第21話 嵐の始まり②

「ウフフ、そうよ。奥さんのところには子供がいないでしょ。まあ今後も出来そうにないわよね。和也さん、奥さんはつまらない女で抱く気にならないっていつも言ってるわ。めったに奥さんのいる家には帰んないでしょ。」

「何が目的なの?」

「和也さんの認知と養育費。それに和也さんがお店を持たせてくれてるんだけど、この不景気でしょ、 また補填してもらいたいの。月々のお手当も増やしてほしいの。いっぱいお願いがあるでしょ。だから和也さんの実家と奥さんの実家にも挨拶に先に行ってきたわ。」

「え?実家にも?」

義母がまた何を言い出すのかと思うとリカコは気が重くなってきた。


「奥さん、キレイな人ね。そんなにキレイなのにずっとダンナに触れてももらえないなんてかわいそう。」

唇を悔しげにかむリカコをアケミは声高らかに嘲り笑った。


「…やめて下さい!いつまでいるつもりなんですか?」

リカコとアケミが一斉にもと子を見た。アケミが何かを言い始める前にもと子は顔を赤く染めて立ち上がった。

「和也さん?ダンナさんが奥さんに選んだのはリカコさんなんですよ。東京からついてきたって、結局ダンナさんに選んでもらえなかったんじゃないですか。何エラそうなこと言ってんですか!」

「黙んなさいよ、ブス。」

アケミがもと子をにらみつけた。リカコに負けず劣らずの美貌なだけに怒ると恐ろしい。

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