ほしのこ

藤美 凛護

本文

ちいさな ちいさな あたたかい くに

そこには、おなじく ちいさな おんなのこ

そのとなりには おおきな くろい いぬ

ふたりは ずっといっしょ

ずっとなかよし。


ある よるのこと、ほしが たくさん そらから あめのように こぼれていました。

「みて!キラキラとっても きれい!」

くろい いぬも、たのしそうに なきました。


そのとき、くろい いぬは なにかに きづいて、おんなのこを よびます。

「ワンワン!」

くろい いぬが よんだ さきには、さっき そらで みていたよりも ちいさくて、でも おなじキラキラしたものでした。


「あれ、なんだろ?」

おんなのこは それを ひろいました。

『くすん、くすん』

どこからか、なきごえが きこえます。

「ないて いるのは だあれ?」

『ぼくは ここだよ、きみの てのなか』

そう、ないていたのは ちいさな おほしさま。

「どうして ないて いるの?」

『そらから おちちゃったんだ。みんなのとこに かえりたいの』

おほしさまは そういって また くすん、くすん なきました。

おんなのこは、こまって しまいます。


「どうすれば かえれる のかな……」

『おそらに ちかい ところに いけば、おむかえが くるよ。』

え?と おんなのこは おどろきました。

なんと、しゃべっていたのは くろい いぬ だったのです。


「いぬ、しゃべれたの?」

くろい いぬは くびを ふり、

『ううん、おほしさまの おかげ。』

おほしさまは ねがいを かなえる。くろい いぬの ねがいは、おんなのこと おしゃべり すること だったのです。

『ぼくたちは ねがいを かなえるのが しごと。かなえられるのは こころからの ねがい だけ。』


『それより おそらに ちかいとこは、こども ひとりじゃ あぶないよ。』

くろい いぬは おんなのこに いいました。しかし、おんなのこは

「わかってる、でも、おほしさま かえしてあげたいの。」

くろい いぬは、しかたない。とためいき。

『きみなら そういうと 思った。ぼくも いくから いっしょに いこう。』


こうして、ふたりと おほしさまは、おそらに ちかいとこを 目指しました。

ゴロゴロいわの がけの みちを すすみ。

ザワザワくらい もりを ぬけて。

ボロボロふるい はしを わたり。

ガタガタあしもとの やまを のぼって。

おんなのこは つかれて いたけど、おほしさまを かえす ために あるきました。

そして、やまを のぼって さらに うえに のぼって。どうくつを ぬけて やっと、おそらに ちかい ばしょまで ついた みたいです。


「わぁ……。」

そこは おほしさまと おなじくらい

キラキラした、たくさんの いし。

おおきな おほしさまが こぼれていくのが、こんなに ちかく みえる なんて。

おおきな おほしさまが いくつか あつまって いるようにも みえました。


『これで かえれる。ありがとう。』

ちいさな おほしさまは、おそらに ふわふわ うかんで、おおきな おほしさまに ぎゅっと くっつきました。

「おほしさま、ばいばい!」

おんなのこは てを ふりました。

『そういえば、きみの ねがいは いいの?』

くろい いぬは、ききました。


おんなのこは、ニコニコわらって、うなづいた。

そして、きがついたら いつもの ばしょ。

そらも すっかり あおく なっています。

ゆめを みてたかの ように、おきて となりで ねむる くろい いぬを なでながら、おんなのこは つぶやきます。

「いいの、わたしの おねがい、ずっと まえから かなってるから。」


おんなのこと、くろい いぬは いつも いっしょ。

いつまでも いつまでも。

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