『おーぐ、ほしい』 9
そこで、工場見学をさせていただくわけです。
とこでもそうですが、食品工場というところは、衛生に気を使うものです。
工場見学する場合も、外部から、よけいなものを持ち込まないように、あらかじめ殺菌したり、必要な準備します。
さらに、帽子をかぶり、専用の白衣を着用するのです。
工場長さんは、なるほど、よくみれば牛さんなのですが、気にしなければ、人間となにも変わりません。
『わが工場は、おーぐだけではなく、美味しい牛乳や、チーズ、アイスクリームなども、製造しております。原料の調達から、製造、梱包、発送まで、すべてが、我々、牛族によって成されます。人間が関わっているのは、もともとの工場を作った前オーナーと、いまの、コーディネーター、彼女ですね、それだけ。彼女は、前オーナーの子孫に当たります。』
『それは、また、すごい話しですね。保健所の検査とかは?』
『もちろん、ありますよ。ただし、それは、この世界の保健所です。そもそも、ここの製品は、人間界には、出荷されていません。ごくまれに、あなたのお父上のような、例外があります。あなたのお祖父様は、お菓子やさんをなさっていました。』
『たしかに。戦争前の話ですが。』
『そうです。そうです。』
『はい。父が若い時代で、ぼくは、まったく、知りませんが。』
『そうでしょう。あとで、写真を見せてもらってください。ある、非常に稀ななりゆきで、お祖父様は、おーぐ、を販売するライセンスを得たのです。これまで、人間界で、唯一です。お店をたたんだあと、あなたの父上は、コーディネーターとの約束で、あなたが10歳になるまで、おーぐ、を、ときたまですが、購入していました。しかし、母上の方から苦情が出まして、中止されました。おかしな話ではないですよ。母上は、あなたの健康を心配したのです。どこから手にいれるのかは、内緒にする約束でしたからね。』
『ふ〰️〰️〰️〰️😃ん。』
それは、気になる話でした。
実は、僕の母とは、父は再婚だったのです。
それは、父が亡くなったあと、戸籍など確認する必要があり、初めてわかりました。
子どもはいなかったようですが、どんな人だったのかは、分かりません。
叔母が知っているはずですが、聞いてみたこともありませんでした。
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