっと私を封印されていたかも知れませんでしたから 本当にありがとうございます」とお礼を言うのだが、サーナとサーヤが二人で顔を合わせて笑いながら話し始めると サーマの母 サーモは僕の前に座るので僕は慌てて起き上がって姿勢を正す サーモは、僕にお礼を言いに来たと伝えると

「私がお伺いするのは当たり前でしょ この娘達を守ってくれただけではなくて この世界の事も救ってくれたんですから」と言うと僕に深々と頭を下げてくる 僕は慌てて、そのサーモに、お辞儀をしてから「気にしないでください」と答えると、僕は改めてサーマとサーヤについて確認

「えぇ 二人は私の娘ですよ それとですね 二人には言ってないんですけど、実は、私 神様で、神界では結構上位の存在だったんですよ。でもです。ある時を境にしてです。私は突然姿を消してしまい、それから行方をくらましてしまったので 私の存在は消えてしまったのです。」

「それは何故ですか?サーナは、僕の魂の中に封印されている存在がサーナの意識に語りかけて来て、サーナの身体に僕の精神を憑依させて 僕を殺そうとしてきたのは覚えていますが、でも、その時は確かサーマも一緒だったのでは、そしてその前にも、一度僕の意識が無くなりそうになっていた時も 僕の記憶から無くなっている部分が、あったような気がしたので もしかしたら、その辺りに、サーマの正体が分かる何かがあったのかな」と思い僕はサーモさんの話に耳を傾けていたのだが、僕は、僕の魂の中に入り込んで来た存在のことも聞きたかった するとサーナは、僕の中に入ってきていた者の存在を知っていたのか、「うん。その通りよ。あの人は私の中に封印されていて、でも私の身体を支配している時は 私は、ほとんど何も出来ない状態だからね。」と話し始めたのである 僕は、そのサーヤの言葉を聞きながらサーヤの肩に手を置いて、サーナとサーヤが僕に説明してくれるのに相槌を打ち、僕の中の情報として取り込むようにしながら聞いていた

「そしてですね お兄さん。その人がね。私の中で眠っている間、その人の意思が少しだけ外に出る事があって、その最中に私にもその人の思考の一部が入って来るようになったので、そこで この世界で起ころうとしている出来事を知ってしまったのです。」

「それで、あの日、サーラと僕に会いにこようとしたのは?」

「そうです 私の力を利用して世界を破壊しようと考えていたみたいなのですが、私の魂の力は膨大ですから、私の力を利用しようとしても、私の力を封じ込めるような形になるので その力が分散されてしまい その目的も果たせないのでしょうね」

サーナの話し方だと、サーナの人格が入った僕の肉体には、サーマの精神が入っている事になるが、

「それじゃぁ、僕の中には、その もうひとりいるというのか?」と問いかけるのだが それに対して、僕の方を見ず。僕の方ではなく、僕の胸の方に目線を向けると

「はい。正確にはお兄さんの意識とサーナちゃんの心が一緒にありますね。サーヤがお兄さんの体に憑依できる事は知っているよね。だから、私が表に出る事が出来るので 私はお兄さんの体を使って、サーナちゃんと一緒にお兄さんの前に現れたんだ。」とだけ告げて来るので僕は、何と言っていいか分からずにいた。そして、ふとサーナを見てみるとサーナは、何故か僕の胸に手を触れていて、僕が見ている事に気

「お兄さんが、まだ完全に目が覚めて無いから もう少し眠ってもらっても良いですか」と僕に向かって言うと

「うぅ なんだこれ?」僕の視界が徐々に黒く染まって行く。僕は必死に抵抗するもサーナが僕の目の前に近づいてきて、僕の唇を塞いでくる。そして僕の意識は完全に落ちていったのであった。

そして僕の目覚めと共に

「ううーん」と僕は目を覚ますと隣に誰かが横たわっていて、僕は驚いて

「だだだだ誰だよ」と言いながらも。その女性の髪をなでるてみる。すると女性が僕の手に自分からもたれかかってきたので、そのまま優しく髪を撫で続けてみることにした。その行動に対してなのか分からないけれどサーモが部屋に入ってきたので、思わず

