エピローグ――自由な空へ

 ネアが俺とエアの背中に向かって声をかけてきた。


「紅い狂気が消えて僕の役目も終わったから、本当はもう消えるはずだったんだ。でも、君のおかげと言うべきか、君のせいと言うべきか、当分はここに残ることになってしまった」


 ネアの言葉からは、どちらかといえば消えたかった、という感情がにじんでいる。

 どうやら俺は余計なことをしてしまったらしい。意図せずしてネアに迷惑をかけてしまった。


「すまんな。こういう性分しょうぶんだからあきらめてくれ」


「そうだね。君は下衆げすだもの。仕方ないさ」


「だがいつかはあんたを倒す。待っていてくれ」


 いまのネアの戦闘力は神の半分程度に設定してあるらしい。なおかつ神しか持たない特別な能力は持っていないから、俺が勝つのもいつかは可能になるはず。

 当分はこの世界での楽しみも尽きそうにない。


 ネアは笑みを残し、再び本殿の中へと消えていった。

 俺は清々すがすがしい気持ちで改めて本殿に背を向け、それから拝殿を出た。


「さてと……。エア、帰ろうか」


 エアがうなずくと、俺たちは二人して同時に空高く飛翔した。

 絶対化空気で盲目のゲンの水網をつっきって、天空から地上を見下ろす。


 手をつないだ二人は空を飛ぶ。


 時にアクロバティックに回転し、時に遊覧し、たまに微笑ほほえみ合ったりして、二人は手をつないだまま仲間たちのいる魔導学院へと飛んでいく。



   ―おわり―



―――――――――――――――――――――――

【あとがき】

これにてこの物語は完結です。

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残念ながら主人公はゲスでした。~空気操作の魔法で異世界の猛者たちを薙ぎ倒す!~ 日和崎よしな(令和の凡夫) @ReiwaNoBonpu

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