第39話 二人の約束①
二人の約束
リュウともと子はラーメン屋で夕食を取った。その店はリュウが以前から行きたがっていた店。だがリュウは「うまいな。」と一言言っただけ。もと子はリカコのアトリエを出てからずっとリュウの口数が少ないことに気づいていた。駅からの帰り道、思い切ってもと子は切り出した。
「リュウさん、なんか元気ないですね。リカコさんが東京に行っちゃうからですか?」
眉を八の字に下げ、情けない顔をしたもと子が下からリュウを見上げた。
「もとちゃん、なんでリカコさんが東京に行ったら俺、へこむん?」
リュウは不思議そうな顔をした。
「だって…リカコさん、リュウさんのこと好きだったし、あんなにキレイなリカコさんに言い寄られてリュウさんもクラクラしたでしょ?」
もと子が悔しそうに唇を尖らせたのを見て、リュウは、プッと吹き出した。
リュウはもと子の尖らせた唇を指でつまんだのでもと子はフガフガと頭を振った。
「もう!何するんですか?」
怒ったもと子は今度は頬を膨らませた。
「アハハ、ごめん。俺がへこんでるから心配してくれてんな。リカコさんにクラクラするならもう何年も前になってるって。気になってるのはこれのことや。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます