『おーぐ、ほしい』
やましん(テンパー)
『おーぐ、ほしい』 1
『このおはなしは、フィクションです。』
🐝
父は、よく、ヨーグルトを『おーぐ』と、呼んでおりました。
なので、ぼくにとって、ヨーグルトは、おーぐであり、それ以外のなんでもありません。
ましてや、飲むタイプは、まったく、おーぐではありません。
ガラスの瓶に入った、あの、まっしろな、ちょっと固まりかけのプリンみたいなのが、おーぐなのです。
最近よくある、どろどろすぎるのも、おーぐではありません。
しかし、近年は、正真正銘のおーぐは、なかなか見当たりません。
あの、独特の感触。
ちょっと、甘酸っぱい、楽しさ。
ちょっとしか入ってない寂しさ。
あれを、受け継いでいるのは、どれなんだろう。
ぼくは、それである日、そこらじゅうのスーパーなどを巡って、片っ端から、ヨーグルトを買いまして、おーぐ、を探しました。
しかし、近いのはあるけど、パックが、紙パックや、プラスチックパックであることもあり、なかなか、ぴったり、おわあ、これがおーぐ、だあ!
というのは、見つかりませんでした。
でも、諦めきれず、ネットワークで通販してもらったりもしましたが、やはり、ぴったり、一致しません。
捜索の範囲を広げて、販売店や、となり街のお店にも行きました。
でも、だめです。
まあ、昔のことで、はっきり覚えていないかもしれないです。
ある日、わざわざ、海を渡って、県外のお店も当たりました。
その街、独自のメーカーがあるのです。
また、両親は、その辺りの出身でしたし。
しかし、そこまでしても、見つかりませんでした。
諦めかけたとき、あるお店の前で、ふいに、声をかけてきた女性がありました。
『こんにちは。おーぐ、をお探しですか?』
どきっ、としました。
しかも、あららあ、なんだか、まえに会ったことがあるような。
そうです。
それは、『お元気さんのお茶』を出していた、いまはない、かのお店の人に、そっくりだったのです。
『あらあ、お元気さんのお茶の………』
ぼくは、言いかけました。
『お茶ですか? おーぐ、ですか?』
『あ、おーぐ、です。おーぐ、を探しています。』
すると、女性が言いました。
『そうでしょう。あの方に、よく、似ていらっしゃる。』
『え?』
ぼくは、びっくり、いたしました。
🍮?
つづく~
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