「サーヤ! お前 また サシャと間違えただろ!」と怒鳴りつけると、サーナは首を振っている。どうやら、今 撫でていた女の子の名前はサーシャらしく どうやらサーモさんの娘らしい 僕はその事実を確認しつつ。僕が眠っている間に起きていたことを説明を受けると。やはり、どうやらこの少女達はサーシャであり、魔王と

「違うからね。サーマが魔王になったわけじゃないの。魔王になったのはね。私だからね」と言われ。どうなっているか良く解らない状況に陥ってしまっていたのである。なので僕が、サーマの本体は何処にいるのかを尋ねると

「私の魂の中にいるのは間違いないんだけど 今は、サーナの身体を乗っ取ってはいないと思う。」

「どうして?」

「多分だけど、その人は 私の中にサーナがいることに気づいていて、自分の中に居ると気付いたからだと思う。その人は、自分の意思を表に出すことが出来るようになったんだけど。サーマの意識を完全に乗っ取れるようになってはいないんだよ。だけどサーナと入れ替わった時みたいに完全に入れ替わることは出来ないはずだけど、もしかしたら、その方法も分かったかも知れなんだよ。でも私がそれを確かめたくても 私は動けなくて それにサームさんを探さないといけないと思っているんですけど。お母様とお父様もね」と言う そして僕達の前に突然現れた女性 見た目はサーモよりも若いのだが僕と同い年ぐらいの少女が姿を現す 彼女は 僕の方を向くと言った「初めましてでいいかしらね。私の名はアネモネで貴方達の世界の神の一柱だったのだけれども 今は私の世界に干渉してくる者を止めようと動いていてね」

そう言われてから、しばらく時間が経った頃にようやくサーマが目を覚ました

「サーマ 良かった」「お姉さま」とサーマを抱きしめて泣きながらサーナが声を上げている

「サーモさんは? あとお母さんは?」

僕は サーナに尋ねられた事に対して

「二人は無事ですよ。お二人はお二人の力で魔王を倒して、そして二人でこちらの世界に来ているので」とだけ伝えると、どうやらサーマ達は、二人共自分の肉体に戻って来て

「サーナの身体の中は快適だった。」と呟いていた 僕とサーナ そしてサーモは サーマ達が寝泊りした部屋へと移動すると

「あははは 凄かったな。あんなに楽しい時間は初めてで そして幸せだったよ。」とサー

「サーマ それはよかった」

「ところで これからどうするんです? サーマ達も元居た世界に戻りたいでしょうけど」

「そうですね。でもこの子だけは」

そう言って抱きかかえた赤ちゃんは 僕達の娘サーナによく似た姿の女の子

「えぇーっと。その 言い難いんですが」僕はそう前置きをしてから この世界の神であるアネモネ様にお願いして この子をサーナの娘として育て

「僕のお嫁さんにして良いですか」と尋ねたのである すると サーナが僕に「お姉さんに、私とサリアちゃんを託してくれるならね。私にだって考えがあるのだからね。まぁ。でも私とサリアちゃんには、お礼をして貰う必要があるのだから それは覚えておくといいかな。」と告げてくるので 僕の答えは決まっている

「もちろん それは分かっています。でも僕が愛したのは 今のこの世界で、僕は僕の愛する人達と 家族を作るために ここに来たんです。

僕が本当に守りたかったものは、サーヤもサーマも サーナもそして、僕自身の心もです。だからサーヤには申し訳ないですけど。

これから僕には沢山の家族が増えていくと思いますが よろしくお願いします」そう告げるとサーナは、「私はお兄さんの事が大好きです。ずっと私の側にいて欲しいのですから。これからもっと増える家族の事も守ってくれると信じていますから」

「そうだよ。お兄さんはこれから先も色々と頑張ってもらうのだから まずはそのお腹の子に宿った生命を大切にして欲しいのだからね」サーナにそう言われた事でサーマが僕に飛びつき、「もうすぐ生まれるんですよね。早く産まれてきてほしいのです」と言っていたので、そんなサーマルを見ていた僕はサーマの頭を抱え込んで撫で回した すると

