『おーぐ、ほしい』 2


 『では、いっしょに、『おーぐの里』に参りましょう。』


 和服の彼女が、長い左袖を、ちょっとだけ引いて、綺麗な手で合図をすると、ものすごい勢いで、人力車が飛んできました。


 引いているのは、見かけは人間様ですが、なんだか、ちょっと、違和感があります。


 『さあ、どうぞ。』


 そこは、それなりの、街の真ん中です。


 自動車がかなり走りますし、人もたくさん歩きます。


 しかし、見る限り、気にしているような人は、見当たりません。


 観光地などでは、人力車が普通に走っている街もないこともないので、格別におかしいとまでは言えません。


 しかし、あんなスピードで、すっ飛んで来るのは、見たことも聞いたこともありません。


 座席は、かなり高級なレザーの椅子で、頭の上には、上品な折り畳み式の屋根がかかっておりました。


 かなりの重量がありそうです。


 しかし、ぼくたちふたりが乗ると、それはもう、飛行機に負けないくらいの加速度で走りました。


 『あわわわわ。ぶつかりますよお。』


 ぼくは、おっかなびっくり申しました。


 『大丈夫です。歴史上、一度も事故は起こしておりません。』


 『はあ? 歴史上ですか?』


 『そう、歴史上ですわ。』


 それ以上尋ねなかったのは、あとから、ちょっと悔やまれました。


 

      ・・・・・・・・・・



 作者が、ふらふらなので、お話しは、ゆっくり走りたいと思います。

      ………………つづく

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