第24話 結ばれない心①

結ばれない心


 リカコの店から帰ると、もと子はモンモンとした気持ちのまま晩御飯を作り、リュウを待った。

「ただいま。」

帰ってきたリュウが着替えるのを待つのももどかしく、リュウがリビングに入って来るなりもと子は抱きついた。

「リュウさん、私、誰にもリュウさんをあげませんから!」

「お、お、なんやいきなり、愛の告白か?」

リュウも、もと子の背中に腕をまわして頭を優しく抱く。なんだかリュウは嬉しそう。


「どうしたんや?あ、今日はリカコさんに会ったんやな。リングどうなった?」

「リングはステキでした。それよりリカコさんに言われました。私のこと、リュウさんは同情なんだって。全然釣り合わないし、この間会った時は川端くんの彼女だと思ったって。」

もと子はすねたように唇を尖らせてリュウに訴えた。

「同情って?どこが?そんなん気にすんな。川端くんの彼女って?俺こそ川端くんどころか誰にももとちゃんを譲る気ないで。」

アホやなあ、とリュウはもと子を改めて抱きしめた。

「本当に?」

自信なさげにたずねるもと子にリュウは目を細めて、もと子の頭をヨシヨシと撫でた。

「当たり前や。でもこういうハグはいつでも歓迎やで。」


リュウに抱きしめてもらってもと子は元気が出た。リュウと晩御飯を食べながらもと子はリカコの店であった話を始めた。

「リングを決めて、お茶頂いてたらリカコさんにひどいこと言われたんです。で、険悪なムードになってたら…」

リュウをチラリと見て、もと子は口ごもった。

「リカコさんのダンナさんの不倫相手の女が乗り込んできたんです。」

「ダンナ、浮気してんの?」

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