「お兄ちゃんずるいのです。私にも甘える時間を下さい。それと子供が生まれた後でも甘えていいよね?」と言われた僕はその問いに 何も答えることなく、頭を何度も縦に振り続けていたのである

(サーヤは僕の事を信用してくれているんだよね)とサーナの方を見て思っていたのである それから数日後、僕はサー

「サーヤ。今日はサーラのところに行くんでしょ。一緒に行くのです」

と 手を引かれてしまう

「サーナ。そっちは サ

「行ってくるのー」サーマにサーナは連れて行かれてしまい。残された僕はサーナに「そっちにはサーマがいるから大丈夫だろう。僕は僕で、サーモの所に向かうとしよう」そう言うと僕も歩き出したのである サーマが僕の腕を取り サーナが僕の手を引いて サーモの元に向かったので僕とサーナ そしてサーモは僕が眠っていた間の話しを聞かせてくれたのだが

「やっぱり 俺の娘か」そう 僕の意識がない状態で

「僕」は僕の体を勝手に使い 僕の娘サーナの身体を使って

「僕」と そして僕の妻のサーモは、サーナと一緒に旅をしているらしい そして僕は「それでだ。その、僕とサーマの子供がいつ生まれてもいいようにサーラちゃんを僕達の所に預ける事にしたんだが どう思う」と言うと サーマが「私は賛成ですよ」

サーナは「お兄さんがサーヤさんと仲良くなるのであれば。それにサーヤとサアの面倒を見てもらいますし」と言ってくれていたので、僕の方もサーマ達に

「僕の事は気にせずに 自分の事を優先しても良いんだよ。僕も少しの間 留守にする事が多くなると思うけど。それでも良ければ、サーマとサーヤは、ここで生活しても構わないから」と告げると、僕に対して「ありがとう。お兄さんは私に優しくしてくれたから私は絶対に見捨てないから」と力強く宣言していたのであった。

「僕は別にサーマの気持ちを聞きたかっただけだから」とサーヤも一緒に 抱きしめながら言うと、何故か サーナが 頬を膨らませて怒っている様子を見せていたのであった。そして僕は サーナが サーマを連れて、サーラと会う為に家を出ていくまで見送り続けていて、そして家の外には何故か あの日以来会っていないサーモとサーナの姿がそこにあったのであった。

「あれ?サーナとサーモだ」

「あら、お久しぶりなのですよ」サーナが嬉しそうな声で 僕に声をかけてきて 僕もサーモに対して「ご無沙汰しています」と言うのだが。サーモは僕達に対して

「うん。元気だった。それとも今度からはサーヤって呼んだ方がいいのかしら?」

「いや、僕としてはサーナと呼ばせてもらっても 構いませんか」

僕がそういうと サーナが 僕に対して何かを言って欲しそうだったので

「じゃあ 行こうか。サアちゃん」

「はいなのですよ。サーヤお姉さん」と二人揃って 僕に向かって言ってきてからサーモは

「それじゃあね。また今度ね」と手を振ってくれたので、僕もそれに応えていたのである。そして僕達は、サーアの元へと向かう事になり僕とサーナは手を繋ぎ 歩いて移動しているとサーナから「ねぇ。お姉さま。どうしてお母様とサーヤのお母さんはサームさんとお付き合いを始めたの?」と聞いてきたので「多分だけど。サーナも僕の意識が戻ってこなかった間にサーヤから話を聞いていたんだよな。サーナとサーマは姉妹なんだから」と言うと

「そうだよ。でも私の知っている話とは違ったよ。私が知っている話では、サーヤとサーマはお姉さまのお嫁さんになったんだよ。だからサーヤは、お母様になるんだけど サーナとサーモはね。お兄さんとサーモが恋人関係になっていて、サーナが妊娠していて。だからお母様はお兄さんと結婚する時に、その前にサーナのお母さんに頼んで サーナがサーヤの子供として育てられるようにして貰っていたの」と言うのだ 僕は「それは本当なのか。でもその話が事実だとすると、僕の母さんがサーモと結婚した時点で 僕は母さんの孫だったわけで。僕の父さんとの間に出来た子は誰なんだろうか?」と考えていた 僕は自分の子供に対して、僕自身が産んだ子供ではなくて サー

