第13話 エンゲージリング②

 次の日、休憩時間にスマホを見たもと子はリュウからのメッセージに気がついた。

「もとちゃん、誤解の元になったリカコさんがもとちゃんに直接謝りたいって言ってる。今夜、会ってくれへんか?」

リカコはリュウのクラブ時代の友達。川端の話ではリュウはリッチでとてもキレイな女達に囲まれていたらしい。ならばリカコもそうだろう。今後もそういう人とリュウは関わりがあるかもしれないと思うと、リカコに会わねばともと子は思う。でもリカコと自分との差に立ち直れなくなったらと思うと憂鬱。もと子は隣に座る川端に声をかけた。


「川端君、ちょっといい?噂の女の人が直接私に謝りたいって。会ってみたいと思うんだけど、この人、すごい美人だよね。私、自分との落差に立ち直れなくなるかも。」

「うーん、たしかにすごい美人だろうとは思うけど。棚橋さんはリュウさんの奥さんだからね。リュウさんが選んだ人なんだから自信持って。」

そう言われても現実に見た目、リュウにふさわしい美しい女が現れたら…もと子の心はさざめく。難しい顔をしているもと子。川端は決めた。


「わかった。僕も付いてく。棚橋さんの援護する。」

いいの?もと子の顔がパアッと明るくなる。

「リュウさんには僕からラインするから一緒に行こう。」

もと子は拝むようにして大きく頭を下げた。


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