第14話 エンゲージリング③
約束のカフェにもと子と川端が行くと、入口の前にリュウと美しい女が楽しげに話をしながら立っていた。女はストレートのツヤツヤロングヘア。長いまつ毛に縁取られたアーモンドアイがなんとも魅惑的。長身のリュウの隣でもつりあうほど女も背が高く、スレンダー。カフェの前を通る人がモデルのカップルかとチラチラ見ていく。二人は美男美女。本当にお似合い。童顔のもと子は二人の姿を見てうつむいてしまった。
「棚橋さん!これからやんか、まだへこむのには早すぎる!」
川端に気合を入れられ、もと子はうつむいた頭を上げたと同時に川端がリュウと女に手を振った。
「リュウさん!お久しぶりです。」
女は川端ともと子に気がつくと大輪の花のような艶やかな笑顔で会釈した。あまりの美しさに、つい川端も見惚れてしまった。
リュウとリカコ、もと子と川端の四人は席についた。カフェは白を基調にした明るい雰囲気。リュウともと子がベージュのレンガの壁を背に座り、もと子の前にリカコ、リュウの前に川端が座った。
「あー、まずは紹介します。リカコさん、こちらが俺の嫁さん、もと子。リカコさんの隣がもとちゃんの同僚の川端君。今日は、たまたま一緒になってんな、川端君?」
川端はコクコクとうなずく。
「宝石のデザイナーさんに会うって棚橋さんから聞いて、僕もお話聞かせてもらえたらと思ってついてきてしまいました。本当にすみません。」
「私は全然構わへんよ。でもまずはもと子さんに謝らないとね。」
リカコは居ずまいを正すと、もと子に向かって頭を下げた。
「もと子さん、誤解を招くようなことしてごめんなさい。ついクラブの時のノリで、よそのダンナ様にすることじゃないよね。」
「あの、わかって頂けたならもういいです。」
もと子も会釈しながらリカコの左手のリングを見た。
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