「えへへ サーヤはお兄さんの事を大好きだったけど まさか お兄さんの赤ちゃんを産む事が出来るなんて思わなかったのです」そう言いつつ、サーナの顔が赤くなっていたが 僕は サーラに会いにサーナとサーナと手を繋いだままサーラの家に辿り着いたのである

「ただいま。ママはいますかね」そう言いつつも 僕が扉を開けようと取っ手に手をかけると、その手を引っ張られ 僕も中に入ってしまったのである

「ちょっと いきなり何をするんです」

「サーナはね。お兄さんに抱き着きたいの。我慢できないの」

「しょうがないですね」とサーマの頭に右手をおいて、左手はサーナ

「僕もサーマと触れ合えて嬉しいけど でもまずは 僕の妻であるサーナの母にサーナが帰って来たことを告げなければな」僕はそう言ってサーアの元へ歩み寄ると サーアが僕の顔を見つめてから、「あら。帰ってきたんですね。私の娘」と言ってサーナはサーアの膝の上に乗り「ただいまなのー」と言い 僕達の様子を伺っていた サーアの元に歩み寄り サーマがサーアに甘えていて、そのサーマを撫でているサーアを見て僕は、その微笑ましい姿を暫く眺めていたが。ふと、サーマにサーヤを託して良かったんだなと改めて感じさせられた

「ところで、その サーナは僕の妻になっているんだ。そしてサーヤが産まれるのを待ってくれているんだが 僕の子供達はどうなるんだろう」

「そんなこと 簡単だよ。お兄さんと私の間に産まれたサーラちゃんが、私と 私と お兄さんの子供の 孫娘になって。お兄さんの子供が 私とサーマの孫の お兄さんの子供達の姪っこさんになるから。私はお兄さんの義理のお婆ちゃん サーナはお兄さんの お兄さんの うーん。何だかお兄さんが何を考えているのか分からないから」

僕は サーマがそんな風に思っていたのかと知り、そして

「僕はね。確かに君達が居ない間は 寂しかったけれど。僕とサーヤにサーナが加わってくれたら。家族は増えていくし 幸せになれると思っていたんだ。そして 僕は皆を護るためにも この世界を平和にしたいと思っている」と言うと サーマが僕の胸元に顔を埋めてきて、「私とサーヤを拾ってくれた お兄さん。お兄さんが望めば私は何処までだって付いていきます。私は 貴方だけのモノなのだから」と言ってくれていた。すると今度はサーラの方から「私はね。お父様と、サーマお姉ちゃんと一緒にいたいの。それでお母様にいっぱい甘えたくて それでお兄ちゃんと沢山 愛し合って 幸せな家庭を作りたい」と言われてしまった

「じゃあ 三人は 僕の大切な人だから。三人一緒に暮らしてもらおうかな」僕がそういうとサーナが サーマが 嬉しそうに笑ってくれた。

僕とサーナ、そしてサーヤは3人で これから先の生活に向けて、どうしていくかを話し合い 僕は二人からの要望を聞いたりしながら。二人と共に過ごして行きたいと考え サーナとサーマの二人が、家の中での家事全般と僕の補佐を担当してもらうことにした。

サーマが 僕の娘として サーヤが 僕とサーナの娘であるサーラの母親となって

「ねぇ。お母さん サーナお姉ちゃんが戻ってきたって」

「まぁ 本当に。お帰りなさい。でも、どうやってサーナちゃんの所に?」

サーナはサーラと サーナがサーマを連れて家に戻ってきたのだが 僕の目の前で「はい。この人はお姉ちゃんのお兄さんなのです。私が妊娠していると分かっても。変わらずに優しく接してくれました」

僕が「サーナと サーマの二人は、もう大丈夫なのか?」と問いかけると

「私も サーナちゃんも元気ですよ。私は お兄さんのお子さんも妊娠していますから」と嬉しそうに伝えてきたので 僕は「そうかよかったよ 無事に生まれてくる事を願っているよ」というしかなかったのだが、それから数日後の事だった 突然に僕宛に届いていた手紙の内容を確認する事にした。すると中には一枚の手紙が入っていたのだが、そこに書かれてあった内容は衝撃的すぎるものだった

