第20話 嵐の始まり①
嵐の始まり
「いらっしゃいませ。」
「私はこれで失礼します。」
もと子が帰ろうとすると女はもと子の肩を押さえて再びイスに座らせた。
「さっきから、いつお店に入ろうかと見てたんだけどアンタと奥さんは知り合いなんでしょ。仲がいいわけでもなさそうだけどさ。だからちょうどいいの。立ち会ってほしいのよ。」
女に奥さんと呼ばれてリカコは怪訝な顔をした。女はサッサともと子の隣に座るとリカコに向き直り、いっそう妖しく微笑んだ。
「はじめまして、奥さん。アタシはアンタのダンナさんの和也さんとお付き合いさせてもらってます、室町アケミと言います。和也さんとはアンタ達の結婚前からの付き合いでね、和也さんに呼ばれて東京から大阪に来たのよ。」
リカコさんのダンナさんの不倫相手!
もと子はひっくり返りそうになった。
「あ、あのやっぱり私は失礼しますね。」
無理やり作った愛想笑いで立ち上がろうとするとアケミは素早くもと子の手を握った。
「ダメよ、帰っちゃ。今から修羅場になるかもしれないの。アンタはアタシを守ってくんなきゃ。」
「な、なんのことですか?なんで初対面のあなたを守らなきゃいけないんですか?」
及び腰のもと子にアケミは色っぽい唇を尖らせた。
「だって、アタシは和也さんの子供を身ごもってるのよ。奥さんが暴れて子供になんかあったら困るでしょ。」
「子供?!」
リカコは青ざめた。
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