第37話 旅立ち①
旅立ち
季節も移り、リカコは無事退院。健康を取り戻した。先日、エンゲージリングの微調整も終え、リュウともと子は二人でリカコのアトリエを訪れた。
「お待たせしました。」
リカコは金のリボンで飾られた白に金地で小花をちらした小さな箱を二人の前に置いた。
「リカコさん、ありがとう。」
リュウはとびきりの笑顔で小さなリングの箱を受け取った。もと子も嬉しそうに小さな箱をながめる。
「ふたりとも、結婚記念日に間に合わなくてゴメンね。そして助けてくれてありがとう。二人が居なかったら、アタシ、和也に殺されてたかも。もと子さん、首、大丈夫?」
リカコが申し訳なさでいっぱいの顔で言った。
「首は大丈夫ですよ。リカコさんが元気になれて本当に良かったです。」
「ホンマや。結婚記念日のことは気にせんとって。またリング渡すのを口実に美味いもん食いにいけるから。なあ、もとちゃん?」
「本当!そうですね!」
もと子は嬉しそうに笑った。
「これ、アタシから二人にお礼の気持ちです。」
リカコは工房から大きな花束を持ってきた。
「うわあ、きれい!でもなんだかリカコさんに申し訳ないですね。」
「ううん、いいの。もらって。アタシ、今日を最後に東京に行くねん。」
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