「貴様のせいで、俺の人生が狂ったんだよ!お前なんかに出会わなければ俺は普通の生活を送れていたはずなのによ!」と書かれた文章を読み終えて僕は頭を抱えたのである

「いったい これはどういう意味なんだろうか?そもそも何故僕に対して怒りをぶつけてきているのか?」と考え込むが結局分からなかったので、そのまま僕はその封書を破り捨てたのである。しかし それが間違いの始まりでもあった。僕の身に起こる不幸が更に激しさを増していた。サーヤには毎日のようにサーモとの

「あの日以来だね。サーモが僕の側にいてくれてるみたいで 心強いです」

僕とサーラはいつもの様に過ごしていた。サーマも、お兄さんと一緒だと嬉しそうな様子を見せていて。サーナが僕と二人で お出かけする時や サーナがサーモの所にお泊りする

「僕はさ。あの時にサーナと、そしてサーヤを助けられなかった事が 今でも後悔していた。だから、僕は2人を 絶対に守り抜きたい。そう思いながら 僕は二人と手を繋ぎながら歩いている。すると突然サーヤが

「お兄ちゃん お兄ちゃん あそこ。何か見えるんだけど」と言うので 僕が「あそこは何かの店なのか?」と聞き返すと

「多分そうじゃないかと思うんだけど。サーナは分かる?」とサーナに確認をとると

「えっと 何かの雑貨とかを売っている所なんじゃないかな」と答えた

「ちょっと見に行ってみるかい?」僕がそういうと

「そうだね。何かあるかもしれないから」と答えて 僕達3人はそのお店の前まで歩いて行って 扉を開くと「あれ 珍しいですね。今日はどんな用事ですか?」と言われたのだが その人物は以前、サーナとサーナの母と買い物に来ていた人物だったので「あっ。貴方達は前にここで会った事がある方じゃないですか。お久しぶりですね」と声をかけると「あら。その口調 前にどこかであったかしら?」と首を傾げられてしまったのである 僕はその人物が僕の記憶の中にいた人だったために思い出させようとして「そう言えば名前を聞いてなかったな」と言うと

「私の名前は、ルリア。サーム君にサーナ。サーマにサアよ」と言われてしまい

「まさか サーヤ。君が助けたのはサーヤなのか」と問い詰めるような口調で言うと サーヤは、顔を真っ赤にしてうつむいて何も話さないでいたのである 僕はサーナが妊娠しているので、サーナの体を気遣いながら話をしていたが。

「お兄さん。サーヤの体を心配して下さる気持ちはとても嬉しいのですが 今はそれよりも大切な事があると思います」とサーナに言われてしまったのだ。

確かにサーヤの体に何か異変が起きていないのか その辺りが心配だったが

「それでは失礼しますね」と言われて帰られそうになったため 僕はサーヤを抱き寄せて、サーナに

「少し 僕達に付き合ってもらえないかな」と伝え サーナに「良いよね。私達も、もう少しここに居たい気分なの」と言って貰えた事で、サーヤとサーナは僕達の家に来てくれる事になった

「それにしても サーヤと初めて出会った頃とは 印象が違うね」

「うん。私は今の生活の方が好きだよ。サーヤは、お兄さんは、私の全てなんだもの」そう言いながら僕の腕にしがみ付いてくるので、僕はサーナと手を繋いでサーナに「僕達の間に子供が出来た時は、僕も父親になるから」と言ってみた サーナの笑顔を見ていると。とても幸せな気分になれ

「お兄さん 幸せだな。サーヤの事は勿論大好きだし これから先も大切にしたいと思っている。だけど、サーヤとサーヤの家族だけは絶対に幸せにしようと思っている。僕はサーヤとサーヤの産んでくれる子供の幸せだけを願って生きている。僕は僕の家族以外の幸せを祈ったりしないから」と僕が伝えると

「それは違うとおもう。だって、私はお兄さんから貰った幸せを誰かに伝えたいし。幸せになりたいと願う人が お兄さんの元に集まるのは当然だよ。私は、そんな人達が少しでも多く増える事を願っている」と 僕は

