第12話 エンゲージリング①

エンゲージリング


 風呂上がり、髪を乾かしていたリカコはスマホが鳴ったのに気がついた。メッセージを見て驚いた。つい昔のノリでリュウと腕を組んだばかりにリュウ夫婦がもめている。しかもリュウの妻はエンゲージリングを要らないと言い出した。

これ、アタシのせいやん!

リカコは慌ててリュウに電話をかけた。


「もしもし、ゴメン。アタシのせいで大変なことになっちゃって。」

「リカコさんが悪いんちゃうねん。運が悪いっていうか、嫁さんの職場の先輩カップルがあの場に居てて見てたんや。それで、もとちゃんの職場中で噂になってるみたいやねん。」

リカコはため息をついた。


「それで奥さん、へそ曲げちゃってエンゲージリング要らないってなったんやね。」

「それは違うねん。カタログを喜んで見てたんやけど。見てるうちにリングが高いのに気がついて、それで要らんって。」

リカコはできるだけ美しくて高額なリングを欲しがる女を星の数ほど見てきた。だが高額だから一生に一度のエンゲージリングを要らないと言う女にリカコは会って見たくなった。

「わかった。じゃあこうしよう。」

リカコはリュウにある提案をした。


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