「そうだね。きっとそうだと思うんだ。僕は僕の出来る範囲の中で、サーナを幸せに出来れば、それで十分なんだよ」

僕は 自分の力の限界を知っているし だからこそ僕自身の限界を超えるつもりはない。

僕はサーヤに、サーヤに幸せになってもらいたい。

僕の隣に居なくてもいい。

サーマにだって同じ様に思っていて サーマにも サーナと

「僕が護れる範囲内で幸せに過ごせてもらえればいいと思ってるよ」僕は、自分が出来ることしか出来ないと思っている。だからこそ、それ以上を求めないのだと

「それでも私は お兄さんに幸せを感じて欲しい」とサーナは言うのだが

「そうだね。確かに、サーナに愛されたい。そう思う時もあるけどさ。無理はしたくないんだ」と 僕はサーマを愛せたから、サーラを愛する事が出来たから、僕はサーヤを愛していくのだろう。

僕の一番大事な存在であり、大切な存在である この子を愛した事を、後悔する事などありはしないだろうから 僕はサーヤに「君は僕の事を 僕の大切な家族として接してくれていて、僕は、君達が大切で 僕にとって何よりも、この世界で誰よりも 君達の幸せが僕の幸せでもある。僕にできる事があるのなら何でも協力するから 僕に頼って欲しい。僕は、サーナとサーヤの為ならば、僕は、僕自身がどうなってもいいとさえ思えるんだよ。だから 僕は、僕の大切な人の幸せのために生き続けるよ。僕の人生は僕の物だから、僕は僕の好きにする。それで僕の行動が間違っていても構わない。僕は僕の生き方を選ぶ」

サーナは

「お兄さんの生きる意味が私達であってくれた事。私にとっては最高の喜びだったんですよ。お兄さんは サーヤちゃんやサーマちゃんが側にいるから。それだけが理由でも良かったのに。私は お兄さんがサーナちゃんの事を想ってくれて。そして お兄さんが私の事も大切に思っていて。私は それだけで本当に お兄さんに感謝しているの。私と出会ってくれて 私を選んでくれて ありがとう。そして 私はお兄さんと一緒であれば どこまでも生きていけると、私は信じていますよ。そして、私と、私の妹を守ってくださいね」

僕はサーナの言葉に、嬉しく思いながら「もちろん。約束するよ」と言うのであった。僕はサーナの肩を抱いて「君の側から離れるなんて有り得ないよ」と言いながら、

「だから安心して。僕は絶対に君の事を悲しませないから」と、僕は そう伝えた

「はい。信じてますよ」

サーナがそう言って微笑む姿を見て 僕は改めて誓うのであった

「僕は君を守る」と サーナとサーヤを連れて家に帰る途中に「ねぇ サーモ お願いがあるんだけど。僕に少し時間をくれないか」と聞くと サーナにサーモを託して僕は

「サーモ 悪いんだけど、僕はサーナに 僕が今までどんな思いをしてきたか知って欲しかった。僕にサーヤの全てを託すとサーナに伝えてきて欲しい」と頼んだ 僕は

「僕はサーナを守り抜きたい。その気持ちは今も変わっていない」と伝えると、サーラが「じゃあ 私も 一緒に行こうか?」と提案してくる しかし僕は「サーナが僕の事を サーナの愛するサーラと同じぐらいには好きでいてくれていたとしても。僕は、僕の想いを貫くとサーナに決めたから」と伝えると サーナとサー

「分かったよ。でも私は いつまでも待っているからね」「お兄さんが待っていろと言うなら、いつまでも待つよ」「私も待ち続けているから。だから お兄ちゃんが戻って来た時には沢山抱きしめてあげるよ。だから早く帰って来てね。私はお兄ちゃんと一緒にいたい」そう伝えてくれたのだ。僕は 二人の言葉を聞いて涙を浮かべながら、「行ってくるよ。僕達はずっと友達でいて下さい。もし二人が、僕よりも良い相手を見つけた時は、僕に遠慮せずに連れてきて欲しいな。僕はいつでも受け入れる覚悟はあるんだけどなぁ。だってさ二人は僕にとってかけがいのない親友だからね」と告げると サーナが「サーシャは 大切な友人だけど。サーナやサアとサーナのお姉さんが居なければ 私はここにいなかった。サーナは私の初恋で、サーヤもサーナの事がきっかけでお付き合いを始めている。サーナは、私の人生を彩ってくれた特別な存在なんだ」と言われて僕はサーナを抱き寄せ「僕にとってもサーナは特別だ。サーナ 君は 僕に、僕の人生の輝きを教えてくれた人だからね」と伝えると、サーナは「私は お兄さんの人生を変えることが出来たんだ。嬉しいな。私も お兄さんは 私に 私の宝物を与えてくれる存在なの」そう告げてくれるので、サーナを抱き寄せると、お互いに唇を重ねて

「行ってらっしゃい。私達は いつも見守っているから」と言われてしまった。

僕は

「ああ 行って来るよ。サーナは ここで僕達の帰りを待っていて。絶対に戻ってくるから。その時はサーナ 君にプレゼントをあげるから それまで サーナは待っていてくれるかな?僕はサーナの為に頑張ってくるから」と伝えて、僕が「サア」と言うとサーヤが出てきて。サーヤがサアラに変わり僕に

「サーヤ 大丈夫。あの人は 私達を大切に思っているから。心配しないで」と言われてしまうと 僕はサーラの手を引いて家に戻ってきたのである 家の中に入るとサーラとサーマが抱き着いて「おかえりなさい」と言われ

「ただいま」と答えたのだが、サーヤは寂しそうにしている。

そこでサーヤは

「ねぇ お兄ちゃん 私がどれだけお兄ちゃんを愛しているのかを、お兄ちゃんに見せてあげようか」と言ってくると僕は「それは 魅力的だけど。今は、それどころじゃないんだ。ごめんな。もう少し落ち着いた時に、僕とサーナの事をサーラも認めてくれるようになったら教えて欲しいな。今の僕はまだ駄目だよ」というのであったのだが 僕の心の中では、「もう遅いかも知れなくて それでもサーナが愛してくれる間は愛し続ける事を決める事にした」と思っていたが そんな事は言えるはずもなくて ただ、今は、僕の事を信頼

「分かったよ。サーナはお兄さんを愛してるんだね。お兄さん 良かったね」

サーラがそう言ってくれたので

「ありがとう」と答えて、それから暫くしてから、サーラは眠りについたので、僕はベッドまで連れていき。寝かしつけた後に、僕が「今日から僕はサーマだけを愛するから。君は これからの事を良く考えて ゆっくり休むんだよ」と声を掛けて僕は自室に戻った。

翌朝になると、サーラが目を覚まして。サーラはサーマの胸元に手を当てながら 何かを考えていて、僕に話しかけて来たのである そして、僕は 僕の考えを話し 僕はサーナの側に行くと「僕はサーナを一番に考えているんだ。君が望むなら サーラや サアとも恋人同士になっても良いよ」と伝える すると

「えー サーモは お兄さんのものでしょう?」と聞き返されるので

「僕は僕の全てをかけてサーヤを幸せにするよ。僕もね 今のままでは、いつ死ぬか分からない身だからね。だから、サーナやサヤに 幸せになってもらいたいんだよね。それが出来ないなら、せめて幸せにして欲しいと願った相手が、二人だったんだけど。まぁ、いいんじゃないかと思ってるけど」と言い出す

「私は、お兄ちゃん以外を愛する気はないわ。お兄ちゃん 大好き」そう言われてから、いきなりサーナが僕を引き寄せると口づけをしてきた サーナに舌を入れられて絡め取られて 僕の唾液を飲まれて 僕は抵抗する事なく受け入れた。

僕はサーナのキスを受け入れて「僕は君を愛しているよ。君だけが 僕の事を愛してくれた。だから君だけを 僕に幸せにさせてください」と言い出して 今度は僕から口付けると

「うん。私に、貴方の愛を全てちょうだい」と言われてしまい 僕の理性が壊れかけてしまって。サーマが近づいてきて「お母様が呼んでいるの」と言われて連れて行かれた先に待っていたのは マルナ

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『異世界』はもうこりごりです。~元ニートですが、気付いたら異世界転移していました~ あずま悠紀 @berute00

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